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August 10, 2006

危険学のすすめ

Kikenngakunosusume
 【今週の一冊】
 ●『危険学のすすめ』
  ドアプロジェクトに学ぶ

  著:畑村 洋太郎 (講談社)
  2006.07 / \1,470

----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----

 ◆ 燃える一言 ◆

 『死亡事故のようにあってはならない失敗を防ぐには
 
     従来の「失敗学」では不十分で、そこから一段進化させた
 
          「危険学」に必然的に行かざるを得なかったのである』

-----------------------------------

 例年、夏休みには水の災害が報じられますが、7月31日に埼玉県で起きた、市
 営プールでの事故は、例年の事故とは大きく異なるものでした。
 
 流水プールの給水口に小学2年生の女の子が「吸い込まれ」、水死ではなく
 頭部を流路の壁に強打したために亡くなったのです。
 
 楽しいはずの夏休みが、「考えられないような不注意」により、悲劇に転じ
 てしまいました。
 
 
 今回の書籍は、今だ記憶に新しい、六本木ヒルズの回転ドアで起きた6歳の
 少年の事故死をきっかけに、「失敗学」の提唱者である畑村教授が立ち上げ
 た「ドアプロジェクト」の記録です。
 
 この事故も、観光名所にまでなっている「日常」の中に、恐ろしい危険性が
 潜んでいたことを白日の下にした事件でした。
 
 こうした「つまらない失敗」が元で人が亡くなるような事故は、経験すべき
 ではない失敗であり、「失敗から学ぶ」という従来の失敗学の考えでは不十
 分でした。
 
 そこで、何かの行動を起こした結果としての失敗ではなく、結果に至る前の
 「現に存在している危険」に焦点を当てた「危険学」が生まれたのです。
 
 
 なぜ、安全が実現できないのか。
 
 それは、安全を実現するための「方法論」に問題がある、と畑村教授は指摘
 します。
 
 従来の責任追及型の調査では、「正しいやり方をしていないから事故が起こ
 った」と結論付けることが多くあるように、今までの安全の考え方は「過去
 にうまくいった手順を繰り返そう」とします。
 
 これがマニュアルやノウハウですが、逆に「安全なやり方」しか知らないこ
 とになり、不測の事態に対応できず、トラブルが起きるのです。
 
 
 例えば、子供が指を切らないように、鉛筆を削るナイフを取り上げてしまえ
 ば、確かに事故は起きませんが、危険を教えない教育を続けている限り、危
 機回避の能力を養うことはできません。
 
 これは子供だけではなく、大人にも言えることであり、予測される危険のあ
 りかを明らかにし、それに柔軟に対応することによって、事故や失敗を防ご
 うとするのが「危険学」なのです。
 
 これは、ものを「つくる」側にも「使う」側にも当てはまることであり、も
 のづくりに携わるエンジニアも身につけねばならない考え方です。
 
 
 流水プールの事故は、冒頭には「考えられない不注意」と書きましたが、「
 危険学」的に考えれば、十分に予想でき、未然に防げた事故だったと言わざ
 るを得ません。
 
 最近のエレベータ事故や給湯器の一酸化炭素中毒、トヨタのリレーロッド破
 損問題など、ひとくくりで語るのは乱暴ですが、いずれも予兆の段階で「危
 険」が予測できたことは共通しています。
 
 同じ過ちを繰り返さぬため、「ドアプロジェクト」と「危険学」に、我々エ
 ンジニアは、特に深く学ばねばなりません。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 回転ドアの事故をきっかけに発足した「ドアプロジェクト」。
 
 その対象は回転ドアにとどまらず、「すべてのドア」であった。
 
 調査の中で、エレベータやスライドの自動ドアの挟み力が、非常に「小さな
 力」であることが分かった。
 
 それは、このようなドアの設計には「10J(ジュール)則」という暗黙知があ
 ることも関係している。
 
 ドアの移動質量のエネルギーが10Jを超えると、人間を負傷させる可能性があ
 るため、それ以下に抑えるのが暗黙の知識となっているのだ。
 
 
 ところが、回転ドアにはその思想が全く伝わっていなかった。
 
 事故の起きた大型自動回転ドアは、エレベータのドアなどとは比べ物になら
 ない挟み力を持つ、「殺人機械」とでも言うべき代物だったのだ。
 
 回転ドアは、人工物として未発達な、「街中にノコノコ進出していいような
 ものではない」というのが、実験結果を目の当たりにした畑村教授の感想だ。

───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 あり得ることは起こる。
 考えにくいが考えられる不具合こそ、起きたときの被害は甚大だ。
 
 自分で失敗しなくとも、教訓は得られる。
 過去のトラブル、隣の業界の情報に、広く学ぼう。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 第1章 「失敗学」から「危険学」へ
 第2章 「プロジェクト」発足
 第3章 ドアプロジェクトの手法
 第4章 実験でわかった真相1
 第5章 技術の系譜
 第6章 実験でわかった真相2
 第7章 「勝手連事故調」の勝利
 第8章 その後のドアプロジェクト
 第9章 「危険学」をどう生かすか
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・失敗学会
 ・出版社 講談社
 ・アマゾン 『危険学のすすめ』
 
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August 04, 2006

100冊到達記念!読者限定プレゼント!

 このたび、このブログと連動しているメールマガジン
 「ものづくりを応援! えんぢに屋の『燃える100冊』」
 が、なんとか「100冊」、たどり着くことができました!
 
 おおよそ2年間、我ながらよく続いたもんだと思います。
 
 読んで下さった皆様には、こんな稚拙な内容にお付き合い下さったこと、本
 当に感謝しております。
 
 結局、毎週、熱いエンジニアの声を一番聞くことができたのは、やまさん自
 身であって、それをどれだけ皆さんにお届けできたかは、甚だ心もとない限
 りです。
 
 
 そこで!ご愛読の感謝の気持ちを込めて、100号記念企画 第1弾!
 
 前の記事でも取り上げた、やまさんが関わらせて頂いた「Net‐P.E.Jp」
 の、技術士関連の以下の書籍を、各1名様にプレゼントいたします!
 
 
 ・技術士第一次試験「基礎・適性」科目キーワード700
 
 ・技術士第二次試験「機械部門」完全対策&キーワード100
 
 ・技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説(第2版)
 
 ・技術士第一次試験演習問題―機械部門II 100問

 ご応募は、「100冊記念プレゼント」のタイトルで、メルマガに記載のメール
 アドレス、または左サイドバーのメールフォームから、ご希望の書籍名を
 明記して、お申込下さい!
 
 その際、ゼヒゼヒやまさん宛のメッセージや、おススメの本などあれば付け
 加えて下さい!(当選確率が上がる・・かも!)
 
 もし、お近くに技術士受験を考えている方があれば、メルマガ購読と一緒に
 勧めてあげて下さい!
 
 申込の締め切りは、8/13(日)までと致します。
 
 
 それでは、今後も、末永くよろしくお願いいたしますm(__)m

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技術士第一次試験「基礎・適性」科目キーワード700

Kisotekisei700
 【今日の一冊】
 ●『技術士第一次試験「基礎・適性」科目キーワード700』

  著:Net-P.E.Jp(日刊工業新聞社)
  2006.07 / \2,310

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 8月を迎え、今年度の技術士第2次試験が、今週末に迫りました。
 
 ここまでくれば、あとは論文をしっかり見直し、これまでまとめたものを見
 返して、体調管理に努めましょう。
 
 ご検討を念じております!
 
 
 そして、技術士第1次試験を受験される方も、この夏季休暇が最重要期間で
 す。
 
 1次試験といっても専門だけではありませんから、その対策は大変ですね!
 
 そこで!この度、受験生にとって非常に心強い「味方」が現れました!
 
 それが・・これです!
 
  ☆ 「技術士第一次試験「基礎・適性」科目キーワード700」
   (Net‐P.E.Jp 著 日刊工業新聞社)
 
 第1次試験の「基礎科目」「適正科目」の出題に合わせて、最新のキーワー
 ドが掲載されていますから、効率よく学習を進めるのにおススメです!

 今回も、やまさんも参加させて頂きました!ゼヒ手にとって見てくださいね!

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超クルマはかくして作られる

Chokurumahakakushite
 【今週の一冊】
 ●『超 クルマはかくして作られる』

  著:福野 礼一郎 (二玄社)
  2003.01 / \2,310

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『私は職人の一品作りよりも大量生産の方が何千倍も偉大だと思う。
 
   ロールス・ロイスやフェラーリを作るよりヴィッツやフィットを
             作る方が何千倍も難しく厳しい仕事だと思う。
 
     100万円の1L車だったとしても、現代のクルマはまさしく
           設計と生産の技術の英知の結晶だという事実である』

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 ついに到達した「100冊目」。
 
 取り出したるは、本メルマガの発刊前から、必ず紹介すると決めていたこの
 一冊。
 
 すでに紹介した「クルマはかくして作られる」の続編であり、
 その名の通り、自動車部品の製造工程が、豊富な写真と詳細な解説、そし
 て福野氏の熱いレポートで綴られています。
 
 
 前作がシートやガラス、塗料などの、いわば「外堀」を攻めたのに対し、本
 作はいよいよ「本丸」へと攻め上がります。
 
 ボディから始まり、ブレーキ、タイア、ばねなどの足回り、トランスミッシ
 ョン、スパークプラグ、インジェクションと駆け上がり、エンジンの天守閣
 まで暴れこみます。
 
 その過程に現れるあらゆる部品が、それぞれにドラマと哲学を語るため、い
 きおいキャプションも写植級が下がり(文字が小さくなり)、情報量は膨大
 です。
 
 
 毎日乗っている「クルマ」について、私たちは何を知っているのでしょう?
 
  エンブレムの「樹脂」は、どうして「めっき」できるのか?
  
  ハロゲンランプの5気圧のガスは、どうやって封じ込めるのか?
  
  タイアは、なぜ「11種類」ものゴムを組み合わせて作るのか?
  
  クルマが「へたる」のは、「ばね」や「ダンパー」がへたるから?
  
  ベアリングの玉は、どうやって作る?
  
  モータの銅線は、どうやって巻く?
  
  エンジンのクランクシャフトは、どうして焼きつかない?
  
 ・・いずれも、100%、種も仕掛けも「ある」のです。
 
 それは、材料と化学と物理に支配された自然現象を、バカ正直に追求し、そ
 れを「学問」ではなく「商売」にできるまで、寄り添い、なだめすかし、手
 なずけた「技術者」たちの「知恵と魂」の結晶です。
 
 
 これまで多くの書籍を読み、紹介してきましたが、そこには必ず「現場」で
 ものづくりに情熱を注ぐ「エンジニア」がありました。
 
 本書にも、多くの無名の技術者、作業者たちが登場しますが、主役は彼らで
 はなく、現場で姿を変えていく「もの」です。
 
 しかし、「もの」に命を吹き込む「エンジニア」の熱き思いは、福野氏を通
 して語られるプロセスの難しさや、エンジニアのコメント、そして何より、
 薄汚れながらも懸命に働く機械の写真から、強烈に伝わってきます。
 
 泥臭く、リアルな現場の姿こそが、ニッポンのエンジニアを熱く、元気にさ
 せる最大の原動力であることを、今、改めて感じています。

-----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 「エンジンを運ぶために生まれてたようなクルマ」
 
 自動車マニアにとって、V12エンジンのように、バランスが取れて馬力が出る
 エンジンを極めたクルマこそが、理想のように思える。
 
 しかし、現実のクルマ作りでは、それは冗談以外の何者でもない。
 
 それに変わって、「最適化設計」「トータルバランス重視」という、何とも
 味気ない、月並みな言葉に支配されている。
 
 
 だが、本当に現代のクルマは「月並みで平凡」だろうか。
 
 マッチ棒の先ほどのスペースに7つの部品を詰め込んだタイアバルブ。
 
 解析とシェーディングで配光制御を突き詰めるヘッドランプの反射鏡作り。
 
 100分の1ミリ、1000分の1ミリの公差を追求するピストンやインジェクタ
 の加工技術。
 
 それらは月並みどころか、繊細で緻密で神経質で徹底的で、思慮も配慮も研
 究も、底知れぬほど奥深い、死ぬほどエキセントリックな世界だ。

───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 「現場」に宝はある。
 我ら技術者が相手にすべきは、現場の現物であること、ユメ忘れるな。
 
 チャンピオン品を作ることと、量産技術は違う。
 量産可能なチャンピオン技術をつくるのだ。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 手作りボディ工場/めっき工場/照明機器工場/ブレーキ工場/タイア工場
 /ばね工場/ダンパー工場/ベアリング工場/燃料タンク工場/
 鉛蓄電池工場/ニッケル水素電池工場/AT工場/MT工場/排気管工場/
 モーター工場/エンジンメタル工場/スパークプラグ工場/
 インジェクタ工場/ウォーターポンプ工場/ピストン工場/エンジン工場/
 リサイクル工場
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・著者 福野 礼一郎
 ・出版社 二玄社
 ・アマゾン 『超 クルマはかくして作られる』
 
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August 03, 2006

科学の国のアリス

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 【今週の一冊】
 ●『科学の国のアリス』
  入門!ニュートン物理学

  著:福江 純 (大和書房)
  2005.05 / \1,680

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『みなさんもアリスと共に悩んでいただき、
 
  よくわかっているはずの科学も、見方を変えれば実は不可思議で面白く、
 
            奥が深いことに気づいてもらえればありがたい。』

-----------------------------------

 「遅れてしまう!遅れてしまう!」
 
 懐中時計を覗き込む、白ウサギにせかされながら、今日はアリスと一緒に、
 不思議な「科学の国」を旅してみましょう。
 
 「不思議な科学」といえば、相対性理論や量子力学などの「モダン・サイエ
 ンス」のことかと思われるかもしれませんが、どっこい、ニュートン力学と
 呼ばれる「クラシカル・サイエンス」にこそ、古いが故に深遠な謎があるの
 です。
 
 
 ニュートンは、数学・光学・力学の分野で類稀なる業績を残しましたが、光
 の分野では「虹を分解した男」として知られています。
 
 プリズムを使った実験で、太陽の白い光が実は七色の光からできていること
 を「発見」したからです。
 
 ただし、プリズム自体はニュートン以前から存在しており、光を当てると七
 色に分かれることも知られていました。
 
 ところが、ニュートンが行った実験の以前と以後では、光の色についての解
 釈が、劇的に変わったのです。
 
 
 ニュートンが行った実験は、二つのプリズムを用意し、最初のプリズムで白
 色光をいったん七色に分け、さらに逆さにおいたもう一つのプリズムを通し
 て光が再び白色光に混ざり合うことを示したのです。
 
 当時は、「色」が良く分かっておらず、ギリシャ以来の「思索」によって、
 色は「白」と「黒」の混ぜ合わせで生まれると思われていました。
 
 例えば、プリズムで光が分かれるのは、白が変化したものであり、強い作用
 を受ければ青く、弱い作用を受けると赤になる、と「思索」したのです。
 
 ところが、ニュートンの一見、単純な実験によって、光はもともと七色あっ
 て、それらが混ざり合って白色光になっていることが証明されたのです。
 
 ニュートンが虹を分解することができたのは、思索(理論)と検証(実験)
 を見事に融合させた結果だったのです。
 
 
 電気や磁気は、物理が得意な人でも、かなり悩まされた分野でしょう。
 
 クーロンの法則、オームの法則、アンペールの法則、キルヒホッフの法則、
 ビオ=サバールの法則、右ネジの法則、フレミングの左手の法則・・・
 
 次から次へと法則が乱立しているのは、ひとえに電気と磁気の性質が入り組
 んでいて、それらの関係がなかなか分からなかったためです。
 
 この、双子のトラブルメーカー、「ハンプティ=電気」と「ダンプティ=磁
 気」の関係は、ファラデーやマクスウェルの登場で明らかにされました。
 
 マクスウェルの法則で明らかになった「電磁気」は、ハンプティとダンプテ
 ィのただの足し算ではなく、融合されることで新たな性質を帯びたのです。
 
 その一つが「電磁波」であり、媒体なしに(真空でも)伝わり、しかも光の
 速度に一致することが分かって、電磁波こそが光の正体だと断定したのでし
 た。
 
 
 こうした「虹の国」や「電磁の国」のほか、「重力の国」や「熱の国」を、
 アリスと旅することで、教科書ではとっつきにくかった「物理」の法則が、
 生き生きと踊りだす、なんとも楽しい「科学の本」です。

-----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 万有引力は、「二つの物体が及ぼしあう万有引力の大きさは、二物体の質量
 の積に比例し、物体間の距離の2乗に反比例する」という法則である。
 
 では、なぜ距離の2乗に反比例して変化するのだろうか。
 
 逆1乗とか、逆3乗、あるいは距離の1.9乗とか2.1乗ではダメだったのだろ
 うか。
 
 
 いろいろな立場からの説明があるが、一つは「ケプラーの法則」という厳然
 たる経験事実だ。
 
 惑星の軌道は楕円軌道を描いている。
 
 そして距離の2乗に反比例する力が働けば、その力を受けて運動する物体の
 軌道は確かに楕円軌道になるのだ。
 
 もし「逆2乗」でない場合、例えば逆2.1乗では、きれいな楕円にはならず、
 楕円の形が閉じずに、少しずつずれていくような軌道になってしまう。
 
 だからケプラーの法則は、「逆2乗」を保証しているともいえるのである。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 「思索」だけでは「真実」は見えない。
 「思索」に裏付けられた「検証」で真実に近づく。
 
 古典力学は古くない。
 身近な疑問を、明瞭に証明してみよう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 虹の国―ハートは何色?
 光の国―光は一人二役
 運動の国―自然のルール・運動の法則
 重力の国―宇宙のルールと万有引力
 電磁の国―電気と磁気の合体
 熱の国―温度って何?
 水の国―水の葉の行方
 時空の国/真理の国―ニュートンの宇宙とアインシュタインの宇宙
-----------------------------------
 ◆ 関連ページ ◆
 ・著者 福江 純
 ・出版社 大和書房
 ・アマゾン 『科学の国のアリス』
 
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ガンプラ開発真話

Gunpurakaihatu
 【今週の一冊】
 ●『ガンプラ開発真話』

  著:猪俣 謙次(メディアワークス)
  2006.03 / \1,890

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『ガンプラブームが巻き起こってから四半世紀。
    人気の秘密やブームの分析を語る出版物は数多く発行されている。
 
   しかし、爆発する需要に応えるために、当時、生産ラインを支えた
      人たちが味わった、気力体力を使い果たすほどの
         苦労や努力については、ほとんど語られたことがない。』

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 やまさん含む30代エンジニアにとって、ものづくりに携わることに大なり
 小なり影響を与えたのが、「ガンプラ」です!(断言。)
 
  ※「ガンプラ」=ガンダムのプラモデル。念のため。
 
 1982年、日本中が空前の「ガンプラブーム」に沸き上がり、子供たちは、大
 人も巻き込んで、「ガンプラ」を求めて模型店へ、おもちゃ屋へ、そしてバ
 ンダイの工場まで押し寄せました。
 
 やまさんも、早朝からダイエーの前に並んで、ようやく「1/100 グフ」を手
 に入れた時の感動を、今でもハッキリ覚えています。
 
 「バンダイは出し渋りをしているのではないか」と、一向に欲しいプラモデ
 ルが手に入らない苛立ちを、皆が募らせていましたが、その裏側の生産の現
 場では、「嬉しい悲鳴」を通り越した、悪戦苦闘があったのです。
 
 
 ガンプラブーム以前、さらに宇宙戦艦ヤマトブーム以前、バンダイ模型の生
 産ラインは自社工場内に3本しかなく、それで十分でした。
 
 ところが「ヤマトブーム」「ガンプラブーム」を迎え、工場ラインは15本に、
 更には新工場の建設と急拡大を繰り返します。
 
 新工場建設当初は、仕事を確保できるかを心配していたのが、ブームによっ
 て「フル操業の試練」へと180度変わります。
 
 三交代24時間フル操業となったものの、スタッフは必要最低人数であり、16
 時間連続勤務が当たり前のようにあり、せっかくの休日も16時間後には再び
 出社という状況が続いたのです。
 
 現場スタッフの壮絶な頑張りによって、「ガンプラブーム」は支えられたの
 でした。
 
 
 24時間操業の成型機では、1台につき毎日4,800ショット成型されており、金
 型の一部が破損した場合には、気付かずに稼動し続けて、大量の不良品を発
 生させる恐れがあります。
 
 そこで、不良品の発見、品質管理のために、製造部の課長は「全てのスタッ
 フが検査員だ。時間があったら組み立てろ!」と激を飛ばし、設計者を中心
 に、毎日、当日の成型品を組み立て、不良の早期発見に努めました。
 
 
 また、部品の破損やクレームに対応する「お客様相談センター」には、毎日
 部品請求が山のように届きました。
 
 中には「改造したいからパーツを分けて欲しい」という、本来なら対応しな
 くても良い要求も多々ありましたが、丁寧にパーツを梱包して送るという、
 ユーザーに優しい対応をしてきました。
 
 そしてお客様の声を開発、設計にフィードバックすることで、ガンプラは「
 進化するプラモデル」とまで呼ばれるようになり、ブームに拍車をかけてい
 ったのです。
 
 
 プラモデル作りの楽しさや、開発秘話など華々しい物語の裏側で、喜ぶ子供
 達のためにと汗を流したエンジニア達の地道な活躍に、一層「ガンプラ」が
 好きになった、やまさんでした。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 「多色成型」とは、異なる成型色や素材の樹脂を、一体に成型する技術だ。
 
 バンダイ模型は、1982年、ドイツのログ社から「多色成型機」の第1号を導
 入した。
 
 日本国内初の4色機であり、部外者へは公開せずに、極秘裏に開発は行われ
 た。
 
 バンダイ模型は、他メーカとの差別化を、この多色成型技術に求めたのだ。
 
 1983年、「1/250 色プラGアーマー」として商品化された。
 
 今にして思えば、決して満足できる完成度ではなかったが、とにかく第一歩
 を踏み出したのだ。
 
 
 2006年、成型工場で稼動している16台の成型機のうち、多色成型機は15台に
 もなっている。
 
 多色成型機はもちろん、設計者や金型技術者も日進月歩を続けた。
 
 バンダイ模型の高度な多色成型技術は、他のメーカーの追随を許さないまで
 になった。
 
 そして、「スケールモデル専門メーカーこそが最高の金型技術を持っている」
 という、一昔前のイメージは、完全に払拭されたのだ。

───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 熱きエンジニアの執念で、「ガンプラ、大地に立つ」。
 実用品でなく、趣味のものづくりだからこそ、妥協ない緻密さが必要だ。
 
 急変動する市場の要求にどう応えるか。
 「明確な目標(喜ぶ子供のために)」が、現場を動かす。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 第1章 プラモデルの歴史―ガンダムへの道
 第2章 ガンプラ誕生夜明け前
 第3章 ガンプラ開発物語
 第4章 パッケージデザイン物語
 第5章 模型情報物語
 第6章 ブームと渡り合った黒子たち―営業・生産ライン物語
 第7章 特別寄稿 ガンプラブームに立ち会った編集者たち
 「HOW TO BUILD GUNDAM」への道(柿沼秀樹)
 「ホビージャパン」そして「電撃ホビーマガジン」(佐藤忠博)
-----------------------------------
 ◆ 関連ページ ◆
 ・バンダイ ガンダムパーフェクトウェブ
 ・出版社 メディアワークス
 ・アマゾン 『ガンプラ開発真話』
 
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August 02, 2006

ジャパン・インパクト

Japan_inpact
 【今週の一冊】
 ●『ジャパン・インパクト』
  伝統の技が未来を開く

  著:NHK「ジャパンインパクト」プロジェクト(日本放送出版協会)
  2003.02 / \1,575

----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----

 ◆ 燃える一言 ◆


 『千年を超えて磨き上げた技には、千年の未来をひらく可能性が
                        あるのかもしれません。
 
   伝統技術―、その中には、今だ汲みつくしていない技、
              学びつくしていない知恵が眠っているのです』


-----------------------------------

 日本の刃物の切れ味、漆器や磁器の類いまれな美しさ、洋紙では決して得ら
 れない和紙の強さ・しなやかさ。
 
 まさに「ニッポンのものづくり」を代表する、こうした伝統の技術には、無
 言にして雄弁な魅力があります。
 
 それは、ただ自然が与えてくれたものではなく、気の遠くなる時間と世代を
 経て、人が発見し、育て、磨き上げてきたものです。
 
 そして今日、これら日本の固有技術が、最先端テクノロジーの革新に、大き
 な影響を与えていることを、本書は教えてくれています。
 
 
 「漆黒」と表現されるように、「漆(うるし)」の黒は、カーボンブラック
 を入れて黒くする塗料とは、全く異なる魅力をたたえます。
 
 漆の木の樹液は「ウルシオール」という油分に水が溶け込んだものであり、
 これが「酵素」の働きで硬化するという、独特の「乾燥」工程を経ます。
 
 しかもこの酵素は、湿気がある限り、何千年も働き続け、硬い塗膜を守る「
 生き物」なのです。
 
 
 一方、現代の合成塗料の化学物質は、シックハウス症候群を引き起こすなど、
 人体・環境に害悪をもたらしています。
 
 漆は、炭素・酸素・水素だけから成る、天然の「やさしい」塗料であり、し
 かも硬化に熱などの外力を必要としない、省エネにもつながる材料なのです。
 
 今では貴重になった天然漆に代わる、人工漆が目下、研究されています。
 
 
 クルマのクラッチの摩擦板は、大きなトルクの伝達と耐久性という厳しい環
 境で使用される材料ですが、ここに「和紙」の技術で作られた「機能紙」が
 用いられています。
 
 潤滑油をしみこませ、摩擦熱を素早く逃がし、薄くて耐久性がある材料とし
 て、「洋紙」にはない「和紙」の特徴が活かされています。
 
 更に、ステンレスを繊維化してカーボン繊維の間に入れて漉いた紙は、電磁
 波シールド材として、電子機器の保護材料に用いられています。
 
 また、セラミックを使って作った「紙」は、耐久性に優れた電線の被覆材に
 使われるなど、従来の「紙」のイメージとは大きく飛躍した材料へと変貌し
 ているのです
 
 
 現代の先端科学をもってしても、解明し切れていない伝統技術の可能性。
 
 その可能性を、最新の材料技術などと融合させることが、世界に衝撃を与え
 る、ものづくりの「ジャパン・インパクト」となるのです。

-----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 日本刀の形が整った硬さと耐久性を高め、切れ味を良くするためにするのが
 「焼き入れ」だ。
 
 鋼の性質に従って、ある温度までに熱した材料を、水に入れ、急速に冷やす
 操作である。
 
 鋼の温度をどこまで上げるかは、刃物の仕上がりを大きく左右する。
 
 同じ鋼でも、温度によって結晶の構造がまったく異なるからだ。
 
 
 摂氏650℃くらいの低い温度で焼き入れすると、刃物としては柔らか過ぎ、
 簡単に曲がってしまう。
 
 770℃くらいにすると、刃物としてちょうどいい硬さに仕上がっていて、ほぼ
 適切な焼き入れ温度である。
 
 温度が950℃を超えた場合、鋼はさらに硬くなるけれど、もろく弱くなってい
 る。
 
 焼き入れ温度としてやや高い、温度が1,000℃を超えて焼き入れすると鋼は極
 端にもろくなってしまう。
 もう、刃物としては使えない。
 
 こうしたことから、この鋼の適正な焼き入れ温度は、750℃から780℃という
 ことが分かる。
 
 職人は、これらの焼き入れ温度を全て火の色で見分けてしまうのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 「伝統」とは、カイゼンの歴史だ。
 現在の結果から、プロセスを紐解こう。
 
 伝統の技を、センシングしよう。
 再現可能な技術として、再構築すれば廃れない。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
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 第1章 漆をモデルに新塗料を開発
 第2章 和紙づくりの技が生んだハイテク
 第3章 電子産業を支える金箔技術
 第4章 磁器が宇宙開発の素材に
 第5章 日本刀の技術が生んだハイテク包丁
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・出版社 NHK出版
 ・アマゾン 『ジャパンインパクト』

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