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March 16, 2005

製造現場から見たリコールの内側

seizougenbarecall
 【今週の一冊】
 ●『製造現場から見たリコールの内側』
  日本のクルマは安全か?

  著:五代 領(日本実業出版社)
   2005.1 / ¥1,365

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『自信と誇り、自分が作った車を前にすれば、
   「これに乗る人には事故がなく走って欲しい」、そして
     「より多くの人に楽しんで乗ってもらいたい」と願うのは当然だ。
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 トレーラの前輪が脱落し、死傷者が出た事故に端を発して、三菱ふそうのリ
 コール隠しが、昨年明るみに出ました。
 
 分社前の2000年に、内部告発によって発覚した、組織的なリコール隠しと共
 に、三菱自動車の信頼は地に落ちました。
 
 他の国内自動車メーカが売上を伸ばしている中で、その影響の大きさはあま
 りにも際立っています。
 
 
 自動車業界にとって、まさに死活問題といえる「リコール制度」とは、「欠
 陥車による事故を未然に防止し、自動車ユーザー等を保護する事」を目的と
 したもので、不具合の原因が設計や製作過程にある場合には、メーカが無料
 で回収修理する事を定めた制度です。
 
 一方で、「改善対策」や「自主回収」といわれるものは、「基準不適合状態
 ではない」が、安全上などで問題がある場合に、メーカが自主的に不具合の
 届出をして修理するものです。
 
 この、リコールか自主回収かは、あくまで製造したメーカに判断をゆだねら
 れており、自動車個々の使用条件が異なった上でのクレームに対応するため
 に、多分にグレーゾーン的な要素が入っているのが実情なのです。
 
 そのためか、三菱自動車のリコール隠しが発覚した後、昨年のリコール件数
 は過去最高を記録しました。
 
 
 では、リコールが多発する原因はどこにあるのでしょうか?
 
 品質の不具合は、設計そのものに起因する「設計品質」と、図面通りの製造
 できているかという「製造品質」とがあり、リコールに至る不具合は、設計
 における不具合が明らかに多い傾向があります。
 
 この背景として、頻繁なモデルチェンジによる開発期間の短縮化が、設計・
 試作段階での評価の甘さを生んでいることを指摘しています。
 
 
 時間の欠乏と多くの要求、コンピュータ上の仮想部品による評価。
 
 多忙のあまり現物からの距離が遠くなっている設計者。
 
 しかし、与えられた環境で最善を尽くすしかない。
 
 過労とストレスで疲弊した、設計現場の生々しい様子は、余りに痛々しく、
 テレビで華やかに流れる新車のCMや、好調を喧伝するメーカーの業績とは
 懸け離れた、一方の現実なのです。
 
 
 しかし、仕事が厳しければ厳しいほど、自分が設計した車は世界中の誰にも
 負けないという思いがあります。
 
 自らが作った車への自信と誇りから湧き上がる、この車を購入する見も知ら
 ぬユーザーへの善意こそが、自動車の安全と品質を支えているのです。
 
 
 自動車業界の中に身を置く私としては、あまりにも身近で、日頃痛感してい
 る部分も多々あり、身につまされます。
 
 単にギョーカイの裏側を覗き見するのではなく、企画から製造に至る開発の
 流れや、最新の安全対策技術なども盛り込まれており、タイトルから想像し
 た後ろ向きな感じはしません。
 
 むしろ、現状の問題点を直視した上で、果敢に高品質と低コスト、短納期の
 実現に挑戦するための、貴重な警鐘と受け取りました。
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 メルセデスベンツのテールストップランプは、段付きの形状になっている。
 
 光の均一性と、成形コストの低減のため、平滑に作るのが一般的だ。
 
 なぜ、余計なコストをかけてまで、ベンツではあえて段を付けるのか。
 
 それは、泥や雪が付着した場合、平滑な面は全て覆われて、光が見えなくな
 る恐れがあるが、段付きならば、窪んだ部分からは光が漏れ、後続車が視認
 できるからだ。
 
 この安全性のために、段付きを採用している国内メーカーは無い。
 
 欧州車に学ぶべき点は、まだありそうだ。
───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 「なんか気持ち悪い」「嫌らしい」と感じたならば、できるだけ騒ぎを大き
 くして早めに不良の芽を摘もう。
 
 「電子制御による安全」と「過度の機械依存」の背反をどう克服するか。
 新たな領域に踏み出した「安全」の解を、常に考えよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 1章 リコールの正体
    -日本車の品質はどこまで信頼できるか
 2章 知られざる自動車開発の実体
    -クルマは以下に真面目に作られているか
 3章 世界一を誇る日本車の品質
    -厳しいユーザーと気候条件が育むもの
 4章 自動車の安全を脅かすのは誰か?
    -クルマの快適さがはらむ危険性

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Comments

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