« February 2005 | Main | April 2005 »

March 30, 2005

工場のしくみ

koujyounoshikumi
 【今週の一冊】
 ●『工場のしくみ』
  イラスト図解シリーズ

  著:松林 光男, 渡部 弘(日本実業出版社)
   2004.07 / ¥1,470

-----------------------------------
 ◆ 燃える一言 ◆
 『工場は製造現場を周りの部門が支援する形で、各部門の役割を持ちながら、
      工場の基本的役割であるQCD(品質、コスト、納期)を
               全体で改善していく組織になっています。』
-----------------------------------
 05年度が間もなく始まり、全国の工場に新たなエンジニア達が生まれるこ
 とでしょう。
 
 一口に「工場」と言っても、全国に約65万の大小様々な工場があり、ユー
 ザーに届く製品を製造する工場と、素材や工作機械のメーカーではその様子
 も大きく異なります。
 
 また、一つの工場でも、開発・生産管理・購買・製造・品質管理と部門が異
 なれば、業務の違いは長く工場で努めていても、なかなか把握できないもの
 です。
 
 入社前に本書を開けば、多彩な図解も手伝って、最新の「工場」の姿が俯瞰
 できます。
 
 
 工場といえば、当然、製品を作るので「もの」の動きがあり、その流れ方が
 「フロー(流れ)生産」であったり、「バッチ(間歇)生産」だったりしま
 す。
 
 例えば、石油精製のようにパイプを製品が流れ続けたり、組立製品でもライ
 ンがよどみなく流れる製造方法は前者であり、反応釜で加工するビールや薬
 品は後者の例です。
 
 
 このようなものの流れは目に見え、また工場見学でも分かりやすい部分です
 が、同時に「情報」の流れが工場では重要です。
 
 開発・設計から、顧客に手に渡り、最後生産打ち切りに至るまでの製品のラ
 イフサイクル全体のコスト管理を行ったり、複数の製品を同一のラインで組
 み立てる工程の管理など、現在の工場では、膨大な情報を日々収集し、適切
 に処理せねばなりません。
 
 しかもサプライチェーンマネジメント(SCM)と言われるように、自社だ
 けではなく、原材料から製品まで、そして販売代理店から小売、消費者まで
 の「供給の連鎖」を管理することは、もはやITなくしては不可能です。
 
 一昔前の3K職場、というイメージからは、巨大なシステムで運営される現
 在の工場の姿は、様変わりしています。(もちろん例外もありますが。)
 
 
 製造技術の開発に関わっている私としては、「コア技術」や「新開発」こそ
 が工場を支える!という信念で日々業務に当たっています。
 
 それは一面正しいのですが、前提として、原価管理や生産管理、品質管理が
 あってこそ、技術は花開きます。
 
 
 品質や性能を落とさず、製造や販売にかかる費用(原価)をいかに低減して
 利益を生むか、という「原価管理」。
 
 品質・原価・納期をバランスよく管理し、工程や在庫を適切に運営する「生
 産管理」。
 
 製品を含むあらゆるサービスを、顧客の望む品質を満足するように、製品と
 仕事のやりかたを維持・改善する「品質管理」。
 
 
 一見地味なこれらの活動がなければ、お客さんに満足してもらえる工場であ
 り「続ける」事はできないと、改めて知らされました。
 
 新年度にあたり、新入社員はもとより、ベテランエンジニアにも、自身の役
 割を確認し、他部署との連携を深めるために、一読をお勧めします。
 ----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 工程管理を正しく行うために最も重要なのは、ものと情報の一致。
 
 しかし、システムのためにデータを集めても製品は作れない。
 
 ある半導体工場では、工場長命令でデータの収集を強制したところ、全ての
 作業が、シフト(昼勤・夜勤)の間の1時間の休み中に完了したことになっ
 ていた。
 
 無理やりデータ収集したため、手が空いてからまとめて入力したからだ。
 
 必要なデータは、工程内にすでに存在している。
 
 それを、自然な形で受け取り、上手く解釈すれば、真実が見えてくる。
───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 「おらが部署」が一番大事、という過剰な帰属意識はないか。
 顧客を意識し、高所大所から自己の役割を見直そう。
 
 できるだけ自分の仕事と違う製品の、工場見学に行こう。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 ◎ 目 次 ◎
 1章 工場とは何か
 2章 工場見学!モノがつくられる工程をみる
 3章 さまざまな生産のしくみ・タイプ
 4章 工場全体のしくみ
 5章 レポート・工場の各部門担当者の1日
 6章 開発・設計のしくみ
 7章 生産管理のしくみ
 8章 生産現場のいま
 9章 原価管理のしくみ
 10章 品質管理のしくみ
 11章 自動化とIT活用
 12章 工場が拓く未来

| | Comments (27) | TrackBack (0)

March 23, 2005

機械部品の幕の内弁当

kikaibuhin_makunouti
 【今週の一冊】
 ●『機械部品の幕の内弁当』
  ロボット博士の創造への扉

  著:森 政弘(オーム社)
   2003.01 / ¥1,680

-----------------------------------
 ◆ 燃える一言 ◆
 『すべては役に立つのです。万一役に立たないものが現れたときには、
            本当に役に立っていないのは、あなたの頭です。』
-----------------------------------
 愛知万博の開催まであと2日と迫り、報道も熱を帯びてきましたね。
 
 トヨタグループを始めとして、多彩なロボットが展示の目玉であり、最近は
 テレビでも手作りロボットによるバトルが注目を集めています。
 
 ロボット競技といえば、NHKの「ロボットコンテスト(ロボコン)」が有
 名ですが、そのロボコンの生みの親とも呼ぶべき著者が、創造的なものづく
 りについて熱く語っています。
 
 独特な創造法として、まず「三性の理」という考え方が提示されています。
 
 CDやDVDに静電気でほこりが付着するのは困ったことで、帯電を防止す
 るための対策を考えることになります。
 
 ところがかつて、コピー機の開発に取り組んでいた技術者が、良い案が出ず
 に気晴らしに聴いたレコードに付着したほこりを見て、そのとたん!閃きま
 した。
 
 そう、ほこりをほこりと見ず、文字や絵に見えたところから、トナーを静電
 気で吸着する電子コピーを発明したのです。
 
 ここで、レコードのほこりは「悪」、コピーの吸着は「善」ですが、実はど
 ちらも「プラスチックに粉体が静電気で付着する」という物理現象であり、
 善でも悪でもない、「無記」なのです。
 
 役に立つとか立たないというのは、自分が勝手に価値をくっつけたものであ
 り、この価値を脱落させた「無記」の観点に立つと、問題を抱えて考え抜い
 ているときには、あらゆるものがヒントとして見えてきます。
 
 「善・無記・悪」を三性といい、静電気のように、本来「無記」なものを制
 御をすれば善として作用し、制御が外れれば悪として作用する、というのが
 三性の理を心得た智恵なのです。
 
 こうした創造の方法を多々紹介されている中で、「生涯で創造できた最大の
 もの」がロボットコンテストであると述懐しています。
 
 東京工業大学の教授であった頃、学生達が無気力な、とろーんとした眼をし
 ていることに危機を感じ、その打破を目指して始めた試みが、その後のロボ
 コンの先駆けでした。
 
 大学から高等専門学校へ広がり、更に中学校にも波及し、全国約2,000校の中
 学校の技術科の授業に取り入れられています。
 
 既にロボコン歴10年の青森の八戸三中は、八戸市内で最も荒れた中学校でし
 たが、「登校拒否を下校拒否に変えるロボットコンテスト」という標語がで
 きるほど、生徒達は目を輝かせてロボット作りに熱中したのです。
 
 ある生徒は、コンテスト終了後の感想文に「ロボコンで周りを見る目が変わ
 った。ねじの山が少しでもつぶれているとナットが入らない。ねじやナット
 を見てもものの見方が変わる。ものを大切にすることができる。ものを大切
 にできるということは、人の気持ちが分かり、友達も増え、学校に来るのも
 楽しみになる。」と書いています。
 
 そして最後に、指導してくれた先生に向けた、「下山先生にあえてよかった
 です」の一言は、「ごくせん」にも勝る、泣ける感謝の言葉です。
 
 まさに、「ものづくりは人づくり」であることを知らされました。
 ----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 創造性を発揮するためには、まねをしない。
 
 そのためには、「調査をしない」。
 
 「誰かがやったことを繰り返すのは無駄」と思うが、創造性を発揮するため
 には、危険だ。
 
 それは、立派な先例を知ると、その知識に囚われてしまうから。
 
 知識は得るもの(外から内)であり、知恵は出すもの(内から外)。
 
 知識を得たことで知恵が出なくなるのは、創造性の大損害だ。
───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 いま、目の前のあらゆるものは、先人のつくり出したものばかり。
 なぜ、そうなっているのか。必ず意味があるはずだ。考えてみよう。
 
 「エンジンやオールなどを使わず、川の流れの力で川をさかのぼる船」は作
 れるだろうか?アイデアを自由に、たくさん出してみよう。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 ◎ 目 次 ◎
 エンジンなしで川をさかのぼる船
 アイデアを豊富に―流ちょうに出す
 今に生きる三五年前のテレビのアイデア―ブレインストーミングの醍醐味
 目的を変えれば、失敗がそのまま成功になる
 役立たないものを役立てる方法(説教強盗の教訓)
 制御すると善になる
 名前による束縛
 外側だけにとらわれるな
 逆説の練習
 四角からの脱却
 身近なものに発見を〔ほか〕

| | Comments (33) | TrackBack (0)

March 16, 2005

製造現場から見たリコールの内側

seizougenbarecall
 【今週の一冊】
 ●『製造現場から見たリコールの内側』
  日本のクルマは安全か?

  著:五代 領(日本実業出版社)
   2005.1 / ¥1,365

-----------------------------------
 ◆ 燃える一言 ◆
 『自信と誇り、自分が作った車を前にすれば、
   「これに乗る人には事故がなく走って欲しい」、そして
     「より多くの人に楽しんで乗ってもらいたい」と願うのは当然だ。
-----------------------------------
 トレーラの前輪が脱落し、死傷者が出た事故に端を発して、三菱ふそうのリ
 コール隠しが、昨年明るみに出ました。
 
 分社前の2000年に、内部告発によって発覚した、組織的なリコール隠しと共
 に、三菱自動車の信頼は地に落ちました。
 
 他の国内自動車メーカが売上を伸ばしている中で、その影響の大きさはあま
 りにも際立っています。
 
 
 自動車業界にとって、まさに死活問題といえる「リコール制度」とは、「欠
 陥車による事故を未然に防止し、自動車ユーザー等を保護する事」を目的と
 したもので、不具合の原因が設計や製作過程にある場合には、メーカが無料
 で回収修理する事を定めた制度です。
 
 一方で、「改善対策」や「自主回収」といわれるものは、「基準不適合状態
 ではない」が、安全上などで問題がある場合に、メーカが自主的に不具合の
 届出をして修理するものです。
 
 この、リコールか自主回収かは、あくまで製造したメーカに判断をゆだねら
 れており、自動車個々の使用条件が異なった上でのクレームに対応するため
 に、多分にグレーゾーン的な要素が入っているのが実情なのです。
 
 そのためか、三菱自動車のリコール隠しが発覚した後、昨年のリコール件数
 は過去最高を記録しました。
 
 
 では、リコールが多発する原因はどこにあるのでしょうか?
 
 品質の不具合は、設計そのものに起因する「設計品質」と、図面通りの製造
 できているかという「製造品質」とがあり、リコールに至る不具合は、設計
 における不具合が明らかに多い傾向があります。
 
 この背景として、頻繁なモデルチェンジによる開発期間の短縮化が、設計・
 試作段階での評価の甘さを生んでいることを指摘しています。
 
 
 時間の欠乏と多くの要求、コンピュータ上の仮想部品による評価。
 
 多忙のあまり現物からの距離が遠くなっている設計者。
 
 しかし、与えられた環境で最善を尽くすしかない。
 
 過労とストレスで疲弊した、設計現場の生々しい様子は、余りに痛々しく、
 テレビで華やかに流れる新車のCMや、好調を喧伝するメーカーの業績とは
 懸け離れた、一方の現実なのです。
 
 
 しかし、仕事が厳しければ厳しいほど、自分が設計した車は世界中の誰にも
 負けないという思いがあります。
 
 自らが作った車への自信と誇りから湧き上がる、この車を購入する見も知ら
 ぬユーザーへの善意こそが、自動車の安全と品質を支えているのです。
 
 
 自動車業界の中に身を置く私としては、あまりにも身近で、日頃痛感してい
 る部分も多々あり、身につまされます。
 
 単にギョーカイの裏側を覗き見するのではなく、企画から製造に至る開発の
 流れや、最新の安全対策技術なども盛り込まれており、タイトルから想像し
 た後ろ向きな感じはしません。
 
 むしろ、現状の問題点を直視した上で、果敢に高品質と低コスト、短納期の
 実現に挑戦するための、貴重な警鐘と受け取りました。
 ----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 メルセデスベンツのテールストップランプは、段付きの形状になっている。
 
 光の均一性と、成形コストの低減のため、平滑に作るのが一般的だ。
 
 なぜ、余計なコストをかけてまで、ベンツではあえて段を付けるのか。
 
 それは、泥や雪が付着した場合、平滑な面は全て覆われて、光が見えなくな
 る恐れがあるが、段付きならば、窪んだ部分からは光が漏れ、後続車が視認
 できるからだ。
 
 この安全性のために、段付きを採用している国内メーカーは無い。
 
 欧州車に学ぶべき点は、まだありそうだ。
───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 「なんか気持ち悪い」「嫌らしい」と感じたならば、できるだけ騒ぎを大き
 くして早めに不良の芽を摘もう。
 
 「電子制御による安全」と「過度の機械依存」の背反をどう克服するか。
 新たな領域に踏み出した「安全」の解を、常に考えよう。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 ◎ 目 次 ◎
 1章 リコールの正体
    -日本車の品質はどこまで信頼できるか
 2章 知られざる自動車開発の実体
    -クルマは以下に真面目に作られているか
 3章 世界一を誇る日本車の品質
    -厳しいユーザーと気候条件が育むもの
 4章 自動車の安全を脅かすのは誰か?
    -クルマの快適さがはらむ危険性

| | Comments (7) | TrackBack (3)

March 09, 2005

職人学

syokuningaku0
 【今週の一冊】
 ●『職人学』

  著:小関 智弘(講談社)
   2003.11 / ¥1,680

-----------------------------------
 ◆ 燃える一言 ◆
 『夢中になって、できるものやらできないものやら分からない仕事を、
      突っつきまわしているうちに、ああ、どうにかできちゃった
              っていうのが、いちばんの喜びなんだよねえ』
-----------------------------------
 「職人」とは、なんぞや?
 
 昔気質で頑固者、ITやパソコンに背を向けて、しかめっ面で黙々と、頼む
 は使い古した道具と腕一つ。芸の為なら女も泣かす。男は黙って黒ラベル。
 
 そんなイメージだけならば、本書に登場する多才な「職人」には不足です。
 
 自身が旋盤工であった筆者は、「ものを作る手だてを考え、そのための道具
 を工夫する人」が職人と説きます。
 
 旋盤、溶接から人工衛星の組立まで、それぞれの技能の間口は広く、奥は深
 いものです。
 
 間口の広さに甘んじて、ただ手馴れただけでは作業要員でしかなく、その奥
 行きを確かめようと努力する人だけが職人なのです。
 
 真面目な顔で作業をしていても、自分の機械に手を加えず、ちょっと故障す
 れば腕を組んでいるしかないのは半人前。
 
 「邪道だけどね」「我流さ」と照れ笑いしながらも、マニュアルにも載って
 いない使い方で、機械の能力を引き出す「機械にニンベンをつけた」仕事を
 するのが一流の職人。
 
 また、自分の舌を肥やさなければ、良い料理が作れないように、感性を豊か
 にすることが、ものづくりの技を身に付ける第一条件です。

 金属を削る旋盤工やフライス盤工は、鉄にわずか混ざる夾雑物が、切削の発
 熱で漂わせる「鉄の匂い」で材料を嗅ぎ分ける。

 あるメッキ工場の社長は、メッキに使う酸の配合を、ぺろりと舐めて確かめ
 て、大学教授も見抜けなかった配合間違いを言い当ててしまいます。
 
 これは彼らの特殊能力ではなく、本来誰もが持っている感覚です。
 
 例えば、「指先で100分の1ミリを見分ける」と聞くと驚きますが、男の剛毛
 と女性のしなやかな髪の差は、ほぼ100分の1ミリ。
 
 この感覚をものづくりに活かし、現場で研ぎ澄ませるかどうかが差であり、
 測定器の原器を作る職人は、1万分の1ミリの凹凸もない平面までも創出し
 ます。
 
 「ものの言葉を聴く感覚」と「道具を味わい尽くす工夫」から、超一流の技
 が現出するのです。
 
 工業製品は、限りなく没個性で、設計に忠実でなければなりませんが、もの
 が完成するギリギリ一歩手前まで、それを作り出すための段取りや治具に超
 一流の個性を発揮するのが、工場で輝く「職人」の姿です。
 
 “超”や“難”の付く仕事、「そんなものはできない」と断られ続けた仕事
 を、職人は「菓子折りつきの仕事」と呼び、課題を与えてくれる人が最高の
 お客だと言い切ります。
 
 そんな面倒な仕事に、時間も空腹も忘れてのめり込む瞬間は、苦しいようで
 、彼らには至福の時です。
 
 自分の技にこだわり、不可能に挑戦し、製品に誇りを持つ「職人魂」は、古
 い伝統技能ではなく、新時代のものづくりにこそ不可欠なのです。
 ----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 NC旋盤やマシニングセンタなどの加工機が並ぶラインでは、安全や切削油
 の飛散防止のために、カバーで覆われている。
 
 言うなれば、切削過程のブラックボックス化。
 
 見えない、聞こえないから、気付きも工夫もない。
 
 そこで「見える機械」に改善することにした。
 
 切削油や切り粉の飛散を最小限にするなど、大変な苦労を要したが、自分た
 ちの手で改善することで、腕が上がり、意欲も出た。
 
 加工状態がスッキリ見える状態になったときには、出来高は1.7倍になった。
 
 現場の作業者には、誇らしげな笑顔があった。
───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 現場で、現物が語りかけるメッセージを、五感全てで受け止めよう。
 
 「ヘンコなおっさん」が定年で去る前に、怒鳴られてでも教わろう。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 ◎ 目 次 ◎
 序章 職人の条件
 第1章 身につける
 第2章 場数を踏む
 第3章 ものを見る目を養う
 第4章 熟練工は一品料理を熟す
 第5章 超一流に挑戦する
 第6章 仕事を通して徳を積む
 第7章 職人の喜びと誇り

| | Comments (15) | TrackBack (2)

March 02, 2005

大野耐一の現場経営

onotaiichinogenbakeiei
 【今週の一冊】
 ●『大野耐一の現場経営』

  著:大野耐一(日本能率協会マネジメントセンター)
   2001.5 / ¥1,575

-----------------------------------
 ◆ 燃える一言 ◆
 『かくすれば、かくなるものと分かりなば、
               やむにやまれぬ改善魂(トヨタダマシイ)』
-----------------------------------
 今年3月での通期の純利益に、1兆2,000億円を見込むトヨタ自動車。
 販売台数では世界一のGMに対し、利益は3倍に達する勢いです。
 どこまで強いのか!と世界が注目する「トヨタウェイ(トヨタ生産方式)」
 の生みの親が、大野耐一氏です。
 
 今でこそ「トヨタ方式」と言ってはばかりませんが、大野氏が立ち上げた当
 時は、あくまで「大野方式」と呼ばれていました。
 
 ジャスト・イン・タイム、かんばん方式という「危なっかしい」「一つ間違
 えば会社が潰れる」方法を、「腹切る覚悟で」完遂するために、自らの名前
 を冠して実行したのです。
 
 大野氏の眼には、現場の「常識」の中に潜む「錯覚」が映ります。

 量産すれば原価は下がる、というのは「適正な量」の場合であり、ほとんど
 の場合、増産すると「高くつく」。

 極端な例では、100個しか使わないのに、200個作る能力があるから、「たく
 さん作った方が安くなる」と信じて在庫を積み上げてしまう。
 
 「できちゃった」から、在庫を管理するために倉庫を作る。

 どこに何があるか分からないから、自動取り出し設備を追加する・・・。

 「要るものを要るときに要るだけ、できるだけ安く」作るための理屈で考え
 れば、錯覚がムダを産む温床になっていると気付きます。

 逆に少量生産は高コスト、という「常識」があるから、安く作って儲ける。
 
 そのためには、仕事ができない時間を極力排除するのが「理屈」であり、段
 取り替え時間の短縮が必須になります。
 
 結局、量の多少にかかわらず、「限量生産」(限られた量を、できるだけ安
 くつくる)のための理屈から、「大野方式」を考え出したのです。
 
 だから「理屈」が分からずに、中途半端にかんばん方式を使うことを禁じ、
 分からせるためには工場長自らが、現場の班長に語りかけ徹底します。
 
 限量のための理屈だから、今のトヨタのように大量生産ではなく、生産量の
 少ない中企業にこそトヨタ方式は相応しい、というのが大野氏の主張です。
 
 たいしてデメリットもないがメリットもないことを、錯覚の固まり同士が、
 こうなるより仕方ないと「常識化」したものが相当あります。
 
 「脱常識」のためには、議論や数字の上で侃侃諤諤やっても埒があかない。
 
 大きなメリットには必ず大きなデメリットがあるから「やらない」のではな
 く、デメリットの大きな口を塞いでしまえば大きなメリットだけ残る、と考
 え方をひっくり返す「意識改革」が必要なのです。
 
 「トヨタ本」は、あまた世に溢れていますし、大野氏自らが語りかける本書
 は、体系化されておらず、読みやすい文章でもありません。
 
 しかし、現場=会社を変える「トヨタ方式」の原点であり、世界随一のもの
 づくりの智恵と経験が散りばめられた、必読の一冊です。
 ----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 「自動停止装置付きの機械を自働機という」というのが、ニンベンの付いた
 「自働機」の定義。
 
 不良が出ても、止まらずに「自動」でつくるのは働いたことにならない。
 
 不良を減らせば、原価が安くなる。だから止める。
 
 自動で止まらなければ、ストップボタンをたくさんつけて、作業者が遠慮な
 く止める。
 
 止められたら困ると考えるのが、品質改善にどんどんつながる。
───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 算術や常識に惑わされず、「こうあるべき」から発想する。
 
 あるべき姿を試してみて、自分の目の前で「失敗」してみよう。
 
 失敗したら、する前より、もう一つ改善すればいい。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 ◎ 目 次 ◎
 君子豹変す
 間違ったら素直に認める
 錯覚が能率を下げる
 失敗は目で確かめる
 常識の中にひそむ錯覚
 算術計算の盲点
 機会損失を恐れるな
 限量経営とは安くつくること
 在庫減の仕掛増
 量産は安いという錯覚〔ほか〕

| | Comments (223) | TrackBack (0)

« February 2005 | Main | April 2005 »