« 「段違い品質」を実現する現場力 | Main | クルマはかくして作られる »

April 17, 2006

工場はなぜ燃えたか?

 【今週の一冊】
 ●『工場はなぜ燃えたか?』
  危機を救うメンテナンスビジネス

  著:丸田 敬(エネルギーフォーラム)
  2005.12 / 1,995
-----------------------------------
 ◆ 燃える一言 ◆


  『メンテナンスは、プロダクション(生産)と同じように重要だ。』

-----------------------------------
 「2007年問題」という言葉を耳にする機会が増えています。
 
 いわゆる「団塊の世代」が最も多い1947年生まれの方々が、定年を迎えるこ
 とから、日本の現場を支えてきたベテランの流出が問題となっています。
 
 この「技術伝承」はIT業界を始め、多くの現場に当てはまる問題ですが、
 装置産業においては、更に設備の「老朽化」が重なります。
 
 
 「先進国で最も老朽化したプラントが稼動する」と言われるように、石油精
 製・石油化学などの装置産業は、1960年代後半から70年代前半に建設ラッシ
 ュがあり、これら稼動30年超の設備が、無言の悲鳴を上げながら働いている
 のが、わが国の現状です。
 
 そして日本の製造業では、伝統的に「製造」に重きを置き、順調に働いてい
 るプラントにコストをかけずに「効率化」と称して、メンテナンス費用を抑
 える傾向があります。
 
 つまり、装置産業の現場は今、技能伝承・老朽化・効率化という問題に直面
 しているのです。
 
 
 炎上するプラント、空を焦がす黒煙―。
 
 近年頻発したプラント事故は、これらの問題が表面化した事故と考えられま
 すが、本書には印象的なデータが掲載されています。
 
 平成14年以降の産業事故100件のうち、誤動作・誤判断、マニュアル不備など
 の人的要因が、100件中76件を占め、部品の劣化などの設備的要因はわずか18
 件だったのです。
 
 つまり、「産業事故の4分の3がヒューマンエラーが原因」であり、「老朽
 化」の問題よりもずっと深刻である、ということです。
 
 さらに「人員削減などの人員配置に関する問題」=「効率化」が事故原因と
 したケースは皆無であったという調査結果が出ており、人的要因こそが最大
 の問題であることが明確になっています。
 
 
 この問題の解決には、まず「安全確保は経営責任」であることを、トップが
 認識せねばなりません。
 
 これまでは現場のKKD(勘と経験と度胸)で安全が保たれてきましたが、
 上記の3つの問題がある今日、「現場責任」ではなく、トップダウンにより
 「管理者責任」でメンテナンスを実施すべきと筆者は説きます。
 
 現場からの抵抗は当然ありますが、もはや確実に数年のうちに「タイムリミ
 ット」を迎えるのですから、躊躇している暇はないのです。
 
 
 こうした「プラントの危機」は、見方によってはメンテナンス構造改革のチ
 ャンスでもあります。
 
 更には「メンテナンスビジネス」の好機とみて、新たな市場を切り開く、た
 くましい企業群も紹介されています。
 
 「ものづくり」と「メンテナンス」は主従の関係ではなく、PDCAのサイ
 クルにおいて必要不可欠なプロセスであることを、強く認識させられた一冊
 です。
 ----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 有名な「ハインリッヒの法則」では、1件の重大事故の背景に、29件の軽傷
 事故と300件の「ヒヤリ、ハッと」があるとされる。
 
 「災害ゼロ」から「危険ゼロ」へと発想を転換するためには、「ヒヤリ、ハ
 ッと」した時の対策も重要である。
 
 
 IDECの開発した「3ポジションイネーブルスイッチ」は、ハンディタイ
 プのスイッチだが、軽く握った時だけ、スイッチがオンになる。
 
 スイッチを手放したときはもちろん、強く握ったときにもスイッチがオフに
 なる。
 
 これは人間が、「ヒヤリ、ハッと」した時の反応が、強く握るか手放すかの
 どちらかであることから、軽く握った時だけスイッチがオンになるように設
 計されている。
 
 「ヒヤリ、ハッと」した時に、どのような反応をしてもラインは停止するた
 め、事故は回避されるのだ。
 
───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 人はミスを犯し、設備は壊れるものだ。
 そのミスを、誰がどのような方法で防止するかを考えよ。
 
 「メンテナンス」=「修理・修繕」では不十分だ。
 壊れる前に予防する、一歩進んだ「メンテナンス」に取り組もう。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 第1章 今、求められるメンテナンス構造改革
 第2章 工場はなぜ燃えたか?
 第3章 メンテナンスビジネス最前線
-----------------------------------
 ◆ 関連ページ ◆
 ・IDEC(株)3ポジションイネーブルスイッチ
 ・出版社 エネルギーフォーラム
 ・アマゾン 『工場はなぜ燃えたか?』

|

« 「段違い品質」を実現する現場力 | Main | クルマはかくして作られる »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/48474/9631705

Listed below are links to weblogs that reference 工場はなぜ燃えたか?:

« 「段違い品質」を実現する現場力 | Main | クルマはかくして作られる »