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July 07, 2006

安全と安心の科学

Anzentoanshinnokagaku
 【今週の一冊】
 ●『安全と安心の科学』

  著:村上 陽一郎(集英社)
  2005.01 / ¥714

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『言い古された決まり文句を使えば「初心忘るべからず」です。
 
   いかなる領域といえども、ものごとがルーティン化し、
      
     安全に推移するのが当然と思われ始めた瞬間に、安全は崩壊する、
     
             ということはどうやら確かなことのようです。』

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 扉が開いたまま上昇したエレベーターに、高校生が挟まれて死亡するという、
 痛ましい事故が起きてしまいました。
 
 ようやくエレベータメーカーが謝罪をしましたが、事故原因については「製
 造側の問題ではなく、保守が悪い」との姿勢は崩しません。
 
 管理会社も「点検マニュアルがなく、最近請け負ったばかり」と、メーカー
 の責任を強調します。
 
 まるで被害者や住民の感情を逆撫でするような対応が、繰り返し報道されて
 います。
 
 
 しかし、全国、全世界のエレベータは、こうしている間にも、毎日、何千万、
 何億もの人命を乗せて動き続けているのですから、急がねばならないのは「
 責任の追及」よりも、「原因の究明」です。
 
 本書で筆者は繰り返し、「事故情報は宝」と言います。
 
 何が、いつ、どこで、どのようにして起こったのか、これを何分の一秒単位
 で、詳細に突き止める。
 
 例えば、そこに人間の誤判断や誤操作(ヒューマン・エラー)があったとし
 ても、それを非難したり、責任を問う前に、確実に起こったことの詳細を把
 握する。
 
 それが、今後同じような事態になったときに、悪い結果を起こさせないよう
 な対策を講じるために、決定的に重要な材料なのです。
 
 
 また、エレベータの設置当初、施工会社が管理を行っていた時の費用は、年
 間360万円でした。
 
 その後、05年に保守業務を委託した管理会社の費用は、およそ半分の170万円
 であり、更に06年度に再度委託先を変更し、年間120万円の管理費用で契約し
 ています。
 
 筆者は、「安全が達成された瞬間から、安全の崩壊は始まる」と指摘します。
 
 安全が当たり前のことであればあるほど、なお安全へのインセンティブを、
 自らの中にかき立てなければならないのです。
 
 これは言うは易く、行うのは難いことだからこそ、「安全第一」を標語にと
 どめず、外部の規制や内部監査(ホイッスル・ブローイングを含めて)を有
 効に機能させねばならないでしょう。
 
 
 事故は「思いがけぬとき、思いがけないこと」が起きます。
 
 なれば、事故情報は、人間の想像力を補ってくれる、まさに「宝」です。
 
 この宝物から、「フール・プルーフ(ミスをカバーする)」や「フェイル・
 セーフ(ミスがあっても安全)」の仕組みを前進させねばなりません。
 
 医療事故や原子力の問題などを通して、安全と安心を説く本書から、我々技
 術者が学ぶことは多いでしょう。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 よく事故の説明に「スイスチーズ・モデル」が使われる。
 
 穴の開いたチーズのスライスを何枚も重ねれば、普通は穴が通ってしまうこ
 とはない。
 
 しかし、何かの拍子でそれぞれのスライスの穴の部分が重なってしまうと、
 穴が貫通する。
 
 つまりスライスは、事故防止のための一つ一つの手立てで、一つがすり抜け
 られても、次の一つ、あるいは次の次で食い止められるはずなのに、何かの
 拍子で穴が重なって全部が通ってしまうと、事故が起こる、という喩えだ。
 
 ミス(穴)が少なくすることも大切だが、より重要なシステムでは、防護対
 策を重ねることが有効なことを表している。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 「責任追求」と「原因究明」を切り分けろ。
 事故の隠蔽は、「宝」を失う社会的な損失だ。
 
 安易なVA、設計変更は事故・不良の元。
 「なぜそうしたか」設計の意図を伝承しよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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 序論 「安全学」の試み
 第1章 交通と安全―事故の「責任追及」と「原因究明」
 第2章 医療と安全―インシデント情報の開示と事故情報
 第3章 原子力と安全―過ちに学ぶ「安全文化」の確立
 第4章 安全の設計―リスクの認知とリスク・マネジメント
 第5章 安全の戦略―ヒューマン・エラーに対する安全戦略
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・著者 村上陽一郎
 ・出版社 集英社
 ・アマゾン 『安全と安心の科学』

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Comments

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