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December 15, 2004

インクス流!

inkusuryuu
 【今週の一冊】
 ●『インクス流!』
  驚異のプロセス・テクノロジーのすべて

  著:山田眞次郎(ダイヤモンド社)
   2003.8 / ¥1,680

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『10年以内に製造業に30倍程度の生産性の向上が起こることは、
      もはや夢でも何でもない。原価30分の1の世界が出現する。』
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 背筋に寒気を感じ、鳥肌が立ちました。
 
 空恐ろしさすら感じる、すさまじい「ものづくり革命」の姿が、ここに描か
 れています。
 
 自動車や、携帯電話を始めとする量産品を生み出す「マザー」となるのが、
 樹脂や金属を成形する「金型」です。
 
 金型が出来上がるまでには、まず製品図面があり、それを反転した金型図面
 を起こし、その図面に基づいた加工指示を作成し、実際に加工機で金属を切
 削して作り上げます。
 
 その間に、何人もの設計者や作業者、また商社や業者が入り、例えば携帯電
 話の金型ならば、通常45日程度を要します。
 
 その金型製作工程を、「インクス」という会社は、始めに6日に短縮し、更
 に「45時間」に短縮したのです。
 
 実に、24倍の生産性の向上!!
 
 はじめは、その桁違いのスピードに、全く実感が伴いませんでしたが、読み
 進むにつれ、これまでの「カイゼン」や「かんばん」とは異なる、ITを加
 速装置とした製造・工程の革新を痛感しました。
 
 インクスが実現した手法とは、「3次元CADによる製品設計データで、試
 作、金型データ及び加工データを一貫して作成、製造する」プロセスです。
 
 こう書けば教科書のようなお話ですが、現実は様々な壁が立ち塞がります。
 
 つまり…
 
 ・設計者が、3次元CADに習熟せねばならない
 ・3次元CADの製品設計が、金型設計につながらない
 ・金型製造の「職人技」が、金型加工データに乗らない
 ・中小企業の高齢金型技術者が、3次元CAD、CAMを使えない
 
 等々の問題が即座に現れ、工程の短縮が実現しません。
 
 多くの企業がここで立ち止まり、3次元CAD・ITの本質、つまり生産性
 を加速する「エンジン」としての能力を引き出せないでいるのです。
 
 インクスでは、金型設計、加工データ作成のためのCADを独自に開発し、
 そこには金型職人が暗黙知として築き上げた「神業」を、何の経験もない19
 歳の若者が同じく仕上げられる「技術」として構築しています。
 
 そして、徹底した工程分析により、工程間のムダ取りはもちろんのこと、「
 工程」と一括りにしているものを、「人の判断を要するもの」と「判断を要
 しない作業」に分割し、作業はプログラム化します。
 
 更に人が判断している内容も、ベテランの暗黙知を引き出してルール化し、
 「判断しない=判断が必要ない」ところまで落とし込み、工程を人の手から
 コンピュータに渡すことで、劇的な高速金型製造工程を確立したのです。
 
 その様子は、映画「マトリックス」を見ているような、めまいすら感じます
 が、これは理想論ではなく、現実に稼動しているのです。
 
 そして生産性を加速する「ITエンジン」は、金型に留まらず、あらゆるも
 のづくりに展開できると説きます。
 
 中国の低価格製品の追い上げ、職人技能者の引退、人口減少による労働力の
 不足、そして製品ライフサイクルの短命化といった、今後の日本が間違いな
 く直面する問題に対する、明確な、しかし大変革を伴う一つの回答が明示さ
 れています。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 ITによる製造・工程の革新の、先頭を走るか。
 変化を恐れて、現状に甘んずるか。回答が迫られている。
 
 飛びぬけた目標を設定し、強い意志で実行しよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 第1章 光造形システムとの衝撃的出合い
 第2章 モノ作りの定義が変わった
 第3章 開発工程「2分の1」から「30分の1」へ
 第4章 驚異のプロセス・テクノロジー
 第5章 かくして「知的産業革命」は、日本から始まる
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 ◎ お知らせ ◎
 日刊工業新聞社の月刊誌「機械設計」にて、2005年1月号(12月10日発売)
 より12回に渡り、コラム“機械技術士のよもやま話”を、『Net-P.E.Jp』
 (技術士・技術士補と、技術士を目指す受験者のネットワーク)のメンバー
 が、リレー連載を開始しました。
 
  「機械設計」2005年1月号 http://tinyurl.com/5m4bk
 
 ちなみに私、やまさんも登場する予定ですので、乞うご期待!
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 ● ひとこと ●
 ついに今年も、残すところあと2週間です。
 といっても、あと400時間もありますから(12/15朝8時現在)振り返りつつ、
 バトンを来年に渡せるようにスパートしていきましょう。
 
 さあ、これからすべきことを因数分解すると・・
 
 ・(今年の目標-現状)=残り2週間のスパート!
 ・(今年の目標-現状)-(残り2週間の見込み)=2004年の反省!
 ・((04年の反省)+(10年後の目標)/10)×(決意)=2005年の目標!
 
 それと、年賀状ですね…。

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Comments

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Thank you,

Small Business Loans

Posted by: Small Business Loans | April 09, 2010 at 12:53 AM

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