September 28, 2007

図面って、どない描くねん!LEVEL2

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 【今週の一冊】
 ●『図面って、どない描くねん!LEVEL2』
  現場設計者が教えるはじめての幾何公差

  著:山田 学(日刊工業新聞社)
  2007.4 / ¥2,310

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 ◆ 燃える一言 ◆


 『製図の目的は、意思の伝達である。
 
        意思の伝達に一義性を持たせるため、
 
               製図の作法を決めて守ることが重要である』


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 設計者の皆さん!「図面って、どない描いてます?」
 
 計画図(組み図)をバリバリ描いたら、「あとはばらすだけだ~」と安心し
 て、部品図の絵を作って、気の向くままに寸法線を入れていく。
 
 はめあいの公差は「H7」「g6」なんかを多用して、ドンドン書き進む。
 
 ここまでくればもう一息!表面粗さの指示を「12.5S」「6.3S」とかゴリゴリ
 記入すれば、はい一丁あがり!
 
 
 ・・って、なんか忘れていませんか?
 
 そう、「幾何公差」です。
 
 ここまでくると、CADをクリックする手がピタッと止まってしまい、おもむろ
 に過去の図面を引っ張り出して、なんとなく「円筒度」「平行度」を「0.01」
 にする・・。
 
 多かれ少なかれ、身に覚えのある方があるのではないでしょうか。
 
 
 これまで多くの現場では、軸にフランジ状の鍔がついた部品ならば、取り付
 け面の平面はきれいに仕上げて、軸は振れのないように加工するんだな・・
 と、作業者の「深読み」によって良い部品が作られてきました。
 
 しかし部品加工もグローバル調達が当たり前な昨今、暗黙の了解に頼った「
 ものづくり」はもはや通用しません。
 
 そしてISOでは「製品の幾何特性仕様(GPS)」が定義され、幾何公差のない
 図面は「図面として認められない」ことにまでなっています。
 
 この、これまで設計者が目をつぶってきた「幾何公差」を、1から教えてく
 れる頼もしい味方が本書です。
 
 
 幾何公差を設計者が使いこなすには、「この記号はどう使えばいいのか?」
 と記号に合わせて設計するのではなく、自分の意思(組立性への配慮、機能
 上の注意点)を表現する「ツール」として考えることです。
 
 例えば「円筒度」を指示すると、その円柱の「断面の真円度」「母線の真直
 度」「母線の平行度」の3つを同時に規制することができますが、その分、
 加工も検査も大変です。
 
 もし、テーパ状でもよいのであれば、「真直度」のみで表現することができ
 ますし、楕円で良ければ「平行度」で指示すれば無駄な不良を減らすことが
 できます。
 
 
 「設計意図から幾何公差の選択」は、設計の意図を徹底して検討する「手間
 」がかかりますが、それだけ机上で充実した設計が可能となり、「良い製品」
 につながります。
 
 これからのエンジニアにとって、避けて通るどころか、積極的に身につける
 べき「幾何公差」の考え方を、具体的事例と思考練習によって学べる、必携
 のテキストです。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 2つの穴を持つ部品と、それと同じピッチの2つのピンを持つ部品の組み立
 ては、互いにはめ合わされる形体の、実寸法と実際の幾何公差との間の関係
 に依存する。
 
 ピン径が最大で穴径が最小、かつピッチ(位置公差)が最大ならば組み立て
 の隙間は最小となり、逆の場合に最大となる。
 
 ならば、はまり合う部品の実寸法が許容範囲であれば、その余裕分は位置公
 差側に振り分けても組み立ては「可能」であり、無駄なNGを減らすことが
 できるはずだ。
 
 こうした考え方を取り入れた公差を「最大実体公差」という。
 
 これをうまく使うと、位置公差を全部寸法公差に割り当てて、「ゼロ位置公
 差」を指示することができる。
 
 公差がゼロなんてありえないと考えがちだが、逆に寸法公差を緩める効果が
 あるのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 作業者の「誠意」と「技能」に頼った図面は、もう通用しない。
 誰がどこで作っても、同じ部品が作れる図面を描こう。
 
 設計者は、加工と組み立て、検査方法を理解せよ。
 後工程が分かれば、複雑な幾何公差の「ありがたさ」も自ずと見えてくる。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 第1部 バラツキって、なんやねん!
 第2部 データムって、なんやねん!
 第3部 幾何特性って、なんやねん!
 第4部 形状公差って、どない使うねん!
 第5部 姿勢公差って、どない使うねん!
 第6部 位置公差って、どない使うねん!
 第7部 振れ公差って、どない使うねん!
 第8部 幾何公差の相互依存って、なんやねん!
 第9部 幾何公差を使ってみたいねん!
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・著者 ラブノーツ
 ・出版社 日刊工業新聞社
 ・アマゾン 『図面って、どない描くねん!LEVEL2』
 
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ものづくり経営学

Monodukurikeieigaku
 【今週の一冊】
 ●『ものづくり経営学』
  製造業を超える生産思想

  著:藤本 隆宏、東京大学21世紀COEものづくり経営研究(光文社)
  2007.3 / ¥1,260

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 ◆ 燃える一言 ◆


 『20世紀後半の日本企業が、培い確立した「擦り合わせ製品」における
 
   「ものづくり能力」という貴重な知的資産を、最大限に活かしながら、
   
       その上に、一部の欧米企業が持つ「戦略構築能力」を
     
           積み上げることでこそ、21世紀への展望が開ける』


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 「ものづくり」とは何か、と問われれば、その答え方は色々ありますが、筆
 者らは『要素技術をつなぎ、顧客に向かう「流れ」を作り、設計情報を盛り
 込んだ人工物によって顧客を満足させる経済活動』と定義します。
 
 つまり、「ものを作る」プロセスのみではなく、設計情報を人工物(製品)
 に乗せて、お客さんまで届けて価値を生む=満足させるまでの「流れ」全体
 を「ものづくり」と呼んでいます。
 
 
 日本の製造業が強みを発揮する「ものづくり」は、自動車に代表される「擦
 り合せのきいた設計情報を、生産現場で丹念にメディア(鋼板など)に転写
 する」擦り合わせ型の製品であるとされています。
 
 対して、パソコンシステに代表される、機能と構造が1対1で対応する「組
 み合わせ型」の製品については、近年は中国が得意としている「ものづくり
 」と言えるでしょう。
 
 このように、地域特性と製品の設計思想が「相性の良い製品」を選ぶことが、
 まずは競争優位を得るために必要ですが、ことはそう単純ではありません。
 
 
 たとえば、DVDレコーダーは、HDDやDVDドライブといったモジュラ
 ー部品の組合せであり、これら中間製品を組み合わせた典型的な「組み合わ
 せ型製品」です。
 
 しかし、階層を下って光ピックアップをみると、レンズ、レーザーダイオー
 ド、フォトディテクターなどの部品をきめ細かな擦り合わせで設計した部品
 といえます。
 
 また元々、DVDレコーダーの開発から量産が始まった時点では擦り合わせ
 型の製品であり、日本企業の独壇場であったのが、時間の経過と共に製品構
 造が「組み合わせ型」へ推移すると共に、シェアの急落が生じたのです。
 
 つまり製品の「階層」と「時間」により「擦り合わせ型」の日本企業の取る
 べき戦略が変化することが分かり、DVDレコーダーならば、キーデバイス
 である光ピックアップなどの部品供給に集中する、などが考えられます。
 
 
 更に、お客に「設計されたもの」を提供することを「広義のものづくり」と
 考えれば、サービス業も同じ尺度で考えることが可能です。
 
 すなわち、イトーヨーカドーなど小売業、郵便、医療、金融商品、あるいは
 製造業とサービス業の中間に当たるソフトウェア業や建築業にも当てはめる
 ことで、取るべき戦略が見えてきます。
 
 「ものづくり経営学」は今まさに立ち上がった試行的段階であり、未整理な
 部分もありますが、現在の「ものづくり」をこってりと俯瞰できる、興味深
 い一冊です。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 DVDレコーダーで日本製品が急速にシェアを落としている現象は、「いつ
 かきた道」だ。
 
 これまでもCD-ROM、CD-R、DVD-ROMなどで、繰り返し起き
 てきたことだ。
 
 デジタル製品は「擦り合わせ」要素がソフトウェアの中に取り込まれており、
 製品が「組み立て型」に推移しやすい傾向にある。
 
 このため、開発のオーバーヘッドを抱えた日本企業は、中国やASEAN各国との
 価格競争に負けてしまうのだ。
 
 これは日本企業特有の現象ではなく、かつてIBMがパソコン市場において
 コンパックやデルの台頭により凋落した姿と全く重なる。
 
 デジタル製品が抱える、共通のジレンマと言えよう。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 「資源がないからなんでも作って売れ」という貿易立国論は戦略に欠ける。
 製品の構造と地域性、時代に対応した「ものづくり戦略」が必要だ。
 
 「うちは特殊だから」とトヨタ方式を敬遠するな。
 「形」をまねるのではなく、「思想」を学べ。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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 ◎ 目 次 ◎
 第1部 ものづくり経営学総論
 第2部 ものづくり経営学各論
 第3部 非製造業のものづくり
 第4部 アジアのものづくり
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・著者 東京大学21世紀COEものづくり経営研究
 ・出版社 光文社
 ・アマゾン 『ものづくり経営学』
 
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August 03, 2007

モノづくりで150億円を生む独創発想術

Monodukuride150okuenn
 【今週の一冊】
 ●『モノづくりで150億円を生む独創発想術』

  著:中西 幹育(プレジデント社)
  2007.1 / ¥1,470

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 ◆ 燃える一言 ◆


 『失敗と挫折は、開発者にとって大切な経験である。
 
          失敗は肥やしになる。
 
                 いや、失敗を肥やしにするのである。』


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 スポーツシューズの靴底に埋めて衝撃を和らげる「αゲル」。
 
 20メートルの高さから「αゲル」の上に玉子を落としても割れないほどの衝
 撃吸収性能は、スペースシャトルの衝撃吸収材にも用いられました。
 
 身近なところでは、皆さんの手に握られたボールペンのグリップにも使われ
 ていますね。
 
 
 携帯電話やクルマのダッシュボードのような、曲面のプラスチック表面に、
 木目などのデザインを印刷する「曲面印刷」。
 
 今では様々な製品に用いられている技術ですが、30年前には「不可能」と考
 えられていた技術です。
 
 この「αゲル」と「曲面印刷」、何の関連性もなさそうな、しかしいずれも
 独創的で、「儲かる」技術を生み出したのは実は同一人物であり、本書の著
 者なのです。
 
 これら2大発明を筆頭として、氏の開発人生の中から導き出した、「独創」
 の秘訣を伺いましょう。
 
 
 αゲル発想のきっかけとなったのが、衝撃吸収材に思い悩んでいるうちに、
 熱を出して寝込んでしまった著者が、溶けた「アイスノン」の感触でした。
 
 早速、スーパーに並んだゲル状の食品―寒天、ゼリー、こんにゃく、プリン
 等々、片っ端から買い込んで、玉子を落とす実験をしたのです。
 
 すると最も優れた衝撃吸収性を示したのが「イチゴゼリー」であり、このゼ
 リーに似た素材を探して作られたのが「αゲル」だったのです。
 
 
 ・・とこのように書くと、いかにも「タナボタ」式にひらめいたり、ちょっ
 と実験して新素材が見つかったかのように思えますが、発想のプロセスを詳
 しく読み解けば、そんなエレガントなものではないと分かります。
 
 筆者は「発想力は感性、観察力、自問力、気力、体力、そして知力から構成
 される総合力だ」と説きます。
 
 発想の発火点はアイスノンの奇妙な感触に触れた「感性」でした。
 
 そこに自ら厨房に立ち、各地の市場を訪ね歩く程、素材に対して好奇心を持
 つ「観察力」と、学生時代、オリンピック候補にまでなったウェイトリフテ
 ィングで鍛えた「気力・体力」が加わり、独創が生まれたのです。
 
 
 こうして生まれた発想を形にするときには、あれこれ批判する前に、すぐさ
 ま得た情報を加工する「行動」に移すことが重要です。
 
 その際「特許公報」を活用し、先人達の膨大な特許の隙間を見つけ出そうと
 する探偵精神で、自らの独自性を付加していくのです。
 
 
 そして「ひらめく人」に終わらず、「ひらめいて、つくって、売る人」こそ
 開発を、そして人生を楽しく豊かにできると氏は説きます。
 
 自らの特許を数々のビジネスに育て上げたエジソンを師と仰ぐ著者が、発想
 力を身につけ、形にし、ビジネスに結びつける道筋を、誰にでも分かりやす
 く著した一冊です。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 衝撃吸収に、「イチゴゼリー」が適していることは分かった。
 
 しかしイチゴゼリーを衝撃吸収材にするわけにはいかない。
 
 筆者の関心事は、イチゴゼリーの分子構造に移った。
 
 そこで製造メーカーに熱心に尋ねると、研究所の技術者が丁寧に教えてくれ
 たお陰で、分子構造が網目状に絡み合っていることがポイントだと分かった
 のだ。
 
 
 一般の人にはイチゴゼリーは子供のおやつの一つにすぎない。
 
 この中に、スポーツシューズの靴底の衝撃吸収材から宇宙船の実験装置にま
 で使われるほどの、どんでもない情報が詰まっていると、知りながら食べて
 いる人など皆無だったはずだ。
 
 この瞬間から、イチゴゼリーは筆者にとっては、単なる食べ物ではなく、貴
 重な情報を満載した「モノ」となったのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 「誰でも発想の達人にはなれる」≠「何もしないで達人になれる」
 誰にでもできる、努力と創意と工夫を「実行」するかしないかだ。
 
 モノをモノとして見るな。
 モノについている情報を読み取ることが、発想を形にする第一歩だ。
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 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 ◎ 目 次 ◎
 第1部 発想力は、どうすれば身につくのか?
 第2部 発想力を、「形」にするには!?
 第3部 発想力を、ビジネスにするには!?
 第4部 特別補講
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・著者 中西 幹育
 ・出版社 プレジデント社
 ・アマゾン 『モノづくりで150億円を生む独創発想術』
 
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July 20, 2007

フェラーリと鉄瓶

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 【今週の一冊】
 ●『フェラーリと鉄瓶』
  一本の線から生まれる「価値あるものづくり」

  著:奥山 清行(PHP研究所)
  2007.3 / ¥1,365

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『ものを通して人を感動させるというのは、
 
            ものづくりに携わる人にとって究極の成果です。
            
    買ってくれたものを通して、自分が直接会うことのないお客さんに
    
                   言葉ではないメッセージが伝わる。
  
  これが作り手にとってとても重要なことだし、
  
                  ものすごく幸せなことだと思います』

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 フェラーリが創立55周年記念として世に送り出した、創業者の名を冠した
 クルマ「エンツォ・フェラーリ」。
 
 市販価格7,500万円、限定生産399台!
 650馬力、最高速度350キロ以上!
 
 ・・という色々な意味で「バケモノ」のようなこのマシンを、一人の日本人
 がデザインしたことはご存知でしょうか。
 
 イタリアのカーデザイン工房で八面六臂の活躍をされた筆者が語る、ものづ
 くりとデザインの関係について、耳を傾けてみましょう。
 
 
 カーデザインと言うと、新車の発表時に出てくる、あのラフなイラストを描
 いて形の概略を決めるだけの仕事、と思いがちです。
 
 しかし「絵」は開発の手段として存在するのであり、それだけがデザイナー
 の仕事ではありません。
 
 例えば8人乗りの乗用車を開発する場合、人間を長さ5メートル、幅1.8メー
 トルの箱の中に乗せるにはどうしたらいいか、8人分の荷物をどこに積むか、
 真ん中の席の人は窓を開けたいと思うかどうか、後ろの席までエアコンの冷
 気が届くか、それを150万円以内で作るにはどんなことが必要か―
 
 等々の要素を全て出し、それをまとめて設計するのが「デザイン」の仕事な
 のです。
 
 
 つまり、カーデザイナーは設計者やエンジニアと「対立」する立場ではなく、
 船頭のようにプロジェクトの舵取り役を担っているのです。
 
 もちろん、デザイナーは自動車の全ての要素について専門家ではありません
 し、その必要もありません。
 
 一方、クセのある専門家達の見解を聞き、矛盾する意見の山をかき分けて、
 整理しながら進める「コミニュケーション能力」や、トップやクライアント
 に対する「プレゼンテーション能力」がデザイナーには必要です。
 
 ですから、7,500万円の名車をも生み出す、あのたった一枚の「デザインスケ
 ッチ」の後ろには、何千枚の試行錯誤と、何年もの格闘があるのです。
 
 
 現在、地元の山形に帰り、地場産業のデザインを請け負う事務所を開いてい
 る著者は、「イタリアでフェラーリを作るのも、山形で工業製品を作るのも
 根本は一緒」と語ります。
 
 曰く、「未来のお客さんのために、一生懸命にアイデアを出して、スケッチ
 を描いて、職人さんたちと議論しながらものを作っていく」のだと。
 
 世界最高のデザイナーの一人が日本人であることを誇りとし、彼の開発型の
 ものづくりに学びましょう。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 世界中の自動車メーカーで新しいモデルを開発するときには、粘土の実物大
 模型を作るのが普通だ。
 
 しかし粘土は簡単に盛ったり削ったりできるので、結構いい加減に始めてし
 まいがちだ。
 
 適当に作って、後で修正すればいいやと思うからだ。
 
 
 「エンツォ・フェラーリ」を作ったとき、試作モデルに使ったのは粘土では
 なく「エポウッド」という材料だった。
 
 これはエポキシ樹脂でできた硬い素材で、ノコギリとノミとカンナとサンド
 ペーパーで加工する。
 
 つまり、「真剣勝負」が要求される素材なのだ。
 
 きっちり下準備をしてから硬い素材を削っていき、作り始めたら、もう変更
 はきかない、という姿勢だ。
 
 そういう緊張感の中で仕事をすることが、いいものを作るための条件になっ
 ているのだ。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 フェラーリの赤は、ワインやポモドーロの赤ではない。
 亡くなったドライバーや、デザイナーの努力の「血の色」なのだ。
 
 デザイナーのアイデア創出の道具は「言葉」と「手」だ。
 手を動かし、議論を深めることで、アイデアのレベルを上げていこう。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 ◎ 目 次 ◎
 第1章 カーデザインで諸国を遍歴
 第2章 日本人の知らないイタリア
 第3章 イタリアのものづくりに学ぶ
 第4章 コミニュケーションとしてのデザイン
 第5章 なぜフェラーリは高くても売れるのか
 第6章 クリエイティブであり続けるために
 第7章 カロッツェリア的ものづくりへの挑戦
-----------------------------------
 ◆ 関連ページ ◆
 ・著者 奥山清行
 ・出版社 PHP研究所
 ・アマゾン 『フェラーリと鉄瓶』
 
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July 04, 2007

我らクレイジー☆エンジニア主義

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 【今週の一冊】
 ●『我らクレイジー☆エンジニア主義』

  編:リクナビNEXT Tech総研(講談社)
  2007.1 / ¥1,680

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 ◆ 燃える一言 ◆


 『私は生まれ変わっても、エンジニアになりたいです。
 
   だって、欲しいものがあれば、自分でつくれるのがエンジニアだから。
   
     誰かがつくってくれるのを待っている必要はない。
     
                    自分でつくれてしまえるんです』


-----------------------------------

 NHKの「プロフェッショナル」は、やまさんの好きな数少ない番組の一つ
 ですが、最近火曜日夜に時間帯が変わってちょっと残念。
 
 (なぜって?まあ、メルマガをもっと早く書けば良いだけなんですが・・)
 
 あの番組の中でも登場した、「タンジブル」の石井教授や、これまで「燃え
 る100冊」で紹介した、恒星500万個プラネタリウムの大平貴之氏、ロボット
 デザイナーの高橋智隆氏など、現在の日本で最も「突き抜けた」プロフェッ
 ショナル・エンジニア15名のインタビューがまとめられています。
 
 
 一見、人間と見紛う精巧な「アンドロイド」を生み、ロボットと人間のコミ
 ニュケーションを研究する石黒浩氏。
 
 表面的に人間に「似せる」のではなく、「人間とは何か」という哲学的なア
 プローチが独自の研究に繋がっています。
 
 氏は、「開発予算がないから新しいことが出来ない!」と嘆く研究者に、「
 今、目の前に1億円ポンと詰まれて、新しいことをやれといわれて、すぐに
 できるだけの準備をしておけ」とアドバイスします。
 
 お金があることと、ちゃんと技術ができるかは、全く別問題であり、切り離
 して結果を出すのがエンジニアなのです。
 
 
 電車に乗るときも、食事中も、講義のときにも一日中、額にヘッド・マウン
 ト・ディスプレイ(HMD)を付けて生活している塚本教授は、人呼んで「
 ウェアラブルの伝道師」。
 
 「来年こそ流行する!」と予言し続けながら、自ら広告塔になって普及を狙
 う姿は特異ですが、彼が10年前に「10年後、歩きながらコンピューターを使
 うようになる」と予言した言葉は、現在ノートPC、ケータイとなり現実の
 ものとなっています。
 
 「HMD?ああ、知ってるよ」と軽く流そうとする向きは多くても、実際に
 見て、触って、装着してみた人はどれだけあるでしょうか。
 
 開発者にとって恐ろしいのは「評論家」になってしまうことであり、評論だ
 けでは、新しいものは生まれません。
 
 「10年先どうなるか」を語る占い師は未来はつくれません。
 「こうしよう!」と、自分が未来を決めるのが、我らエンジニアなのです。
 
 
 「苦しかったときは?」という問いかけに、トップエンジニア達は、口をそ
 ろえて「苦しいと思ったときなどない。好きなことができて楽しい!」と答
 えます。
 
 彼らのような燃えるエンジニアを「クレイジーエンジニア」と呼ぶならば、
 喜んで「クレイジー」になろうじゃありませんか!

-----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 慶応大学で、時速370キロの8輪駆動車「Eliica」を作った清水教授。
 
 かつて彼がレーザーレーダーの開発をしていた時のこと。
 
 
 重要な研究テーマは、「どこまで遠い大気中の状況が見られるか」。
 
 遠くなるほど測定が難しくなるため、誰もがレーザーパワーを上げることに
 必死で取り組んだ。
 
 これを10倍にすることはとんでもなく大変なことだ。
 
 しかし、レーザーの光を大気中の分子や粒子に当てて跳ね返ってくる光を受
 信する望遠鏡を大きくすることでも遠くまで測定することが可能だった。
 
 面積10倍の望遠鏡を作ることは、レーザーパワーを10倍にすることに比べて
 容易だった。
 
 この方法で、教授は世界で一番遠くまで測定できる装置を開発した。
 
 
 誰もが考えれば分かることだが、発想が縛られてしまうと思いつかない。
 
 自動車のエンジンから開放された電気自動車のアイデアも、清水教授らしい
 発想から生まれたのだ。

───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 「ワクワク」「ドキドキ」の、寝食忘れるものづくりをしているか。
 自分が楽しいものでなければ、人を感動させることはできない。
 
 朱に交われば、赤くなる。
 烏合の衆から飛び出し、トップエンジニアの生きざまに学べ。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 ◎ 目 次 ◎
 01 石井裕  39歳でMIT教授に転身。まったくのゼロから創造した「タンジ
        ブル」の世界
 02 石黒浩  自分そっくりロボットに世界が驚愕。「人間とは何か」求め
        てアンドロイド開発
 03 稲見昌彦 SFアニメが鍵。透明人間を実現した「光学迷彩」でインター
        フェース革命
 04 内山太郎 度肝抜く空中立体映像。「日の当たらない研究」が次世代広
        告媒体を生む
 05 大平貴之 たった一人で恒星数500万個のプラネタリウム。すべてケタ
        外れに考える
 06 小濱泰昭 飛行機で新幹線。時速500キロの未来列車「エアロトレイン」
        という発想
 07 山海嘉之 人体密着型ロボットスーツが実用化へ。医療分野にも広がる
        ビジネスビジョン
 08 清水浩  世界最速、時速370キロ。8輪駆動のクルマ「Eliica」の快感
        は加速感にあり
 09 高橋智隆 設計図なし。実家2階の寝室兼工房が舞台のクレージーなロボ
        ット製作現場
 10 塚本昌彦 ウエアラブル伝道師の予言。「ヘッド・マウント・ディスプ
        レイが未来を変える」
 11 苫米地英人 面白いことだけやるために脱・洗脳せよ! 天才脳機能学者
         のエンジニア論
 12 富田拓朗 ケータイ動画変換で世界を制す。カリスマプログラマが挑む
        情報伝達の指針技術
 13 八谷和彦 「ポストペット」大ヒットのアーティストが語る、感動を仕
        事に変える技術
 14 古田貴之 ロボット界の異才が仰天発想。8本足のクルマが手探りで段差
        、坂道を登る
 15 由井啓之 ビル・ゲイツを驚嘆させたスピーカー「タイムドメイン」不
        屈の開発秘話
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・Tech総研 我ら“クレイジー☆エンジニア”主義!
 ・アマゾン 『我らクレイジー☆エンジニア主義』
 
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June 29, 2007

千年、働いてきました

Sennenhataraite
 【今週の一冊】
 ●『千年、働いてきました』
  老舗企業大国ニッポン

  著:野村 進(角川書店)
  2006.11 / ¥740

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 ◆ 燃える一言 ◆


 『ケータイという現代の「新しさ」の粋を集めた製品を
 
                  見えないところで支えているのは、
 
   実は「古くさい」と思われがちな老舗企業の力だと言ったら
 
                         言いすぎでしょうか』


-----------------------------------

 「現存する、世界最古の会社」といえば、なんとなくイギリスやドイツなど
 ヨーロッパあたりにありそうな感じがします。
 
 しかし、実はここ日本にあります。
 
 しかも、その「創業」は、江戸時代でも、室町時代でも、平安時代でもあり
 ません。
 
 なんと・・「西暦578年」聖徳太子の飛鳥時代なのです!
 
 大阪の「金剛組」という建築会社で、難波の四天王寺を完成させたのが、最
 初の仕事だったとか。
 
 日本には実に10万社以上あると推定される、創業100年以上の「老舗」と
 言われる会社、その中の「ものづくり」企業にこだわった本書を紐解いてみ
 ましょう。
 
 
 冒頭の言のように、皆さんお持ちの「ケータイ」は、日本の老舗企業の底力
 なくしては、全く機能しないと言えるでしょう。
 
 例えば、二つ折り携帯の折り曲げ部分、電気メッキされた銅箔や、電磁波シ
 ールド用の銀入り塗料を作る「福田金属箔粉工業」の創業は、元禄時代、赤
 穂浪士の討ち入り2年前。
 
 もともと屏風や蒔絵に使われた、金箔や粉を作っていた福田金属は、「金属
 の箔や粉」という「コア・ミッション」から外れることなく生き延び、今の
 事業に結びついています。
 
 
 明治24年(1891年)設立の東洋通信機の流れを組むエプソントヨコムは、携
 帯電話の心臓部、「人工水晶」を世界最大手のノキアにも供給しています。
 
 天然物の水晶が数百万年かかるのに対し、エプソントヨコムの技術により数
 ヶ月で一度に3トンもの水晶が生産できるようになったのです。
 
 かつて軍艦や戦闘機に搭載される無線機を製造していた同社が、その技術を
 「より小さく、より安定したもの」へと突き詰めた末にたどり着いた技術が
 「人工水晶」の工業化だったのです。
 
 
 こうした「老舗」企業群の姿からは、変わらない偏屈な「静」のイメージで
 はなく、柔軟性と即応性の富んだ「動」の組織が見えてきます。
 
 しかし一方では、創業以来の家業の部分は、たとえ利益には直接結びつかず
 とも、頑なに守り抜く「頑固さ」も併せ持っています。
 
 バブル期に土地転がしや多角化によって消えていった企業とは、一線を画し
 ているのです。
 
 「会社の寿命は30年」と言われる中、脈々と受け継がれる「老舗」のもの
 づくりには、学ぶべき「技術」と「哲学」が流れています。

-----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 液体窒素の零下196度の世界に一週間放置されても、90度の熱湯に一時間漬け
 ても、純度100%のエチルアルコールに1週間入れても、はたまた17年間も乾
 燥したままであっても「死なない」生き物がいる。
 
 「ネムリユスリカ」をいうアフリカ中部に住む蚊の一種だ。
 
 その驚異的な生命力の最大の理由が、「トレハロース」という糖を自分の体
 内で作り出し、一つ一つの細胞を守っているからだ。
 
 
 この「トレハロース」の大量生産に世界で初めて成功したのが、創業123年の
 「林原」である。
 
 甘味だけではなく、乾燥や冷凍にも強い特長を生かして、菓子類はもとより、
 様々な食品の砂糖やブドウ糖が、近年トレハロースに置き換わっている。
 
 トレハロース自体は昔から発見されてはいたが、抽出が極めて難しく、「夢
 の糖」とまで言われていた。
 
 その量産化に林原が成功したのは、同族経営の老舗企業の強みである、長期
 的でハイリスク・ハイリターンな研究開発に投資ができたお陰だと言えるだ
 ろう。

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 ◆ 熱い行動 ◆
 あなたの仕事の「コア・ミッション」は何だろう。
 目先の利益ではない、「利他」の使命でなければ100年は続かない。
 
 軸足を据えて、もう片足を広げよう。
 じっとしたままでは進歩はないが、一足飛びでは進めない。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 ◎ 目 次 ◎

 プロローグ 手のひらのケータイから
 第1章 老舗企業大国ニッポン
 第2章 ケータイに生きる老舗企業の知恵
 第3章 敗者復活
 第4章 日本型バイオテクノロジーの発明
 第5章 “和風”の長い旅
 第6章 町工場 ミクロの闘い
 第7章 地域の“顔”になった老舗企業
 エピローグ 世界最古の会社は死なず
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・金剛組
 ・福田金属箔粉工業 金属粉末、箔
 ・エプソントヨコム 水晶デバイス
 ・林原 トレハロース
 ・出版社 角川書店
 ・アマゾン 『千年、働いてきました』
 
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June 27, 2007

未来を創る力「ものづくり」のすすめ

Miraiwotukurutikara
 【今週の一冊】
 ●『未来を創る力「ものづくり」のすすめ』

  著:梅原 猛,西沢 潤一,永 六輔,野田 一夫 (講談社)
  2002.12 / ¥1,575

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『人間というのは、あまりしょっちゅう道を踏み間違えては
                          いないわけです。
 
   ちょっと失敗したというようなことが、後になって必ず生きてくる。
   
    人生においては、失敗の体験を次に生かすことが実は大事なのです』

-----------------------------------

 ※本記事は07/4/4発行のメルマガの内容です。

 新年度を迎え、新たな社会人として社長や先輩の訓示を受けた方も多くいる
 ことでしょう。
 
 ウン十年前に、かつて「新人」であった方も含め、桜舞い散る新たな門出の
 とき、改めて「ものづくり」の意義を確認する良い機会です。
 
 日本を代表する文化人の方々に、熱く「ものづくり」の素晴らしさを語って
 頂きましょう。
 
 
 全国を旅し、各地の職人と交流が深い永六輔氏は、「計量法反対運動」に乗
 り出したことがあります。
 
 尺貫法からメートル法に改定したこの法律では、定規や升を製造販売するこ
 とに懲役や罰金という「罰則規定」を定めていました。
 
 このため例えば大工道具である「曲尺(かねじゃく)」が職人の手に入らな
 くなったため、永氏は曲尺を堂々と「密造」し、それを各地の警察署に「自
 首」して回る、という運動に乗り出したのです。
 
 この悪法はその後改定されるようになりましたが、その間、肝心の職人さん
 達が自ら声を上げ、意見を言うことがありませんでした。
 
 また、職人の仕事は、一人で完結するものではなく、道具を作る人、更にそ
 の道具の材料を作る人が連綿とつながっていますが、その一部が欠けたがた
 めに、絶滅の危機に瀕している「職人技」が多数あります。
 
 こうした経験から、職人が立ち上がり、横のつながりを持つためのネットワ
 ークづくりを提言しています。
 
 
 ダイオードや半導体レーザー、光ファイバーという光通信に欠かせない技術
 を一人で考案し、実用化の糸口を開いた西澤潤一氏は、「独創性」の大切さ
 を叫びます。
 
 トランジスタの発明の際、実験材料も乏しい中で西澤氏が取った方法は、「
 午前中はしゃにむに論文を読め。午後になったら、何が何でもとにかく実験
 を繰り返せ。夜になったら、昼間にかせぎためた実験結果を整理してみる」
 という、とある先生の教えの実践でした。
 
 「なぜだろう」ということをとことん突き詰めていくと、論文の一つひとつ
 に直接の答えはなくとも、「ははん」と思う一節に巡り合い、大きな発見の
 きっかけとなったと言います。
 
 「できないことをできないと証明するのは難しい。根拠なしにできないと言
 うな!失敗など恐れずおやりなさい」と、氏は若き研究者、技術者へメッセ
 ージを送っています。
 
 
 その他、「経営とものづくり」を語る野田一夫氏、そして思想家 梅原猛氏と
 いう日本を代表する文化人による、「ものつくり大学」での講義内容をまと
 めた本書は、新人のみならず、我らエンジニアの襟を正す示唆に富んでいま
 す。

-----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 太平洋の底に沈められ、世界の通信をつなぐ「光ファイバーケーブル」。
 
 1本20μmのガラス繊維を束ねて、プラスチックのようなもので覆って海底
 に沈められているが、実際に通信を始めようとすると「事故」が起きた。
 
 そのケーブルをサメが噛み切ってしまったのだ。
 
 そこでいろいろと調べて、サメが嫌いな材料は何かを試験を繰り返し、よう
 やくサメの嗜好に「合わない」材料を見つけた。
 
 近代的な光通信においても、最後まで問題になったのは、極めて原始的とい
 ってもいい問題だったのだ。

───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 「職人技」は守らねばならないが、「職人気質」だけでは続かない。
 後進の育成を含めて、ネットワークを構築せよ。
 
 「できる、できる、必ずできる!!」
 ひたすら唱えて、一つ所に命を懸けよ。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 伝えたい職人の技と心意気(永六輔)
 独創性ある人、出でよ(西沢潤一)
 経営というものづくり(野田一夫)
 ものづくりは日本の誇り(梅原猛)
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・ものつくり大学
 ・出版社 講談社
 ・アマゾン 『未来を創る力「ものづくり」のすすめ』
 
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June 13, 2007

操縦マニア!

Soujyumania
 【今週の一冊】
 ●『操縦マニア!』

  編:三推社出版部(三推社)
  2006.12 / ¥1,950

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 ◆ 燃える一言 ◆


 『ふつうでは行けない場所で使われたり
                 ユニークな使われ方をする乗り物は、
 
       いろんなアイデアが詰まったオモチャ箱のような機械だった』


-----------------------------------

 某社の車輪の出てこないヒコーキを無事着陸させたパイロットの腕前には驚
 きましたが、その際、テレビで放映されていた飛行機の操縦方法に興味を持
 たれた方も多いでしょう。
 
 本書にはそんな普段とても扱うことのできないような乗り物の構造と操縦方
 法が、図解をふんだんに駆使して紹介されています。
 
 
 例えばジャンボジェットの最新鋭機、エアバスA380は、さぞや複雑な操縦方
 法になっているかと思いきや、まるで「ゲーム」のようにスティック一つで
 指示すれば、細かな制御は不要となっています。
 
 これはFBW(フライ・バイ・ワイヤ)と呼ばれる、パイロットの指示をコ
 ンピュータで処理した結果を電気的に伝えるシステムの賜物です。
 
 むしろパイロットの重要な仕事は、演算のための各種データを入力する手順
 や数字の選び方にあると言えます。
 
 
 更に「特殊」な飛行機といえば、戦闘機です。
 
 F-16などの新しい機体は、こちらもFBWが導入され、パイロットの負担は
 減っているそうですが、本書に取り上げられたF-15は高性能機でありながら、
 その操縦は「パイロットまかせ」です。
 
 前面のパネルに散りばめられた計器で一瞬に判断し、指一本一本に割り当て
 られたスイッチ類を駆使してコントロールし、しかも一般人なら気を失うほ
 どの急加減速を繰り返すのですから、正気の沙汰とは思えません。
 
 
 同じく操縦者のテクニックに大きく依存する究極の乗り物といえば、F1カー
 もその一つです。
 
 わずか5.2秒で停止状態から時速200キロまで加速するモンスターマシンです
 が、操作方法自体はシンプルで、足元にはアクセルとブレーキがあるのみで、
 クラッチ操作はほぼ自動であり、シフトチェンジも手元のスイッチでできま
 す。
 
 操作するスイッチ類も全てステアリングに配置され、中には押すと飲み物が
 出てくる「ドリンクボタン」まであります。
 
 また「パワーステアリング」も付いていますが、これはステアリングを軽く
 するためではなく、コーナリングで一度切ったステアリングが横Gの強い力
 で押し戻されるのを抑えるためのもので、やはり「特殊」な世界です。
 
 
 もう少し日常に近い、変わった乗り物では「DMV(デュアルモードビーク
 ル)なんていかがでしょう。
 
 これは道路でも線路でも走れる、バスと電車が一緒になったような乗り物で、
 線路走行に切り替えるには、導入部で車体を線路に合わせて位置決めし、前
 後にガイド用の鉄輪を出して走行します。
 
 ちょうどこの4月から北海道で試験導入されますので、ニュースなどで目に
 する機会もあることでしょう。
 
 
 そのほか、砕氷船や飛行艇、戦車やスペースシャトルといった特殊な機体か
 ら、タクシーや馬車に至るまで、ありとあらゆる「乗り物」の運転を感じる
 ことができる、「見て」楽しい一冊です。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 重量108トンの本物の電気機関車を、誰でも運転できるところがある。
 
 子供から鉄道ファンまでが楽しめる鉄道のテーマパークである、群馬県にあ
 る「碓氷峠鉄道文化むら」だ。
 
 本物のEF63形電気機関車の運転体験が可能で、運転体験を重ねると、連結体
 験や重連推進運転なども体験できるのだ。

───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 身近な乗り物も、その構造を理解して運転しているだろうか。
 自転車や自動車の機構を、覗いてみよう。
 
 使う人が使いやすいことが、機械の安全につながる。
 作りやすさの前に使いやすさを考えた「ものづくり」をせよ。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 1 身近な乗り物(ジェット旅客機、新幹線 ほか)
 2 憧れのハイテクマシン(戦闘機、ヘリコプター ほか)
 3 気になる特種な乗り物(飛行艇、深海探査船 ほか)
 4 ものづくり・作業機械(トラック、油圧ショベル ほか)
 5 自然まかせのアナログ乗り物(馬車、パラグライダー ほか)
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 ◆ 関連ページ ◆
 ・電気機関車 碓氷峠鉄道文化むら
 ・出版社 三推社
 ・アマゾン 『操縦マニア!』
 
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June 08, 2007

手作りですが精度はミクロン単位です

Tedukuridesugaseidohamikuron
 【今週の一冊】
 ●『手作りですが精度はミクロン単位です』
  世界を制するオンリーワン中小企業

  著:木村 元紀 編:みずほ総合研究所(洋泉社)
  2007.2 / ¥1,680

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 ◆ 燃える一言 ◆

 『モノづくりの本質は、高度な基盤技術と技能を持った
 
    中堅・中小企業の細部にこそ宿る―そう言っても過言ではあるまい。
 
   生産現場は絶えず自己変革をし、競争条件の変化を乗り越えようと
 
                      弛まない努力を続けている。
 
       その蓄積が、日本の製造業の未来を担っていくことになる。』

-----------------------------------

 ※本記事は07/3/21発行のメルマガの内容です。

 大手メーカーの春闘の結果が出揃い、前年を上回る給与賞与で妥結したと報
 道されています。
 
 これに対し、中小企業では「いざなぎ超え」の景気回復は実感がなく、格差
 が広がっている・・というのがどこかの政党の掛け声にもなっています。
 
 確かに大企業の収益力は突出していますが、本書に挙げた19の中小企業は、
 いずれも業績は伸びています。
 
 その「突破力」がどこにあるのか、ちょっと覗いてみましょう。
 
 
 長野県の「アールエフ」が開発した「NORIKA3」は、風邪薬のように飲み込み、
 消化器を通って排泄されるまでの7~8時間に渡って体内の様子を撮影、リ
 アルタイムでモニターできる内視鏡です。
 
 イスラエル製の同様なカプセル内視鏡がバッテリー内蔵で1秒に2コマの静
 止画しか撮影できないのに対し、「NORIKA3」は30コマ/秒の動画撮影が可能
 です。
 
 この高機能の秘密は、カプセルへの電力供給を体外から無線で行うことがで
 きる点にあります。
 
 更に、カプセルの駆動も、極小のモータをカプセルに内蔵するのではなく、
 体外の電磁石に対してカプセルを「回転子」とするユニークな構造で実現し
 ています。
 
 「新しい製品を作るとき、壁にぶつかったら、その分野の掟を破ることで突
 破口が開かれる」という丸山社長の発想こそ、同社成長の原動力です。
 
 
 板金に小径穴を多数打ち抜いた「パンチングメタル」は、物質の分離・濾過
 ・粉砕・脱水などに活用されます。
 
 常識的には穴径は板厚と同等までが限界とされていますが、「布引製作所」
 では最大166%(2mmの板厚に1.2mmの穴径)まで可能にしています。
 
 最小の穴径は0.25mm、幅200mmに500本ものピン状のパンチが埋め込まれた金
 型は圧巻ですが、驚くのはその受け側となる無数に穴の空いたダイの加工は、
 最新鋭の工作機械ではなく、改良した「ボール盤」。
 
 NC機ではドリルが折損するまで気が付きませんが、ボール盤を使って作業
 者が目と耳と手先の感覚でドリルの切れ味を「感じ」、再研磨・調整するこ
 とで高精度な穴あけを実現しているのです。
 
 
 こうしたオンリーワン技術は、ハイテクよりもアナログな「職人技」こそ中
 小企業に適していると筆者らは指摘しますが、それができる企業は限られる
 でしょう。
 
 ならば、「普通の中小企業」は地域密着の仕事、つまり「食」「住」「環境
 」「福祉」こそが生き残る道だと説きます。
 
 元気な中小企業を鑑として、自社の「コア」と「食住環福」を掛け合わせる
 ことが、生き残りのヒントとなるでしょう。

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 ◇ カンドコロ! ◇
 
 本書のタイトルにもある「ミクロン(1/1000mm)」以下の精度で粉粒体の形状
 を加工したり、表面処理をする技術がある。
 
 例えば、UVカットファンデーションには、紫外線吸収効果の高い二酸化チ
 タンが配合されているが、粒径が0.1μmになると毛穴に入り込んでしまう。
 
 そこで10μm程度のナイロンの粒子の表面に二酸化チタンをコーティングす
 ることで、その機能を引き出しているのだ。
 
 こうした粉粒体処理装置を製造しているのが大田区の奈良機械製作所だ。
 
 粉体を機械的に粉砕する方法には「たたく、つぶす、擦る、切る」をいう4
 つの原理があるが、これらでは0.1~0.5μmが限度だ。
 
 そこでより細かいナノ粒子を作る方法として開発されたのが「レーザーアブ
 レーション・システム」である。
 
 ハード面では特段斬新な技術が採用されているわけではないが、オリジナリ
 ティが発揮されているのは、各要素をシステム化するための総合的なエンジ
 ニアリング力だ。

───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 「理科」で学ぶ原理原則にこそチャンスあり。
 単純な精密化・微細化ではない、発想の転換が突破力になる。
 
 「格差」「弱者」と呼ばれることに甘んじるな。
 中小企業に適した市場は、必ずある。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 第1章 世界を制する研究・技術開発力
 第2章 深化するコア技術―コア技術を磨き、高付加価値を極める
 第3章 オンリーワンの熟ワザ
 第4章 常識を覆す“顧客対応・生産技術”革命
-----------------------------------
 ◆ 関連ページ ◆
 ・アールエフ カプセル内視鏡Sayaka
 ・布引製作所 パンチングメタル
 ・奈良機械製作所 レーザーアブレーション・システム
 ・出版社 洋泉社
 ・アマゾン 『手作りですが精度はミクロン単位です』
 
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May 24, 2007

ゼムクリップから技術の世界が見える

Zemuclip
 【今週の一冊】
 ●『ゼムクリップから技術の世界が見える』
  アイデアが形になるまで

  著:ヘンリー・ペトロスキー 訳:忠平 美幸(朝日新聞社)
  2003.8 / ¥1,365

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 ◆ 燃える一言 ◆


 『われわれは、自然界や既存の人工物について考えをめぐらせ、
 
   それらをどう作り変えたり改善したりすれば人類に有益な目標を
   
    よりよく達成できるか、という問いに答えを出さなければならない』


-----------------------------------

 今、皆さんの目の前にあるもので、「人工物」にどんなものがあるでしょう
 か?
 
 そもそも、この文章を目にしているのはPCのモニターや携帯電話のはずで、
 間違いなく100%、工学的な製品です。
 
 いや、おそらくは部屋の片隅の観葉植物と「人間」以外は、ほとんど人工的
 なものばかりでしょう。
 
 本書では、ごくごく身近な文具やアルミ缶から始まり、橋や高層建築に至る
 まで、それらを生み出した「工学」的な背景を、描き出しています。
 
 
 おそらく今、机上で最も単純な「製品」の一つが「ゼムクリップ」でしょう。
 
 あまりに単純で、クリップの「取扱説明書」なんて見たこともないような分
 かりきった製品ですが、クリップが「機能」するために必要な「弾性」が明
 確に理解されたのは、さほど昔のことではありません。
 
 ロバート・フックが「張力は力に比例する」という「フックの法則」発見し
 たのは1660年のことであり、クリップのみならず、橋や飛行機の翼、高層ビ
 ルなど、技術者が設計するほとんど全ての構造物に影響しています。
 
 
 この弾性を超えて、長さ10センチ程の針金を3回折り曲げたらクリップは出
 来上がりですが、これで「紙を留める」製品として「完成」した、とは言え
 ません。
 
 おそらく、だれでも取り出そうとしたクリップが絡まったり、クリップの針
 金の先で紙を破った経験はあるでしょう。
 
 こうした「欠点」をあげつらって、「改良した」と言い張るのが「発明」で
 あり、事実、これまでにゼムクリップを批判し、特許を取得した「クリップ
 」は、何百もあります。
 
 針金の先で紙を破る対策としては、針先を丸くつぶす、先をリング状に丸め
 る、針の足をクリップの円弧よりも長くする・・などなど、枚挙に暇があり
 ません。
 
 逆に言えば、最良の「クリップ」の探求が、今もって困難であることは明ら
 かであり、複数の相容れない目的の「妥協案」を提供することが、ものづく
 りであると言えるでしょう。
 
 
 クリップやジッパー、アルミ缶などを通じて語られる材料力学や発明、加工
 機械や環境への影響など、製品と我々エンジニアを取り巻く世界を知る一冊
 です。

-----------------------------------
 ◇ カンドコロ! ◇
 
 シャープペンシルの芯や、削ったばかりの鉛筆の芯がポキポキ折れることほ
 どイライラするものはない。
 
 カリフォルニアの工学者ドン・クロンキストも手書きレポートを仕上げる間
 に何度もこのイライラに遭遇した。
 
 レポートを書き終えて机の上を見ると、鉛筆の折れた芯先がたくさん転がっ
 ているのを見つけた。
 
 彼の目を引いたのは、その数の多さではなく、「どれもこれも大きさと形が
 ほぼ同じだったことだ」。
 
 そこでこの理由を、彼は「円錐形の片持ち梁」のモデルを作って計算してみ
 た。
 
 すると、なるほど計算した「折れた鉛筆の芯」の大きさは、机の上で見つけ
 た「芯」の大きさにごく近かった。
 
 しかし、彼は破断面が「傾いている」ことは満足のいく説明をしておらず、
 吟味した人々も気に留めていなかった。
 
 それは鉛筆の幅方向に加わる「せん断力」を考慮しなかったことが原因であ
 ったが、解析の前提となるモデルの「仮定」が間違っていたためだ。
 
 同じような怠慢による過誤は、分析に取り組む「方法」がどんなに精巧なコ
 ンピュータ・モデルを使うようになっても、起こりえるのだ。

───────────────────────────────────
 ◆ 熱い行動 ◆
 机の上の文房具を、どう作っているか考察せよ。
 その構造を、力学的に記述してみよう。
 
 「ゼムクリップ」より作りやすく、使いやすいクリップを考案せよ。
 「鉛筆の折れた芯」の大きさを計算せよ。
-----------------------------------
 ◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 |   | (炎3つが満点)
-----------------------------------
 1 ペーパークリップと設計
 2 鉛筆の先と分析
 3 ジッパーと開発
 4 アルミニウム缶と失敗
 5 ファクシミリとネットワーク
 6 飛行機とコンピュータ
 7 水と社会
 8 橋と政治
 9 建物とシステム
-----------------------------------
 ◆ 関連ページ ◆
 ・出版社 朝日新聞社
 ・アマゾン 『ゼムクリップから技術の世界が見える』
 
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