職人学
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【今週の一冊】
●『職人学』
著:小関 智弘(講談社)
2003.11 / ¥1,680
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◆ 燃える一言 ◆
『夢中になって、できるものやらできないものやら分からない仕事を、
突っつきまわしているうちに、ああ、どうにかできちゃった
っていうのが、いちばんの喜びなんだよねえ』
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「職人」とは、なんぞや?
昔気質で頑固者、ITやパソコンに背を向けて、しかめっ面で黙々と、頼む
は使い古した道具と腕一つ。芸の為なら女も泣かす。男は黙って黒ラベル。
そんなイメージだけならば、本書に登場する多才な「職人」には不足です。
自身が旋盤工であった筆者は、「ものを作る手だてを考え、そのための道具
を工夫する人」が職人と説きます。
旋盤、溶接から人工衛星の組立まで、それぞれの技能の間口は広く、奥は深
いものです。
間口の広さに甘んじて、ただ手馴れただけでは作業要員でしかなく、その奥
行きを確かめようと努力する人だけが職人なのです。
真面目な顔で作業をしていても、自分の機械に手を加えず、ちょっと故障す
れば腕を組んでいるしかないのは半人前。
「邪道だけどね」「我流さ」と照れ笑いしながらも、マニュアルにも載って
いない使い方で、機械の能力を引き出す「機械にニンベンをつけた」仕事を
するのが一流の職人。
また、自分の舌を肥やさなければ、良い料理が作れないように、感性を豊か
にすることが、ものづくりの技を身に付ける第一条件です。
金属を削る旋盤工やフライス盤工は、鉄にわずか混ざる夾雑物が、切削の発
熱で漂わせる「鉄の匂い」で材料を嗅ぎ分ける。
あるメッキ工場の社長は、メッキに使う酸の配合を、ぺろりと舐めて確かめ
て、大学教授も見抜けなかった配合間違いを言い当ててしまいます。
これは彼らの特殊能力ではなく、本来誰もが持っている感覚です。
例えば、「指先で100分の1ミリを見分ける」と聞くと驚きますが、男の剛毛
と女性のしなやかな髪の差は、ほぼ100分の1ミリ。
この感覚をものづくりに活かし、現場で研ぎ澄ませるかどうかが差であり、
測定器の原器を作る職人は、1万分の1ミリの凹凸もない平面までも創出し
ます。
「ものの言葉を聴く感覚」と「道具を味わい尽くす工夫」から、超一流の技
が現出するのです。
工業製品は、限りなく没個性で、設計に忠実でなければなりませんが、もの
が完成するギリギリ一歩手前まで、それを作り出すための段取りや治具に超
一流の個性を発揮するのが、工場で輝く「職人」の姿です。
“超”や“難”の付く仕事、「そんなものはできない」と断られ続けた仕事
を、職人は「菓子折りつきの仕事」と呼び、課題を与えてくれる人が最高の
お客だと言い切ります。
そんな面倒な仕事に、時間も空腹も忘れてのめり込む瞬間は、苦しいようで
、彼らには至福の時です。
自分の技にこだわり、不可能に挑戦し、製品に誇りを持つ「職人魂」は、古
い伝統技能ではなく、新時代のものづくりにこそ不可欠なのです。
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◇ カンドコロ! ◇
NC旋盤やマシニングセンタなどの加工機が並ぶラインでは、安全や切削油
の飛散防止のために、カバーで覆われている。
言うなれば、切削過程のブラックボックス化。
見えない、聞こえないから、気付きも工夫もない。
そこで「見える機械」に改善することにした。
切削油や切り粉の飛散を最小限にするなど、大変な苦労を要したが、自分た
ちの手で改善することで、腕が上がり、意欲も出た。
加工状態がスッキリ見える状態になったときには、出来高は1.7倍になった。
現場の作業者には、誇らしげな笑顔があった。
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◆ 熱い行動 ◆
現場で、現物が語りかけるメッセージを、五感全てで受け止めよう。
「ヘンコなおっさん」が定年で去る前に、怒鳴られてでも教わろう。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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◎ 目 次 ◎
序章 職人の条件
第1章 身につける
第2章 場数を踏む
第3章 ものを見る目を養う
第4章 熟練工は一品料理を熟す
第5章 超一流に挑戦する
第6章 仕事を通して徳を積む
第7章 職人の喜びと誇り


Comments
TBありがとうございます♪
>間口の広さに甘んじて、ただ手馴れただけでは作業要員でしかなく、その奥行きを確かめようと努力する人だけが職人なのです。
中堅どころ(になってしまいました/泣)システムエンジニアとしては…うぅ、目に痛い・心に痛いっ
Posted by: 琉海 | March 15, 2005 at 03:01 PM