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December 29, 2004

地震に強い建物

jisinnnituyoitatemono
 【今週の一冊】
 ●『図解雑学 地震に強い建物』
  図解雑学シリーズ

  著:安震技術研究会(ナツメ社)
   2003.6 / ¥1,365

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『地震に対する備え、それは結局
              あなた自身そして家族の問題なのである。』
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 2004年は、「災」の年でした。
 
 記録的な猛暑と台風上陸による「災害」、相次ぐ凶悪犯罪の「人災」などが
 挙がりますが、何といっても、新潟中越地震の「震災」は、大きな衝撃でし
 た。
 
 そしてつい先日、26日に発生したインドネシア・スマトラ島沖地震では、過
 去100年間で最悪規模の津波被害をもたらしました。
 
 スマトラ島沖地震と同様な、海洋にあるプレートが陸側のプレートの下に沈
 み込む、「海溝型地震」として、東海地震や東南海、南海地震が警戒されて
 いますが、陸側の岩盤内にある弱い傷(断層)が急激にずれて発生する、新
 潟中越地震のような「内陸直下型地震」は、日本中どこでも起こりえます。
 
 地震予知の研究は進められていますが、むしろ時間的・空間的にランダムに
 発生するものとして、防災対策が必要です。
 
 特に我々エンジニアは、地震のメカニズムとその対策を、振動学、材料力学
 的に理解しておくことが大切でしょう。
 
 地震に対して安全な建物の構造として、「耐震」「免震」「制震」がありま
 す。その違いを整理してみると・・
 
 ・耐震構造:従来の耐震構造で、構造物の強度やねばりを上げて、全体で頑
       張る構造。大地震で人命を守ることができるが、どこが壊れる
       か決められず、補修が必要となる。
 
 ・免震構造:建物の足元に、積層ゴムなどの免震装置を入れて、地震のエネ
       ルギーを遮断する。揺れの力を約1/3~1/5に減らすことができ
       る。下層とのずれを許容する工夫が必要。
 
 ・制震構造:建物の内部に、エネルギーを吸収するダンパーを入れて、建物
       が揺れにくく、揺れを収まりやすくする構造。万一の場合でも
       エネルギー吸収部材だけを交換すればよい。
 
 どの構造が優れている、とは一概に言えず、地盤や建物の高さ、コストによ
 って選ばなければなりません。
 
 モデルルームを見学すると、大きな窓で広く開放的なリビング、吹き抜けの
 天窓、建物下に埋め込まれた駐車場などを、「カッコいい!」と感じますが、
 耐震性能という点では、要注意です。
 
 基本は、地震の力を効率的に地盤に伝えられるよう、力を受ける柱や耐力壁
 を上下階一致させ、適切な距離に配置することであり、「バランスの良い」
 対称形に近い建物が安定します。
 
 その問題点を設計段階で考慮し、弱点を補えば成り立つことはもちろんです
 が、生活上の利便性の前に、力学的にじっくり検証することが大切です。
 
 年が明ければ、阪神大震災から10年の節目を迎えます。
 
 「災い転じて福と為す」ために、足下に迫る無常を念じつつ、人命と財産を
 守る「ものづくり」に、来年も邁進致しましょう。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 自宅の耐力壁、柱の配置を図面で確認し、バランスをチェックしよう。
 
 自宅の地盤・基礎を点検し、耐震性能の低下をメンテナンスしょう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 1 建物の敵、地震を知る
 2 地震と建物
 3 地震に強い戸建て住宅
 4 地震に強い中高層マンション
 5 地震に強い超高層ビル
 6 耐震リニューアル
 7 建物の耐震を支える技術
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 ● ひとこと ●
 平成16年の最終号となりました。
 
 創刊から4ヶ月、いまだよちよち歩きではありますが、楽しんで続けること
 ができました。
 
 来年も、「ものづくり魂」を熱くする、良書たちを紹介していきたいと思い
 ます。
 
 それでは皆さん、よいお年を!

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December 25, 2004

技術士勉強会&忘年会。

技術士・技術士補と、技術士を目指す受験者のネットワーク「Net-P.E.Jp」近畿支部の勉強会&忘年会に、今日は参加してきました。

勉強会では、なかなか伺うことができない電車の運転制御の話や、最近の技術士受験体験談、来年の受験の対策講座などがあり、実に濃~い内容に刺激されました。

そして!宴会のふぐ&伊勢海老鍋に大満足!

この1年、Net-P.E.jpを縁として、技術士試験に合格でき、書籍出版、そして熱い「えんぢに屋」達と刺激しあうことができたことは、何にも替えがたい貴重な体験でした。

「ニッポンのものづくり」を盛り上げていく仲間に、感謝の気持ちと、エールを込めて、乾杯!(^o^)丿

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December 22, 2004

ロウソクの科学

 【今週の一冊】
 ●『ロウソクの科学』

  著:ファラデー 訳:三石 巌(角川書店)
   1962.10 / ¥357
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 ◆ 燃える一言 ◆
 『この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、
     ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは
                 一つもないといってよいくらいです。』
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 皆さんが子供の頃に読んだことがあるかもしれない、科学読み物の古典的な
 名作を、今回は紹介しましょう。
 
 本書は、140年余り前(!)の、キャンドル・ライトが輝く丁度今頃、ロン
 ドンの王立研究所で連続6回行われた講演の記録です。
 
 講演者は、かのマイケル=ファラデー教授、その人でありました。
 
 ファラデーと言えば、電磁誘導の原理や、電気分解の法則を発見し、コンデ
 ンサー容量の単位「F(ファラド)」にもその名が冠されるなど、物理化学
 分野で多大な業績を残しています。
 
 そんな大学者が選んだ講演の題目は、一本のロウソク。
 
 「そんなありふれた、面白みのないもの」という思いは、前出した彼の「燃
 える言葉」によって掻き消されてしまいます。
 
 ロウソクは、炭素・水素・酸素からなる固体で、火をつけて燃えるもの…、
 と単純に「わかったつもり」になっていますが、なんのなんの、実に奥深く
 複雑で、絶妙なバランスで光と熱を発していることが、今更ながら分かりま
 す。
 
 例えば、なぜろうそくの火は明るいのでしょう?
 
 「火が明るいのは当たり前」というのは間違いです。例えば、ガスバーナー
 に十分な空気を送り込むと、激しく燃焼しているにもかかわらず、炎はほと
 んど見えません。
 
 物体が明るく輝くためには、「固体」でなければならず、ロウソクの明るさ
 とは、「炭素の粒」が輝いているのです。
 
 それが証拠に、明るいはずのロウソクの炎に太陽光を当てると、その「影」
 を見ることができます。
 
 ファラデーは、これらの現象を一つ一つ丁寧に、そして魅力的な実験を、次
 次と聴衆の前で実演していきます。
 
 しかも、興味を持った子供たちが家で実験をしやすいような道具や材料を用
 意し、注意事項やコツを丁寧に説明してくれています。
 
 ロンドンっ子達が、瞳を輝かせながら、まるでマジックのような自然現象の
 不思議に心奪われている様子が、ありありと浮かんできます。
 
 私自身、水の電気分解の実験をしたときの、水素と酸素が見事に2対1で生
 成される感動や、水素を燃やしたときの「キュン!」という音を聞いた驚き
 が蘇ってきました。
 
 「窒素ってつまらん気体だなぁ」と、中学校のときに思ったものですが、フ
 ァラデー先生は「窒素は火を鎮めてくれ、においや煙を消し去り、植物を養
 う全く驚くべき働きをしています」と教えてくれます。
 
 炭素が燃えてなくなる様子を「まわりの酸素にとけこむ」と表現し、燃焼し
 ても鉄のように固体のまま残れば、内部が空気と接することができず、連続
 して燃えることはできない、という着眼点に感心させられます。
 
 小中学校の学力の低下や、理科への関心不足が心配されていますが、こんな
 面白くて、愛情に溢れた講義を聴いたならば、きっと自然科学の魅力は伝わ
 るはずです。
 
 もうすぐ冬休み。
 お子さんと一緒に、「ロウソクの科学」してみませんか。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 わかったつもりの原理・原則を、子供にも分かるように説明してみよう。
 
 二酸化炭素から炭素を、簡単に分離する方法を考えてみよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 第1講 一本のロウソク―その炎・原料・構造・運動・明るさ
 第2講 一本のロウソク―その炎の明るさ・燃焼に必要な空気・水の生成
 第3講 生成物―燃焼からの水・水の性質・化合物・水素
 第4講 ロウソクの中の水素―燃えて水になる・水のもう一つの成分・酸素
 第5講 空気中に存在する酸素・大気の性質・その特性・ロウソクのそのほか
     の生成物・二酸化炭素・その特性
 第6講 炭素すなわち木炭・石炭ガス・呼吸および呼吸とロウソクの燃焼との
     類似・結び
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 ● ひとこと ●
 今年はやはり、記録的な暑さだったようですね。
 
 >1946年以降、12月中旬までの年間平均気温は東日本で1位、北日本、西日本
 >で同2位。
 
 昨日からようやく冬らしい寒さになってきましたが、ここぞとばかり、低温
 状態で行う実験を、半日吹きさらしの中でやっています。
 
 急激な変化に、身体がついてきません…。

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December 15, 2004

インクス流!

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 【今週の一冊】
 ●『インクス流!』
  驚異のプロセス・テクノロジーのすべて

  著:山田眞次郎(ダイヤモンド社)
   2003.8 / ¥1,680

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『10年以内に製造業に30倍程度の生産性の向上が起こることは、
      もはや夢でも何でもない。原価30分の1の世界が出現する。』
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 背筋に寒気を感じ、鳥肌が立ちました。
 
 空恐ろしさすら感じる、すさまじい「ものづくり革命」の姿が、ここに描か
 れています。
 
 自動車や、携帯電話を始めとする量産品を生み出す「マザー」となるのが、
 樹脂や金属を成形する「金型」です。
 
 金型が出来上がるまでには、まず製品図面があり、それを反転した金型図面
 を起こし、その図面に基づいた加工指示を作成し、実際に加工機で金属を切
 削して作り上げます。
 
 その間に、何人もの設計者や作業者、また商社や業者が入り、例えば携帯電
 話の金型ならば、通常45日程度を要します。
 
 その金型製作工程を、「インクス」という会社は、始めに6日に短縮し、更
 に「45時間」に短縮したのです。
 
 実に、24倍の生産性の向上!!
 
 はじめは、その桁違いのスピードに、全く実感が伴いませんでしたが、読み
 進むにつれ、これまでの「カイゼン」や「かんばん」とは異なる、ITを加
 速装置とした製造・工程の革新を痛感しました。
 
 インクスが実現した手法とは、「3次元CADによる製品設計データで、試
 作、金型データ及び加工データを一貫して作成、製造する」プロセスです。
 
 こう書けば教科書のようなお話ですが、現実は様々な壁が立ち塞がります。
 
 つまり…
 
 ・設計者が、3次元CADに習熟せねばならない
 ・3次元CADの製品設計が、金型設計につながらない
 ・金型製造の「職人技」が、金型加工データに乗らない
 ・中小企業の高齢金型技術者が、3次元CAD、CAMを使えない
 
 等々の問題が即座に現れ、工程の短縮が実現しません。
 
 多くの企業がここで立ち止まり、3次元CAD・ITの本質、つまり生産性
 を加速する「エンジン」としての能力を引き出せないでいるのです。
 
 インクスでは、金型設計、加工データ作成のためのCADを独自に開発し、
 そこには金型職人が暗黙知として築き上げた「神業」を、何の経験もない19
 歳の若者が同じく仕上げられる「技術」として構築しています。
 
 そして、徹底した工程分析により、工程間のムダ取りはもちろんのこと、「
 工程」と一括りにしているものを、「人の判断を要するもの」と「判断を要
 しない作業」に分割し、作業はプログラム化します。
 
 更に人が判断している内容も、ベテランの暗黙知を引き出してルール化し、
 「判断しない=判断が必要ない」ところまで落とし込み、工程を人の手から
 コンピュータに渡すことで、劇的な高速金型製造工程を確立したのです。
 
 その様子は、映画「マトリックス」を見ているような、めまいすら感じます
 が、これは理想論ではなく、現実に稼動しているのです。
 
 そして生産性を加速する「ITエンジン」は、金型に留まらず、あらゆるも
 のづくりに展開できると説きます。
 
 中国の低価格製品の追い上げ、職人技能者の引退、人口減少による労働力の
 不足、そして製品ライフサイクルの短命化といった、今後の日本が間違いな
 く直面する問題に対する、明確な、しかし大変革を伴う一つの回答が明示さ
 れています。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 ITによる製造・工程の革新の、先頭を走るか。
 変化を恐れて、現状に甘んずるか。回答が迫られている。
 
 飛びぬけた目標を設定し、強い意志で実行しよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 第1章 光造形システムとの衝撃的出合い
 第2章 モノ作りの定義が変わった
 第3章 開発工程「2分の1」から「30分の1」へ
 第4章 驚異のプロセス・テクノロジー
 第5章 かくして「知的産業革命」は、日本から始まる
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 ◎ お知らせ ◎
 日刊工業新聞社の月刊誌「機械設計」にて、2005年1月号(12月10日発売)
 より12回に渡り、コラム“機械技術士のよもやま話”を、『Net-P.E.Jp』
 (技術士・技術士補と、技術士を目指す受験者のネットワーク)のメンバー
 が、リレー連載を開始しました。
 
  「機械設計」2005年1月号 http://tinyurl.com/5m4bk
 
 ちなみに私、やまさんも登場する予定ですので、乞うご期待!
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 ● ひとこと ●
 ついに今年も、残すところあと2週間です。
 といっても、あと400時間もありますから(12/15朝8時現在)振り返りつつ、
 バトンを来年に渡せるようにスパートしていきましょう。
 
 さあ、これからすべきことを因数分解すると・・
 
 ・(今年の目標-現状)=残り2週間のスパート!
 ・(今年の目標-現状)-(残り2週間の見込み)=2004年の反省!
 ・((04年の反省)+(10年後の目標)/10)×(決意)=2005年の目標!
 
 それと、年賀状ですね…。

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December 08, 2004

発見!!ものづくり魂

hakkenmonodukuri.jpg
 【今週の一冊】
 ●『発見!!ものづくり魂(スピリッツ)』
  松下電器を支える現場の底力

  編著:isM書籍化プロジェクト(翔泳社)
   2004.11 / ¥1,580

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『ものづくりに対する熱い想いって、「誰かを喜ばせたい」という
        人間の基本的な欲望と深く繋がっている気がします…!!』
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 松下電器のホームページに、「ものづくりスピリッツ発見マガジン『isM』」
 というページがあります。
 
 パナソニック製品や、技術開発の現場の様子を紹介していますが、単なる広
 報を越えた、非常に凝った作りとなっています。
 
 コミックあり、小説あり、またドキュメンタリータッチの動画もありと、そ
 こらのメーカの、カタログの焼き直しのようなサイトとは一線を画したクオ
 リティーを誇っています。
 
 同HPを見て惚れ込んだ編集者が、口説き落として書籍化した本書には、選
 ばれた8編のコンテンツが掲載されています。
 
 中でも興味深かったのが、「鉛フリーはんだ」について。
 
 すず63%、鉛37%の共晶はんだは、183℃という低温で融け、電気部品の固定
 と導通の接続に実に使い勝手の良い材料であり、これまでほとんどの製品で
 当たり前のように使用されています。
 
 一方で、鉛は人体に有害であることが明らかになり、使用量の削減が求めら
 れています。
 
 しかし、あらゆる製品と工程が、鉛入りはんだを前提に設計されており、一
 朝一夕には「鉛フリー化」は進みません。
 
 実際、ほとんどの企業では2002年の時点でも、「社内製造品では」(外注は
 ちょっと無理)、「鉛フリーはんだを採用」(鉛入りもあるけどね)といっ
 た注釈付きがやっとです。
 
 松下電器では、94年から一人のエンジニアが当初アンダーグランウンドで研
 究を開始し、その後99年に世界初の100%鉛フリーはんだ使用のMDプレーヤ
 ーを発売しています。
 
 それ以来、松下電器は鉛フリー化では世界のトップを突き進み、ついに2003
 年には、国内海外の全ての松下ブランドの製品から、鉛はんだの全廃を達成
 したのです。
 
 そのスローガンは「スーパー正直」。
 
 一切の言い訳を絶ち、日本や欧米だけでなく、全世界の工場で鉛フリー化の
 設備、教育を徹底し、愚直なまでに厳密に推し進めるという宣言です。
 
 ビジネスとしての重要さはもちろんですが、ものづくりが環境に、子孫に与
 える影響を思えばこその英断であり、それを実現した努力に拍手です。
 
 おまけとして、はんだ作業時に用いるフラックスが混入し、不純物のかたま
 りになったはんだをリサイクルする方法として、なんとはんだ槽に「ごま」
 を入れる方法が紹介されています。
 
 フライパンで炒めたごまを入れて、かすをお玉ですくう様子は、なんともコ
 ミカルですが、大真面目に装置が開発されて、実績をあげているそうです。
 
 他には、マンガで描かれた「銅釜IH炊飯ジャー」の開発ストーリーや、モ
 デルチェンジをせずに数十年に渡って活躍している長寿製品の紹介、また現
 在開発中の「砂糖電池」の原理など、多岐に渡る物語が展開されています。
 
 先週紹介した『製品開発の知識』とは対照的に、個々の製品とそれに関わる
 人にスポットを当てており、また自社のアピールのために作られた記事です
 から、あくまで「いいところ」が紹介されています。
 
 だからこそ、おそらくこのコンテンツの一番の読者である、松下電器の社内
 の方や、ご家族を含めた関係者の方は、自らの、またお父さんの仕事に誇り
 を持ち、「ものづくり」に励むことができることでしょう。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 自分の仕事の、熱いストーリーを(結果が出る前に)考えてみよう。
 きっと、人に伝えたくなる物語(=過程と結果)が生まれるはずだ。
 
 仲間の仕事の、熱いストーリーを聞き出し、共有しよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 第1部 毎日使うものだからこそ 家電・生活編
  01 釜を改革せよ!~銅釜IHジャー炊飯器~
  02 主夫は見た!コツコツ洗って43年~食器洗い乾燥機~
  03 時代を超越した名品たち~ロングセラー製品~
 第2部 夢と想いを支えに 映像・音響編
  04 映画史100年・沈黙の革命~デジタルシネマカメラ VARICAM~
  05 真空管、音の記憶。~真空管カーオーディオ~
 第3部 執念と意思がつくるもの 材料・燃料編
  06 5000年の歴史を塗り替える、環境を守るモノづくり技術
     ~鉛フリーはんだ~
  07 食べ物からクリーンエネルギー?~砂糖電池~
  08 目指そう!魔法瓶を超える究極の断熱!~真空断熱材~
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 ● ひとこと ●
 松下のHPのように立派ではありませんが、身内の仕事ぶりストーリーを、
 イントラネットで公開したことがあります。
 
 部長、課長にインタビューし、若かりし頃の失敗談を紹介したところ、上司
 の素顔が垣間見えて、(手前味噌ですが)なかなか好評でした。
 
 「ナレッジ・マネージメント」とか肩肘張る前に、隣の人や先輩の、ものづ
 くり物語を聞くことが、技能・知識の伝達になるのかもしれません。

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December 01, 2004

製品開発の知識

seihinnkaihatunotisiki.jpg
 【今週の一冊】
 ●『製品開発の知識』

  著:延岡 健太郎(日本経済新聞社)
   2002.09 / ¥903

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『製品開発の現場では、マニュアル的な知識よりも
        深く考えるための基礎となる知識の方が重要となります。』
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 「プロジェクトX」をはじめとして、個々の商品開発の舞台裏を描いたスト
 ーリーは、共感を呼びやすく、本屋の書棚にもよく見かけます。
 
 面白いと思う反面、あくまで個別の事象であって、自身の開発に反映させる
 には普遍性がありません。
 
 一方、「組織論」や「マーケティング論」も専門書が多々ありますが、製造
 業にとって要(かなめ)である「製品開発」という横串で語られたことは、
 あまりありません。
 
 本書は、文庫本で、かつ読みやすい文体で書かれているものの、ありそうで
 なかった「製品開発論」の格好の教科書です。
 
 いわゆる「ヒット商品」を作ることが大事だ、と考えがちですが、それはサ
 ッカーや野球で言えば、ある一試合に勝つことに過ぎません。
 
 一つの試合の勝ち負けよりも、「強いチーム」を作ることが重要であり、つ
 まり「製品開発に強い企業・条件とは何か」が問題となります。
 
 これを「製品開発能力の差異化」と呼び、製品開発能力とは、大きく以下の
 3点となります。
 
 1.技術力:他社を寄せ付けない技術力があれば、優位に立てます。
 
  しかし特許を駆使しても、まねされない技術は簡単には生まれません。
  
  そこで、特定技術に資源を集中して、技術開発と製品開発を相互に繰り返
  し、他社と差異化する「コア技術戦略」を紹介しています。
 
 2.組織プロセス能力:競合よりも短期間・省工数で高い品質の開発を実現
  する組織能力のことです。
  
  例えば、組織体系としては、「設計」「実験」など、機能で分けた体制が
  通常用いられますが、製品開発に特化した、横断的なプロジェクトも有効
  です。
  
  自社の製品開発には、どんな組織がふさわしいのか?
  プロジェクトマネージャの権限と責任の範囲は?
  
  製品開発プロセスが同じような企業群の中で、これらの解が適切に出せれ
  ば、頭一つ抜け出した組織能力が発揮できます。
 
 3.価値創造能力:製品や市場戦略に関する能力と、関連する企業等を含め
  た独自のビジネスシステムを構築し、活用する能力です。
  
  一つ目の、製品・市場戦略の代表は、顧客のニーズに合致した製品を開発
  する能力です。
  
  例えば、キーエンスやロームのように、製品を標準化しつつ、個々の要望
  に合致させる独自の仕組みを持つと、大きな付加価値を上げられます
  
  二つ目は、企業間の結びつきの独自性で付加価値を上げる能力であり、パ
  ソコンのデバイスを世界で最適調達するデルや、開発初期から部品製造と
  共同で(同部屋で!)設計する自動車メーカなどが良い例でしょう。
 
 それぞれの項目について、細かく噛み砕いて分析・説明が述べられており、
 挿入された分かりやすく簡潔な図解も、本書の特徴です。
 
 例えば、2.で挙げた開発組織の選択について、製品の技術特性との関係を
 以下のように図解しています。(テキストでは分かりにくいかな?)
 
                 │
        高  機能重視  │(ハイブリッド型)
  要素技術の          │
  革新性と   ────────┼─────────
  変化速度           │
        低        │プロジェクト重視
                 │
            低         高
 
            機能部門間の相互依存性
 
 例えば、医薬品の開発は機能重視型、自動車の開発にはプロジェクト重視型
 が適当であることが分かります。
 
 また、要素技術の革新性と、機能部門間の依存性の程度に応じて、ハイブリ
 ッド型組織の軸足の置き方も変わってくると言えるでしょう。
 
 
 製品開発のマネジメントは難しく、重要だからこそ、その運営次第で業績に
 大きな差が出ます。
 
 若手もベテランも、事務系も技術者も、自身の立ち位置を確認し、製品開発
 の進むべき方向を考えるヒントが満載の一冊です。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 製品開発プロセスの中で、自分の果たすべき役割を認識しよう。
 
 複雑な問題を、マトリクスに切り分けてスッキリ図解してみよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 1 製品開発の本質
 2 製品開発とイノベーション
 3 製品戦略
 4 製品開発のプロセス
 5 製品開発組織のデザイン
 6 製品開発プロセスのマネジメント
 7 企業間関係のマネジメント
 8 持続的な製品開発能力の構築
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 ● ひとこと ●
 急に技術用語を英訳する必要に迫られて、あたふたと検索していたら、便利
 なサイトを見つけました!
 
 ・設計・製造技術用語集
 
 手元に辞書がないときは、無料でこれくらい詳しいと助かります。
 
 先生も走る12月。04年の仕上げと05年の助走を始めましょう!!

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