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April 27, 2005

タグチメソッド わが発想法

taguchimetod
 【今週の一冊】
 ●『タグチメソッド わが発想法』
  なぜ私がアメリカを蘇らせた男なのか

  著:田口玄一(経済界)
   1999.10 / ¥1,400

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『技術者は問題が出ないうちに設計を変えて、比較をしなければならない。
  その設計が市場でトラブルを生まないかどうかを、
                事前に予測することが重要なのである。』
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 筆者は1997年、日本人としては本田宗一郎、豊田英二に次いで3人目のアメ
 リカ自動車殿堂入りを果しました。
 
 ホンダ、トヨタの社長である二人と比べて、知名度では劣る田口氏が選ばれ
 たことに当時のマスコミでは「なぜ?」という反応もありました。
 
 受賞の理由は、氏が提唱した「品質工学(タグチメソッド)」によって、当
 時日本の自動車業界に比べて、品質改善の取り組みが遅れていた、フォード
 やGMに著しく貢献したことが認められたのです。
 
 
 それほどインパクトのある「タグチメソッド」ですが、一方で拒否反応を示
 す人が多いのも事実です。
 
 それは、直行表やSN比など、やや難解な理論が展開されることが一つであ
 り、更に、一見これまでの常識に反するような考え方が飛び出してくるから
 です。
 
 
 例えば、冒頭のコメントに対し、技術者は「問題があるかどうか分からない
 のだから設計をどう変えていいか分からない!」と言います。
 
 田口氏の答えは、「勝手にどんどん変えて、ばらつきを比較しなさい」。
 
 問題が出てからそれを直す設計変更を繰り返す「モグラ叩き」では、効果的
 な改善には結びつきません。
 
 自分で自由に決められる設計条件をできるだけ多く選んで、それらを組み合
 せて実験を行い、その使用条件を変えてばらつきの大きさを比較することで
 、市場でのトラブルを予測してしまうのです。
 
 その組み合わせを効率的に行う道具が「直行表」であり、ばらつきの比較方
 法が「SN比」と呼ばれるものです。
 
 
 本書は品質工学のテキストではなく、田口氏が独特の手法を考案するに至っ
 た背景を軸に著されています。
 
 現NTT、以前の電電公社の管理下にあった電気通信研究所で、実験計画法
 の専門家として、所内の研究者に指導を行い、後にアメリカのベル研究所で
 通信理論と実験計画法の研究を行います。
 
 通信の世界では、測定機の機能を示す尺度として信号対雑音比(Signal
 Noise Ratio=SN比)が用いられます。
 
 このSN比の考えを全ての技術分野で使えるように発展させたことが、田口
 氏のお手柄なのです。
 
 
 例えば、車のハンドルを切るという「信号」に対し、路面の差という「ノイ
 ズ」があっても、車の曲がり方という「出力」が影響されにくいのが良い設
 計です。
 
 これを濡れた路面ではどうか、雪道ではどうか、と一つ一つの問題を「モグ
 ラ叩き」で設計していては、あらゆる環境での機能評価を行うことは困難で
 す。
 
 SN比を機能の良し悪しを表す尺度として、設計研究することで、ユーザー
 の多様な使用条件を考えた設計が可能となるのです。
 
 
 やまさん自身が最近、タグチメソッドを業務に使い始めているところで、実
 に印象的に田口氏のエピソードを楽しむことができました。
 
 これからタグチメソッドを学ぶ入門書として、またかつて取り組んだけど挫
 折した人の再挑戦のきっかけとしても、一読をお勧めします。
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 工程能力指数と損失関数は数学的には同等の関係にある。
 
 ただし、工程能力指数は「1」や「1.33」を尺度にするが、0.98と1.00では
 どう違うのか、実感できない。
 
 損失関数は、この工程能力指数に経済的な根拠を与えたものだ。
 
 ばらつきが少なくなったことが金額で表されるため、改善にかけたコストと
 の比較ができる。
 
 効果が実感できれば、自発的な改善に繋がるのだ。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 「特性」「寸法」の結果の測定だけではなく、「SN比」の機能評価を取り
 入れよう。
 
 問題が出てからの対策で忙しいから、新しい手法が学べない。
 この「悪循環」から早く抜け出そう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 アメリカ発『タグチメソッド』
 統計学との出合い
 実験計画法の専門家として
 「直交表」を効果的に応用
 アメリカでの研究生活を通して
 QCRGと品質管理
 青山学院大学での日々
 アジア諸国とのかかわり
 SN比マニュアル分科会の発足
 品質とコストのバランスを考える損失関数
 進化する総合計測法「MTS法」
 デトロイト復活とアメリカでの「論争」
 二十一世紀への提言
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 ◇ 関連blog ◇
 ・『神戸の技術士 鈴木裕のブログ』 
  やまさんと同じ技術士(機械部門)の方のblogで、本書の書評をされてい
  ました。奇遇ですね~!
 ・『1000冊の本で幸せな成功をつかもう!』
  品質工学の基本書ともいえる「開発・設計段階の品質工学」の書評です。
  タグチメソッドを使ったblogのアクセス数アップに成功されています!

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April 20, 2005

強い工場

tuyoikoujyou
 【今週の一冊】
 ●『強い工場』
  モノづくり日本の「現場力」

  著:後藤康浩(日経ビジネス人文庫)
   2005.03 / ¥750

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『中国の人件費が日本の三十分の一と考えると諦めが先に立つが、

  日本の人件費が中国の三十倍と考えると対策を考える余地が生まれる。』
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 昨年から、日本経済の復活が実感できるようになりました。
 
 原動力となったのは、間違いなく「ものづくり」の底力でしょう。
 
 トヨタを筆頭とする自動車産業の活況、デジタルブームや高付加価値の白物
 家電による電機製品の復調、また素材産業の好調振りも目を見張ります。
 
 「失われた10年」と言われたバブル崩壊後、いかに地道にカイゼンを重ね
 た現場の努力があったのかを、豊富な事例を通して描き出しています。
 
 
 好調を取り戻した企業の事例からは、「現場の力」を「自社に合った形で」
 取り込むことがカギであると知らされます。
 
 かつての100メートルに及ぶコンベア生産では、多品種少量生産には対応で
 きません。
 
 有効な手段として「セル生産」が取り上げられていますが、セル生産自体も
 不断の進化が必要です。
 
 NEC埼玉での5人一組のセル生産では、5人の間隔が肩を寄せ合うほど狭まった
 り、広く開いたりと変幻自在。
 
 前後工程の遅れを支援する「工程フリー型ライン」によって、作業の遅い人
 がボトルネックとなることを、自律的に解消する独自の仕組みなのです。
 
 
 一方でリコーの複写機ラインでは、コンベアを残しつつ、部品の自動供給装
 置を人が台車で配送する方式に変えるなど、「人を活かした自動化」へと切
 り替えています。
 
 巨大投資をした自動化工場を無駄にせず、多能工の作業者の柔軟性で再生す
 ることが現実的です。
 
 
 「現場の力」の活かし方として、キヤノンでは部品点数一万点もの複写機を
 一人で組み立てることができる「マイスター」を認定しています。
 
 そしてマイスターを、設計・試作・量産などの混成部隊からなる「コンカレ
 ント・エンジニアリングチーム」の一員に迎え、新製品の設計に現場の智恵
 を取り込んでいます。
 
 新製品の直行率(手直しせずに合格する割合)が90%以上になるまで、従来
 であれば1年近くかかっていたものが、現在は1ヶ月まで縮まっています。
 
 
 筆者は、90年代末から2002年頃までの「中国脅威論」は、戦後の「石油危機
 」「円高危機」に並ぶ、第三の危機だったと説きます。
 
 これらに共通するのは、危機は逆に日本を強くしているということです。
 
 「中国危機」は、バブル経済と社会の成熟化で生じた高コスト体質を映し出
 し、日本のものづくりの自己変革を進める原動力となりました。
 
 乾いた雑巾を絞る、とも例えられますが、冒頭のコメントで社内を鼓舞する
 スズキの鈴木会長は、「まだまだやれる」と胸を張ります。
 
 私も豊富な事例に刺激されて、アイデアが沸々と溢れてきました!
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 マツダでは、自動車部品の樹脂成型によるモジュール化を実現するため、強
 度の高いプラスチック樹脂の開発が必要だった。
 
 強度を増すためには、ガラスなどの長繊維を樹脂に混ぜれば良い。
 
 しかし、10ミリのガラス繊維を混ぜて射出成型しても、細かく寸断されてし
 まう。
 
 繊維が短くしか残らない以上、樹脂の粘度を上げて強度を出すしかないと誰
 もが考えた。
 
 「味噌汁にそうめんを入れても切れないが、味噌にそうめんを入れてかき混
 ぜたら全部切れてしまう。」
 
 突拍子もない意見だが、粘度を下げた樹脂で成型してみると、果たして繊維
 は長いままで残った。
 
 成型品は、十分な強度を有していた。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 仕掛かり品など在庫は工場の万病の元。
 「目と目」「手と手」で前後工程を分かり合えるレイアウトに変えよう。
 
 電気・水・空気は金がかかる。
 タダで使える太陽の照明と、重力の動力を活かそう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 1章 世界最強の現場―ニッポンの自動車の底力
 2章 生産現場を救え―業師たちの想い
 3章 小粒で強い現場―こだわりのコストダウン
 4章 セルが工場を変える―リードタイム・イズ・マネー
 5章 マイスターの誇り―人材活性化への道
 6章 部品こそ命―完成品メーカーを超える
 7章 ネットワークに活路―目指すは世界市場
 8章 日本回帰―これからの「強い工場」

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April 13, 2005

強さの不思議

tuyosanohushigi
 【今週の一冊】
 ●『強さの不思議』
  ものづくりで遊ぶ材料力学

  編:日本機械学会(技報堂出版)
   2005.02 / ¥1,995

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『「少ない材料で、強い構造物をつくるにはどのような条件を
      満足しなければならないのか」を人々は研究するようになり、
            その結果まとめられた学問が“材料力学”です。』
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 機械系のエンジニアや、建築家にとって逃れられないのが「材料力学」。
 
 今年大学に入学した、若きエンジニア達にとっても、必修でしょう。
 
 しかしながら、流体力学や熱工学と並んで、数式のオンパレードに悩まされ
 るのも間違いありません。
 
 どうせ離れられないサダメなら、本質をイメージで理解して、楽しく付き合
 おう、というのが本書です。
 
 
 ちから君とひずみちゃんの会話や、「燃焼系~、燃焼系~」のCMを髣髴と
 させる「人間鯉のぼりに必要な筋力は?」といった、非常にとっつきやすい
 話題から、トラスやラーメン構造の解説が展開されます。
 
 その上で、材料力学の数式も丁寧に解説されており、おまけにインターネッ
 トの練習問題にまでリンクしており、物腰のやわらかさからよりも骨太な中
 身です。
 
 
 座屈の説明として、自転車のスポークの例が挙げられています。
 
 思えば、あの細長い棒が、子供と買い物袋を満載したママチャリの重量を支
 えているのはフシギであり、よくぞ座屈しないものです。
 
 しかし、スポークを半分抜いて、下半分にスポークを配置すると、実は荷重
 に耐えられず、やっぱり座屈してしまいます。
 
 実は、自転車の荷重は、スポークで「吊る」ことで支えているのであり、材
 料力学的に言えば、不安定な座屈が起こる圧縮荷重ではなく、強い引張荷重
 により支えているのです。
 
 
 薄肉円筒や薄肉球の計算問題は、試験前に丸暗記しようとしても分かりにく
 く、苦労した覚えがあります。
 
 その事例として、「紙コップの上にのってみよう!」という、これまた分か
 りやすい実験が登場します。
 
 簡単に潰れる紙コップも、伏せて5つ並べると、一人くらい楽に支えられる
 のですが、その強度は、紙コップに密閉された空気の圧力がミソです。
 
 直径5cm、高さ8sm、紙厚0.28mm、紙の引張強度が15.43MPaとすると、理論上
 の紙コップの強度は35kgf!
 実験でも26kgfの荷重に耐えられるそうです。
 
 こうした感覚をつかんでおくと、無味乾燥な薄肉円筒の計算問題も、驚きを
 もって深く理解ができます。
 
 
 最近は、シミュレーションによる解析で、モデルの作成から計算まで、ほと
 んどブラックボックス化してしまい、材力を知らなくても設計ができてしま
 います。
 
 効率が上がった反面、桁や単位を間違えたままでジェットコースターの車軸
 を設計し、事故を起こした、信じられないようなミスも発生しています。
 
 基本に立ち返り、理論と実感で材料力学を体得したいものです。
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 A4の1/4のコピー紙で、橋を作るなら、どんな形が丈夫だろうか。
 
 多くの人は、ギザギザにたくさんの山を作る。
 
 確かにある程度強くなるが、より強くしようとギザギザを多くすると、かえ
 って弱くなる。
 
 強いブリッジにするときは、できるだけ「高く」するのがポイントだ。
 
 曲げに対する剛性を上げるために、断面二次モーメントを大きくする。
 
 毛利元就の3本の矢も、曲げる方向に縦に並べると、3倍ではなく11倍以上
 の対荷重となるのだ。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 数式やモデルの意味するところを、身近な例に置き換えてイメージしよう。
 
 富士山はなぜ、三角錐ではなく、末広がりなのか。
 材料力学的に証明してみよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 第1話 ものが変形するパターンは?
 第2話 どうしてハサミで紙が切れるの?
 第3話 どうしてモビールは一点で支えられるの?
 第4話 弾性と塑性(そせい)の性質とは?
 第5話 富士山の形は何できまるの?
 第6話 人間鯉のぼりに必要な腕力は?
 第7話 ガラスを割ってみよう
 第8話 斜面にはどんな力が働くかな?
 第9話 チョークをねじってみよう
 第10話 つり橋を渡るときどうして真ん中で落ちそうになるの?
 第11話 強いペーパーブリッジをつくろう
 第12話 板はどうして曲がるの?
 第13話 自転車は宙づりになって走っているってホント?
 第14話 ばねをつくっておもちゃをつくろう
 第15話 紙コップに乗ってみよう

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April 06, 2005

失敗に学ぶものづくり

sippainimanabu
 【今週の一冊】
 ●『失敗に学ぶものづくり』

  著:畑村 洋太郎(講談社)
   2003.10 / ¥1,890

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 ◆ 燃える一言 ◆
 『ネガティブな人は、失敗から逃げ出しながら自分をダメにしていきます。
       その一方で、ポジティブな人は、失敗を克服しながら
             自分自身をつくりあげていくことができます。』
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 またしても、三菱ふそうのリコール隠しが発覚しました。
 
 昨年9月に行ったリコール対象車が修理後に、再び火災などの不具合を生じ
 ていたにもかかわらず、半年間も公表していなかったのです。
 
 「問題を隠蔽する体質との決別」を誓った同社が、なぜ「失敗に学ぶ」こと
 ができないのでしょうか。
 
 本書は、「失敗学」の提唱者、畑村先生が材料や建築、土木などの専門家が
 語る過去の失敗と、その失敗からの学び方を編纂したものです。
 
 
 数多くの事例を読み進むと知らされるのは、ものづくりの歴史は「失敗の積
 み重ねとその克服」であるという痛ましい事実です。
 
 鉄道の安全技術として、ATS(自動列車停止装置)と呼ばれる、列車が赤
 信号で停止しなかったときのバックアップシステムが整備されていますが、
 これは国鉄時代からの数多くの列車事故の教訓で発展してきました。
 
 始めは車内警報装置から始まりましたが、その警報を運転士が無視したため
 に160名の死者を出す大惨事が起き(1962年)、自動停止装置付きのATSが
 開発されました。
 
 
 当初のシステムでは、警報が鳴って確認スイッチを押さなければ停止する、
 というもので、格段に安全性は向上しましたが、それでもATSの電源を切
 ったり、確認スイッチを押しても止まらなかったりと、列車の衝突事故はな
 くなりませんでした。
 
 その後もATSは改善を重ねますが、その度毎に盲点を突く事故が発生して
 います。
 
 一方で、安全対策を過信するあまり、運転中に携帯電話を架ける運転士が出
 てきてしまい、ヒューマンエラーの温床になる危険性も指摘されています。
 
 失敗を活かすためには、「この安全装置が設けられた理由は何か」「どんな
 システムなのか」を、知識と経験で受け継ぎ、逆に「どんな失敗がありえる
 か」を予想し対処する方向へ推し進めなければなりません。
 
 
 またエンジニアが失敗に向き合うときには、「自然現象化」を厳に慎むべき
 です。
 
 つまり「なぜ失敗したか?」という原因を話すときに、「私にはできなかっ
 た」と失敗を認めるべきところを、「私」を抜いて、「それは無理だった」
 と、まるで自然現象で起きたかのような説明をしてしまいがちです。
 
 人間が介在したものづくりにおいて、全ては人間に起因するものであり、そ
 れを最初から無理だったかのように片付けてしまうと、問題解決の策を建設
 的に導くことができません。
 
 
 我々は、今後も失敗を繰り返すことでしょう。
 
 そこで大切なのは、「絶対に失敗を起こさないこと」ではなく、「致命的な
 失敗を起こさない」ことです。
 
 失敗を隠しごまかすのではなく、過去や他分野の事例にも真摯に向き合い、
 「他山の石」として広く失敗知識を共有することが、失敗を活かし、軽減す
 る有効な手段なのです。
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 「応力腐食割れ」は、引張応力があって、特殊な材料と環境下でしか起きな
 い。
 
 材料を適切にすれば避けられる問題だが、歴史的にも、現在も起きている。
 
 原因は複雑だが、その一つは、加速試験の過信だ。
 
 原子炉など、40年の使用条件を確認するために、使用条件よりも高温な状態
 で疲労試験を行い、評価期間を短くする。
 
 温度が10度上がれば反応速度は倍になることを利用して、例えば50度上げれ
 ば32分の1の試験時間で評価できることになる。
 
 しかし、加速試験はあくまで予測だ。
 
 実際に使用している条件とは異なるのであり、「絶対に壊れない」と考える
 ところに、失敗の原因が潜んでいる。
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 ◆ 熱い行動 ◆
 小さな失敗ほど、「私が失敗した」ことを早く宣言しよう。
 その体験を周囲と共有し、他に起こしそうな失敗もまとめて対処しよう。
 
 自社の誰も見ていない「過去トラブル事例集」を引っ張り出して、斜め読み
 してみよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 第1章 材料分野―破壊事故に学ぶ
 第2章 土木分野―事故にはいろいろ背景がある
 第3章 建築分野―起こりうる事態をどこまで想定するか
 第4章 大量輸送分野―鉄道の安全は衝突事故の繰り返しによって高まった
 第5章 システム分野―ゼロから新システムを構築する
 第6章 エンジニアの失敗と成長
 第7章 大工の失敗と成長

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