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June 29, 2007

千年、働いてきました

Sennenhataraite
 【今週の一冊】
 ●『千年、働いてきました』
  老舗企業大国ニッポン

  著:野村 進(角川書店)
  2006.11 / ¥740

----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----

 ◆ 燃える一言 ◆


 『ケータイという現代の「新しさ」の粋を集めた製品を
 
                  見えないところで支えているのは、
 
   実は「古くさい」と思われがちな老舗企業の力だと言ったら
 
                         言いすぎでしょうか』


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 「現存する、世界最古の会社」といえば、なんとなくイギリスやドイツなど
 ヨーロッパあたりにありそうな感じがします。
 
 しかし、実はここ日本にあります。
 
 しかも、その「創業」は、江戸時代でも、室町時代でも、平安時代でもあり
 ません。
 
 なんと・・「西暦578年」聖徳太子の飛鳥時代なのです!
 
 大阪の「金剛組」という建築会社で、難波の四天王寺を完成させたのが、最
 初の仕事だったとか。
 
 日本には実に10万社以上あると推定される、創業100年以上の「老舗」と
 言われる会社、その中の「ものづくり」企業にこだわった本書を紐解いてみ
 ましょう。
 
 
 冒頭の言のように、皆さんお持ちの「ケータイ」は、日本の老舗企業の底力
 なくしては、全く機能しないと言えるでしょう。
 
 例えば、二つ折り携帯の折り曲げ部分、電気メッキされた銅箔や、電磁波シ
 ールド用の銀入り塗料を作る「福田金属箔粉工業」の創業は、元禄時代、赤
 穂浪士の討ち入り2年前。
 
 もともと屏風や蒔絵に使われた、金箔や粉を作っていた福田金属は、「金属
 の箔や粉」という「コア・ミッション」から外れることなく生き延び、今の
 事業に結びついています。
 
 
 明治24年(1891年)設立の東洋通信機の流れを組むエプソントヨコムは、携
 帯電話の心臓部、「人工水晶」を世界最大手のノキアにも供給しています。
 
 天然物の水晶が数百万年かかるのに対し、エプソントヨコムの技術により数
 ヶ月で一度に3トンもの水晶が生産できるようになったのです。
 
 かつて軍艦や戦闘機に搭載される無線機を製造していた同社が、その技術を
 「より小さく、より安定したもの」へと突き詰めた末にたどり着いた技術が
 「人工水晶」の工業化だったのです。
 
 
 こうした「老舗」企業群の姿からは、変わらない偏屈な「静」のイメージで
 はなく、柔軟性と即応性の富んだ「動」の組織が見えてきます。
 
 しかし一方では、創業以来の家業の部分は、たとえ利益には直接結びつかず
 とも、頑なに守り抜く「頑固さ」も併せ持っています。
 
 バブル期に土地転がしや多角化によって消えていった企業とは、一線を画し
 ているのです。
 
 「会社の寿命は30年」と言われる中、脈々と受け継がれる「老舗」のもの
 づくりには、学ぶべき「技術」と「哲学」が流れています。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 液体窒素の零下196度の世界に一週間放置されても、90度の熱湯に一時間漬け
 ても、純度100%のエチルアルコールに1週間入れても、はたまた17年間も乾
 燥したままであっても「死なない」生き物がいる。
 
 「ネムリユスリカ」をいうアフリカ中部に住む蚊の一種だ。
 
 その驚異的な生命力の最大の理由が、「トレハロース」という糖を自分の体
 内で作り出し、一つ一つの細胞を守っているからだ。
 
 
 この「トレハロース」の大量生産に世界で初めて成功したのが、創業123年の
 「林原」である。
 
 甘味だけではなく、乾燥や冷凍にも強い特長を生かして、菓子類はもとより、
 様々な食品の砂糖やブドウ糖が、近年トレハロースに置き換わっている。
 
 トレハロース自体は昔から発見されてはいたが、抽出が極めて難しく、「夢
 の糖」とまで言われていた。
 
 その量産化に林原が成功したのは、同族経営の老舗企業の強みである、長期
 的でハイリスク・ハイリターンな研究開発に投資ができたお陰だと言えるだ
 ろう。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 あなたの仕事の「コア・ミッション」は何だろう。
 目先の利益ではない、「利他」の使命でなければ100年は続かない。
 
 軸足を据えて、もう片足を広げよう。
 じっとしたままでは進歩はないが、一足飛びでは進めない。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎

 プロローグ 手のひらのケータイから
 第1章 老舗企業大国ニッポン
 第2章 ケータイに生きる老舗企業の知恵
 第3章 敗者復活
 第4章 日本型バイオテクノロジーの発明
 第5章 “和風”の長い旅
 第6章 町工場 ミクロの闘い
 第7章 地域の“顔”になった老舗企業
 エピローグ 世界最古の会社は死なず
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・金剛組
 ・福田金属箔粉工業 金属粉末、箔
 ・エプソントヨコム 水晶デバイス
 ・林原 トレハロース
 ・出版社 角川書店
 ・アマゾン 『千年、働いてきました』
 
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June 27, 2007

未来を創る力「ものづくり」のすすめ

Miraiwotukurutikara
 【今週の一冊】
 ●『未来を創る力「ものづくり」のすすめ』

  著:梅原 猛,西沢 潤一,永 六輔,野田 一夫 (講談社)
  2002.12 / ¥1,575

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『人間というのは、あまりしょっちゅう道を踏み間違えては
                          いないわけです。
 
   ちょっと失敗したというようなことが、後になって必ず生きてくる。
   
    人生においては、失敗の体験を次に生かすことが実は大事なのです』

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 ※本記事は07/4/4発行のメルマガの内容です。

 新年度を迎え、新たな社会人として社長や先輩の訓示を受けた方も多くいる
 ことでしょう。
 
 ウン十年前に、かつて「新人」であった方も含め、桜舞い散る新たな門出の
 とき、改めて「ものづくり」の意義を確認する良い機会です。
 
 日本を代表する文化人の方々に、熱く「ものづくり」の素晴らしさを語って
 頂きましょう。
 
 
 全国を旅し、各地の職人と交流が深い永六輔氏は、「計量法反対運動」に乗
 り出したことがあります。
 
 尺貫法からメートル法に改定したこの法律では、定規や升を製造販売するこ
 とに懲役や罰金という「罰則規定」を定めていました。
 
 このため例えば大工道具である「曲尺(かねじゃく)」が職人の手に入らな
 くなったため、永氏は曲尺を堂々と「密造」し、それを各地の警察署に「自
 首」して回る、という運動に乗り出したのです。
 
 この悪法はその後改定されるようになりましたが、その間、肝心の職人さん
 達が自ら声を上げ、意見を言うことがありませんでした。
 
 また、職人の仕事は、一人で完結するものではなく、道具を作る人、更にそ
 の道具の材料を作る人が連綿とつながっていますが、その一部が欠けたがた
 めに、絶滅の危機に瀕している「職人技」が多数あります。
 
 こうした経験から、職人が立ち上がり、横のつながりを持つためのネットワ
 ークづくりを提言しています。
 
 
 ダイオードや半導体レーザー、光ファイバーという光通信に欠かせない技術
 を一人で考案し、実用化の糸口を開いた西澤潤一氏は、「独創性」の大切さ
 を叫びます。
 
 トランジスタの発明の際、実験材料も乏しい中で西澤氏が取った方法は、「
 午前中はしゃにむに論文を読め。午後になったら、何が何でもとにかく実験
 を繰り返せ。夜になったら、昼間にかせぎためた実験結果を整理してみる」
 という、とある先生の教えの実践でした。
 
 「なぜだろう」ということをとことん突き詰めていくと、論文の一つひとつ
 に直接の答えはなくとも、「ははん」と思う一節に巡り合い、大きな発見の
 きっかけとなったと言います。
 
 「できないことをできないと証明するのは難しい。根拠なしにできないと言
 うな!失敗など恐れずおやりなさい」と、氏は若き研究者、技術者へメッセ
 ージを送っています。
 
 
 その他、「経営とものづくり」を語る野田一夫氏、そして思想家 梅原猛氏と
 いう日本を代表する文化人による、「ものつくり大学」での講義内容をまと
 めた本書は、新人のみならず、我らエンジニアの襟を正す示唆に富んでいま
 す。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 太平洋の底に沈められ、世界の通信をつなぐ「光ファイバーケーブル」。
 
 1本20μmのガラス繊維を束ねて、プラスチックのようなもので覆って海底
 に沈められているが、実際に通信を始めようとすると「事故」が起きた。
 
 そのケーブルをサメが噛み切ってしまったのだ。
 
 そこでいろいろと調べて、サメが嫌いな材料は何かを試験を繰り返し、よう
 やくサメの嗜好に「合わない」材料を見つけた。
 
 近代的な光通信においても、最後まで問題になったのは、極めて原始的とい
 ってもいい問題だったのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 「職人技」は守らねばならないが、「職人気質」だけでは続かない。
 後進の育成を含めて、ネットワークを構築せよ。
 
 「できる、できる、必ずできる!!」
 ひたすら唱えて、一つ所に命を懸けよ。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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 伝えたい職人の技と心意気(永六輔)
 独創性ある人、出でよ(西沢潤一)
 経営というものづくり(野田一夫)
 ものづくりは日本の誇り(梅原猛)
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・ものつくり大学
 ・出版社 講談社
 ・アマゾン 『未来を創る力「ものづくり」のすすめ』
 
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June 13, 2007

操縦マニア!

Soujyumania
 【今週の一冊】
 ●『操縦マニア!』

  編:三推社出版部(三推社)
  2006.12 / ¥1,950

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 ◆ 燃える一言 ◆


 『ふつうでは行けない場所で使われたり
                 ユニークな使われ方をする乗り物は、
 
       いろんなアイデアが詰まったオモチャ箱のような機械だった』


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 某社の車輪の出てこないヒコーキを無事着陸させたパイロットの腕前には驚
 きましたが、その際、テレビで放映されていた飛行機の操縦方法に興味を持
 たれた方も多いでしょう。
 
 本書にはそんな普段とても扱うことのできないような乗り物の構造と操縦方
 法が、図解をふんだんに駆使して紹介されています。
 
 
 例えばジャンボジェットの最新鋭機、エアバスA380は、さぞや複雑な操縦方
 法になっているかと思いきや、まるで「ゲーム」のようにスティック一つで
 指示すれば、細かな制御は不要となっています。
 
 これはFBW(フライ・バイ・ワイヤ)と呼ばれる、パイロットの指示をコ
 ンピュータで処理した結果を電気的に伝えるシステムの賜物です。
 
 むしろパイロットの重要な仕事は、演算のための各種データを入力する手順
 や数字の選び方にあると言えます。
 
 
 更に「特殊」な飛行機といえば、戦闘機です。
 
 F-16などの新しい機体は、こちらもFBWが導入され、パイロットの負担は
 減っているそうですが、本書に取り上げられたF-15は高性能機でありながら、
 その操縦は「パイロットまかせ」です。
 
 前面のパネルに散りばめられた計器で一瞬に判断し、指一本一本に割り当て
 られたスイッチ類を駆使してコントロールし、しかも一般人なら気を失うほ
 どの急加減速を繰り返すのですから、正気の沙汰とは思えません。
 
 
 同じく操縦者のテクニックに大きく依存する究極の乗り物といえば、F1カー
 もその一つです。
 
 わずか5.2秒で停止状態から時速200キロまで加速するモンスターマシンです
 が、操作方法自体はシンプルで、足元にはアクセルとブレーキがあるのみで、
 クラッチ操作はほぼ自動であり、シフトチェンジも手元のスイッチでできま
 す。
 
 操作するスイッチ類も全てステアリングに配置され、中には押すと飲み物が
 出てくる「ドリンクボタン」まであります。
 
 また「パワーステアリング」も付いていますが、これはステアリングを軽く
 するためではなく、コーナリングで一度切ったステアリングが横Gの強い力
 で押し戻されるのを抑えるためのもので、やはり「特殊」な世界です。
 
 
 もう少し日常に近い、変わった乗り物では「DMV(デュアルモードビーク
 ル)なんていかがでしょう。
 
 これは道路でも線路でも走れる、バスと電車が一緒になったような乗り物で、
 線路走行に切り替えるには、導入部で車体を線路に合わせて位置決めし、前
 後にガイド用の鉄輪を出して走行します。
 
 ちょうどこの4月から北海道で試験導入されますので、ニュースなどで目に
 する機会もあることでしょう。
 
 
 そのほか、砕氷船や飛行艇、戦車やスペースシャトルといった特殊な機体か
 ら、タクシーや馬車に至るまで、ありとあらゆる「乗り物」の運転を感じる
 ことができる、「見て」楽しい一冊です。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 重量108トンの本物の電気機関車を、誰でも運転できるところがある。
 
 子供から鉄道ファンまでが楽しめる鉄道のテーマパークである、群馬県にあ
 る「碓氷峠鉄道文化むら」だ。
 
 本物のEF63形電気機関車の運転体験が可能で、運転体験を重ねると、連結体
 験や重連推進運転なども体験できるのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 身近な乗り物も、その構造を理解して運転しているだろうか。
 自転車や自動車の機構を、覗いてみよう。
 
 使う人が使いやすいことが、機械の安全につながる。
 作りやすさの前に使いやすさを考えた「ものづくり」をせよ。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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 1 身近な乗り物(ジェット旅客機、新幹線 ほか)
 2 憧れのハイテクマシン(戦闘機、ヘリコプター ほか)
 3 気になる特種な乗り物(飛行艇、深海探査船 ほか)
 4 ものづくり・作業機械(トラック、油圧ショベル ほか)
 5 自然まかせのアナログ乗り物(馬車、パラグライダー ほか)
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・電気機関車 碓氷峠鉄道文化むら
 ・出版社 三推社
 ・アマゾン 『操縦マニア!』
 
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June 08, 2007

手作りですが精度はミクロン単位です

Tedukuridesugaseidohamikuron
 【今週の一冊】
 ●『手作りですが精度はミクロン単位です』
  世界を制するオンリーワン中小企業

  著:木村 元紀 編:みずほ総合研究所(洋泉社)
  2007.2 / ¥1,680

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『モノづくりの本質は、高度な基盤技術と技能を持った
 
    中堅・中小企業の細部にこそ宿る―そう言っても過言ではあるまい。
 
   生産現場は絶えず自己変革をし、競争条件の変化を乗り越えようと
 
                      弛まない努力を続けている。
 
       その蓄積が、日本の製造業の未来を担っていくことになる。』

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 ※本記事は07/3/21発行のメルマガの内容です。

 大手メーカーの春闘の結果が出揃い、前年を上回る給与賞与で妥結したと報
 道されています。
 
 これに対し、中小企業では「いざなぎ超え」の景気回復は実感がなく、格差
 が広がっている・・というのがどこかの政党の掛け声にもなっています。
 
 確かに大企業の収益力は突出していますが、本書に挙げた19の中小企業は、
 いずれも業績は伸びています。
 
 その「突破力」がどこにあるのか、ちょっと覗いてみましょう。
 
 
 長野県の「アールエフ」が開発した「NORIKA3」は、風邪薬のように飲み込み、
 消化器を通って排泄されるまでの7~8時間に渡って体内の様子を撮影、リ
 アルタイムでモニターできる内視鏡です。
 
 イスラエル製の同様なカプセル内視鏡がバッテリー内蔵で1秒に2コマの静
 止画しか撮影できないのに対し、「NORIKA3」は30コマ/秒の動画撮影が可能
 です。
 
 この高機能の秘密は、カプセルへの電力供給を体外から無線で行うことがで
 きる点にあります。
 
 更に、カプセルの駆動も、極小のモータをカプセルに内蔵するのではなく、
 体外の電磁石に対してカプセルを「回転子」とするユニークな構造で実現し
 ています。
 
 「新しい製品を作るとき、壁にぶつかったら、その分野の掟を破ることで突
 破口が開かれる」という丸山社長の発想こそ、同社成長の原動力です。
 
 
 板金に小径穴を多数打ち抜いた「パンチングメタル」は、物質の分離・濾過
 ・粉砕・脱水などに活用されます。
 
 常識的には穴径は板厚と同等までが限界とされていますが、「布引製作所」
 では最大166%(2mmの板厚に1.2mmの穴径)まで可能にしています。
 
 最小の穴径は0.25mm、幅200mmに500本ものピン状のパンチが埋め込まれた金
 型は圧巻ですが、驚くのはその受け側となる無数に穴の空いたダイの加工は、
 最新鋭の工作機械ではなく、改良した「ボール盤」。
 
 NC機ではドリルが折損するまで気が付きませんが、ボール盤を使って作業
 者が目と耳と手先の感覚でドリルの切れ味を「感じ」、再研磨・調整するこ
 とで高精度な穴あけを実現しているのです。
 
 
 こうしたオンリーワン技術は、ハイテクよりもアナログな「職人技」こそ中
 小企業に適していると筆者らは指摘しますが、それができる企業は限られる
 でしょう。
 
 ならば、「普通の中小企業」は地域密着の仕事、つまり「食」「住」「環境
 」「福祉」こそが生き残る道だと説きます。
 
 元気な中小企業を鑑として、自社の「コア」と「食住環福」を掛け合わせる
 ことが、生き残りのヒントとなるでしょう。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 本書のタイトルにもある「ミクロン(1/1000mm)」以下の精度で粉粒体の形状
 を加工したり、表面処理をする技術がある。
 
 例えば、UVカットファンデーションには、紫外線吸収効果の高い二酸化チ
 タンが配合されているが、粒径が0.1μmになると毛穴に入り込んでしまう。
 
 そこで10μm程度のナイロンの粒子の表面に二酸化チタンをコーティングす
 ることで、その機能を引き出しているのだ。
 
 こうした粉粒体処理装置を製造しているのが大田区の奈良機械製作所だ。
 
 粉体を機械的に粉砕する方法には「たたく、つぶす、擦る、切る」をいう4
 つの原理があるが、これらでは0.1~0.5μmが限度だ。
 
 そこでより細かいナノ粒子を作る方法として開発されたのが「レーザーアブ
 レーション・システム」である。
 
 ハード面では特段斬新な技術が採用されているわけではないが、オリジナリ
 ティが発揮されているのは、各要素をシステム化するための総合的なエンジ
 ニアリング力だ。

───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 「理科」で学ぶ原理原則にこそチャンスあり。
 単純な精密化・微細化ではない、発想の転換が突破力になる。
 
 「格差」「弱者」と呼ばれることに甘んじるな。
 中小企業に適した市場は、必ずある。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 第1章 世界を制する研究・技術開発力
 第2章 深化するコア技術―コア技術を磨き、高付加価値を極める
 第3章 オンリーワンの熟ワザ
 第4章 常識を覆す“顧客対応・生産技術”革命
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・アールエフ カプセル内視鏡Sayaka
 ・布引製作所 パンチングメタル
 ・奈良機械製作所 レーザーアブレーション・システム
 ・出版社 洋泉社
 ・アマゾン 『手作りですが精度はミクロン単位です』
 
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