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April 18, 2007

組織を強くする技術の伝え方

Sosikiwotuyokusuru
 【今週の一冊】
 ●『組織を強くする技術の伝え方』

  著:畑村 洋太郎(講談社)
  2006.12 / ¥735

----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----

 ◆ 燃える一言 ◆

 『技術は、要求される機能や制約条件の変化によって、
 
             時代と共にダイナミックに変化します。
 
    しかしその本質部分がきちんと伝わらないと、
 
                 大きな変化にも対応ができないのです』

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 数年前から「ものづくりの現場の危機」と目されてきた「2007年問題」。
 
 これまで現場を支えてきた、いわゆる「団塊の世代」が退職を迎えることで、
 技術が伝わらずに途絶えてしまうことが危惧され、また頻発する品質問題な
 どの形で表面化しています。
 
 しかし、「技術の伝達」は、なにも今年だけの問題ではなく、人事異動や新
 人の研修、生産の海外移転や技術導入など、複数の人が「技術」に携わる限
 り、絶え間なく発生している課題です。
 
 
 本書では、技術を「正しく」伝えるためのポイントを、5つにまとめて示し
 ています。
 
 一つ目は「まず体験させろ」。
 
 うまくいくコツ、方法を教える前に、まずやらせてみるのです。
 
 当然最初はうまくいきませんが、それによりもっと知りたい、できるように
 なりたいと、受け手の頭の中に受け入れの素地が出来上がれば、その後の伝
 達がスムーズに進むのです。
 
 
 二つ目は「はじめに全体を見せろ」。
 
 これは最初からすべてを理解させるという意味ではなく、自分がこれから学
 ぶことの全体の中での役割を意識させるためです。
 
 「自分が何のために学ぶか」を知ることで、モチベーションが上がり、これ
 も「受け入れの素地」を作ることに役立つのです。
 
 
 三つ目が「やらせたことの結果を必ず確認しろ」です。
 
 多くの場合、伝える側は何らかの方法で技術を伝達したら、「これで自分の
 役割は終わった」と思い込み、理解できないのは相手の責任と考えます。
 
 しかし、「伝える」とは、相手が伝えた内容と同じ行動がとれるかどうか、
 その結果でしか判断できません。
 
 だから結果を確認し、良ければ褒め、悪ければ、伝える側の問題点も含めて
 検証する必要があります。
 
 
 四つ目のポイントは「一度に全部を伝える必要はない」。
 
 知識には階層性があり、吸収できる素地もレベルによって異なるので、相手
 のレベルに応じたやり方をすべきです。
 
 そして最後は「個はそれぞれ違うことを認めろ」です。
 
 これは意外に伝える側に意識されていませんが、伝える側の論理だけで伝達
 を行っている限り、知識が正しく伝わることはありません。
 
 そのためには、技術を伝えたい相手の状態をじっくり観察することから行わ
 なくてはならないのです。
 
 
 著者の畑村教授が、「失敗学」を伝える活動を通してまとめた「技術の伝達
 法」は、今まさに技術者が身につけねばならない「基本スキル」であり、組
 織が有すべきツールといえるでしょう。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 有名な古典落語、「目黒のさんま」。
 
 あるとき目黒に鷹狩りに出かけた殿様、立ち寄った茶屋でさんまを初めて食
 べた。
 
 当時は庶民しか食べなかったさんまだが、脂が乗った旬の時期なら焼いただ
 けでも絶品だ。
 
 殿様、その美味が忘れられず、城に帰ってから家来にさんまを出すように命
 じる。
 
 しかし城の料理方は、殿様が食べるのだからと気を利かせてさんまの脂を抜
 き、食べやすく骨抜きして蒸し焼き状態で出した。
 
 そんなさんまが美味しいはずもなく、興ざめした殿様曰く、「さんまは目黒
 に限る」。
 
 
 多くの技術の現場で、これと似たことが起きている。
 
 料理方が「食べやすく」配慮をしているつもりだが、そのことがさんまを「
 おいしくないもの」にしているが如く、技術を伝える伝達者は、「わかりや
 すく」気を使ったつもりが「つまらないもの」にしてしまっている。
 
 「わかりやすいためには客観的でなくてはいけない」と思うあまり、話し自
 体を整理しすぎてつまらないものにして、結果として伝わらないものにして
 しまうのだ。
 
 注意すべきは、その知識を構成する要素や構造がきちんとあるかどうかであ
 って、それさえしっかりしていれば、大いに主観でものを語ったほうが良い
 のだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 「伝え方」よりも「受け心」を問題にせよ。
 伝えたい人が与えるのではなく、欲しい人がむしり取れ。
 
 「伝達量」よりも「伝達効率」を問題にせよ。
 ダラダラ同じことを繰り返して伝える時間は、もはやない。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 序章 「技術」とは何か
 第1章 なぜ伝えることが必要か
 第2章 伝えることの誤解
 第3章 伝えるために大切なこと
 第4章 伝える前に知っておくべきこと
 第5章 効果的な伝え方・伝わり方
 第6章 的確に伝える具体的手法
 第7章 一度に伝える「共有知」
 終章 技術の伝達と個人の成長
 「技術を伝える」を巡るおまけの章
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・著者 畑村 洋太郎
 ・出版社 講談社
 ・アマゾン 『組織を強くする技術の伝え方』
 
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Comments

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Posted by: Unsecured Business Loans | April 01, 2010 at 02:38 AM

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Posted by: Kissing Guide | February 17, 2011 at 05:17 PM

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