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December 28, 2005

日本のもの造り哲学

nipponn_monodukuri_tetugaku
 【今週の一冊】
 ●『日本のもの造り哲学』

  著:藤本 隆宏(日本経済新聞社)
   2004.06 / ¥1,680

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 ◆ 燃える一言 ◆


   『ちょっとやそっとではぶれない、もの造り現場発の戦略論。』


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 海外出張に行っていたこともあり、「日本のものづくり」について考え直す
 機会となる書籍を最近特に紹介してきましたが、今回紹介の一冊は、まさに
 その「決定版」とも言えます。
 
 やまさんもつい、「最近、日本のものづくりが勢いを取り戻した」という書
 き方をしていしまいますが、それは収益力と競争力を混同した、後追い的な
 説明になっていないでしょうか。
 
 また、「日本の…」とまとめてしまうこと自体、ものづくり現場の実力を見
 誤り、視点がぶれてしまいます。
 
 筆者は長年の産業分析から、重厚な「ものづくり現場発の戦略論」を展開し
 ています。
 
 
 以前に紹介した「能力構築競争」 にもあるように、「ものづくりの組織能力
 」を「設計情報を上手に作り、製品として転写し、流す能力」と考えます。
 
 そして、設計情報が顧客に届くまでを追いかけることで、製品機能を部品に
 振り分ける設計思想=「アーキテクチャ」により、既存の産業分類にこだわ
 らない分析を試みます。
 
 その代表が、製品機能が部品と1対1に対応するパソコンのような「組合せ
 型(モジュラー型)」の製品と、機能と部品の関係が複雑に絡んだ自動車の
 ような「擦り合わせ型(インテグラル型)」という分類です。
 
 
 戦後の日本は「人が足りない、モノが足りない、お金が足りない、という中
 で競争し成長せざるを得なかった」ために、現場組織のチームワークでムダ
 を最小化し、設計情報を高精度・高密度で転写する「統合型ものづくり」を
 鍛えました。
 
 これが「擦り合わせ型アーキテクチャ」の製品と相性が良かったことが、自
 動車産業を始めとする、日本のものづくり現場の競争力の源泉であったと説
 きます。
 
 
 一方、「構想力」のアメリカが知識集約的なモジュラー製品を得意とし、「
 動員力」の中国が労働集約的なモジュラー製品と相性が良く、これら「モジ
 ュラー大国」に挟まれた日本が取るべき戦略を挙げます。
 
 特に中国は、日本の擦り合わせ製品を、擬似的にモジュラー化(コピー品)
 としてしまうスピードと低価格化の強みを持ちます。
 
 そこで例えば、日本はエンジンのみを「パワード・バイ・ホンダ」としてコ
 ンポーネントで売り込む、といった、アーキテクチャに応じた戦略も考えら
 れるのです。
 
 
 そして、せっかくの組織能力や現場のものづくり能力を「収益」に結びつけ
 るためには、「アーキテクチャの位置取り」がポイントとなります。
 
 自動車部品メーカのように、自分も顧客も擦り合わせという位置取りは、組
 織能力を鍛える「道場」としては最高ですが、決して楽に儲かりません。
 
 この位置は「擦り合わせ過剰」であり、「現場は強いが会社は儲からない」
 状態に陥ります。
 
 そこで、インテルのMPUのように「インテグラルな部品をモジュラーとして売
 り込む」、あるいは「モジュラーな製品をインテグラルに使わせる」といっ
 た、境界上のビジネスに高収益のチャンスがあるのです。
 
 
 こうして、高度数万メートルから日本を俯瞰するような経済論でもなく、高
 度1.5mの現場目線そのものでもない、工場の天井裏から現場を覗く「高度10
 mの世界」から見た「ものづくり論」は、骨太で地に足の着いた内容です。
 
 産業に関わらず、ものづくりに関わる方ならば、自身の立場と進むべき道を
 考える、大きな刺激となる、冬休みお勧めの一冊です。
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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 フロントランナー企業は、一番強い向かい風を受けている。
 
 では、日本のフロントランナー「トヨタ」が問題としていることは何か。
 
 
 第一は、コスト管理の見直し。
 
 これまでは生産性や歩留まりといった「原単位」に注目していたが、今後は
 賃金や設備単価といった「レート」を含めた原価管理が重要だ。
 
 第二は、生産変動や少量生産に強い生産システムの再構築。
 
 第三は、「トヨタ・ウェイ」の海外拠点への浸透。
 
 第四は、不透明な値引き体質から脱却し、国内販売を改善すること。
 
 第五は、「イライラさせない」車作りに加えた「ワクワクする」車作り。
 
 第六は、燃料電池やITSといった、自動車のアーキテクチャ変動への対応。
 
 第七は、「強い」だけではない、顧客や従業員、社会から「尊敬される企業
 」を目指すこと。
 
 
 これらの課題が、いずれ他の会社に問題になる可能性があることは明らかだ。
 
 問題そのものも当然だが、問題を発見し対策を打つプロセスそのものにも、
 深く学ばねばならない。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 自社のものづくりの「アーキテクチャ」を明らかにしよう。
 
 ものづくりの能力構築に終わりはない。
 体力を鍛えるとともに、頭も鍛えて「現場と本社」を両立させよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 第1章 迷走した日本のもの造り論
 第2章 「強い工場・強い本社」への道
 第3章 もの造りの組織能力―トヨタを例として
 第4章 相性のよいアーキテクチャで勝負せよ
 第5章 アーキテクチャの産業地政学
 第6章 中国との戦略的つきあい方
 第7章 もの造りの力を利益に結びつけよ
 第8章 もの造り日本の進路

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Comments

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