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November 30, 2005

職人力

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 【今週の一冊】
 ●『職人力』

  著:小関 智弘(講談社)
   2005.10 / ¥1,680

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『悪条件を理由に前進しない人は、惰性から脱却できない。
 
           飛躍的な成長は、逆境と闘うなかにしかないからだ』

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 以前、小関さんの著書『職人学』を紹介しましたが、本書はその続編です。
 
 (記事はブログにあります⇒ 『職人学』
 
 全国の「職人」が活躍する中小企業を自ら訪ねて回り、自身の旋盤職人とし
 てのフィルターを通した「ものづくり」が語られます。
 
 
 私もメルマガやブログのタイトルに「ものづくり」を冠していますが、では
 「ものづくり」とはなんぞや?という定義は、意識してきませんでした。
 
 鉄鉱石は1トン2,000円ですが、加工して鉄板にすると1トン5万円、それを
 乗用車にすれば1トン百万円になるから、「ものに価値をつける」のが「も
 のづくり」である、と言えます。
 
 しかし、この「価値」というのは、何も「商品価値」だけを指すのではあり
 ません。
 
 鉄鉱石が山の中にあるときには何の役にも立たなかったものが、鉄板や車に
 することで「使用価値」が付きます。
 
 つまり、「ものづくり」とは、「人の役に立つものをつくる」ことが命であ
 り、その結果、対価として商品価値になるのです。
 
 
 儲けの前に、「人の役に立つ」ことが目的だから、ソコソコのものに満足す
 ることなく、一級あるいは超一級のものづくりによって、人の暮らしに役立
 つものを生む。
 
 それが「職人力」なのです。
 
 
 前書に引き続き、卓抜した感性と技能によって、「ローテク」と呼ばれるよ
 うなプレス加工やヘラ絞り、熱処理や刻印などを、医療や宇宙分野の最先端
 技術に生かしている例が数多く掲載されています。
 
 例えば、国産ロケットのH-IIAの鉛筆サックのような先端部「フェアリング」
 は、直径1.9m、高さ2mのジュラルミン製ですが、この巨大な円錐が、洗面
 器の加工と同じように、一枚の板の「ヘラ絞り」で作られています。
 
 溶接では継ぎ目ができ、プレスでは板厚にムラがでますが、熟練工が5,6
 人で、呼吸を合わせて天秤棒のようなヘラで、均一な厚さに絞るのです。
 
 板厚差100分の5ミリ以下に抑えるその技能を、「指で憶えて、腕に貯金して
 おけ」と、ヘラ絞りの職人は後進を育てます。
 
 
 職人たちが心を痛めているのが、この「教育」の問題です。
 
 「2007年問題」が叫ばれ、「ものづくりは人づくり」がどこでも合言葉にな
 っていますが、単にセミナーに行かせればいい、というものではありません。
 
 ものづくりの過程は、詰将棋のように三手先、四手先が膨大に広がり、最終
 的に何千という方法の中から最善を選ばねばならないのですから、現場の中
 で「感覚」「経験」を積まねば分からないことが多々あります。
 
 暗黙知をマニュアル化することは大切ですが、それはまた、本来現場で切磋
 琢磨されるべき技能の固定化にもつながりかねません。
 
 非常に難しい問題ですが、もはや先延ばしにする余裕はないのです。
 
 
 ところで、かつて「燃える100冊」やブログで紹介した三鷹光器やインクス、
 マラソンの野口選手のシューズの話題などが、驚くほど沢山本書に登場して
 います。
 
 やまさんの「えんぢに屋本舗」の活動も、もしかしたら『「人の役に立つ」
 ものづくり』の役に立つ情報を、少しは紹介できているのかな、と手前味噌
 ながら感じた一冊でした。
 
 ※やまさんが勝手に思っているだけ?
  できれば皆さんのご意見、聞かせてください!
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 飛びっきり腕のいい溶接工場の工場主さんがいる。
 
 その腕を頼って、全国から仕事の依頼が舞い込んでくる。
 
 
 あるとき、金型の修正のため、溶接を依頼された。
 
 現物を見て見積もり依頼すると、20万円との回答。
 
 大きな金型ではあるが、溶接箇所はほんの一部であり、高いと感じて持ち帰
 ってしまった。
 
 その会社で溶接機を使える男に、ちょこっと溶接させてみたが、結果は無残
 なものだった。
 
 金型全体がひび割れ、20万円を惜しんで300万円の金型を失った。
 
 
 「金型をちょっと焙ってからやればよかったのにねえ」
 
 溶接職人は語るが、その「焙る」とは半端ではない。
 
 大きな金型なら弱い火力で2,3時間もかけて昇温し、それからの「ちょこ
 っと」の溶接なのだ。
 
 さらに農家のかまどの灰の中で、丸一日かけてゆっくりと冷ますのだ。
 
 これだけの技術料で20万円は、決して高くはない。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 あなたのものづくりは、「稼ぎ」のためか。「使う人」のためか。
 
 「職人力」を生かすため、伝えるため、教わるためにできることは何か。
 最善ではなくとも、今はじめねば間に合わない。

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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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 序章 「ものづくり」とはなにか
 第1章 「現代の名工」の現場
 第2章 町工場の技で宇宙へ
 第3章 時代が求める仕事、時代に応える技
 第4章 熟練技能は進化する
 第5章 職人の生命線
 第6章 技能者の育成と伝承

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November 24, 2005

日本人の技術はどこから来たか

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 【今週の一冊】
 ●『日本人の技術はどこから来たか』

  石井威望(PHP研究所)
   1997.10 / ¥690

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『法隆寺や伊勢神宮の一コマ一コマには、伝統的な美意識に
 
       裏打ちされたモノづくりの神髄が秘められているのである。』

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 来月やまさんは、設備の立ち上げのために海外出張に行く予定です。
 
 「ニッポンのものづくりを応援!」と銘打っているのが「えんぢに屋本舗」
 ですから、ここは一丁、日本の技術者代表の意気込みで頑張ります!
 
 ところで、その「ニッポンのものづくり」の特徴とは、一体なんでしょう?
 
 今回は、温故知新、日本の技術の源流を、歴史に学んでみましょう。
 
 
 キーワードの一つが、「不易と流行」です。
 
 「不易」とは、基本的永続性をもつ「変わらないもの」であるのに対し、「
 流行」は、その時代の新しい風、「変わるもの」を表します。
 
 この二つの矛盾が同時に存在するところに芸術性があり、生命のメカニズム
 にも通ずるものがあります。
 
 
 「不易と流行」の象徴が、1,300年前からの伝統を守る「伊勢神宮」です。
 
 伊勢は伝統を継承して「変わらない」ために、あえて20年ごとに社殿や鳥居
 など一式を作り変える「式年遷宮」を行い、職人の業を脈々と受け継いでい
 ます。
 
 様式というソフトウェアが「不易」であるが故に、建物というハードウェア
 は「流行」に乗って新陳代謝する。
 
 宮大工をはじめとする工人たちが、先代の技術を受け継ぎ、やがて各地の伝
 統工芸に根差す「ものづくり」を支える力となったのです。
 
 
 戦後の日本が、欧米に追いつこうとキャッチアップし、わずか30年で追い越
 してしまったこの「速さ」は驚異的です。
 
 これは戦後に限ったことではなく、16世紀に種子島に伝来した、たった2挺
 の火縄銃が、あっという間に全国に伝わったように、日本人は異質で高度な
 文明を、素直に評価して猛烈な勢いで取り入れる「潜在能力」があります。
 
 この「能力」に通じる、芸事の基本が「守・破・離」です。
 
 まず伝統的な方法を「守って」徹底して学び、基本を十分にマスターしたら
 次の段階で伝統的な方法を「破り」、やがて学んだものから「離れて」、全
 く独創的な方法を確立する。
 
 
 このように、日本人には徹底して「真似る」=「学ぶ」姿勢こそが、独創性
 を発揮する大前提であるとする歴史があったのです。
 
 しかも、明治維新では文明開化といいながら「和魂洋才」という言葉で「大
 和魂」が強調されたように、すべてを「真似る」のではなく、日本に合うよ
 うに取捨選択します。
 
 「もの真似上手」といわれることに過度のコンプレックスを抱くことなく、
 キャッチアップの速さを生かして、「和魂」によって先例を破り、離れてい
 けばよいのです。
 
 
 一方、戦前の陸軍では、技術の現場の意向を無視して、指導部は運びやすさ
 と安さに目を奪われて、軽量な戦車ばかり作ってしまい、ソ連軍に大敗する
 憂き目を見ました。
 
 指導部が現場を知らずに差配する、というのは、鎌倉時代の守護地頭の関係
 から、今日の官僚と企業の関係まで続く、悪しき日本の遺伝子です。
 
 
 こうした日本技術の潮流を前半に記し、後半は信長の鉄砲による「イノベー
 ション」や平賀源内に見る「ベンチャー精神」といった、日本の技術史に一
 石を投じた人たちの足跡が綴られています。
 
 歴史の教科書とも、いわゆる「技術史」とも違いますが、ジャパニーズ・エ
 ンジニアの先達と自分の関係を知る一冊となるでしょう。
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 一般に、「からくり人形」といえば、西洋から渡来したゼンマイ仕掛けの時
 計を応用し、木と鯨の髭でつくった精巧な自動人形、というイメージがある。
 
 それは一応、正しい見方だが、つい忘れがちになるのは「糸を使っている」
 ということだ。
 
 なぜ、糸が重要だったか。
 
 一つは、「からくり」のメカニズムが一目で理解しやすいということだ。
 
 ゼンマイ時計のメカニズムを一目で理解するのは難しい。
 
 それに対して「からくり人形」は、糸を使って各部が動力源と結ばれている。
 そして、その糸の繋がりを見ることで、人形が動くメカニズムがよくわかる
 仕掛けになっている。
 
 もう一つは、糸を使うと、無理に引っ張ると糸が切れるから、動力学も問題
 を解決せねばからくりを動かせない点だ。
 
 「からくり人形」の製作者たちは、人形を作りながら歯車やゼンマイの組み
 合わせ方はもちろんのこと、機械技術の基本となる動力学を、ごく自然にマ
 スターしていったのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 何が「不易」(変えてはならない)で、何が「流行」(変えるべき)か。
 その見極めが必要だ。
 
 はやりの横文字を、大和言葉で言い換えて、ニッポンのものづくりへ昇華せ
 よ。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
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 第1部 日本技術の個性と思想
    (不易と流行の二重構造―伊勢神宮と法隆寺
    「鉄がつくった国」の知恵
    もの真似上手・創造上手の日本技術 ほか)
 第2部 近代技術の源流
    (織田信長と鉄砲―技術は乱世に成熟する
    本阿弥光悦と平賀源内―元祖・マルチ人間の日本的技術思想
    三井高利と経営技術―再出発を支える知的資源の蓄積

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November 16, 2005

プラネタリウムを作りました。

 【今週の一冊】
 ●『プラネタリウムを作りました。』
  7畳間で生まれた410万の星

  著:大平 貴之(エクスナレッジ)
   2003.06 / ¥1,890
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 ◆ 燃える一言 ◆

 『美しいものを作り出し、より多くの人に伝える喜び。
 
    テクノロジーという絵筆で、思い描いたものを形にする喜び。
 
     これこそが、僕のプラネタリウム作りの
        原動力になっているのではないかと、今改めて思うのだ。』

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 この夏、堂本剛主演でドラマ化された、著者 大平貴之さんの物語をご覧に
 なった方もあることでしょう。
 
 プラネタリウムは「見に行く」もので、個人で「作る」となれば、せいぜい
 紙に穴を開けて電球で照らす「ピンホール式」しか思い浮かびません。
 
 大平少年も、もちろんそこから始めましたが、それは小学校5年生のときで、
 まだ見ぬ南半球の投影機もすでに作っていました。
 
 
 やがて高校生になると、本格的に電動駆動できるプラネタリウムを部活動で
 作り上げ、文化祭で好評を博します。
 
 1号機は、手作業でラシャ紙に開けた穴で6,000個余りの星を表現し、改造し
 た2号機は、フィルムに感光させた16,000個の星が投影されたのでした。
 
 次に、大学時代に手がけた3号機は、アマチュアとしては例のない、「レン
 ズ式」のプラネタリウム、「アストロライナー」でした。
 
 
 「レンズ式」とは、ちょうど映画のように、薄い平面の恒星原板を通した光
 を、レンズによって拡大投影する構造で、全天をたくさんの分割したレンズ
 と原板のセットで投影するものです。
 
 しかし、レンズ式を実現するためには、数多の困難が待ち受けていました。
 
 まず、レンズの選定のためには光線の振る舞いを計算せねばならず、彼は高
 校の幾何とポケコンで、光線追跡のプログラムを作り上げます。
 
 星の位置を平面の原板に座標変換するのも、試行錯誤の連続です。
 
 
 そして最大の問題は、手の平ほどの恒星原板に、いかにして微小な穴を正確
 に空けるかでした。
 
 暗めの星を投影するためには、0.013ミリという顕微鏡サイズの穴を大量に空
 けねばなりません。
 
 縮小撮影も試みましたが非常に困難であることが知らされると、彼は原寸の
 まま焼付けをする、パソコン自動制御の露光装置を作り上げたのです。
 
 
 そしてもう一つ、大出力の光源や動作を制御するため、太平さんは苦手とし
 ていた「電気」について克服する必要に迫られます。
 
 自身で資料を集めて「スイッチング電源」を自作するも、次々と炎を上げる
 回路。
 
 この問題解決のため、電源メーカーのアルバイトを始め、仕事を通して知識
 と協力者を手にし、ついに電源装置を作り上げるのです。
 
 最後に、上映するためのドームも「エアドーム」式で自作し、4年の歳月を
 経て、大学の学園祭で「アストロライナー」は、見事満天の星空を映し出し
 たのです。
 
 
 その後、社会人となった大平さんは、メーカーのプラネタリウムが2万個程
 度なのに対し、その100倍、170万個もの星を投影できる「メガスター」を独
 力で開発します。
 
 レーザーを使った露光装置で穿つ1μmの穴は、肉眼では見えない11.5等星
 までも再現し、無数の恒星の集まりで織り成す天の川の奥行き感が、見る者
 を圧倒します。
 
 
 最新作の「メガスターIIコスモス」では、500万個の星を投影し、「世界で最
 も先進的なプラネタリウム」としてギネスブックにも認定されています。
 
 「美しいものを作りたい」という飽くなき探求が、天文、物理、数学、化学、
 そして「ものづくり」、更には芸術の世界にまで広がり、幾多の困難を乗り
 越えて、前人未到の世界を切り開いたのです。
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 「メガスター」の原板は、耐久性のある「金属原板」を選んだ。
 
 露光に使う「青色レーザー」は、ボーナスと貯金と借金で、80万円で買った。
 
 レーザーを搭載した「スーパーマイクロプロッター」だったが、なかなか露
 光が安定しない。
 
 0.1μm穴径が変わっても、天の川の明るさが5割も変化してしまうのだから、
 求める精度が桁違いだ。
 
 ところが、装置の発熱による熱膨張や、周りの人の動き、外で車が走るだけ
 で誤差が生じてしまう。
 
 また、埃も大敵だ。
 
 自作のクリーンルームなど、試行錯誤の結果、生活のための7畳間が、夢の
 投影機の製作工場となったのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 飛びぬけた「夢」を実現する「ものづくり」が、感動を呼ぶ。
 
 目的を明確にせよ。
 目的が明らかで手段がないならば、自分で作ればいい。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 第1章 欲しいものは自分で作る!プラネタリウムとロケットに夢中の子ども
 第2章 大学生活のすべてを注ぎ込んだ初のレンズ式プラネタリウム
    「アストロライナー」
 第3章 一七〇万の星を映し出せ!大幅な軽量化と性能向上を目指した
    「メガスター」

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November 10, 2005

技術士2次試験 筆記合格発表!

 今朝、この夏実施された、平成17年度の技術士第2次試験の筆記試験合格者
 が発表になりました。

 受験された方は、もちろん確認されてますね?
 いかがでしたでしょうか。

 残念ながら、今回は番号がなかった方も、きっと多くあることと思います。

 非常に厳しい試験ではありますが、受験準備をするままが技術力アップに繋が
 ることは間違いありません。

 捲土重来、一休みされたら、是非再挑戦してください。

 聞くところによると、平成19年度からは試験制度が大きく変わるようです。

 これまでの形式で受けられるのは来年度までとなりそうですので、この機会を
 逃さずに!


 ご自分の番号を確認された方々は、まずはおめでとうございます!

 ようやく胸を撫で下ろされたことでしょう。
 
 しかし、まだまだ、大きな山が残っています!

 12月には、最後の難関、口答試験が実施されます。

 すでに筆記試験の論文は再現されていることと思いますが、論文についての
 補足事項の確認や、ご自分の業績の再度棚卸しをしておきましょう。

 また、技術士法と、技術者倫理についても要チェックです。

 技術者倫理については、あまりなじみがない方も多いでしょうが、必ず質問
 される、そして今後のエンジニアには欠くべからざる感覚ですので、この機会
 に学んでおきましょう。

 「ものづくりを応援!えんぢに屋の『燃える100冊』」メールマガジンでも紹介
 した、読みやすい技術者倫理に関する書籍を、再度紹介しておきます。

  「誇り高い技術者になろう」 (名古屋大学出版会)

  「はじめての工学倫理」 (昭和堂)

 いずれも具体例が豊富で、読みやすく、理解しやすい内容です。

 個人的には、技術士試験とは関係なく、ものづくりに関わる技術者には目を
 通してもらいたい本です。

 また、口答試験の対策本としては、こちらが有名ですね。

  「技術士口頭試験徹底攻略」 (テクノ)

 残された期間はわずかですが、悔いの残らないよう、準備しましょう!

 来年の春、栄冠を手にするために!

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November 09, 2005

誰も知らないトヨタ

daremoshiranaiTOYOTA
 【今週の一冊】
 ●『誰も知らないトヨタ』

  著:片山 修(幻冬舎)
   2005.10 / ¥1,575

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『困ってないヤツほど、困ったヤツはいない。
 
               その男が困るほどいじめなければダメだ。』

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 「トヨタはいま、歴史的危機にある」
 
 連結純利益1兆円、GMを抜いて世界一の自動車メーカーになる日も目前に
 もかかわらず、トヨタ自動車副会長の張富士夫氏の言葉は、あまりにも意外
 です。
 
 外からは絶好調に見えますが、いったい「誰も知らない」トヨタの実状とは
 どんなものでしょうか。
 
 
 具体的に「危機」の意味するところは、「伸びきった兵站」であると指摘し
 ます。
 
 26ヶ国51箇所もの海外の生産拠点を抱え、さらに再来年までにチェコ、中国、
 アメリカ、タイ、ロシアに新たな工場が稼動する予定と、トヨタの戦線は急
 速に拡大しています。
 
 開発、設計から製造、販売、サービスまでの機能を全世界でどう維持するの
 か。
 
 全世界的にどう「人的資源」を確保するか。
 
 かつてない世界規模のスケールと切実さをもって課題が迫っていることを実
 感して、トヨタの経営トップは危機感を募らせているのです。
 
 
 しかし、真に注目すべきは、最高益を続けながらも自社の現状を「危機」と
 認識し、現状打破を目指すトヨタの「自己変革の体質」です。
 
 「変えないこと、変わらないことは悪」
 
 「毎日を最悪と思え」
 
 「三年間、何も変えなければ会社は潰れる」
 
 トップから現場まで、口々に「変わる」ことの重要性を述べ、「変える」こ
 とを促します。
 
 それは、問題があるから「変える」のではなく、問題を探してでも「変える
 」のです。
 
 
 「変える」エネルギーを生むために、あえて社員に無理難題を突きつける。
 
 答えを現地現物で、徹底的に見つけ出すために、有名な「5回のなぜ」を繰
 り返します。
 
 「なぜ、なぜ」を追求するときには、「ああ、そうか」は禁句です。
 
 安易に納得すると、そこで思考が停止。粘り、執着心の不足です。
 
 トヨタの現場では、「真因」にたどり着くまで、思考し続けることを、入社
 時から徹底的に叩き込まれるのです。
 
 
 では、急速にグローバル化する大トヨタに、「トヨタウェイ」を浸透させる
 秘策はあるのでしょうか。
 
 まず、これまで暗黙知であった「トヨタウェイ」を「知恵と改善」「人間性
 尊重」の2本柱にまとめて明文化し、価値観の共有を図っています。
 
 そして「トヨタウェイ」の伝承機関「トヨタインスティチュート」を設立し、
 経営と実務の人材を育成しています。
 
 もちろん、海外に日本と同じようにトヨタウェイが浸透するかは未知数です。
 
 だからこそ、問題点を具体的に抽出し、改善のスパイラルを上昇させるので
 す。
 
 
 今や誰も追いつけないほど、地平の遠くを歩み続けるトヨタは、それでもな
 お着実に、その歩みを止めずに突き進み続けています。
 
 本書や、数ある「トヨタ本」を読んで、真似をして改善をしても、そのころ
 には、もっと「誰も知らない」ところにトヨタは進化している。
 
 苔むす間もなく転がり続ける彼らに、追いつくことは難しいと痛感します。
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 現場作業の基本動作の勘やコツを教え込むため、トヨタでは作業の「ベスト
 技能」のマニュアルを映像入りで作っている。
 
 例えば、ボルトの締め付けを学ぶためのテキストでは、作業のポイントを分
 解している。
 
 ボルトをとって指の中で送る動作のコツは、指の中でうまくボルトの頭を出
 すことだ。
 
 手には4,5個のボルトを持っているから、落とさないようにボルトの頭を出
 すにはコツがある。
 
 ボルトの頭の部分が手前になるように、左手の送りを繰り返し訓練する様子
 が動画で映し出される。
 
 ボルトを手に取る際の手首の返し方や握り方などが、誰にでもわかるように
 紹介されている。
 
 この映像に従って、繰り返し練習する。
 
 コツをつかんだら、メトロノームを使って作業をリズミカルに行い、1分間
 に20本のボルトを締め付けられるかどうかが評価基準となる。
 
 こうした「ベスト技能」のマニュアルが、2,000種類も用意されている。
 
 無駄な動きは疲れるが、洗練されたならば動作が楽になり、生産の安定性や
 品質のばらつき抑制に役立つのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 「2002年11月」以前に設定されたままの「作業標準」はないか。
 3年も改善されていなければ、働いているとは言えない。
 
 「時間」とは「命」だ。
 自分の、社員の「命」を有効に使わねば申し訳ない。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
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 第1章 問題点を探してでも変える
 第2章 困っていないヤツほど困ったヤツはいない
 第3章 “トヨタ現人”のつくられ方
 第4章 労務管理の失敗はすべてを失う

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November 02, 2005

ものづくり魂

monozukuridamashii
 【今週の一冊】
 ●『ものづくり魂』
  この原点を忘れた企業は滅びる

  著:井深 大 編:柳下 要司郎(サンマーク出版)
   2005.9 / ¥1,995

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『会社では「ものをつくりたい」という欲求が、
 
                     最大・最良の「絆」となる。』

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 昨年から今年にかけて、全国で「本田宗一郎と井深大展」という展示会が開
 催され、やまさんも大阪の会場に訪れました。
 
 (そのときの感想はブログにあります⇒ http://tinyurl.com/c3p9x )
 
 自転車にエンジンを取り付けた「バタバタ」や、おひつにヒーターを貼った
 だけの「電気炊飯器」といった、創業期のホンダ、ソニーの「製品」を実際
 に見ることができる、貴重な機会でした。
 
 それらの製品からは、とても現在の両社の姿は想像すらできませんが、「も
 のづくり」で世の中に貢献したい、という創業者たちの熱き志が、その後の
 躍進の原動力となったことは、ひしひしと伝わってきました。
 
 本書は、ソニーの生みの親、井深大が、その盟友、本田宗一郎について語っ
 た内容と、井深と共にソニーを育てた盛田昭夫との対談を軸に、日本を元気
 にする三人の「ものづくり魂」を描いています。
 
 
 本田と井深は共通して、まず最初に「こういうものをつくりたい」と、今ま
 でにない大きな目標を掲げてしまいます。
 
 こんな技術があるから、ではなく、とにかく目標にあった技術を探していく
 のです。
 
 ソニーが初めてテープレコーダを開発したときも、何も分からない全くの素
 人ですから、紙に磁石の粉をご飯粒で貼り付ける、なんてことを大真面目に
 やっていくところからのスタートでした。
 
 本田宗一郎も、まだ日本の片田舎のオートバイメーカーであったときに、世
 界最高峰のマン島TTレースに出場すると宣言してしまい、その後現地で見
 たレベルの格段の差にショックを受けます。
 
 そこから、当時の常識を2,3倍も上回る、8,000回転以上も回るエンジンを
 つくると狙いを定め、出てくる問題を全て解決して、高速回転エンジンをつ
 くり上げ、TTレースを制覇してしまったのです。
 
 
 本田はその後、自動車用のエンジンでも、排気ガスを後で浄化するのではな
 く、完全燃焼により排気をクリーンにする、従来とは全く異なる発想のCV
 CCエンジンをつくり上げます。
 
 その根底にあったのは、「多くの人に喜ばれるもの、多くの人を幸せにする
 ものをつくりたい」という信念です。
 
 ソニーも、トランジスタの周波数をどんどん上昇させ、世界初の短波ラジオ、
 FMラジオを生み出し、新しいものをつくり出す事に徹底的にこだわりまし
 た。
 
 昨今のソニーの低迷は、この「ものづくり」へのこだわりが薄らいだからで
 はないでしょうか。
 
 
 では、「ものづくり魂」を育むために必要な教育とは何でしょうか。
 
 それは、「見たり、聞いたり、試したり」することであり、特に「試したり」
 が欠けていると、井深氏は指摘します。
 
 会長になっても白のつなぎで現場に降り、ハンマーで左手を傷だらけにして、
 宗一郎は現場で自ら「試して」みました。
 
 こう聞くと無鉄砲になんでもやってみたように思いますが、いざ試すときは
 細かいところまで慎重に気を配り、優れた洞察力や見識を養ったのです。
 
 
 「怖いのは失敗することではなく、失敗を恐れて何もしないことだ」
 
 本田氏の言葉を肝に銘じ、今一度、「ものづくり」の喜びという原点に立ち
 返ろうではありませんか。
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 井深は、本田に「牛の角はどうやってついているか、知っているかい」と訊
 ねられた。
 
 雄の牛には角が生えていることは知っているが、角が前か耳が前かと聞かれ
 て、目をシロクロさせてしまった。
 
 実は牛の角のことを知らないのは井深だけではなく、普段、牛をよく目にし
 ている農村の若者まで「さあ、どうやってついていたかなあ」と分からない。
 
 本田は得意になって絵を描きながら説明した。
 
 彼がいろいろな人に聞いて回ったところ、答えられたのは画家だけだったそ
 うだ。
 
 我々は、目を開けてものを見ているようで、案外、見ていないことが多い。
 
 これでは創意工夫なんかできっこない、普段からものを良く見ることが大切
 だと本田は言いたかったのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 あなたは誰のために、何のためにつくるのか。
 「自分が儲けるため」か、「人を幸せにするため」か。
 
 スタート(今の技術の延長)から考えるな。
 ゴール(達成した製品機能)から考えよ。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 I部 わが友・本田宗一郎
  1 本田さんと私
  2 技術者として使命感
  3 ものをつくることへのこだわり
  4 見たり、聞いたり、試したり
  5 「日に新た」
  6 論より直感
  7 本田さんの遊び・私の遊び
  8 好奇心に限度なし
  9 競争のないところに発展はない
  10 本田さんがだいじにした“商売の心”
 II部 わが相棒・盛田昭夫

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