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July 20, 2007

フェラーリと鉄瓶

Ferarritotetsubin
 【今週の一冊】
 ●『フェラーリと鉄瓶』
  一本の線から生まれる「価値あるものづくり」

  著:奥山 清行(PHP研究所)
  2007.3 / ¥1,365

----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----

 ◆ 燃える一言 ◆

 『ものを通して人を感動させるというのは、
 
            ものづくりに携わる人にとって究極の成果です。
            
    買ってくれたものを通して、自分が直接会うことのないお客さんに
    
                   言葉ではないメッセージが伝わる。
  
  これが作り手にとってとても重要なことだし、
  
                  ものすごく幸せなことだと思います』

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 フェラーリが創立55周年記念として世に送り出した、創業者の名を冠した
 クルマ「エンツォ・フェラーリ」。
 
 市販価格7,500万円、限定生産399台!
 650馬力、最高速度350キロ以上!
 
 ・・という色々な意味で「バケモノ」のようなこのマシンを、一人の日本人
 がデザインしたことはご存知でしょうか。
 
 イタリアのカーデザイン工房で八面六臂の活躍をされた筆者が語る、ものづ
 くりとデザインの関係について、耳を傾けてみましょう。
 
 
 カーデザインと言うと、新車の発表時に出てくる、あのラフなイラストを描
 いて形の概略を決めるだけの仕事、と思いがちです。
 
 しかし「絵」は開発の手段として存在するのであり、それだけがデザイナー
 の仕事ではありません。
 
 例えば8人乗りの乗用車を開発する場合、人間を長さ5メートル、幅1.8メー
 トルの箱の中に乗せるにはどうしたらいいか、8人分の荷物をどこに積むか、
 真ん中の席の人は窓を開けたいと思うかどうか、後ろの席までエアコンの冷
 気が届くか、それを150万円以内で作るにはどんなことが必要か―
 
 等々の要素を全て出し、それをまとめて設計するのが「デザイン」の仕事な
 のです。
 
 
 つまり、カーデザイナーは設計者やエンジニアと「対立」する立場ではなく、
 船頭のようにプロジェクトの舵取り役を担っているのです。
 
 もちろん、デザイナーは自動車の全ての要素について専門家ではありません
 し、その必要もありません。
 
 一方、クセのある専門家達の見解を聞き、矛盾する意見の山をかき分けて、
 整理しながら進める「コミニュケーション能力」や、トップやクライアント
 に対する「プレゼンテーション能力」がデザイナーには必要です。
 
 ですから、7,500万円の名車をも生み出す、あのたった一枚の「デザインスケ
 ッチ」の後ろには、何千枚の試行錯誤と、何年もの格闘があるのです。
 
 
 現在、地元の山形に帰り、地場産業のデザインを請け負う事務所を開いてい
 る著者は、「イタリアでフェラーリを作るのも、山形で工業製品を作るのも
 根本は一緒」と語ります。
 
 曰く、「未来のお客さんのために、一生懸命にアイデアを出して、スケッチ
 を描いて、職人さんたちと議論しながらものを作っていく」のだと。
 
 世界最高のデザイナーの一人が日本人であることを誇りとし、彼の開発型の
 ものづくりに学びましょう。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 世界中の自動車メーカーで新しいモデルを開発するときには、粘土の実物大
 模型を作るのが普通だ。
 
 しかし粘土は簡単に盛ったり削ったりできるので、結構いい加減に始めてし
 まいがちだ。
 
 適当に作って、後で修正すればいいやと思うからだ。
 
 
 「エンツォ・フェラーリ」を作ったとき、試作モデルに使ったのは粘土では
 なく「エポウッド」という材料だった。
 
 これはエポキシ樹脂でできた硬い素材で、ノコギリとノミとカンナとサンド
 ペーパーで加工する。
 
 つまり、「真剣勝負」が要求される素材なのだ。
 
 きっちり下準備をしてから硬い素材を削っていき、作り始めたら、もう変更
 はきかない、という姿勢だ。
 
 そういう緊張感の中で仕事をすることが、いいものを作るための条件になっ
 ているのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 フェラーリの赤は、ワインやポモドーロの赤ではない。
 亡くなったドライバーや、デザイナーの努力の「血の色」なのだ。
 
 デザイナーのアイデア創出の道具は「言葉」と「手」だ。
 手を動かし、議論を深めることで、アイデアのレベルを上げていこう。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 第1章 カーデザインで諸国を遍歴
 第2章 日本人の知らないイタリア
 第3章 イタリアのものづくりに学ぶ
 第4章 コミニュケーションとしてのデザイン
 第5章 なぜフェラーリは高くても売れるのか
 第6章 クリエイティブであり続けるために
 第7章 カロッツェリア的ものづくりへの挑戦
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・著者 奥山清行
 ・出版社 PHP研究所
 ・アマゾン 『フェラーリと鉄瓶』
 
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July 04, 2007

我らクレイジー☆エンジニア主義

Wareracrazyengineersyugi
 【今週の一冊】
 ●『我らクレイジー☆エンジニア主義』

  編:リクナビNEXT Tech総研(講談社)
  2007.1 / ¥1,680

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 ◆ 燃える一言 ◆


 『私は生まれ変わっても、エンジニアになりたいです。
 
   だって、欲しいものがあれば、自分でつくれるのがエンジニアだから。
   
     誰かがつくってくれるのを待っている必要はない。
     
                    自分でつくれてしまえるんです』


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 NHKの「プロフェッショナル」は、やまさんの好きな数少ない番組の一つ
 ですが、最近火曜日夜に時間帯が変わってちょっと残念。
 
 (なぜって?まあ、メルマガをもっと早く書けば良いだけなんですが・・)
 
 あの番組の中でも登場した、「タンジブル」の石井教授や、これまで「燃え
 る100冊」で紹介した、恒星500万個プラネタリウムの大平貴之氏、ロボット
 デザイナーの高橋智隆氏など、現在の日本で最も「突き抜けた」プロフェッ
 ショナル・エンジニア15名のインタビューがまとめられています。
 
 
 一見、人間と見紛う精巧な「アンドロイド」を生み、ロボットと人間のコミ
 ニュケーションを研究する石黒浩氏。
 
 表面的に人間に「似せる」のではなく、「人間とは何か」という哲学的なア
 プローチが独自の研究に繋がっています。
 
 氏は、「開発予算がないから新しいことが出来ない!」と嘆く研究者に、「
 今、目の前に1億円ポンと詰まれて、新しいことをやれといわれて、すぐに
 できるだけの準備をしておけ」とアドバイスします。
 
 お金があることと、ちゃんと技術ができるかは、全く別問題であり、切り離
 して結果を出すのがエンジニアなのです。
 
 
 電車に乗るときも、食事中も、講義のときにも一日中、額にヘッド・マウン
 ト・ディスプレイ(HMD)を付けて生活している塚本教授は、人呼んで「
 ウェアラブルの伝道師」。
 
 「来年こそ流行する!」と予言し続けながら、自ら広告塔になって普及を狙
 う姿は特異ですが、彼が10年前に「10年後、歩きながらコンピューターを使
 うようになる」と予言した言葉は、現在ノートPC、ケータイとなり現実の
 ものとなっています。
 
 「HMD?ああ、知ってるよ」と軽く流そうとする向きは多くても、実際に
 見て、触って、装着してみた人はどれだけあるでしょうか。
 
 開発者にとって恐ろしいのは「評論家」になってしまうことであり、評論だ
 けでは、新しいものは生まれません。
 
 「10年先どうなるか」を語る占い師は未来はつくれません。
 「こうしよう!」と、自分が未来を決めるのが、我らエンジニアなのです。
 
 
 「苦しかったときは?」という問いかけに、トップエンジニア達は、口をそ
 ろえて「苦しいと思ったときなどない。好きなことができて楽しい!」と答
 えます。
 
 彼らのような燃えるエンジニアを「クレイジーエンジニア」と呼ぶならば、
 喜んで「クレイジー」になろうじゃありませんか!

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 慶応大学で、時速370キロの8輪駆動車「Eliica」を作った清水教授。
 
 かつて彼がレーザーレーダーの開発をしていた時のこと。
 
 
 重要な研究テーマは、「どこまで遠い大気中の状況が見られるか」。
 
 遠くなるほど測定が難しくなるため、誰もがレーザーパワーを上げることに
 必死で取り組んだ。
 
 これを10倍にすることはとんでもなく大変なことだ。
 
 しかし、レーザーの光を大気中の分子や粒子に当てて跳ね返ってくる光を受
 信する望遠鏡を大きくすることでも遠くまで測定することが可能だった。
 
 面積10倍の望遠鏡を作ることは、レーザーパワーを10倍にすることに比べて
 容易だった。
 
 この方法で、教授は世界で一番遠くまで測定できる装置を開発した。
 
 
 誰もが考えれば分かることだが、発想が縛られてしまうと思いつかない。
 
 自動車のエンジンから開放された電気自動車のアイデアも、清水教授らしい
 発想から生まれたのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 「ワクワク」「ドキドキ」の、寝食忘れるものづくりをしているか。
 自分が楽しいものでなければ、人を感動させることはできない。
 
 朱に交われば、赤くなる。
 烏合の衆から飛び出し、トップエンジニアの生きざまに学べ。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 01 石井裕  39歳でMIT教授に転身。まったくのゼロから創造した「タンジ
        ブル」の世界
 02 石黒浩  自分そっくりロボットに世界が驚愕。「人間とは何か」求め
        てアンドロイド開発
 03 稲見昌彦 SFアニメが鍵。透明人間を実現した「光学迷彩」でインター
        フェース革命
 04 内山太郎 度肝抜く空中立体映像。「日の当たらない研究」が次世代広
        告媒体を生む
 05 大平貴之 たった一人で恒星数500万個のプラネタリウム。すべてケタ
        外れに考える
 06 小濱泰昭 飛行機で新幹線。時速500キロの未来列車「エアロトレイン」
        という発想
 07 山海嘉之 人体密着型ロボットスーツが実用化へ。医療分野にも広がる
        ビジネスビジョン
 08 清水浩  世界最速、時速370キロ。8輪駆動のクルマ「Eliica」の快感
        は加速感にあり
 09 高橋智隆 設計図なし。実家2階の寝室兼工房が舞台のクレージーなロボ
        ット製作現場
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        レイが未来を変える」
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         のエンジニア論
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 14 古田貴之 ロボット界の異才が仰天発想。8本足のクルマが手探りで段差
        、坂道を登る
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        屈の開発秘話
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