技術者発想を捨てろ!
【今週の一冊】
●『技術者発想を捨てろ!』
実践的MOTでキャリアが変わる
著:大阪ガス実践的MOT研究会 監修:永田 秀昭(ダイヤモンド社)
2004.9 / ¥1,680
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◆ 燃える一言 ◆
『技術者は機械ではない。機械を支配する仕事だからこそ人生を語り、
人間をマネジメントできる能力がなくてはならない。』
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MOT(Management of Technology、技術経営)は最近よく耳にしますが、
残念ながらまだ全体像がつかめていません。
本書でも「教育内容は百家争鳴」とありますが、大事なことは、実際に技術
を活かした経営を「実践」することに間違いありません。
大阪ガスの現場で、技術者が経営で成功し、利益をもたらしたノウハウと、
さらにその応用事例が詰め込まれた本書は、現場で磨かれた「技術経営」の
生の姿です。
「冷やしたぬき、売れてます」というガスヒーポン(ガスで動かすヒートポ
ンプ)のCMを、関西地方の方は見たことがあると思います。
夏場に不足する電力を、ガスで冷房する「ガスヒーポン」によって解消する
という「夢の商品」でありながら、営業は苦戦し、夢のままで終わってしま
う危機が訪れます。
当事者意識が欠如した社内を、「シェア0%をシェア50%に!」という決
起大会を経て、10年で実現するまでの過程から、技術者の発想を変える6つ
の法則が導き出されました。
中でも重要な法則の一つが、「『技術のロマン』に『ビジネスのロマン』を
重ね合わせろ」です。
技術者は「コア技術を磨く」(これも法則の一つですが)ことには脇目も振
らず夢中になりますが、それだけを追及できる人はわずかであり、またビジ
ネスとしての結果を生まねば「技術のロマン」で終わってしまいます。
逆に、技術的に難題を抱えていても、顧客満足を第一に考える「ビジネスの
ロマン」へと目を向けると、ブレイクスルーがあります。
技術者、営業、メンテナンス等多くの人たちを「一つのビジネスのロマン」
の実現に向かって走り出させるコンダクター(指揮者)がMOTなのです。
ここでもう一つの法則「ドリームパワリングを発揮しろ」が出てきます。
ビジネスのロマンを描いたら、それを共有する「夢」を供給するのです。
一人、二人ではリードするのには限界があります。議論より先に、より多く
の人に夢を提供し、共有することで、ビジネス成功のために一緒に戦ってい
る、という喜びを実感できるようになります。
そして「ビジネスの感動」を積み重ねていくことで、夢は広がり、感動は顧
客にも伝わっていくのです。
技術者がビジネスの成功のために、全員を引き連れて突き進む様子を、パリ
の七月革命をテーマにしたドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」が、
旗を高々と掲げるイメージとして筆者は想起しています。
う~ん、燃えるねぇ!!

夢の実現のために、法則「技術者の工程表を疑え」は耳に痛いところです。
営業担当者が、日々の結果を求めて必死に過ごしているのに対し、開発2年
と決めたら、同じ真剣さでエンジニアは毎日仕事をしているでしょうか?
今の開発のスピードは、「ザ・ゴール」のTOCで言うところの、「ネック
工程」になっていないでしょうか?
技術のロマンからすれば雑用はなくとも、ビジネスのロマンを重ねると、い
くつかは思い切ってカットして、スピードが出せるはずです。
経営手法や技術管理の手法などのツール=小手先の前に、「えんぢに屋魂」
に火を点けることの大切さを痛感した(ガスをも着火する!)熱い本です。
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◆ 熱い行動 ◆
24時間、頭の片隅に問題意識を持ち、土日で考え、月火水で動き回り、木金
で成果を出し、また土日で戦略を練る、というサイクルで動いてみよう。
自分の取り組んでいる技術が、世の中を変えるロードマップを自ら作ろう。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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◎ 目 次 ◎
第1章 大企業病にかかった技術者たち
第2章 技術者のジレンマを解決する「実践的MOT」
第3章 技術者が営業の最前線に立つ日
第4章 技術者の発想を変える6つの法則
第5章 自由化の中での意識改革
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● ひとこと ●
新潟地方で震災に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。
自然の脅威を見せつけられ、愕然としていましたが、長岡にお住まいで被災
された技術士の方が、無事の知らせに加えて、
「工場の危機管理を実体験しながら勉強しています。」
とのメッセージを寄せてくれました。
その力強さ、前向きさに感激すると共に、自然と共生し、困難を知恵で乗り
切ってこそ「えんぢに屋」であると、かえって勇気をもらいました。


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