図面って、どない描くねん!LEVEL2
【今週の一冊】
●『図面って、どない描くねん!LEVEL2』
現場設計者が教えるはじめての幾何公差
著:山田 学(日刊工業新聞社)
2007.4 / ¥2,310
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『製図の目的は、意思の伝達である。
意思の伝達に一義性を持たせるため、
製図の作法を決めて守ることが重要である』
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設計者の皆さん!「図面って、どない描いてます?」
計画図(組み図)をバリバリ描いたら、「あとはばらすだけだ~」と安心し
て、部品図の絵を作って、気の向くままに寸法線を入れていく。
はめあいの公差は「H7」「g6」なんかを多用して、ドンドン書き進む。
ここまでくればもう一息!表面粗さの指示を「12.5S」「6.3S」とかゴリゴリ
記入すれば、はい一丁あがり!
・・って、なんか忘れていませんか?
そう、「幾何公差」です。
ここまでくると、CADをクリックする手がピタッと止まってしまい、おもむろ
に過去の図面を引っ張り出して、なんとなく「円筒度」「平行度」を「0.01」
にする・・。
多かれ少なかれ、身に覚えのある方があるのではないでしょうか。
これまで多くの現場では、軸にフランジ状の鍔がついた部品ならば、取り付
け面の平面はきれいに仕上げて、軸は振れのないように加工するんだな・・
と、作業者の「深読み」によって良い部品が作られてきました。
しかし部品加工もグローバル調達が当たり前な昨今、暗黙の了解に頼った「
ものづくり」はもはや通用しません。
そしてISOでは「製品の幾何特性仕様(GPS)」が定義され、幾何公差のない
図面は「図面として認められない」ことにまでなっています。
この、これまで設計者が目をつぶってきた「幾何公差」を、1から教えてく
れる頼もしい味方が本書です。
幾何公差を設計者が使いこなすには、「この記号はどう使えばいいのか?」
と記号に合わせて設計するのではなく、自分の意思(組立性への配慮、機能
上の注意点)を表現する「ツール」として考えることです。
例えば「円筒度」を指示すると、その円柱の「断面の真円度」「母線の真直
度」「母線の平行度」の3つを同時に規制することができますが、その分、
加工も検査も大変です。
もし、テーパ状でもよいのであれば、「真直度」のみで表現することができ
ますし、楕円で良ければ「平行度」で指示すれば無駄な不良を減らすことが
できます。
「設計意図から幾何公差の選択」は、設計の意図を徹底して検討する「手間
」がかかりますが、それだけ机上で充実した設計が可能となり、「良い製品」
につながります。
これからのエンジニアにとって、避けて通るどころか、積極的に身につける
べき「幾何公差」の考え方を、具体的事例と思考練習によって学べる、必携
のテキストです。
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◇ カンドコロ! ◇
2つの穴を持つ部品と、それと同じピッチの2つのピンを持つ部品の組み立
ては、互いにはめ合わされる形体の、実寸法と実際の幾何公差との間の関係
に依存する。
ピン径が最大で穴径が最小、かつピッチ(位置公差)が最大ならば組み立て
の隙間は最小となり、逆の場合に最大となる。
ならば、はまり合う部品の実寸法が許容範囲であれば、その余裕分は位置公
差側に振り分けても組み立ては「可能」であり、無駄なNGを減らすことが
できるはずだ。
こうした考え方を取り入れた公差を「最大実体公差」という。
これをうまく使うと、位置公差を全部寸法公差に割り当てて、「ゼロ位置公
差」を指示することができる。
公差がゼロなんてありえないと考えがちだが、逆に寸法公差を緩める効果が
あるのだ。
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◆ 熱い行動 ◆
作業者の「誠意」と「技能」に頼った図面は、もう通用しない。
誰がどこで作っても、同じ部品が作れる図面を描こう。
設計者は、加工と組み立て、検査方法を理解せよ。
後工程が分かれば、複雑な幾何公差の「ありがたさ」も自ずと見えてくる。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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◎ 目 次 ◎
第1部 バラツキって、なんやねん!
第2部 データムって、なんやねん!
第3部 幾何特性って、なんやねん!
第4部 形状公差って、どない使うねん!
第5部 姿勢公差って、どない使うねん!
第6部 位置公差って、どない使うねん!
第7部 振れ公差って、どない使うねん!
第8部 幾何公差の相互依存って、なんやねん!
第9部 幾何公差を使ってみたいねん!
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◆ 関連ページ ◆
・著者 ラブノーツ
・出版社 日刊工業新聞社
・アマゾン 『図面って、どない描くねん!LEVEL2』
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