September 28, 2007

【今週の一冊】
●『図面って、どない描くねん!LEVEL2』
現場設計者が教えるはじめての幾何公差
著:山田 学(日刊工業新聞社)
2007.4 / ¥2,310
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『製図の目的は、意思の伝達である。
意思の伝達に一義性を持たせるため、
製図の作法を決めて守ることが重要である』
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設計者の皆さん!「図面って、どない描いてます?」
計画図(組み図)をバリバリ描いたら、「あとはばらすだけだ~」と安心し
て、部品図の絵を作って、気の向くままに寸法線を入れていく。
はめあいの公差は「H7」「g6」なんかを多用して、ドンドン書き進む。
ここまでくればもう一息!表面粗さの指示を「12.5S」「6.3S」とかゴリゴリ
記入すれば、はい一丁あがり!
・・って、なんか忘れていませんか?
そう、「幾何公差」です。
ここまでくると、CADをクリックする手がピタッと止まってしまい、おもむろ
に過去の図面を引っ張り出して、なんとなく「円筒度」「平行度」を「0.01」
にする・・。
多かれ少なかれ、身に覚えのある方があるのではないでしょうか。
これまで多くの現場では、軸にフランジ状の鍔がついた部品ならば、取り付
け面の平面はきれいに仕上げて、軸は振れのないように加工するんだな・・
と、作業者の「深読み」によって良い部品が作られてきました。
しかし部品加工もグローバル調達が当たり前な昨今、暗黙の了解に頼った「
ものづくり」はもはや通用しません。
そしてISOでは「製品の幾何特性仕様(GPS)」が定義され、幾何公差のない
図面は「図面として認められない」ことにまでなっています。
この、これまで設計者が目をつぶってきた「幾何公差」を、1から教えてく
れる頼もしい味方が本書です。
幾何公差を設計者が使いこなすには、「この記号はどう使えばいいのか?」
と記号に合わせて設計するのではなく、自分の意思(組立性への配慮、機能
上の注意点)を表現する「ツール」として考えることです。
例えば「円筒度」を指示すると、その円柱の「断面の真円度」「母線の真直
度」「母線の平行度」の3つを同時に規制することができますが、その分、
加工も検査も大変です。
もし、テーパ状でもよいのであれば、「真直度」のみで表現することができ
ますし、楕円で良ければ「平行度」で指示すれば無駄な不良を減らすことが
できます。
「設計意図から幾何公差の選択」は、設計の意図を徹底して検討する「手間
」がかかりますが、それだけ机上で充実した設計が可能となり、「良い製品」
につながります。
これからのエンジニアにとって、避けて通るどころか、積極的に身につける
べき「幾何公差」の考え方を、具体的事例と思考練習によって学べる、必携
のテキストです。
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◇ カンドコロ! ◇
2つの穴を持つ部品と、それと同じピッチの2つのピンを持つ部品の組み立
ては、互いにはめ合わされる形体の、実寸法と実際の幾何公差との間の関係
に依存する。
ピン径が最大で穴径が最小、かつピッチ(位置公差)が最大ならば組み立て
の隙間は最小となり、逆の場合に最大となる。
ならば、はまり合う部品の実寸法が許容範囲であれば、その余裕分は位置公
差側に振り分けても組み立ては「可能」であり、無駄なNGを減らすことが
できるはずだ。
こうした考え方を取り入れた公差を「最大実体公差」という。
これをうまく使うと、位置公差を全部寸法公差に割り当てて、「ゼロ位置公
差」を指示することができる。
公差がゼロなんてありえないと考えがちだが、逆に寸法公差を緩める効果が
あるのだ。
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◆ 熱い行動 ◆
作業者の「誠意」と「技能」に頼った図面は、もう通用しない。
誰がどこで作っても、同じ部品が作れる図面を描こう。
設計者は、加工と組み立て、検査方法を理解せよ。
後工程が分かれば、複雑な幾何公差の「ありがたさ」も自ずと見えてくる。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
◎ 目 次 ◎
第1部 バラツキって、なんやねん!
第2部 データムって、なんやねん!
第3部 幾何特性って、なんやねん!
第4部 形状公差って、どない使うねん!
第5部 姿勢公差って、どない使うねん!
第6部 位置公差って、どない使うねん!
第7部 振れ公差って、どない使うねん!
第8部 幾何公差の相互依存って、なんやねん!
第9部 幾何公差を使ってみたいねん!
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◆ 関連ページ ◆
・著者 ラブノーツ
・出版社 日刊工業新聞社
・アマゾン 『図面って、どない描くねん!LEVEL2』
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【今週の一冊】
●『ものづくり経営学』
製造業を超える生産思想
著:藤本 隆宏、東京大学21世紀COEものづくり経営研究(光文社)
2007.3 / ¥1,260
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◆ 燃える一言 ◆
『20世紀後半の日本企業が、培い確立した「擦り合わせ製品」における
「ものづくり能力」という貴重な知的資産を、最大限に活かしながら、
その上に、一部の欧米企業が持つ「戦略構築能力」を
積み上げることでこそ、21世紀への展望が開ける』
-----------------------------------
「ものづくり」とは何か、と問われれば、その答え方は色々ありますが、筆
者らは『要素技術をつなぎ、顧客に向かう「流れ」を作り、設計情報を盛り
込んだ人工物によって顧客を満足させる経済活動』と定義します。
つまり、「ものを作る」プロセスのみではなく、設計情報を人工物(製品)
に乗せて、お客さんまで届けて価値を生む=満足させるまでの「流れ」全体
を「ものづくり」と呼んでいます。
日本の製造業が強みを発揮する「ものづくり」は、自動車に代表される「擦
り合せのきいた設計情報を、生産現場で丹念にメディア(鋼板など)に転写
する」擦り合わせ型の製品であるとされています。
対して、パソコンシステに代表される、機能と構造が1対1で対応する「組
み合わせ型」の製品については、近年は中国が得意としている「ものづくり
」と言えるでしょう。
このように、地域特性と製品の設計思想が「相性の良い製品」を選ぶことが、
まずは競争優位を得るために必要ですが、ことはそう単純ではありません。
たとえば、DVDレコーダーは、HDDやDVDドライブといったモジュラ
ー部品の組合せであり、これら中間製品を組み合わせた典型的な「組み合わ
せ型製品」です。
しかし、階層を下って光ピックアップをみると、レンズ、レーザーダイオー
ド、フォトディテクターなどの部品をきめ細かな擦り合わせで設計した部品
といえます。
また元々、DVDレコーダーの開発から量産が始まった時点では擦り合わせ
型の製品であり、日本企業の独壇場であったのが、時間の経過と共に製品構
造が「組み合わせ型」へ推移すると共に、シェアの急落が生じたのです。
つまり製品の「階層」と「時間」により「擦り合わせ型」の日本企業の取る
べき戦略が変化することが分かり、DVDレコーダーならば、キーデバイス
である光ピックアップなどの部品供給に集中する、などが考えられます。
更に、お客に「設計されたもの」を提供することを「広義のものづくり」と
考えれば、サービス業も同じ尺度で考えることが可能です。
すなわち、イトーヨーカドーなど小売業、郵便、医療、金融商品、あるいは
製造業とサービス業の中間に当たるソフトウェア業や建築業にも当てはめる
ことで、取るべき戦略が見えてきます。
「ものづくり経営学」は今まさに立ち上がった試行的段階であり、未整理な
部分もありますが、現在の「ものづくり」をこってりと俯瞰できる、興味深
い一冊です。
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◇ カンドコロ! ◇
DVDレコーダーで日本製品が急速にシェアを落としている現象は、「いつ
かきた道」だ。
これまでもCD-ROM、CD-R、DVD-ROMなどで、繰り返し起き
てきたことだ。
デジタル製品は「擦り合わせ」要素がソフトウェアの中に取り込まれており、
製品が「組み立て型」に推移しやすい傾向にある。
このため、開発のオーバーヘッドを抱えた日本企業は、中国やASEAN各国との
価格競争に負けてしまうのだ。
これは日本企業特有の現象ではなく、かつてIBMがパソコン市場において
コンパックやデルの台頭により凋落した姿と全く重なる。
デジタル製品が抱える、共通のジレンマと言えよう。
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◆ 熱い行動 ◆
「資源がないからなんでも作って売れ」という貿易立国論は戦略に欠ける。
製品の構造と地域性、時代に対応した「ものづくり戦略」が必要だ。
「うちは特殊だから」とトヨタ方式を敬遠するな。
「形」をまねるのではなく、「思想」を学べ。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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◎ 目 次 ◎
第1部 ものづくり経営学総論
第2部 ものづくり経営学各論
第3部 非製造業のものづくり
第4部 アジアのものづくり
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◆ 関連ページ ◆
・著者 東京大学21世紀COEものづくり経営研究
・出版社 光文社
・アマゾン 『ものづくり経営学』
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August 03, 2007

【今週の一冊】
●『モノづくりで150億円を生む独創発想術』
著:中西 幹育(プレジデント社)
2007.1 / ¥1,470
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『失敗と挫折は、開発者にとって大切な経験である。
失敗は肥やしになる。
いや、失敗を肥やしにするのである。』
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スポーツシューズの靴底に埋めて衝撃を和らげる「αゲル」。
20メートルの高さから「αゲル」の上に玉子を落としても割れないほどの衝
撃吸収性能は、スペースシャトルの衝撃吸収材にも用いられました。
身近なところでは、皆さんの手に握られたボールペンのグリップにも使われ
ていますね。
携帯電話やクルマのダッシュボードのような、曲面のプラスチック表面に、
木目などのデザインを印刷する「曲面印刷」。
今では様々な製品に用いられている技術ですが、30年前には「不可能」と考
えられていた技術です。
この「αゲル」と「曲面印刷」、何の関連性もなさそうな、しかしいずれも
独創的で、「儲かる」技術を生み出したのは実は同一人物であり、本書の著
者なのです。
これら2大発明を筆頭として、氏の開発人生の中から導き出した、「独創」
の秘訣を伺いましょう。
αゲル発想のきっかけとなったのが、衝撃吸収材に思い悩んでいるうちに、
熱を出して寝込んでしまった著者が、溶けた「アイスノン」の感触でした。
早速、スーパーに並んだゲル状の食品―寒天、ゼリー、こんにゃく、プリン
等々、片っ端から買い込んで、玉子を落とす実験をしたのです。
すると最も優れた衝撃吸収性を示したのが「イチゴゼリー」であり、このゼ
リーに似た素材を探して作られたのが「αゲル」だったのです。
・・とこのように書くと、いかにも「タナボタ」式にひらめいたり、ちょっ
と実験して新素材が見つかったかのように思えますが、発想のプロセスを詳
しく読み解けば、そんなエレガントなものではないと分かります。
筆者は「発想力は感性、観察力、自問力、気力、体力、そして知力から構成
される総合力だ」と説きます。
発想の発火点はアイスノンの奇妙な感触に触れた「感性」でした。
そこに自ら厨房に立ち、各地の市場を訪ね歩く程、素材に対して好奇心を持
つ「観察力」と、学生時代、オリンピック候補にまでなったウェイトリフテ
ィングで鍛えた「気力・体力」が加わり、独創が生まれたのです。
こうして生まれた発想を形にするときには、あれこれ批判する前に、すぐさ
ま得た情報を加工する「行動」に移すことが重要です。
その際「特許公報」を活用し、先人達の膨大な特許の隙間を見つけ出そうと
する探偵精神で、自らの独自性を付加していくのです。
そして「ひらめく人」に終わらず、「ひらめいて、つくって、売る人」こそ
開発を、そして人生を楽しく豊かにできると氏は説きます。
自らの特許を数々のビジネスに育て上げたエジソンを師と仰ぐ著者が、発想
力を身につけ、形にし、ビジネスに結びつける道筋を、誰にでも分かりやす
く著した一冊です。
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◇ カンドコロ! ◇
衝撃吸収に、「イチゴゼリー」が適していることは分かった。
しかしイチゴゼリーを衝撃吸収材にするわけにはいかない。
筆者の関心事は、イチゴゼリーの分子構造に移った。
そこで製造メーカーに熱心に尋ねると、研究所の技術者が丁寧に教えてくれ
たお陰で、分子構造が網目状に絡み合っていることがポイントだと分かった
のだ。
一般の人にはイチゴゼリーは子供のおやつの一つにすぎない。
この中に、スポーツシューズの靴底の衝撃吸収材から宇宙船の実験装置にま
で使われるほどの、どんでもない情報が詰まっていると、知りながら食べて
いる人など皆無だったはずだ。
この瞬間から、イチゴゼリーは筆者にとっては、単なる食べ物ではなく、貴
重な情報を満載した「モノ」となったのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「誰でも発想の達人にはなれる」≠「何もしないで達人になれる」
誰にでもできる、努力と創意と工夫を「実行」するかしないかだ。
モノをモノとして見るな。
モノについている情報を読み取ることが、発想を形にする第一歩だ。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | | (炎3つが満点)
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◎ 目 次 ◎
第1部 発想力は、どうすれば身につくのか?
第2部 発想力を、「形」にするには!?
第3部 発想力を、ビジネスにするには!?
第4部 特別補講
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◆ 関連ページ ◆
・著者 中西 幹育
・出版社 プレジデント社
・アマゾン 『モノづくりで150億円を生む独創発想術』
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July 20, 2007

【今週の一冊】
●『フェラーリと鉄瓶』
一本の線から生まれる「価値あるものづくり」
著:奥山 清行(PHP研究所)
2007.3 / ¥1,365
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『ものを通して人を感動させるというのは、
ものづくりに携わる人にとって究極の成果です。
買ってくれたものを通して、自分が直接会うことのないお客さんに
言葉ではないメッセージが伝わる。
これが作り手にとってとても重要なことだし、
ものすごく幸せなことだと思います』
-----------------------------------
フェラーリが創立55周年記念として世に送り出した、創業者の名を冠した
クルマ「エンツォ・フェラーリ」。
市販価格7,500万円、限定生産399台!
650馬力、最高速度350キロ以上!
・・という色々な意味で「バケモノ」のようなこのマシンを、一人の日本人
がデザインしたことはご存知でしょうか。
イタリアのカーデザイン工房で八面六臂の活躍をされた筆者が語る、ものづ
くりとデザインの関係について、耳を傾けてみましょう。
カーデザインと言うと、新車の発表時に出てくる、あのラフなイラストを描
いて形の概略を決めるだけの仕事、と思いがちです。
しかし「絵」は開発の手段として存在するのであり、それだけがデザイナー
の仕事ではありません。
例えば8人乗りの乗用車を開発する場合、人間を長さ5メートル、幅1.8メー
トルの箱の中に乗せるにはどうしたらいいか、8人分の荷物をどこに積むか、
真ん中の席の人は窓を開けたいと思うかどうか、後ろの席までエアコンの冷
気が届くか、それを150万円以内で作るにはどんなことが必要か―
等々の要素を全て出し、それをまとめて設計するのが「デザイン」の仕事な
のです。
つまり、カーデザイナーは設計者やエンジニアと「対立」する立場ではなく、
船頭のようにプロジェクトの舵取り役を担っているのです。
もちろん、デザイナーは自動車の全ての要素について専門家ではありません
し、その必要もありません。
一方、クセのある専門家達の見解を聞き、矛盾する意見の山をかき分けて、
整理しながら進める「コミニュケーション能力」や、トップやクライアント
に対する「プレゼンテーション能力」がデザイナーには必要です。
ですから、7,500万円の名車をも生み出す、あのたった一枚の「デザインスケ
ッチ」の後ろには、何千枚の試行錯誤と、何年もの格闘があるのです。
現在、地元の山形に帰り、地場産業のデザインを請け負う事務所を開いてい
る著者は、「イタリアでフェラーリを作るのも、山形で工業製品を作るのも
根本は一緒」と語ります。
曰く、「未来のお客さんのために、一生懸命にアイデアを出して、スケッチ
を描いて、職人さんたちと議論しながらものを作っていく」のだと。
世界最高のデザイナーの一人が日本人であることを誇りとし、彼の開発型の
ものづくりに学びましょう。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
世界中の自動車メーカーで新しいモデルを開発するときには、粘土の実物大
模型を作るのが普通だ。
しかし粘土は簡単に盛ったり削ったりできるので、結構いい加減に始めてし
まいがちだ。
適当に作って、後で修正すればいいやと思うからだ。
「エンツォ・フェラーリ」を作ったとき、試作モデルに使ったのは粘土では
なく「エポウッド」という材料だった。
これはエポキシ樹脂でできた硬い素材で、ノコギリとノミとカンナとサンド
ペーパーで加工する。
つまり、「真剣勝負」が要求される素材なのだ。
きっちり下準備をしてから硬い素材を削っていき、作り始めたら、もう変更
はきかない、という姿勢だ。
そういう緊張感の中で仕事をすることが、いいものを作るための条件になっ
ているのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
フェラーリの赤は、ワインやポモドーロの赤ではない。
亡くなったドライバーや、デザイナーの努力の「血の色」なのだ。
デザイナーのアイデア創出の道具は「言葉」と「手」だ。
手を動かし、議論を深めることで、アイデアのレベルを上げていこう。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
◎ 目 次 ◎
第1章 カーデザインで諸国を遍歴
第2章 日本人の知らないイタリア
第3章 イタリアのものづくりに学ぶ
第4章 コミニュケーションとしてのデザイン
第5章 なぜフェラーリは高くても売れるのか
第6章 クリエイティブであり続けるために
第7章 カロッツェリア的ものづくりへの挑戦
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◆ 関連ページ ◆
・著者 奥山清行
・出版社 PHP研究所
・アマゾン 『フェラーリと鉄瓶』
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July 04, 2007

【今週の一冊】
●『我らクレイジー☆エンジニア主義』
編:リクナビNEXT Tech総研(講談社)
2007.1 / ¥1,680
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『私は生まれ変わっても、エンジニアになりたいです。
だって、欲しいものがあれば、自分でつくれるのがエンジニアだから。
誰かがつくってくれるのを待っている必要はない。
自分でつくれてしまえるんです』
-----------------------------------
NHKの「プロフェッショナル」は、やまさんの好きな数少ない番組の一つ
ですが、最近火曜日夜に時間帯が変わってちょっと残念。
(なぜって?まあ、メルマガをもっと早く書けば良いだけなんですが・・)
あの番組の中でも登場した、「タンジブル」の石井教授や、これまで「燃え
る100冊」で紹介した、恒星500万個プラネタリウムの大平貴之氏、ロボット
デザイナーの高橋智隆氏など、現在の日本で最も「突き抜けた」プロフェッ
ショナル・エンジニア15名のインタビューがまとめられています。
一見、人間と見紛う精巧な「アンドロイド」を生み、ロボットと人間のコミ
ニュケーションを研究する石黒浩氏。
表面的に人間に「似せる」のではなく、「人間とは何か」という哲学的なア
プローチが独自の研究に繋がっています。
氏は、「開発予算がないから新しいことが出来ない!」と嘆く研究者に、「
今、目の前に1億円ポンと詰まれて、新しいことをやれといわれて、すぐに
できるだけの準備をしておけ」とアドバイスします。
お金があることと、ちゃんと技術ができるかは、全く別問題であり、切り離
して結果を出すのがエンジニアなのです。
電車に乗るときも、食事中も、講義のときにも一日中、額にヘッド・マウン
ト・ディスプレイ(HMD)を付けて生活している塚本教授は、人呼んで「
ウェアラブルの伝道師」。
「来年こそ流行する!」と予言し続けながら、自ら広告塔になって普及を狙
う姿は特異ですが、彼が10年前に「10年後、歩きながらコンピューターを使
うようになる」と予言した言葉は、現在ノートPC、ケータイとなり現実の
ものとなっています。
「HMD?ああ、知ってるよ」と軽く流そうとする向きは多くても、実際に
見て、触って、装着してみた人はどれだけあるでしょうか。
開発者にとって恐ろしいのは「評論家」になってしまうことであり、評論だ
けでは、新しいものは生まれません。
「10年先どうなるか」を語る占い師は未来はつくれません。
「こうしよう!」と、自分が未来を決めるのが、我らエンジニアなのです。
「苦しかったときは?」という問いかけに、トップエンジニア達は、口をそ
ろえて「苦しいと思ったときなどない。好きなことができて楽しい!」と答
えます。
彼らのような燃えるエンジニアを「クレイジーエンジニア」と呼ぶならば、
喜んで「クレイジー」になろうじゃありませんか!
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
慶応大学で、時速370キロの8輪駆動車「Eliica」を作った清水教授。
かつて彼がレーザーレーダーの開発をしていた時のこと。
重要な研究テーマは、「どこまで遠い大気中の状況が見られるか」。
遠くなるほど測定が難しくなるため、誰もがレーザーパワーを上げることに
必死で取り組んだ。
これを10倍にすることはとんでもなく大変なことだ。
しかし、レーザーの光を大気中の分子や粒子に当てて跳ね返ってくる光を受
信する望遠鏡を大きくすることでも遠くまで測定することが可能だった。
面積10倍の望遠鏡を作ることは、レーザーパワーを10倍にすることに比べて
容易だった。
この方法で、教授は世界で一番遠くまで測定できる装置を開発した。
誰もが考えれば分かることだが、発想が縛られてしまうと思いつかない。
自動車のエンジンから開放された電気自動車のアイデアも、清水教授らしい
発想から生まれたのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「ワクワク」「ドキドキ」の、寝食忘れるものづくりをしているか。
自分が楽しいものでなければ、人を感動させることはできない。
朱に交われば、赤くなる。
烏合の衆から飛び出し、トップエンジニアの生きざまに学べ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
◎ 目 次 ◎
01 石井裕 39歳でMIT教授に転身。まったくのゼロから創造した「タンジ
ブル」の世界
02 石黒浩 自分そっくりロボットに世界が驚愕。「人間とは何か」求め
てアンドロイド開発
03 稲見昌彦 SFアニメが鍵。透明人間を実現した「光学迷彩」でインター
フェース革命
04 内山太郎 度肝抜く空中立体映像。「日の当たらない研究」が次世代広
告媒体を生む
05 大平貴之 たった一人で恒星数500万個のプラネタリウム。すべてケタ
外れに考える
06 小濱泰昭 飛行機で新幹線。時速500キロの未来列車「エアロトレイン」
という発想
07 山海嘉之 人体密着型ロボットスーツが実用化へ。医療分野にも広がる
ビジネスビジョン
08 清水浩 世界最速、時速370キロ。8輪駆動のクルマ「Eliica」の快感
は加速感にあり
09 高橋智隆 設計図なし。実家2階の寝室兼工房が舞台のクレージーなロボ
ット製作現場
10 塚本昌彦 ウエアラブル伝道師の予言。「ヘッド・マウント・ディスプ
レイが未来を変える」
11 苫米地英人 面白いことだけやるために脱・洗脳せよ! 天才脳機能学者
のエンジニア論
12 富田拓朗 ケータイ動画変換で世界を制す。カリスマプログラマが挑む
情報伝達の指針技術
13 八谷和彦 「ポストペット」大ヒットのアーティストが語る、感動を仕
事に変える技術
14 古田貴之 ロボット界の異才が仰天発想。8本足のクルマが手探りで段差
、坂道を登る
15 由井啓之 ビル・ゲイツを驚嘆させたスピーカー「タイムドメイン」不
屈の開発秘話
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◆ 関連ページ ◆
・Tech総研 我ら“クレイジー☆エンジニア”主義!
・アマゾン 『我らクレイジー☆エンジニア主義』
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June 29, 2007

【今週の一冊】
●『千年、働いてきました』
老舗企業大国ニッポン
著:野村 進(角川書店)
2006.11 / ¥740
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『ケータイという現代の「新しさ」の粋を集めた製品を
見えないところで支えているのは、
実は「古くさい」と思われがちな老舗企業の力だと言ったら
言いすぎでしょうか』
-----------------------------------
「現存する、世界最古の会社」といえば、なんとなくイギリスやドイツなど
ヨーロッパあたりにありそうな感じがします。
しかし、実はここ日本にあります。
しかも、その「創業」は、江戸時代でも、室町時代でも、平安時代でもあり
ません。
なんと・・「西暦578年」聖徳太子の飛鳥時代なのです!
大阪の「金剛組」という建築会社で、難波の四天王寺を完成させたのが、最
初の仕事だったとか。
日本には実に10万社以上あると推定される、創業100年以上の「老舗」と
言われる会社、その中の「ものづくり」企業にこだわった本書を紐解いてみ
ましょう。
冒頭の言のように、皆さんお持ちの「ケータイ」は、日本の老舗企業の底力
なくしては、全く機能しないと言えるでしょう。
例えば、二つ折り携帯の折り曲げ部分、電気メッキされた銅箔や、電磁波シ
ールド用の銀入り塗料を作る「福田金属箔粉工業」の創業は、元禄時代、赤
穂浪士の討ち入り2年前。
もともと屏風や蒔絵に使われた、金箔や粉を作っていた福田金属は、「金属
の箔や粉」という「コア・ミッション」から外れることなく生き延び、今の
事業に結びついています。
明治24年(1891年)設立の東洋通信機の流れを組むエプソントヨコムは、携
帯電話の心臓部、「人工水晶」を世界最大手のノキアにも供給しています。
天然物の水晶が数百万年かかるのに対し、エプソントヨコムの技術により数
ヶ月で一度に3トンもの水晶が生産できるようになったのです。
かつて軍艦や戦闘機に搭載される無線機を製造していた同社が、その技術を
「より小さく、より安定したもの」へと突き詰めた末にたどり着いた技術が
「人工水晶」の工業化だったのです。
こうした「老舗」企業群の姿からは、変わらない偏屈な「静」のイメージで
はなく、柔軟性と即応性の富んだ「動」の組織が見えてきます。
しかし一方では、創業以来の家業の部分は、たとえ利益には直接結びつかず
とも、頑なに守り抜く「頑固さ」も併せ持っています。
バブル期に土地転がしや多角化によって消えていった企業とは、一線を画し
ているのです。
「会社の寿命は30年」と言われる中、脈々と受け継がれる「老舗」のもの
づくりには、学ぶべき「技術」と「哲学」が流れています。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
液体窒素の零下196度の世界に一週間放置されても、90度の熱湯に一時間漬け
ても、純度100%のエチルアルコールに1週間入れても、はたまた17年間も乾
燥したままであっても「死なない」生き物がいる。
「ネムリユスリカ」をいうアフリカ中部に住む蚊の一種だ。
その驚異的な生命力の最大の理由が、「トレハロース」という糖を自分の体
内で作り出し、一つ一つの細胞を守っているからだ。
この「トレハロース」の大量生産に世界で初めて成功したのが、創業123年の
「林原」である。
甘味だけではなく、乾燥や冷凍にも強い特長を生かして、菓子類はもとより、
様々な食品の砂糖やブドウ糖が、近年トレハロースに置き換わっている。
トレハロース自体は昔から発見されてはいたが、抽出が極めて難しく、「夢
の糖」とまで言われていた。
その量産化に林原が成功したのは、同族経営の老舗企業の強みである、長期
的でハイリスク・ハイリターンな研究開発に投資ができたお陰だと言えるだ
ろう。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
あなたの仕事の「コア・ミッション」は何だろう。
目先の利益ではない、「利他」の使命でなければ100年は続かない。
軸足を据えて、もう片足を広げよう。
じっとしたままでは進歩はないが、一足飛びでは進めない。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
◎ 目 次 ◎
プロローグ 手のひらのケータイから
第1章 老舗企業大国ニッポン
第2章 ケータイに生きる老舗企業の知恵
第3章 敗者復活
第4章 日本型バイオテクノロジーの発明
第5章 “和風”の長い旅
第6章 町工場 ミクロの闘い
第7章 地域の“顔”になった老舗企業
エピローグ 世界最古の会社は死なず
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・金剛組
・福田金属箔粉工業 金属粉末、箔
・エプソントヨコム 水晶デバイス
・林原 トレハロース
・出版社 角川書店
・アマゾン 『千年、働いてきました』
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June 27, 2007

【今週の一冊】
●『未来を創る力「ものづくり」のすすめ』
著:梅原 猛,西沢 潤一,永 六輔,野田 一夫 (講談社)
2002.12 / ¥1,575
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◆ 燃える一言 ◆
『人間というのは、あまりしょっちゅう道を踏み間違えては
いないわけです。
ちょっと失敗したというようなことが、後になって必ず生きてくる。
人生においては、失敗の体験を次に生かすことが実は大事なのです』
-----------------------------------
※本記事は07/4/4発行のメルマガの内容です。
新年度を迎え、新たな社会人として社長や先輩の訓示を受けた方も多くいる
ことでしょう。
ウン十年前に、かつて「新人」であった方も含め、桜舞い散る新たな門出の
とき、改めて「ものづくり」の意義を確認する良い機会です。
日本を代表する文化人の方々に、熱く「ものづくり」の素晴らしさを語って
頂きましょう。
全国を旅し、各地の職人と交流が深い永六輔氏は、「計量法反対運動」に乗
り出したことがあります。
尺貫法からメートル法に改定したこの法律では、定規や升を製造販売するこ
とに懲役や罰金という「罰則規定」を定めていました。
このため例えば大工道具である「曲尺(かねじゃく)」が職人の手に入らな
くなったため、永氏は曲尺を堂々と「密造」し、それを各地の警察署に「自
首」して回る、という運動に乗り出したのです。
この悪法はその後改定されるようになりましたが、その間、肝心の職人さん
達が自ら声を上げ、意見を言うことがありませんでした。
また、職人の仕事は、一人で完結するものではなく、道具を作る人、更にそ
の道具の材料を作る人が連綿とつながっていますが、その一部が欠けたがた
めに、絶滅の危機に瀕している「職人技」が多数あります。
こうした経験から、職人が立ち上がり、横のつながりを持つためのネットワ
ークづくりを提言しています。
ダイオードや半導体レーザー、光ファイバーという光通信に欠かせない技術
を一人で考案し、実用化の糸口を開いた西澤潤一氏は、「独創性」の大切さ
を叫びます。
トランジスタの発明の際、実験材料も乏しい中で西澤氏が取った方法は、「
午前中はしゃにむに論文を読め。午後になったら、何が何でもとにかく実験
を繰り返せ。夜になったら、昼間にかせぎためた実験結果を整理してみる」
という、とある先生の教えの実践でした。
「なぜだろう」ということをとことん突き詰めていくと、論文の一つひとつ
に直接の答えはなくとも、「ははん」と思う一節に巡り合い、大きな発見の
きっかけとなったと言います。
「できないことをできないと証明するのは難しい。根拠なしにできないと言
うな!失敗など恐れずおやりなさい」と、氏は若き研究者、技術者へメッセ
ージを送っています。
その他、「経営とものづくり」を語る野田一夫氏、そして思想家 梅原猛氏と
いう日本を代表する文化人による、「ものつくり大学」での講義内容をまと
めた本書は、新人のみならず、我らエンジニアの襟を正す示唆に富んでいま
す。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
太平洋の底に沈められ、世界の通信をつなぐ「光ファイバーケーブル」。
1本20μmのガラス繊維を束ねて、プラスチックのようなもので覆って海底
に沈められているが、実際に通信を始めようとすると「事故」が起きた。
そのケーブルをサメが噛み切ってしまったのだ。
そこでいろいろと調べて、サメが嫌いな材料は何かを試験を繰り返し、よう
やくサメの嗜好に「合わない」材料を見つけた。
近代的な光通信においても、最後まで問題になったのは、極めて原始的とい
ってもいい問題だったのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「職人技」は守らねばならないが、「職人気質」だけでは続かない。
後進の育成を含めて、ネットワークを構築せよ。
「できる、できる、必ずできる!!」
ひたすら唱えて、一つ所に命を懸けよ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
伝えたい職人の技と心意気(永六輔)
独創性ある人、出でよ(西沢潤一)
経営というものづくり(野田一夫)
ものづくりは日本の誇り(梅原猛)
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◆ 関連ページ ◆
・ものつくり大学
・出版社 講談社
・アマゾン 『未来を創る力「ものづくり」のすすめ』
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June 13, 2007

【今週の一冊】
●『操縦マニア!』
編:三推社出版部(三推社)
2006.12 / ¥1,950
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◆ 燃える一言 ◆
『ふつうでは行けない場所で使われたり
ユニークな使われ方をする乗り物は、
いろんなアイデアが詰まったオモチャ箱のような機械だった』
-----------------------------------
某社の車輪の出てこないヒコーキを無事着陸させたパイロットの腕前には驚
きましたが、その際、テレビで放映されていた飛行機の操縦方法に興味を持
たれた方も多いでしょう。
本書にはそんな普段とても扱うことのできないような乗り物の構造と操縦方
法が、図解をふんだんに駆使して紹介されています。
例えばジャンボジェットの最新鋭機、エアバスA380は、さぞや複雑な操縦方
法になっているかと思いきや、まるで「ゲーム」のようにスティック一つで
指示すれば、細かな制御は不要となっています。
これはFBW(フライ・バイ・ワイヤ)と呼ばれる、パイロットの指示をコ
ンピュータで処理した結果を電気的に伝えるシステムの賜物です。
むしろパイロットの重要な仕事は、演算のための各種データを入力する手順
や数字の選び方にあると言えます。
更に「特殊」な飛行機といえば、戦闘機です。
F-16などの新しい機体は、こちらもFBWが導入され、パイロットの負担は
減っているそうですが、本書に取り上げられたF-15は高性能機でありながら、
その操縦は「パイロットまかせ」です。
前面のパネルに散りばめられた計器で一瞬に判断し、指一本一本に割り当て
られたスイッチ類を駆使してコントロールし、しかも一般人なら気を失うほ
どの急加減速を繰り返すのですから、正気の沙汰とは思えません。
同じく操縦者のテクニックに大きく依存する究極の乗り物といえば、F1カー
もその一つです。
わずか5.2秒で停止状態から時速200キロまで加速するモンスターマシンです
が、操作方法自体はシンプルで、足元にはアクセルとブレーキがあるのみで、
クラッチ操作はほぼ自動であり、シフトチェンジも手元のスイッチでできま
す。
操作するスイッチ類も全てステアリングに配置され、中には押すと飲み物が
出てくる「ドリンクボタン」まであります。
また「パワーステアリング」も付いていますが、これはステアリングを軽く
するためではなく、コーナリングで一度切ったステアリングが横Gの強い力
で押し戻されるのを抑えるためのもので、やはり「特殊」な世界です。
もう少し日常に近い、変わった乗り物では「DMV(デュアルモードビーク
ル)なんていかがでしょう。
これは道路でも線路でも走れる、バスと電車が一緒になったような乗り物で、
線路走行に切り替えるには、導入部で車体を線路に合わせて位置決めし、前
後にガイド用の鉄輪を出して走行します。
ちょうどこの4月から北海道で試験導入されますので、ニュースなどで目に
する機会もあることでしょう。
そのほか、砕氷船や飛行艇、戦車やスペースシャトルといった特殊な機体か
ら、タクシーや馬車に至るまで、ありとあらゆる「乗り物」の運転を感じる
ことができる、「見て」楽しい一冊です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
重量108トンの本物の電気機関車を、誰でも運転できるところがある。
子供から鉄道ファンまでが楽しめる鉄道のテーマパークである、群馬県にあ
る「碓氷峠鉄道文化むら」だ。
本物のEF63形電気機関車の運転体験が可能で、運転体験を重ねると、連結体
験や重連推進運転なども体験できるのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
身近な乗り物も、その構造を理解して運転しているだろうか。
自転車や自動車の機構を、覗いてみよう。
使う人が使いやすいことが、機械の安全につながる。
作りやすさの前に使いやすさを考えた「ものづくり」をせよ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
1 身近な乗り物(ジェット旅客機、新幹線 ほか)
2 憧れのハイテクマシン(戦闘機、ヘリコプター ほか)
3 気になる特種な乗り物(飛行艇、深海探査船 ほか)
4 ものづくり・作業機械(トラック、油圧ショベル ほか)
5 自然まかせのアナログ乗り物(馬車、パラグライダー ほか)
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・電気機関車 碓氷峠鉄道文化むら
・出版社 三推社
・アマゾン 『操縦マニア!』
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June 08, 2007

【今週の一冊】
●『手作りですが精度はミクロン単位です』
世界を制するオンリーワン中小企業
著:木村 元紀 編:みずほ総合研究所(洋泉社)
2007.2 / ¥1,680
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◆ 燃える一言 ◆
『モノづくりの本質は、高度な基盤技術と技能を持った
中堅・中小企業の細部にこそ宿る―そう言っても過言ではあるまい。
生産現場は絶えず自己変革をし、競争条件の変化を乗り越えようと
弛まない努力を続けている。
その蓄積が、日本の製造業の未来を担っていくことになる。』
-----------------------------------
※本記事は07/3/21発行のメルマガの内容です。
大手メーカーの春闘の結果が出揃い、前年を上回る給与賞与で妥結したと報
道されています。
これに対し、中小企業では「いざなぎ超え」の景気回復は実感がなく、格差
が広がっている・・というのがどこかの政党の掛け声にもなっています。
確かに大企業の収益力は突出していますが、本書に挙げた19の中小企業は、
いずれも業績は伸びています。
その「突破力」がどこにあるのか、ちょっと覗いてみましょう。
長野県の「アールエフ」が開発した「NORIKA3」は、風邪薬のように飲み込み、
消化器を通って排泄されるまでの7~8時間に渡って体内の様子を撮影、リ
アルタイムでモニターできる内視鏡です。
イスラエル製の同様なカプセル内視鏡がバッテリー内蔵で1秒に2コマの静
止画しか撮影できないのに対し、「NORIKA3」は30コマ/秒の動画撮影が可能
です。
この高機能の秘密は、カプセルへの電力供給を体外から無線で行うことがで
きる点にあります。
更に、カプセルの駆動も、極小のモータをカプセルに内蔵するのではなく、
体外の電磁石に対してカプセルを「回転子」とするユニークな構造で実現し
ています。
「新しい製品を作るとき、壁にぶつかったら、その分野の掟を破ることで突
破口が開かれる」という丸山社長の発想こそ、同社成長の原動力です。
板金に小径穴を多数打ち抜いた「パンチングメタル」は、物質の分離・濾過
・粉砕・脱水などに活用されます。
常識的には穴径は板厚と同等までが限界とされていますが、「布引製作所」
では最大166%(2mmの板厚に1.2mmの穴径)まで可能にしています。
最小の穴径は0.25mm、幅200mmに500本ものピン状のパンチが埋め込まれた金
型は圧巻ですが、驚くのはその受け側となる無数に穴の空いたダイの加工は、
最新鋭の工作機械ではなく、改良した「ボール盤」。
NC機ではドリルが折損するまで気が付きませんが、ボール盤を使って作業
者が目と耳と手先の感覚でドリルの切れ味を「感じ」、再研磨・調整するこ
とで高精度な穴あけを実現しているのです。
こうしたオンリーワン技術は、ハイテクよりもアナログな「職人技」こそ中
小企業に適していると筆者らは指摘しますが、それができる企業は限られる
でしょう。
ならば、「普通の中小企業」は地域密着の仕事、つまり「食」「住」「環境
」「福祉」こそが生き残る道だと説きます。
元気な中小企業を鑑として、自社の「コア」と「食住環福」を掛け合わせる
ことが、生き残りのヒントとなるでしょう。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
本書のタイトルにもある「ミクロン(1/1000mm)」以下の精度で粉粒体の形状
を加工したり、表面処理をする技術がある。
例えば、UVカットファンデーションには、紫外線吸収効果の高い二酸化チ
タンが配合されているが、粒径が0.1μmになると毛穴に入り込んでしまう。
そこで10μm程度のナイロンの粒子の表面に二酸化チタンをコーティングす
ることで、その機能を引き出しているのだ。
こうした粉粒体処理装置を製造しているのが大田区の奈良機械製作所だ。
粉体を機械的に粉砕する方法には「たたく、つぶす、擦る、切る」をいう4
つの原理があるが、これらでは0.1~0.5μmが限度だ。
そこでより細かいナノ粒子を作る方法として開発されたのが「レーザーアブ
レーション・システム」である。
ハード面では特段斬新な技術が採用されているわけではないが、オリジナリ
ティが発揮されているのは、各要素をシステム化するための総合的なエンジ
ニアリング力だ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「理科」で学ぶ原理原則にこそチャンスあり。
単純な精密化・微細化ではない、発想の転換が突破力になる。
「格差」「弱者」と呼ばれることに甘んじるな。
中小企業に適した市場は、必ずある。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 世界を制する研究・技術開発力
第2章 深化するコア技術―コア技術を磨き、高付加価値を極める
第3章 オンリーワンの熟ワザ
第4章 常識を覆す“顧客対応・生産技術”革命
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・アールエフ カプセル内視鏡Sayaka
・布引製作所 パンチングメタル
・奈良機械製作所 レーザーアブレーション・システム
・出版社 洋泉社
・アマゾン 『手作りですが精度はミクロン単位です』
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May 24, 2007

【今週の一冊】
●『ゼムクリップから技術の世界が見える』
アイデアが形になるまで
著:ヘンリー・ペトロスキー 訳:忠平 美幸(朝日新聞社)
2003.8 / ¥1,365
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◆ 燃える一言 ◆
『われわれは、自然界や既存の人工物について考えをめぐらせ、
それらをどう作り変えたり改善したりすれば人類に有益な目標を
よりよく達成できるか、という問いに答えを出さなければならない』
-----------------------------------
今、皆さんの目の前にあるもので、「人工物」にどんなものがあるでしょう
か?
そもそも、この文章を目にしているのはPCのモニターや携帯電話のはずで、
間違いなく100%、工学的な製品です。
いや、おそらくは部屋の片隅の観葉植物と「人間」以外は、ほとんど人工的
なものばかりでしょう。
本書では、ごくごく身近な文具やアルミ缶から始まり、橋や高層建築に至る
まで、それらを生み出した「工学」的な背景を、描き出しています。
おそらく今、机上で最も単純な「製品」の一つが「ゼムクリップ」でしょう。
あまりに単純で、クリップの「取扱説明書」なんて見たこともないような分
かりきった製品ですが、クリップが「機能」するために必要な「弾性」が明
確に理解されたのは、さほど昔のことではありません。
ロバート・フックが「張力は力に比例する」という「フックの法則」発見し
たのは1660年のことであり、クリップのみならず、橋や飛行機の翼、高層ビ
ルなど、技術者が設計するほとんど全ての構造物に影響しています。
この弾性を超えて、長さ10センチ程の針金を3回折り曲げたらクリップは出
来上がりですが、これで「紙を留める」製品として「完成」した、とは言え
ません。
おそらく、だれでも取り出そうとしたクリップが絡まったり、クリップの針
金の先で紙を破った経験はあるでしょう。
こうした「欠点」をあげつらって、「改良した」と言い張るのが「発明」で
あり、事実、これまでにゼムクリップを批判し、特許を取得した「クリップ
」は、何百もあります。
針金の先で紙を破る対策としては、針先を丸くつぶす、先をリング状に丸め
る、針の足をクリップの円弧よりも長くする・・などなど、枚挙に暇があり
ません。
逆に言えば、最良の「クリップ」の探求が、今もって困難であることは明ら
かであり、複数の相容れない目的の「妥協案」を提供することが、ものづく
りであると言えるでしょう。
クリップやジッパー、アルミ缶などを通じて語られる材料力学や発明、加工
機械や環境への影響など、製品と我々エンジニアを取り巻く世界を知る一冊
です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
シャープペンシルの芯や、削ったばかりの鉛筆の芯がポキポキ折れることほ
どイライラするものはない。
カリフォルニアの工学者ドン・クロンキストも手書きレポートを仕上げる間
に何度もこのイライラに遭遇した。
レポートを書き終えて机の上を見ると、鉛筆の折れた芯先がたくさん転がっ
ているのを見つけた。
彼の目を引いたのは、その数の多さではなく、「どれもこれも大きさと形が
ほぼ同じだったことだ」。
そこでこの理由を、彼は「円錐形の片持ち梁」のモデルを作って計算してみ
た。
すると、なるほど計算した「折れた鉛筆の芯」の大きさは、机の上で見つけ
た「芯」の大きさにごく近かった。
しかし、彼は破断面が「傾いている」ことは満足のいく説明をしておらず、
吟味した人々も気に留めていなかった。
それは鉛筆の幅方向に加わる「せん断力」を考慮しなかったことが原因であ
ったが、解析の前提となるモデルの「仮定」が間違っていたためだ。
同じような怠慢による過誤は、分析に取り組む「方法」がどんなに精巧なコ
ンピュータ・モデルを使うようになっても、起こりえるのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
机の上の文房具を、どう作っているか考察せよ。
その構造を、力学的に記述してみよう。
「ゼムクリップ」より作りやすく、使いやすいクリップを考案せよ。
「鉛筆の折れた芯」の大きさを計算せよ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
1 ペーパークリップと設計
2 鉛筆の先と分析
3 ジッパーと開発
4 アルミニウム缶と失敗
5 ファクシミリとネットワーク
6 飛行機とコンピュータ
7 水と社会
8 橋と政治
9 建物とシステム
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・出版社 朝日新聞社
・アマゾン 『ゼムクリップから技術の世界が見える』
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May 10, 2007

【今週の一冊】
●『レアメタル・パニック』
中村 繁夫(光文社)
2007.1 / ¥1,000
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◆ 燃える一言 ◆
『このレアメタル高騰は、25年に1度の大きな波である可能性が高く、
「レアメタル・パニック」はこれから本格化するだろう。
その甚大な影響は「石油ショック」をも超えるだろう』
-----------------------------------
マンホールの蓋や水道の蛇口、果ては公園の滑り台まで、各地で「金属泥棒
」が頻発しています。
かくまで「珍事」が起きるほど、今、金属材料が異常なほど値上がりしてい
ます。
その大きな要因が、本書で指摘する「レアメタル」の高騰です。
「レアメタル」とは、希少金属のことで、ニッケル、コバルト、タングステ
ンなど比較的よく知られたものから、インジウム、タンタルなど生産量の極
めて少ないものまで含み、計31種類あります。
レアメタルは、その名の通り地球上に埋蔵量が少ないもの、もしくは埋蔵量
は多くても経済的・技術的に純粋なものを取り出すのが難しいため「希少」
となるものがあります。
そして、今や我々の生活は、「レアメタル」なしには成り立たないのです。
例えば液晶テレビの生産工程では、「インジウム」がパネルの透明電極とし
て使用されます。
リチウムイオン電池にはリチウムやコバルトが、蛍光体にはイットリウムや
ユーロピウムが原料となります。
そして電子機器や自動車などのモーターに使われる「ネオジム系焼結磁石」
の原料としてネオジムやサマリウムが用いられ、今後需要が高まる勢いを見
せています。
つまり最先端の製品が高い性能を発揮するためにはレアメタルは必要不可欠
であり、そうした製品を多数生産する日本は、世界のレアメタルの25%を消
費する、世界最大の「レアメタル消費国」なのです。
ところが、そのレアメタルの需給バランスが崩れ、市場からなくなっている
のです。
2003年以降の3年間で、タングステンやバナジウムは約6倍、モリブデンは
6倍、インジウムに至っては10倍近くまで高騰しています。
この原因は、中国をはじめとする「BRICs」や「Next11」と呼ばれる新興国の
経済発展にあります。
これまで先進国で分配していたレアメタル資源を、これらの国を含めて分配
することになり、資源消費マップが大きく塗り替えられているのです。
特にこれまでレアメタルの輸出国であった中国が、国内需要の高まりと国家
戦略により、輸入、更には世界中のレアメタルの「独占」を狙い始めている
動きに注視せねばなりません。
筆者をはじめ、世界を股にかける「山師」のような商社マンが動かす「レア
メタル市場」が、日本のものづくりの今後を大きく左右することは間違いな
さそうです。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
レアメタルが激しい値動きを示す理由として、埋蔵量が少ないことに加えて
偏在していることが挙げられる。
可採埋蔵量を見ると、ニオブはブラジルに約98%、タンタルは豪州に約93%、
白金族は南アに約89%、リチウムはチリに約73%とその多くが特定の国に偏
在している。
また、生産量では、中国が希土類元素(レアアース)で約95%、タングステ
ンで約83%、アンチモンで約82%を生産し、南アがプラチナで約72%、クロ
ムで約50%、豪州がタンタルで約67%、チタンで約31%を生産している。
これに対して、日本で操業している鉱山は菱刈金山のみ。
日本は「レアメタル」の争奪戦で、圧倒的不利な状況にあるのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
設計者は安易に「レアメタル」に依存するな。
数円のVAではカバーできない変動が、レアメタルには付き物だ。
環境技術でレアメタル産出国に貢献せよ。
中国に偏らず、中央アジア、東南アジアなど広く供給先を確保せよ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 世界のレアメタルを中国が食い尽くす
第2章 決して終わらない世界各国の争奪戦
第3章 世界経済はレアメタルによって作られる
第4章 なんでもありの商社で世界を駆け巡る
第5章 独占に次ぐ独占、そして大損のレアメタル商史
第6章 資源貧国・日本の生きる道
第7章 探検商社の船出
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 アドバンストマテリアルジャパン
・出版社 光文社
・アマゾン 『レアメタル・パニック』
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April 26, 2007

【今週の一冊】
●『町工場で、本を読む』
著:小関 智弘(現代書館)
2006.11 / ¥2,100
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◆ 燃える一言 ◆
『時にはそれがどんな機械に使われる部品なのかさえ
わからぬようなものであっても、
それをつくっている男なら、ただの鋼のかたまりにすぎなかった素材が、
いま新しい形をもって機械の中から立ち現れてくる姿を見据えていると、
もののほうがこちらに語りかけてくる瞬間を知ることがある。』
-----------------------------------
半世紀に渡り、「旋盤工」として現場に立ち続けながら、ものづくりの現場
に根を張った作品を上梓する「作家」、小関智弘氏のエッセイであり、書評
集です。
戦後、工業高校(ただし普通科)を卒業し、たった3人の町工場に飛び込ん
で、氏の「旋盤工」人生は始まりました。
仕事はきつかったものの、自分の手ではじめて鉄を削ったときには、「感動
と緊張のあまり、ズボンを濡らしたほど」であったと述懐します。
そんな仕事の合間、文学青年が集まって、毎月一度の読書会を開くようにな
り、それが40数年後の今日まで続く「生涯の友」となったのです。
この読書会でめぐり合ったという、「ものづくり本」を、いくつか紹介しま
しょう。
刃物の町、三条で鍛冶屋を創業し、日本刀の技術を応用した剃刀を量産した
岩崎航介の遺稿集『刃物の見方』。
岩崎は、大工道具の名人や、刺身包丁の名人の言葉から、鋼を徹底的に分析
し、自社で作った剃刀と金属顕微鏡をもって、製鉄所の技師に欠点を指摘し
ます。
はじめは取り合わなかった大製鉄所も、同じ欠点を大手自動車メーカから指
摘され、あわてて製法に大改良を加えます。
製鉄所の技師よりも、鋼を打ち、鋼を研ぐ名人たちの方が「鋼を知っていた
」ことが、平易な言葉で綴られています。
残念ながらこの書籍は絶版だそうで、是非とも再版が望まれます。
金属メッキ工場の職工であり、「アララギ」に入会し歌集も編んだ松倉米吉
は、24歳で夭折しました。
わが握る槌の柄減りて光けり 職工をやめんといくたび思ひし
ふと詠みし歌をおづおづ記す間ぞ 前の男の仕事早かりし
鑢するわが手の下に真鍮粉は 光りきらめき散りたまりけり
旋盤を回している時にとてもいい表現を思いついた経験のある小関氏は、2
番目の引用歌に、共感を覚えています。
これも「旋盤工・作家」の肩書きを持つ筆者ならではの感覚でしょう。
ものづくり書籍にこだわって紹介している やまさん にとって、経験に裏打
ちされた深さと、労働に対する厳しい眼差しに基づく氏の書評に、感銘を受
けることしきりの一冊でした。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
写真家 英 伸三氏の写真集に、夜空に浮かぶ満月を思わせる鋼の断面があ
る。
丸いシャフトを金属帯鋸で切断し終えた瞬間を取ったものだろうが、工場の
男が気付かない美しい姿を撮っている。
これを写真家ではなく、旋盤工の眼で語ると、何の変哲もない断面にも言葉
が隠れている。
丸い断面にほぼ水平に走る鋸歯の切断層のほかに、丸い円の左右に向き合う
ようにいくつかの半円のぼかし模様が浮いて見える。
さらに切断層とは垂直に走る細かい鋭い線が5本ある。
この半円や垂直の線を、現場の男たちは「ユウレイ模様」とか「ユウレイ線
」と呼び、鋸歯の切れ味の目安にしている。
鋸歯の左右に曲げた歯の「アサリ」が描くのが半月模様であり、垂直の線は
切断を終えて回転を止めた鋸歯が上に戻るときに残したアサリ歯の引っ掻き
傷だ。
つまり、鋸歯のアサリの模様が浮いて出ぬようなら、もう切れあいは悪いと
いうことであり、鋸歯を好感したほうが良い、という目安になる。
なぜかは知らず現れるこの現象に、「ユウレイ」と名づける現場の男たちの
ユーモアが溢れている。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「暗黙知」を明文化しようとしても、匂いや音は伝わらない。
現場のおっちゃんの言葉を聞き、五感を動員せよ。
町工場で、本を読もう。
リズミカルな切削音は、最高のBGMだ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
1 錆色の町・めぐまれた友
2 「旋盤工・作家」駆け出しのころ
3 名作に描かれた技術・技能
4 読書とともに
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 小関 智弘
・出版社 現代書館
・アマゾン 『町工場で、本を読む』
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April 18, 2007

【今週の一冊】
●『組織を強くする技術の伝え方』
著:畑村 洋太郎(講談社)
2006.12 / ¥735
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◆ 燃える一言 ◆
『技術は、要求される機能や制約条件の変化によって、
時代と共にダイナミックに変化します。
しかしその本質部分がきちんと伝わらないと、
大きな変化にも対応ができないのです』
-----------------------------------
数年前から「ものづくりの現場の危機」と目されてきた「2007年問題」。
これまで現場を支えてきた、いわゆる「団塊の世代」が退職を迎えることで、
技術が伝わらずに途絶えてしまうことが危惧され、また頻発する品質問題な
どの形で表面化しています。
しかし、「技術の伝達」は、なにも今年だけの問題ではなく、人事異動や新
人の研修、生産の海外移転や技術導入など、複数の人が「技術」に携わる限
り、絶え間なく発生している課題です。
本書では、技術を「正しく」伝えるためのポイントを、5つにまとめて示し
ています。
一つ目は「まず体験させろ」。
うまくいくコツ、方法を教える前に、まずやらせてみるのです。
当然最初はうまくいきませんが、それによりもっと知りたい、できるように
なりたいと、受け手の頭の中に受け入れの素地が出来上がれば、その後の伝
達がスムーズに進むのです。
二つ目は「はじめに全体を見せろ」。
これは最初からすべてを理解させるという意味ではなく、自分がこれから学
ぶことの全体の中での役割を意識させるためです。
「自分が何のために学ぶか」を知ることで、モチベーションが上がり、これ
も「受け入れの素地」を作ることに役立つのです。
三つ目が「やらせたことの結果を必ず確認しろ」です。
多くの場合、伝える側は何らかの方法で技術を伝達したら、「これで自分の
役割は終わった」と思い込み、理解できないのは相手の責任と考えます。
しかし、「伝える」とは、相手が伝えた内容と同じ行動がとれるかどうか、
その結果でしか判断できません。
だから結果を確認し、良ければ褒め、悪ければ、伝える側の問題点も含めて
検証する必要があります。
四つ目のポイントは「一度に全部を伝える必要はない」。
知識には階層性があり、吸収できる素地もレベルによって異なるので、相手
のレベルに応じたやり方をすべきです。
そして最後は「個はそれぞれ違うことを認めろ」です。
これは意外に伝える側に意識されていませんが、伝える側の論理だけで伝達
を行っている限り、知識が正しく伝わることはありません。
そのためには、技術を伝えたい相手の状態をじっくり観察することから行わ
なくてはならないのです。
著者の畑村教授が、「失敗学」を伝える活動を通してまとめた「技術の伝達
法」は、今まさに技術者が身につけねばならない「基本スキル」であり、組
織が有すべきツールといえるでしょう。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
有名な古典落語、「目黒のさんま」。
あるとき目黒に鷹狩りに出かけた殿様、立ち寄った茶屋でさんまを初めて食
べた。
当時は庶民しか食べなかったさんまだが、脂が乗った旬の時期なら焼いただ
けでも絶品だ。
殿様、その美味が忘れられず、城に帰ってから家来にさんまを出すように命
じる。
しかし城の料理方は、殿様が食べるのだからと気を利かせてさんまの脂を抜
き、食べやすく骨抜きして蒸し焼き状態で出した。
そんなさんまが美味しいはずもなく、興ざめした殿様曰く、「さんまは目黒
に限る」。
多くの技術の現場で、これと似たことが起きている。
料理方が「食べやすく」配慮をしているつもりだが、そのことがさんまを「
おいしくないもの」にしているが如く、技術を伝える伝達者は、「わかりや
すく」気を使ったつもりが「つまらないもの」にしてしまっている。
「わかりやすいためには客観的でなくてはいけない」と思うあまり、話し自
体を整理しすぎてつまらないものにして、結果として伝わらないものにして
しまうのだ。
注意すべきは、その知識を構成する要素や構造がきちんとあるかどうかであ
って、それさえしっかりしていれば、大いに主観でものを語ったほうが良い
のだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「伝え方」よりも「受け心」を問題にせよ。
伝えたい人が与えるのではなく、欲しい人がむしり取れ。
「伝達量」よりも「伝達効率」を問題にせよ。
ダラダラ同じことを繰り返して伝える時間は、もはやない。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
序章 「技術」とは何か
第1章 なぜ伝えることが必要か
第2章 伝えることの誤解
第3章 伝えるために大切なこと
第4章 伝える前に知っておくべきこと
第5章 効果的な伝え方・伝わり方
第6章 的確に伝える具体的手法
第7章 一度に伝える「共有知」
終章 技術の伝達と個人の成長
「技術を伝える」を巡るおまけの章
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◆ 関連ページ ◆
・著者 畑村 洋太郎
・出版社 講談社
・アマゾン 『組織を強くする技術の伝え方』
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April 13, 2007

【今週の一冊】
●『西堀流新製品開発』
忍術でもええで
著:西堀 栄三郎(日本規格協会)
2003.11 / ¥1,890
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◆ 燃える一言 ◆
『能力というものは変えられる。
その人に与える環境次第によっていくらでも変えられる。
その人の能力を上げる方法はいくらでもある』
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日本の品質管理の創始者であり、真空管技術、第一次南極越冬隊長、原子力
の研究・開発と、多方面に渡って多大な功績を残した西堀栄三郎氏。
4年前、氏の生誕100周年を記念して復刊されたのが本書であり、初出は約
30年前です。
そんな数世代も前の本でありながら、西堀流の「新製品開発」手法は、全く
色あせることなく、その先見性に驚くばかりです。
まずこれからの製品は「多種少量生産をこなせ」と指摘します。
「欧米はコストの面から画一化に向かっているが、これからの日本は何とか
して多種少量生産をやるべき」との言は、まさに現実となっています。
更に、人間も「多種少量生産」、つまり専門家より多能工を目指せと説き、
北極点到達に植村直己氏が1人でやっていたことを、専門家10人かかりで分
業する愚を引き合いに出しています。
会社にとって、新製品開発は「企業経営者にとって最大の任務」であり、企
業を伸ばすのも、企業を潰すのも新製品です。
すなわち、「企業即新製品」とまで言い切ります。
これは製品のライフサイクルには、遅かれ早かれ必ず最後に衰退があるから
であり、この衰退のタイミングに新製品を投入せねば会社も衰退する運命に
あるからです。
となれば、新製品開発は部下任せにできるものではなく、トップが「新製品
の種」を育てる責任を負わねばならないのです。
ここで大事なのは、「新製品の種」を即座に評価してはならない、というこ
とです。
そうではなく、どうすればその「種」が育つかを考え、要領よく実験をして
着想の実現可能性を試してみないことには良し悪しは分からないのです。
簡単にアイデアを絞らずに、評価をした上で「冷凍庫」にたくさん保存して
おき、使えるようにしておくのです。
ではその「新製品の種」をたくさん出すためにはどうしたらよいのでしょう
か?
それには「知識」だけではなく、着想を求める「強い切迫感」が加わって、
アイデアが生まれます。
そして切迫感は、報酬や生活苦からよりも、「創造する喜び」を潤滑油に、
「責任感」をエンジンとして生まれてくるものなのです。
担当を明確にして責任を与え、手段は「忍術を使ってもええで」と、相手の
自由にさせ、考えさせる。
これが「西堀流」新製品開発の極意です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
着想が生まれてくるまでには、二つの発明の仕方がある。
一つはエジソン式発明であり、他の一つはラングミヤー式発明である。
エジソンは小学校しか卒業していない人であり、ラングミヤーはノーベル賞
を受賞したような大学者である。
2人は電球を研究していたGEの創始者であり関係者である。
エジソン式発明は、要求(切迫感)が先にあって、知識がそれに追従してい
くというやり方であり、ラングミヤー式発明では、知識が先にあってその知
識を応用して要求を満たすというやり方である。
一般論として言えば、エジソン式のほうがラングミヤー式よりも成功の確率
が高い。
別の言い方をすれば、街の発明家式の方がずっと成立しやすいということだ。
ところが、ラングミヤー式の方は、一たび発明が成立すれば大発明になる可
能性がある。
つまり基本的レベルでの特許を獲得できるのである。
しかし、そうした発明はそうざらにあるものではない。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
新製品開発はCAD、CAEで進むものではない。
タイムリーで要領のよい「ネタだし」「実験」こそ開発の要諦だ。
研究・開発はステージごとに切り分けよ。
それぞれに合わせた運営・予算・目標を設定せねば、成果は得られない。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
1 新製品開発精神
2 科学・技術と研究の促進
3 新製品開発の心がけ
4 新製品開発のやり方
5 私の新製品開発
6 西堀栄三郎博士生誕100年に寄せて
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 西堀栄三郎
・出版社 日本規格協会
・アマゾン 『西堀流新製品開発』
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April 05, 2007

【今週の一冊】
●『製造業崩壊』
苦悩する工場とワーキングプア
著:北見 昌朗(東洋経済新報社)
2006.12 / ¥1,680
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◆ 燃える一言 ◆
『必要なのは「1人が100歩進む」ことではなくて
「100人が1歩進む」ことである。
製造業はそのほうが業績向上につながる。
人材は、長期的な視野で育てよう。
目先の成果主義では人材は育たない』
-----------------------------------
突然ですが、あなたの職場では、こんな項目に当てはまりませんか?
□ 30代前半の男性社員の未婚率が5割以上ある
□ 男性の新入社員が入社3年以内に5割以上退社している
□ 工場で働く人の半分以上が「外国人+派遣+高齢者+パートタイマー」
になっている
□ 最近は社内の飲み会がめっきり減った
□ 社長が社員に対して結婚の世話をしたことがない
該当する項目が多ければ、あなたの会社は「内部崩壊が始まっている」と、
筆者は指摘します。
そんなこと関係あるの?といぶかしく思う向きに対し、独自のデータから、
皆が漠然と感じている製造業の問題点のあぶり出しを試みています。
現在の中小企業の人員構成を、筆者のデータを縮小して「男性社員58人」
の会社と考えると、平均年齢38歳、勤続年数10年となります。
つまり、「中途入社」が多いことが見て取れます。
また、入社3年以内という新人が18人、入社4年以上10年未満が16人
で、合わせて6割を占めます。
一方で、入社20年以上のベテランは10人しかおらず、「一部の古手社員
+多数の新人」という人数構成が見えてきます。
この団塊世代に代表されるベテランは、間もなく退職を迎え、一方で若手社
員は「3K」を嫌い、入社3年目までに半数が転職していくのです。
これが現在、最も潤う愛知県でのデータというのですから、暗澹たる気持ち
にさせられます。
この現状を破るには、やはり「人づくり」が原点です。
会社に対する愛着を持つ社員とするためには、新卒を採用して育てることが
ポイントですが、大都市部ほど中小企業の求人は困難を極めます。
そこで会社の「採用力」を構成する方程式を挙げましょう。
採用力=待遇のよさ×ホームページ×求人費用×企業イメージ×立地
いずれも「金」のかかる項目ですが、すぐに辞めてしまうような新入社員し
か雇えなければ、1人年間1,000万円にも及ぶ「投資」が無駄になるのですか
ら、目先にとらわれてはなりません。
日本のものづくりの足元を支えている町工場に、ひたひたと迫っている「崩
壊」を、今、食い止めねば、大企業も、地方も国も雪崩に巻き込まれます。
苦言から目をそらさず、我がこととして凝視せねばなりません。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
「技能伝承」の問題が指摘されて久しい。
日本のものづくりにおいて不足間の強い技術職とはどんなものだろうか。
2006年の「ものづくり白書」によれば、以下が挙げられる。
・設計
・製毛、紡績、製織、剪毛、編成、縫製又は染色
・切削
・溶接
・熱処理
これらの基盤技術において一人前になるまで要する期間は「5~10年」とい
う長期間がかかることもあるので、今後中長期的に見て、日本のものづくり
のネックとなりかねない。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「最近の若い者は」と嘆くだけでは済まされない。
まずは「我が子」「我が後輩」に「ものづくり」の喜びを伝えよ。
「楽しい仕事」「自分にあった仕事」の青い鳥の尾を追うな。
一所懸命(一つ所で命を懸ける)の君の横に、青い鳥がやってくる。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | | (炎3つが満点)
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第1章 異変あり!独自調査が明かす「中小製造業の就労問題」
第2章 「ものづくり」は「人づくり」という原点に戻ろう
第3章 「こんな若者に誰がした!」製造業崩壊の原点を探る
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 北見 昌朗
・出版社 東洋経済新報社
・アマゾン 『製造業崩壊』
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March 29, 2007

【今週の一冊】
●『これからはじめる!設計者のための機械工学』
著:青木 正博、関野 知、杉山 龍夫(日刊工業新聞社)
2006.12 / ¥1,995
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◆ 燃える一言 ◆
『アインシュタインの有名な言葉に、
「学べば学ぶほど、私は何も知らないことが分かる。
自分が無知だと知れば知るほど、私は学びたくなる」
というものがあります。
その言葉の中に、学者や技術者の活力の源があるように感じます』
-----------------------------------
大学の「工学部 機械学科」で、まず学ぶ「4力学」といえば、材料力学、
熱力学、流体力学に機械力学。
これだけでもかなり歯ごたえがありますが、実際に「機械設計」を行うとな
れば、とても知識が足りません。
大は原子力発電所や大型タンカーから、小はICの微細加工やマイクロマシ
ンまで、機械工学が扱う対象は多種多彩です。
本書は、主に機械設計の初心者を対象に、「機械工学とはなんぞや?」を、
身近な事例や最新の話題を織り交ぜて紹介しています。
機械工学を学ぶ学生や技術者が、最初につまづくポイントは、おおよそ決ま
っています。
熱力学ならば「エントロピー」、流体工学ならば「ナビエ・ストークスの方
程式」か「無次元数」、機械力学ならば「振動」が主なところでしょう。
いずれも概念が抽象的で、数式ばかりに目が行きがちですが、その意味する
ところを「理解」することが重要です。
例えば、振動学で登場する「自励振動」。
教科書的には「振動的ではないエネルギーが振動エネルギーに変換されて生
じる振動」のことですが・・分かったようで分からない。
日常的な例では、黒板にチョークで線を引いたときに、「キ~!」と不快な
音が鳴ることがあります。
あれはチョークと黒板が固着と滑り(スティック・スリップ)が短時間に繰
り返され、それが高周波の振動音となって発生しているのです。
つまりは、腕から「直線的」に加えたエネルギーが、黒板上で「振動」エネ
ルギーに変換された「自励振動」なのです。
こう説明されれば、あの鳥肌立つ音を思い出して、ハッキリ理解できること
でしょう。
他にも機械屋が身につけるべき基礎知識として、鉄鋼に代表される材料知識、
ギアやアクチュエータなどの機械要素、様々な工作機械と加工法、また制御
工学が挙げられます。
一方で、「機械工学」という学問では収まらない、周辺知識と融合したメカ
トロニクスやバイオエンジニアリング、更に「現場」で問題となる知的財産
や技術者倫理も、これからの「ものづくり」には欠かせない話題です。
やまさんもよく知る現役で活躍する若き筆者らの、「現場」に即した機械工
学概論です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
生体を模倣しながらその優れた機能を獲得しようとする技術分野を、バイオ
ミメティクス(生体模倣技術)という。
サルモネラ菌は、自分の身体から生える「べん毛」を、プロペラのように回
転させて動き回ることができる。
この「べん毛モータ」は、以下のような性能がある。
1.超微細:べん毛の直径 約20nm、モータ部 40~50nm
2.超高速回転:約20,000rpm
3.高効率:エネルギー変換効率 約80%
4.保全機能:代謝により古い部品を更新
いずれも現代の我々の技術では到底作れない。
しかし、サルモネラ菌自身は、特許出願はしていないようだ。
ならば、どんどん真似をしていこう。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
難しく感じる原理は、身近な事例で理解せよ。
基本原理は、必ず製品機能に盛り込まれている。
原理を知らねばものづくりはできないが、原理だけではものは作れない。
マネジメントや法律、倫理も、「ものづくり」の一翼だ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
機械工学って何だろう
機械屋さんてどんな人
人類はいつから機械を作り出したのだろう…機械の歴史
物理学と数学これを知らなきゃ…
熱力学
流体力学―私のまわりの流体現象
材料力学―あんな物でも変形する
機械力学―機械も大地も振動する
機械は何から作るのか
機械要素
機械設計
計測工学 測ることも機械屋の仕事
加工と工作機械 機械をつくる機械
制御工学 機械を操る (他)
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 Net-P.E.Jp
・出版社 日刊工業新聞社
・アマゾン 『これからはじめる!設計者のための機械工学』
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March 07, 2007

【今週の一冊】
●『なぜおいしいアイスクリームが売れないの?』
ダメな会社をよみがえらせる3つのレッスン
著:S. チョウドリ (訳)中山 宥(講談社)
2006.11 / ¥1,260
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『たいがいの人間は、現実を眺めて“なぜこうなのか?”と問う。
しかし自分は、まだ現実になっていない事柄を見すえて
“なぜ現実化できないのか?”と考える』
-----------------------------------
『今回、契約を取り付けられるかどうかは、うちの会社の死活問題だ。
どうしても、契約を結ばねば!』
「デイリー・クリーム」という小さなアイスクリーム会社で工場長を務める
ピーターは、人気スーパーマーケットの「ナチュラル・フーズ」に体当たり
の営業に飛び込むところから、この物語は始まります。
「ナチュラル・フーズ」の店長マイクは、「デイリー・クリーム」のアイス
を仕入れない理由を尋ねられ、こう答えています。
『きみの会社の場合、はたして品質が“売り”なんだろうか?
社内の努力をすべて品質向上に向けているだろうか?』
こうして、マイクの指導を仰ぎながら、ピーターは「デイリー・クリーム」
の建て直しに着手するのです。
まず、「質の高さ」の土台は「部下を大切にすること」とマイクは説きます。
部下に責任を与えて、ビジネスの大事な一部分として扱えば、それにふさわ
しい反応が返ってくる。
そして部下を大切にすればするほど、部下たちは例外なく、客を大切にする
ようになる、と。
この「質の高さ」を企業文化として根づかせるのが「LEO」です。
Liten(聞く)、Enrich(価値を高める)、Optimize(最適化する)の頭文字
であり、客の声をよく聞く、製品やサービスを強化する、客が完全に満足で
きるように最適化する。
これらを丁寧に実行したピーターの下で、「デイリー・クリーム」は徐々に
変化を遂げていくのです。
本書のテーマである「品質」について、最初にマイクが語った言葉が印象的
です。
『“品質重視”はアメリカ社会のDNAに組み込まれていない。しかし、日本企
業のDNAには組み込まれている。最近は韓国の企業のDNAにも組み込まれつ
つある。だから、アメリカ企業がつねに新製品を作り、新市場を切り開く
のに、結局はよその国に負けてしまう』
デイリー・クリームと同じお菓子製造の、老舗の日本企業で起きた不祥事を
目の当たりにすると、果たして日本企業のDNAには、本当に「品質重視」が組
み込まれているのか、不安になります。
「シックス・シグマ」の著者として有名な筆者による、この読みやすい物語
から、今、我々は「品質」の意義を学ばねばなりません。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
業務を最適化するためには、「失敗の代償」を認識することが重要だ。
もし失敗したならば、どれだけ悲惨な状態になり、お金が無駄になるかを考
えれば、失敗なんかできないぞと死にもの狂いになれる。
スペースシャトル「チャレンジャー号」を思い出すといい。
アメリカきっての優秀な人材が莫大な時間を費やし、20億ドルの資金を使
って、あのスペースシャトルを完成させた。
ところが、たった900ドルのOリングが不良品だったせいで、7人の宇宙飛行
士の命を含め、すべてを失った。
エンジニアが事前に警告したのに、改良には費用がかかりすぎるという懸念
から、無視された。
しかし結局、「チャレンジャー号」の事故の原因調査と部品回収だけで5億
ドルかかった。
Oリングが50万個以上買える金額だ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「質の高さ」を最優先せよ。
目先の奇抜さや新規さはすぐ陳腐化する。
結果ではなく、努力に意識を集中せよ。
改善の結果はすぐには現れないが、種さえ蒔けば芽は生える。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 緊急事態
第2章 聞き上手になれ
第3章 「LEO」がカギになる
第4章 スティーブ・ジョブズは必要ない
第5章 「完璧」への長い道のり
第6章 持ち帰ってもいいですか?
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・出版社 講談社
・アマゾン 『なぜおいしいアイスクリームが売れないの?』
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February 21, 2007

【今週の一冊】
●『発明家たちの思考回路』
奇抜なアイデアを生み出す技術
著:エヴァン・I・シュワルツ (訳)桃井緑美子(ランダムハウス講談社)
2006.1 / ¥1,995
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◆ 燃える一言 ◆
『知性にパワーをそそぐエネルギーを誰でも同じだけもっている。
それを正しい経路に導き、
思いがけない神経回路の結合をつくりつづければ、
発明という特別な創造性が生まれるのだ』
-----------------------------------
エジソンよりも数ヶ月も先に、スワンが白熱電球の実演をしてみせたのは、
有名な話です。
しかし、白熱電球の「発明者」として、富と名声を受けたのがエジソンであ
ったのはなぜでしょうか。
一般に発明家とは、ヒット製品のアイデアを最初に思いついた人と思われて
いますが、筆者は「さまざまな分野からさまざまなアイデアを集めて、他人
の思い描いたことを実現するもののことだ」と言います。
だから、発明とは特定の分野の科学者やエンジニアだけの才能ではなく、「
発明は学び取ってどんな領域にも応用できる分野」と考えるべきであり、そ
の手法を、古今東西の事例から本書は紹介しています。
発明は「解決する問題」が新しくなくてもかまわないのです。
新しくなければならないのは、「問題のとらえ方」です。
例えば、電話があったら便利だ、と最初に気付いたのはグラハム・ベルでは
なく、ベルが通話に成功する15年も前から、電話をつくろうとしていた発明
家たちがいました。
しかし、彼らは「トン・ツー」の電信装置の延長に考えていたため、複雑で
振幅のある人間の話し声を送信することはできませんでした。
一方、ベルは電気や電信の知識はなかったものの、耳の不自由な母をもった
ために、「耳と音」を理解しようとする欲求から、音の振動を「連続した」
電流のパターンで遅れることを発見したのです。
また、すばらしい可能性を創出し、解決すべき問題を正しく突きとめても、
問題解決への正しい道を知っているとは限りません。
発明家はこのような窮状をバネとして、同じ障害に取り組んだ者が試みて行
き詰った原因を調べ、前進します。
古くは、ライト兄弟は初飛行を成功させるまでに、あらゆる飛行に関する文
献を調査し、問題は「動力」ではなく「制御とバランスの維持」であると気
づき、翼の位置を制御する「たわみ翼」を発明しました。
最近の事例であれば、CTスキャン装置は従来、全身を走査するのに何分も
かかり、患者が呼吸をするだけで画像が乱れるやっかいな代物でした。
その解決策は「X線検出装置を増やすか、検出器の速度を上げる」ことと考
えられていましたが、カール・クロフォードは、「間を空けて1枚ずつ断層
撮影するのではなく、らせん状に検出器を回転させて連続的に撮影する」新
たな方法に置き換えました。
それは次なる新たなデータ処理方法という問題を生みましたが、これらの壁
をよじ登ってこそ、世の中を変える「発明」となったのです。
「イノベーション」が合言葉のようになっている今こそ、「研究・開発」の
前に、「発明」を積極的に生み出す努力が求められています。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
「アナロジー(類推)」は、発明家の発想のエネルギーだ。
問題の解決(ターゲット)に、過去の類似した経験や知識(ベース)を利用
するのがアナロジーの応用だ。
発明家はこの対応付けが得意だが、パターン認識ができれば誰にでもできる。
レオナルド・ダ・ヴィンチが思いついた「空飛ぶ機械」は、回転して木材を
持ち上げる「ねじ」のアナロジーで、「エアスクリュー(プロペラ)」の着
想を得た。
ウディ・ノリスはオーディオシステムに最後に残った機械部品、「スピーカ
ー」をなくすための方法を、アナロジーで探した。
そして持ち込んだのは、アートの分野からだった。
画家が絵の具を混ぜて新しい色を作り出す、「混ぜる」と言う行為から、空
気中で音を作るには、周波数の異なる「音」を混ぜて新しい音波をつくれば
いい、と考えた。
10万ヘルツと10万1,000ヘルツの超音波を足したら、可聴域の1,000ヘルツの
音が作れないかと。
もちろん、テストは簡単にはできず、同じ着想で研究した大企業は次々と断
念したが、ついにノリスは二つの超音波発信器からなる、スピーカーの一切
ない「ハイパーソニック・サウンド」を作り出したのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「必要は発明の母」ではない。「発明は必要の母」だ。
問題を感じていないところに問題を見つけてこそ、必要が明らかになる。
「インスピレーション」も「セレンディピティ」も偶然ではない。
偶然は準備のできている者だけに訪れる。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
発明の原動力は何か
可能性を創出する
問題をつきとめる
パターンを認識する
チャンスを引き寄せる
境界を横断する
障害を見極める
アナロジーを応用する
完成図を視覚化する
失敗を糧にする
アイデアを積み重ねる
システムとして考える
エピローグ―もっと上を、もっと外をめざして
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◆ 関連ページ ◆
・ハイパーソニック・サウンド
・出版社 ランダムハウス講談社
・アマゾン 『発明家たちの思考回路』
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February 15, 2007

【今週の一冊】
●『負けるな町工場』
ハンデをプラスに変える発想法
著:中里 良一(日刊工業新聞社)
2002.6 / ¥1,890
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◆ 燃える一言 ◆
『今日、長引いた不況で町工場の経営に夢も希望も
なくしている経営者は大いに違いない。
しかし、町工場の一番大きな財産は、
“小さいからこそ自分の好きな夢がみられる”ことであろう。
その夢をなくしてはいけない』
-----------------------------------
「町工場」と聞いて、イメージするのはどんな姿でしょうか。
狭い路地裏にある油にまみれた薄暗い工場。
納期に追われ、薄汚れた作業服で、黙々と働く年老いた社員。
仕事量の確保や、資金繰りに汲々とする経営者―。
そんな、夢も希望もない、いわゆる「3K(暗い、汚い、きつい)」職場の
代表のように描かれることが多いことでしょう。
しかし、本書の著者が経営する「中里スプリング」は、規模こそ「町工場」
ではあるものの、どんな大企業にも劣らない「楽しい、夢の溢れる」工場で
す。
例えば、一年間で最も頑張った社員に対する報酬は、金一封、なんてもので
はなく、「会社の設備と材料を自由に使って自分の好きなものを作ることが
できる権利」が一つです。
ばね材料を利用して、ロボットやカブトムシなど自由に作って良い権利であ
り、これが新たに「ワイヤーアート」という新しい事業のベースにもなって
いるのです。
さらにもう一つ与えられる権利が、自分の担当しているお客さんの中で、自
分が親しみを持てない取引先を「リストラ」する権利です。
ちょっと驚くべきことですが、これも社員が楽しく仕事をするためであり、
「取引先は取引額でなく、好き嫌いで判断する」のが中里流なのです。
また、コンサルタントのセンセイに言わせれば、町工場は「作業環境が悪い」
「整理が悪い」「いい設備がない」など問題点だらけですが、それを「欠点
だらけ」ではなく「個性に溢れている」のだと、発想の転換を促します。
もし小さくて薄汚いけれど行列のできるウマいラーメン屋と、オシャレで広
々としているが、食べに行ってもこれといった特徴のないレストランとであ
れば、多くの人は前者に行くでしょう。
町工場も、同じ労力をかけるのならば、不慣れな社員教育や生産管理に向け
るより、徹底して得意な分野を盛り上げていった方が社員も楽しいし、変に
ぎくしゃくしたところがなくなります。
本当に優秀な技術や製品ならば、町工場のつまらない欠点なんか、どうでも
いいのです。
町工場が本当に何とかしなくてはいけない「3K」とは、「企画力がない」
「既成概念から抜け出せない」「希望がない」の3つであり、この3Kから
抜け出すことが、町工場の未来を拓くのです。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
ハンデをプラスに変える発想法は、「負けるな町工場!勝ち上れ!」
負 負の連鎖から抜け出し
け 健全な経営をして
る 留守番役の脇役で終わるのではなく
な なるほどと思わせる技術を持ち
町 町にとって必要不可欠な大きな歯車となり
工 工程を楽しむモノづくりを行う
場 場所であると自覚すべし
! !
勝 勝利を目指して
ち 力を合わせて
上 上昇気流の風を呼び寄せ
れ 劣等感を自信に変えよう
! !
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
ステレオタイプな批評や講釈は、現場では間に合わない。
「中小企業だから」「下請けだから」と、愚痴をこぼさず汗こぼせ。
ものづくり、人づくりは楽しいもの、楽しませるものだ。
会社を大きくするのは、金を儲けるのは何のためか。原点を忘れるな。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 生きている町工場
第2章 求められる経営者像
第3章 小さな会社がやるべきこと
第4章 情報化時代の町工場
第5章 負けるな町工場
第6章 五〇音別経営名言集
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 中里スプリング
・出版社 日刊工業新聞社
・アマゾン 『負けるな町工場』
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February 14, 2007

【今週の一冊】
●『日本ものづくり優良企業の実力』
新しいコーポレート・ガバナンスの論理
著:土屋勉男(東洋経済新報社)
2006.11 / ¥1,890
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◆ 燃える一言 ◆
『日本経営は、ものづくり現場における業務執行能力を生かした
経営が基本であり、人間を大切にし、その能力を組織的に
改善することを重視する。
それが差別化された価値創造の源泉であることは間違いない』
-----------------------------------
※本記事は07年初にメルマガで配信した内容です。
明けて2007年、穏やかな正月休暇を過ごされた方も多いことでしょう。
新年にあたり、「ものづくり」を大所高所から眺めるべく、今回は日本のも
のづくり優良企業の「経営」にスポットを当てた書籍を紹介しましょう。
SOX法やTOC、ブルーオーシャン戦略…
アメリカ発の企業経営の法律や手法は、手を変え品を変え色々出てきます。
しかし、トヨタやホンダ、キヤノンや松下電器など、日本を代表する「もの
づくり」企業は、決して米国型の経営手法を真似たものではありません。
米国型の企業統治が、社外取締役が中心になって経営者(CEO)を監督す
るのに対して、日本型は経営監督と執行が未分化であることが「弱点」と指
摘されることがあります。
また戦略面でも、戦略立案と執行が明確に分離された米国に対し、日本では
執行役が経営方針を決議しつつ執行する、これも未分離な体制となっていま
す。
ところが、上記に代表される優良企業は、その弱点とされる監督と執行、戦
略と執行が未分離である体制を活かし、本業に軸足を置き、「現場」を知り
抜いた社内取締役が中心となったコーポレート・ガバナンスを実現している
のです。
例えば、キヤノンは取締役25名に対し、社外取締役は採用していません。
高度に多角化した技術分野の経営判断を、月1度程度の取締役会に社外から
参加しても、適切な経営判断や監督機能が発揮できないと判断し、実質は、
年40~50回に及ぶ経営会議などで常時審議されるのです。
経営の重要事項に対して適切な経営判断を行うためには、役員同士の価値観
や経営理念の共有が不可欠です。
そこで、同社では社長や役員を中心に「毎日」朝8時から9時まで「朝会」
が開催され、そこで経営判断のための情報収集や、役員の育成が行われます。
これが米国流とは異なる「キヤノン流のコーポレート・ガバナンス」の仕組
みの一つとなっているのです。
加えて、部門毎による事業の執行に対し、内部統制を図る全社横断的な委員
会等の組織(企業倫理委員会、情報開示委員会など)によって横串を通し、
トップの方針を浸透させる仕組みをとっていることも特徴の一つです。
日本企業の強みといえば、ものづくり現場の能力構築能力であると分析され
てきましたが、更にその執行・統治においても、日本独自のスタイルを磨き
上げた企業こそが、ものづくり力を活かし切れるのです。
この「日本型の強み」を基盤としつつも、米国型のよさを学習し、経営手法
そのものを「カイゼン」することこそ、今後の突破力の源泉であることを、
最後に筆者は指摘しています。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
ホンダは創業以来、経営理念先導型、それも創業者「本田宗一郎」の経営理
念に先導されたユニークな企業としての特徴を持っている。
近年、本田宗一郎と同じ釜の飯を食った仲間は、少しずつ引退し、今では経
営の役員層や高齢層の一部に限られてきているのが実情である。
それでも、創業者の経営理念を誇りとして大事に守り、それを経営に生かす
不断の努力を続けている。
それが結果として、同社を他社と差別化されたユニークな経営スタイルを持
つ企業に育て上げてきた。
その経営理念は「ホンダフィロソフィ」として、基本理念、社是、運営方針
からなる企業哲学に体系化されている。
そして、難しい経営判断の局面では、この「ホンダフィロソフィ」を拠り所
とし、共通の「創業者」経営理念のもとで各取締役が「ワイガヤ」の精神に
則って喧々諤々の議論を行うことで、経営判断の精度を上げているのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
マネジメントもガバナンスも、時代や流行に振り回されるな。
短期的な利益や評価のために、自社の強みを殺すことになる。
現場のものづくりと経営は不可分だ。
戦略と執行のPDCAを速やかに回す「しくみ」づくりがキモだ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
日本経営の本当の「強み」
1 日本企業が直面している課題
2 コーポレート・ガバナンスとは何か
3 日本のものづくり優良企業のコーポレート・ガバナンス事例研究
4 日本経営の戦略とコーポレート・ガバナンス―その特性と相互連関性
5 日本経営のコーポレート・ガバナンス―今後の展望と課題
補論 日本ものづくり優良企業の新しい戦略構想
―自動車メーカーの垂直統合型モデルの考え方
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◆ 関連ページ ◆
・著者 土屋勉男
・キヤノン
・本田技研工業
・出版社 東洋経済新報社
・アマゾン 『日本ものづくり優良企業の実力』
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February 07, 2007

【今週の一冊】
●『こんなものまでつくれるの?』
身近な材料を使ったものづくり
編:日本機械学会, 日本産業技術教育学会(技報堂出版)
2006.10 / ¥1,575
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◆ 燃える一言 ◆
『「先生!固定の大切さを実感しました。
やはり、体験するとしっかり理解できます」
「そうだニャ!ものづくりのポイントは、
『しっかりけがく、しっかり固定する』だニャ!!』
-----------------------------------
※本記事は06年末にメルマガで配信した内容です。
年も押し迫り、子供さんが冬休みに入ったお父さんもたくさんおられること
でしょう。
恒例の(?)長期休暇企画、「こどもと学ぶものづくり」本を今回も紹介致
しましょう。
といっても、本書は大人でもなかなか歯ごたえのある、一ひねりしたネタが
満載です。
なにしろ、丸太のベンチを作るために、まず材木の伐採から!始めます。
「倒したい方向にのこぎりとなたで切り込みを入れ、3分の1くらいまで入
ったら、今度は逆側からのこぎりで切って・・」と、気合が入ってます。
けがきの方法として「墨つぼ」も登場してきますから、下手な日曜大工では
間に合わないくらい本格的です。
更に、古代の「銅鏡」を再現しよう!というコーナーでは、銅板を切り出し
て磨くのかと思いきや、なんと「鋳造」から始める、これまた本格的な造り
方です。
しかし、平易な言葉で砂型作りを説明してくれているお陰で、鋳造の基礎知
識(抜き勾配のつけ方、砂型の固め方等)を、実感を持って理解することが
できます。
ネコのキャラクターに、「鋳込みのポイントは、あわてないことニャ。湯の
温度が少し下がるのを待ってから流し込むんニャ」とか、ノウハウを解説さ
れるとは、恐れ入ってしまいます。
また、動力も、定番の直流モータのみならず、形状記憶合金を用いたエンジ
ンやスターリングエンジン、更に蒸気タービンまで手作りしてしまいます。
正直、熱力学や電磁気の得意でない やまさん としては、こうした「工作」
レベルのものづくりこそが、原理を「体感」できる最短コースのように感じ
ます。
「科学技術立国」を標榜する日本において、実は義務教育においてものづく
り教育はほとんど行われておらず、世界的にみて後進国の中に入っているの
が現状です。
この現状の打開策の一つとして企画されたのが本書ですが、こんな楽しく、
工夫の余地がたくさんある「ものづくり」を小中学生が経験したならば、き
っと彼らの人生に、大きな変化が起きるのではないか―
そんな可能性を感じさせる、最新の「ものづくりの教科書」です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
「手づくり磁石」を作ろう、というコーナーがある。
原材料は酸化鉄の粉(バリウム・フェライト磁性粉末)95gと粘土粉末5g、そ
して20ccの水だ。
粉を混ぜて水を加えて練り固め、好きな形にしてから焼き固める。
その後、着磁をすれば完成だ。
これは工業的には「加圧成形」するところを「バインダ混合」「粘土成形」
に置き換えただけで、その他は基本的に同じだ。
特に上記の配分で「焼き固める」と、粘土が溶けて磁性粉末の「焼結」がで
きる。
しかもこの粘土の抜けた空隙を利用して、色が塗れる楽しい「磁石」が作れ
るのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
複雑な機械も、原理はシンプルだ。
手づくりで体験したことが、設計・製造技術の基礎となる。
木材のぬくもり、金属の光沢、切削の難しさ。
こどもの生々しい体験が、未来の「えんぢに屋」を育てる。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
古代の鏡をつくって顔を映そう
丸太のベンチをつくろう
暖めるだけで動くエンジンをつくろう
形状記憶合金で車が走る
ペットボトル風力発電機でLEDを光らせよう
線にそって走る車をつくろう
自然に優しい木のおもちゃをつくって遊ぼう
アルミ缶で飛行機をつくろう
自分だけの手づくり磁石をつくろう
磁石の列をたどって走る車をつくろう〔ほか〕
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◆ 関連ページ ◆
・日本機械学会
・日本産業技術教育学会
・出版社 技報堂出版
・アマゾン 『こんなものまでつくれるの?』
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February 01, 2007

【今週の一冊】
●『「ひらめき」の設計図』
著:久米 是志(小学館)
2006.6 / ¥1,785
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◆ 燃える一言 ◆
『いくら先を見つめたって、そんなところに未来はない。
未来を見たければ、自分たちの過去を探しなさい。
過去の失敗の泥の中に、未来を開く“鍵”がある』
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ホンダの歴史の中で、陰と陽のように語られる製品があります。
「陰」とは、エンジンの冷却を水冷ではなく、空冷式にしてコンパクト化を
試み、結果として「アイデア一杯、トラブル一杯」と揶揄された小型自動車
「H1300」。
一方「陽」は、当時、それまでの1/10まで排ガスを清浄化することを義
務付けた「マスキー法」を、世界で最初にクリアした「CVCCエンジン」。
このいずれもに、設計者として参画し、1人の天才「本田宗一郎」に代わっ
て、「凡人の集まりを束ねて創造する」方法を創り出したのが、本田技研工
業3代目社長の、筆者 久米是志氏です。
空冷式のH1300のエンジンは、単体ではトラブルなく動作したものの、自動車
というシステムの中では、許容できない「発熱」が、様々なトラブルを引き
起こしました。
なぜ、失敗したのか?
それは「集団による創造術」が分からず、「やりもせんで、何がわかる?」
という宗一郎氏の口ぐせに突き動かされ、猪突猛進した結果でした。
この経験と、軍事的な戦術などから類推し、久米氏は開発を「航海」に例え
て、一連の方法論を創り出します。
まず、「宝物を運ぶ航海に、探す航海を混在させない」。
貴重な宝物をたくさん載せた航海、つまり新製品を開発する航海を安全確実
にするため、宝物=新技術は、前もって宝探しの航海をして準備しておかね
ばなりません。
具体的には、研究開発が完了していない技術を、製品開発に持ち込むことを
禁制としたのです。
次に、「段階に分けて航海する」。
最初は宝島のある海域に到達する航路を見つけ(原理の見極め)、次にそこ
から島や暗礁を抜けて宝島に到達する航路を探し出し(部分の検討)、それ
が見つかったらその周辺の様子を調査して(周辺関係の調査)、宝島へやっ
てくる商船隊に「頼りになる海図」を提供するのです。
行き詰ったら一旦引き返し、進路を見定めることが必要です。
そして、「航海の指針を作る」。
目的には「将来かくありたい」という「行動」の結果もたらされるはずの理
想像が表現されることが肝心です。
「何のために」「どのような状態になりたい」のかを明確にし、そのために
は「どうすべきか」を細部まで落とし込いでいきます。
最後に、「航海のチームを作る」。
異質なもの同士が目的実現のために、お互い遠慮なく平等な立場で意見をぶ
つける「チーム」が必要です。
こうした思考の上に造られた、新しい「航海術」の実践が、CVCCエンジ
ンであり、ホンダの創造的な組織運営の基礎となっています。
その他、最近の「失敗学」にも通じる示唆にも富み、ものづくりに関して非
常にたくさんの「気付き」を与えてくれました。
尊敬する上司から借りて一気に読みましたが、手元に置きたくてすぐ買い求
めた、2006年「イチ押し」の一冊でした。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
筆者が続発する市場での不具合を教訓に、自らの経験から作り出し実行して
きた「クレーム解決のための5原則」がある。
1.事実の把握
「知られていなかった事実」を「確実なものとして知られている事実」と
して認識する作業。
先入観のある推論を入り込ませず、何が、いつ、どこで、どのような現象
を起こしたのか、関わり合いがあるであろう情報を集められるだけ集める
ことが重要だ。
2.原因の解明
過去の経験や知識に基づいた推理によって、現象が起きた理由を見つける
必要はない。
どのような「もの」がどのような使用条件で、どのような「不具合現象」
を起こしているのかという問いに、収集された事実の中から、それぞれに
ついて何が共通であるかを抽出することだ。
3.適切な対策
原因が解明されれば、そこで見出された因果関係が働かないようにするた
めの「適切な対策」を作り出せる。
4.再発の監視
「適切と考えられた対策」が実行された後で、実際の市場で同じような不
具合が再発しないことを確かめる。
5.源流へのフィードバック
新しい製品開発をする技術者に、具体的事例に基づいた情報を与え、再発
を防止するための検証の関門の供給などをフィードバックする。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「やってみもせんで、何がわかる!」
やって(行動)みて(結果を検討)、気付くことが「創造」だ。
不具合は「そんなことが起こるとは思わなかった」ものだ。
後付けの理由ではなく、そこに至る「主観的」プロセスを追え。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 創造ということ
第2章 嵐の中の航海
第3章 霧の中の航海
第4章 風を探る航海
第5章 創造の構図
対談 久米是志×夢枕獏―創造の舞台裏・異種格闘技的対論
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・本田技研工業
・出版社 小学館
・アマゾン 『「ひらめき」の設計図』
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January 31, 2007

【今週の一冊】
●『世界の自動車を造った男』
荻原映久、50年のモノづくり人生
著:生江 有二(日刊工業新聞社)
2006.10 / ¥1,785
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◆ 燃える一言 ◆
『技術は日々、先進する。
コストを下げることを忘れ、研究に力を注がず、
現状に満足していると、すぐに追い抜かれてしまう。
前進か死か。
これは製造業の全てにいえることなんです』
-----------------------------------
2004年に世界各国で生産された自動車台数は63,956,415台(日本自動車工業
会調べ)。
この年、世界では8億3681万台の車が走っており、これは世界の人口で7.5人
に1台の割合です。
その8億台あまりのクルマのうち、1億台を越える車を日本の1つの会社が
造っていることを、ご存知でしょうか。
その会社とは、金型メーカ「オギハラ」。
正確には、「オギハラの製作した金型でボディを製造した車が1億台以上」
ということです。
この途方もない膨大な自動車生産を支えるために、オギハラは、日本、アメ
リカは当然として、実に5大陸全てに工場を構える、グローバル企業なので
す。
オギハラと、その金型技術を支えた荻原映久氏の技術者の半世紀は、世界の
中の日本のものづくりを語るに欠かせない、貴重な歴史です。
オギハラの海外進出第1号は、意外なことにオーストラリアでした。
昭和39年、当時のフォードオーストラリアの金型は、主に米国から輸入して
おり、日本で100万円程度の型が800万から1,000万円ほどしていたため、日本
の金型メーカが注目されていました。
通常の3倍ほどの見積価格にしても安すぎると疑問に思われ、現場まで見に
来た上での受注となったのでした。
このときに、米国等に通用する、インチ単位の図面や部品のノウハウを手に
したことが、後の海外進出の足がかりとなったのです。
更にその後、旧ソ連の自動車メーカにトラック用の金型を納め、アメリカの
現地工場立ち上げ、BIG3との丁々発止の交渉、中国・台湾・韓国の急成
長との格闘など、めまぐるしい世界展開が続きます。
更にはタイ、インド、そして南アフリカ、メキシコなど、ごく最近注目され
始めた国々にも、「声がかかった翌朝の出社時間までに飛んでいく」ほどの
フットワークで営業・進出を繰り返し、今日の「オギハラ」となったのです。
しかし、グローバル化の波は、日本的な家族経営のオギハラも飲み込み、20
03年に外資との提携直前まで追い込まれ、結局、大和証券による資本参加と
なったことは、記憶に新しいところです。
最新加工機で無人24時間加工が可能な、大手自動車メーカの金型技術、また
躍進著しい新興国の安価な金型など、オギハラの優位は脅かされつつありま
す。
綺麗事ばかりではない、グローバルなものづくりの「過去・現在・未来」が
見える一冊です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
70年前まで、職人の「手作り」で金型は造られた。
一体、数トンにも及ぶ鉄の塊から、どうやって「手作り」するのか。
特殊な鋳物でできたカマボコ型の金型の原材に、タガネを用いて、深さ5ミ
リ程度の溝を約100ミリピッチで縦横につけていく。
溝と溝の間は100ミリ×100ミリ程度の切り餅大の山が残るが、これを再びタ
ガネ(多くは鉄砲と呼んだエアコンプレッサを使った自動タガネ)で削り取
っていく。
おそろしく地味な作業だ。
しかも1000分の1ミリ以下の誤差で削らないと、プレス機にかけてから鉄板
が裂けたり、皺ができたりすることになる。
それを手作業で作り出してきた時代が長く続いていたのである。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「グローバル化」は、日米欧だけではない。
BRICs、東南アジア、そしてアフリカの「今」を知れ。
ものづくりも、ビジネスも、「人と人」がつくる。
本音で付き合わなければ、いいもの、いい仕事はできない。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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第1章 ビッグ3
第2章 鉄工所の映画館
第3章 初受注
第4章 海を越えて
第5章 紊乱のデトロイト
第6章 TJ、世界自動車市場を行く
第7章 中台韓・激動するアジア市場
第8章 五大陸に吹く風―南ア、メキシコ
第9章 環境へのまなざし
第10章 世界市場、ふたたび
終章(あとがきに代えて) 培った技を継承するまで
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◆ 関連ページ ◆
・オギハラ
・出版社 日刊工業新聞社
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January 24, 2007

【今週の一冊】
●『絵とき ポカミス撲滅大全』
著:エスピイエス経営研究所(日刊工業新聞社)
2001.9 / ¥1,785
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◆ 燃える一言 ◆
『実際に品質改善をすすめていくには、現場をよく知っている貴方が
やってみせることである。
ワンタッチゲージやポカミス対策ができるようになったら、
仲間を増やすこと・・・それが仕事である』
-----------------------------------
月曜日、会社に行くと時々、作業着ではなくGパンを履いた人が、バツの悪
そうな顔で朝礼に出てくることがあります。
そう、洗濯した作業着を「うっかり」忘れてくるのです。
うっかり寝過ごしたり、うっかり落し物をしたり。
我々は、日頃、数えられないほど「うっかり」を繰り返している「八兵衛」
です。
しかし、ものづくりの現場では、一度「うっかり」=ポカミスをやらかし、
流出してしまうと、品質を損ない、ユーザーを傷付け、企業に甚大な損害を
もたらすことに繋がります。
この「ポカミス」を「よける」、「ポカヨケ」のノウハウをまとめた指南書
が、今回取り上げる書籍です。
「ポカミス」は「間違い」と「忘れる」の二つに大別できます。
これらは確かにオペレータのヒューマン・エラーとして計上されますが、果
たしてオペレータだけの問題なのでしょうか。
「なぜ、間違うのか?」
それは、見にくい・小さい・似ている・並んでいる・動きが大きすぎる・中
断・壊れている・記憶・騒音・照明、などに原因があります。
「なぜ、忘れるのか?」
それは、疲れている・記憶力、注意力の低下・集中力がなくなる・作業の中
断・慣れ・惰性、などに原因があるのです。
これらの問題を引き起こす状況、環境を具体的に調べてみることで、ポカミ
スの真因を洗い出し、対策へと繋がっていきます。
ここで、不良の原因を潰すことが重要なのであり、ブザーやカウンタ・ゲー
トを作ることは「手段」であることを忘れてはなりません。
すなわち、どんな良いポカヨケを設置しても、良品・不良品はラインでの工
程、作業、設備で決まります。
ポカヨケでは、不良流出防止はできても、決して良い製品を作ることはでき
ないことを、ハッキリ認識せねばなりません。
安価で簡単なポカヨケを設置して、不良を選別することは、カイゼンのステ
ップです。
そして、源流の品質改善を実施して、早くポカヨケを外せるようにすること
こそ、ポカヨケを設置する真の目的と言えるでしょう。
本書に掲載された多彩なポカヨケのアイデアは、そのカイゼンステップを、
ぐっと加速させる知恵の結晶の数々です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
組立作業では、左手を治具にしている場合が多い。
手は治具にあらず。
本来「治具」とは、投げ込めば「治(おさ)め具」にセットされるべきもの
である。
すなわち、ラフガイドと本セットの二段構えの治具にすべきである。
そこにポカヨケなり、検査装置なり、跳ね出しの道具なりの知恵をつけて、
ノウハウにすることが求められている。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
ポカヨケを積極的に取り入れよ。
次にポカヨケがいらない(ポカが起きない)状態に、源流を改善せよ。
5Sのないところに、現場改善は始まらない。
徹底的に実施すれば、次々にやるべきことが「看えて」くる。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
1 ポカミスとは、ポカヨケの真の狙いとは
2 ポカミスの真因に迫り、ポカヨケ対策の根本を考える
3 ポカミス撲滅のための体質改善と仕組みづくり
4 チェックシートによる改善着眼の仕方
5 フローチャートによるポカミス対策・改善の進め方
6 センシング機器を活用した簡便ポカヨケ
7 絵で見るポカミス撲滅事例
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・出版社 日刊工業新聞社
・アマゾン 『絵とき ポカミス撲滅大全』
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January 19, 2007

【今週の一冊】
●『誰が本当の発明者か』
発明をめぐる栄光と挫折の物語
著:志村 幸雄(講談社)
2006.8 / ¥987
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◆ 燃える一言 ◆
『我々は発明の恩恵によらねば生きてゆけないのであり、
単に既になされた発明に依存するだけでなく、
新しい未だ存在しない未来の発明の見込みにも依存している』
-----------------------------------
これまで、各国毎に出願しなければならなかった特許について、相互認証す
るための検討が始まろうとしています。
日欧の「先願主義」に対し、アメリカの「先発明主義」が大きく制度が異な
っていましたが、前者への統一が図られようとしています。
今後の紆余曲折が予想されますが、発明者にとって、企業にとって、大きな
ニュースとなっています。
ところで、「発明者」とは、一体誰のことでしょう?
「そんなん、最初に発明したもんのことやないけ!」と怒られそうですが、
そう簡単に特定できないことが、本書を読めば分かります。
きらびやかな発明家の裏に見え隠れする、人間臭く、利害が複雑に絡んだ舞
台裏を覗いてみましょう。
まず、「発見」と「発明」、また「発明」と「改良」が明確でないことに、
理由の一つがあります。
一般には、科学的な新知見が発見、技術的な新規物が発明とされますが、科
学技術が深化、多様化している今日では、科学と技術は互いに接近し、その
境界は明確ではなくなっています。
例えば、「青色発光ダイオード」で一躍名を馳せた、中村修二氏の場合、最
初に窒化ガリウムで発光現象を確認した、赤碕勇氏と、実用化に供した中村
氏の役割の評価は、難しいところです。
また、世界を変えるような大発明が、異なる発明者によってほぼ同時期に、
まったく別々に成し遂げられることがあります。
例えば、ダイムラーとベンツが、同じドイツの100キロ程しか離れていないと
ころで、ほぼ同時期にガソリンエンジン車を発明しています。
また、電話の発明と言えばベルの名が挙がりますが、同じ米国内で独自に電
話を考案したグレイが、ベルと同日にわずか2時間遅れで特許を申請してい
るのです。
さらに無線電信の発明者についても、西(イタリア)のマルコーニか、東(
ロシア)のポポフか、先行性が議論されるところです。
このように、同じ頃に同じ発明がなされるのは、単なる偶然の一致というよ
り、その時代ならではのシーズ(種)とニーズ(要求)に根ざした必然的な
出来事とも捉えられるでしょう。
エジソンやアークライトなど歴史上「発明者」と呼ばれる人たちの裏側や、
日本が誇る発明家でありながら、しいたげられた高峰譲吉や西澤潤一など、
古今東西の特許論議は、一読の価値ありです。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
本当の発明者は誰かという議論になって、よく異論・反論が出るのが「映画
」である。
米国人ならば「エジソン」と答えるが、フランスでは「リュミエール兄弟」
と主張して譲らない。
エジソンは、ローラにかかったフィルムを回して覗き込む「覗き箱方式」の
発明者とされ、一方、今日の映画の方式である「映写方式」はリュミエール
兄弟が発明者とされる。
ところが、エジソンにもリュミエール兄弟にも、その下地となった先見的発
明があった。
英国の写真研究家、エドワード・マイブリッジは、競馬審判用に競争路の片
側に12台のカメラを並べ、馬がその前を通ると順次糸が切れ、シャッター
が連続的に切れる仕掛けを作った。
マイブリッジはこの成果を全米講演旅行で披露し、その途中でエジソンを訪
問しているのだ。
また、フランスのエティンヌ・マレーは、円形の写真乾板を回転写真を撮る
「マレーの写真銃」を発明している。
引き金を引くと乾板が間欠的に回転し、被写体を撮影する仕組みで、映写機
にかけると文字通り「動く写真」となり、原理的には世界最初の「映画」で
ある。
発明から4年後、マレーはこのカメラを携えてエジソンを訪問し、その詳細
を語りつくし、エジソンに数日貸し出しまでしているのである。
こうした一連の出来事が、エジソンの発明に無関係だったはずはない。
しかし、今日では、マイブリッジもマレーも、映画の発明者とはされていな
い。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
発明は、発明者の情熱と、「時代」が生む。
時には非情とも思える「同期性」を持って。
あなたが今、考えていることを、きっと誰かも考えている。
オリジナリティとスピードで、出願を急げ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
序章 なぜ発明者の特定がむずかしいのか
第1章 発明か改良かをめぐる攻防
第2章 特許裁判が分けた明暗
第3章 巨人の影に泣いた男たち
第4章 国の威信をかけた先陣争い
第5章 並び立つ発明者
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 志村 幸雄
・出版社 講談社
・アマゾン 『誰が本当の発明者か』
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January 18, 2007

【今週の一冊】
●『時計屋が育てた世界のベストセラーマシン』
シチズン「Cincom」物語
著:春田 博(日刊工業新聞社)
2006.10 / ¥1,680
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◆ 燃える一言 ◆
『低迷する日本のモノ作りに必要なのは、作り手の「美学」である。
「美学」とはイコール、人の「器」のことであり、
「器」とは「魂」のことである。
この「魂」が今、日本経済を支える技術者に求められている』
-----------------------------------
「シチズン」といえば、もちろん「時計」。
一方、精密な時計を作るためには、当然精密な加工機械が必要であり、その
自動機を内製し、そして外販していることは、一般的にはあまり知られてい
ません。
加工機械専門メーカーがしのぎを削る中で、その「時計屋」シチズンが世に
送り出した自動旋盤「Cincom(シンコム)」シリーズが、世界の40%以上
というトップシェアに至ったのはなぜか。
その秘密を探ってみましょう。
今でこそ日本の工作機械は、世界をリードする力強いマザーマシンとしての
地位を築いていますが、半世紀前までは欧米の力は抜きん出ていました。
シチズンは創業時から時計製造用の工作機械を作っていましたが、いずれも
基本コンセプトは外国機械の模倣でした。
「こんなことをしていては、将来も夢もない」と奮起し、未だ国内の専業工
作機械業界でもNC(数値制御)工作機械の開拓期であった1962年、自前の
NC機械の開発を始めました。
NC工作機械の対象に選んだのは、時計製造用自動機に多数使用されていた
「カム」を加工する、カム成形機であり、65年に国内屈指の早さで市場に送
り出したのでした。
当時、カム式自動旋盤を外販していたシチズンでしたが、カム式は段取替が
頻繁であり、複雑な形状を一気に加工するには限界がありました。
そこで、「カム式自動旋盤からカムをなくそう」を合言葉に、「夢」に挑戦
したのです。
「カム」の加工を近代化するために開発したNC技術を活用し、「カム」を
なくす自動旋盤の開発に取り組むという、皮肉な展開であり、「NC化して
も上手くいかない」というのが世の定説でしたが、これが新しい「工作機械
NC時代」の幕開けとなりました。
後に「ドリームマシン」といわれた名機「シンコムF-12」は、五角形の回転
刃物台を2個対向位置に配置し、一方のタレットに取り付けた切削工具で加
工中に、他方のタレットで次の切削工具の選択を行い待機し、非加工時間を
最小とする工夫が凝らされていました。
その他独特の構造で、剛性と精度の向上を図り、またこれまでの工作機械に
ない清潔感ある斬新なデザインが受け、シチズンシンコムは量産体制が間に
合わないほどの大ブレイクを迎えたのです。
その後、専門工作機メーカーもこぞってNC化を進めてきたことはご承知の
通りですが、シンコムは同一シリーズで累計5万台を間もなく迎える、工作
機械としては異例のベストセラーとして君臨しています。
汎用機が自動旋盤に近づいてきた昨今、かつてカム式からNC化に進んだよ
うな画期的な技術開発ができるのか。
シチズンのエンジニアたちは新たな「夢」を描き、実現するために模索を続
けています。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
シチズンの軽井沢工場は、工場そのものを展示場とし、日常業務を全てオー
プンとしている。
中でも見ものなのが「きさげ」だ。
「きさげ」は仕上げ面をさらに精密に仕上げるために、手作業で凸部分を削
り取っていく作業だ。
大きく分けて、日本式の「腰で押す」方法と、欧州式の「腕で引く」方法と
がある。
どちらの方が仕上がり具合がよいかは別として、日本では珍しい欧州式も含
めて、シチズンでは両方の技術を修得している。
工作機械に「きさげ」が必要なのは言うまでもないが、この技術を独学で身
に付けることは難しい。
匠の代表格と言われるだけに、技能伝承なくして覚えられるものではない。
シチズンでは「きさげ」担当者が4名おり、40年近く取り組んできたベテ
ランが、30代、20代の後進を、やってみせ、やらせて指導している。
現在は作業全体にしめる「きさげ」の比率はわずか数%で、「きさげ」を必
要としない機械が多くなっているが、担当者に「手当て」を支給してまで、
この技能を伝承することを大切にしているのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
技術者は、自由な発想で「夢」を語れ。
「夢」-「現実」=「今、取り組むべき仕事」と考えよ。
「汎用品」をブラックボックスで使うな。
内製化して取り込むことで、機械がレベルアップできる余地がある。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 火 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 シチズンは元々工作機械屋だった
第2章 シチズン精機設立と軽井沢工場
第3章 シンコムを売りまくろう
第4章 会社を変える、工場を変える
第5章 次の一手は海外にある
第6章 名実ともに世界ナンバーワンにしたい
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・シチズン工作機械 Cincom
・出版社 日刊工業新聞社
・アマゾン 『時計屋が育てた世界のベストセラーマシン』
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January 11, 2007

【今週の一冊】
●『この国の魂』
技術屋が日本をつくる
著:立花 啓毅(二玄社)
2006.10 / ¥1,260
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◆ 燃える一言 ◆
『低迷する日本のモノ作りに必要なのは、作り手の「美学」である。
「美学」とはイコール、人の「器」のことであり、
「器」とは「魂」のことである。
この「魂」が今、日本経済を支える技術者に求められている』
-----------------------------------
以前、米経済紙『ビジネスウィーク』に、「日本車は日本人のイメージとそ
っくりで、おもしろくない」と書かれたことがあるそうです。
それこそ「おもしろくない」記事ですが、レクサスが苦戦し、欧米高級車が
依然、人気を誇っている現状を見及ぶに、頷かざるを得ない部分もあります。
筆者は、「我々自身が面白みや文化、哲学を持たないからクルマもそうなっ
てしまう」と断じます。
日本車の中でも名車と謳われる、ユーノス・ロードスターやRX-7のプロジェ
クトリーダーを歴任した筆者ならではの、辛口「ものづくり」論に耳を傾け
てみましょう。
繊維産業はイギリスの産業革命を機に機械化され、大量生産されるようにな
ると、イギリスからコストの安いアメリカ東海岸に移りました。
次に西海岸へ、そして日本へ。更に韓国、中国へと移行しました。
家電も同じ運命をたどっているように、商品は完成域に達すると、人件費の
安い地域へ流れていきます。
これを「商品循環論」といい、この風は否応なく世界中に吹き荒れています。
クルマも技術的には完成域に達しており、ヨーロッパでは影の薄いメーカー
は姿を消し、アメリカではビッグスリーも苦境に立たされています。
では日本のメーカーがこの「商品循環論」の風に吹き消されないためには、
どうすればよいのか。
今や中国の独壇場となった繊維産業であっても、西陣織や紬など、個性や文
化的背景のあるものは生き残り、世界から尊敬されています。
この個性や文化こそ、「美学」であり「魂」です。
世界一の品質と生産台数を誇る日本車に足りないもの、それがこの「魂」だ
と筆者は声高に叫んでいるのです。
過去の実績の積み重ねから、コンピュータの解析で試作車の完成度は、初め
から80%程度にまで到達できるようになりました。
しかし、「ニッパチの法則」と言われるように、残りの2割を高めるには、
8割の力が必要とされ、現在のクルマは、まさに最後の詰めにエネルギーを
かけるか否かで決まります。
最後の20%を持ち上げる力こそが、技術屋の「魂」であり、クルマを総合
的に判断できるセンスなのです。
筆者はこの「魂」を、教育論や国家論まで掘り下げて語っているように、も
のづくりの原点は、小手先ではない、人間性に深く根ざしたものであること
を気付かせてくれる一冊です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
デザインとは、「行動原理」に沿ったものでなければならない。
「行動原理」とは、例えば次のようなことだ。
ドアのインナーハンドルを搭乗者により近づけると、使い勝手は悪いが、身
体をひねってドアを開けようとする。
すると上半身が後ろを向き、自然に後方を確認してからドアを開くことにな
る。
意識せずとも安全を確認することができるわけだ。
デザインとは、人の動きの中に溶け込んだ造詣でなければならないのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
流行を追うな。大衆に媚びるな。
人の意見を取り入れすぎると、平均点のつまらないものにしかならない。
器は感動の量に比例する。
器は愛することの喜びと、悔し涙の回数に比例するのだ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 モノってなんだろう?
第2章 魂あるクルマ
第3章 モノ作りの要諦
第4章 日本は腑抜けになった
第5章 オトコとしての価値
第6章 視点を変えると世界が見える
第7章 作り手としてのプライドを見せよ
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・マツダ ロードスター
・出版社 二玄社
・アマゾン 『この国の魂』
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December 28, 2006

【今週の一冊】
●『ものづくりの教科書 強い工場のしくみ』
編:日経ものづくり(日経BP社)
2006.10 / ¥2,940
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◆ 燃える一言 ◆
『日本の工場に求められる役割
――それは、高付加価値の製品を顧客に素早く供給すること、
さらには海外工場のお手本になる高い生産性で生産することだ。
そして、現在高収益を上げている“強い工場”は、
それを実現する“しくみ”を確立している。』
-----------------------------------
「いざなぎ超え」もついに実現し、今や国内の景気、そしてものづくりの勢
いは完全に回復しました。
しかし、この波に乗っているだけでは、やがて今後行き詰るのは目に見えて
います。
グローバル企業との競争、環境や安全など新技術への対応、高年齢化による
労働力不足・・。
今こそ、工場から徹底的にムダを取り除き、ものづくりを進化させる取り組
みが必要です。
世界に誇る、日本の強い50の工場の事例から、そのヒントを掴み取りまし
ょう。
まず第1の特集は、やはり「トヨタ生産方式(TPS)」。
これまで自動車組立工程に代表される、BtoC製品に主に適用されてきたTP
Sが、上流の部品・ユニットなどの半完成品にも広がってきています。
「造り過ぎのムダ」を省くため、「後工程が引き取った分だけ前工程が補充
するプル生産」が基本となりますが、バッチ処理の工程がある部品には向か
ないように思われていました。
しかし、「流せるところは流し、流せないところはストア(棚)を設置」が
最近の時流です。
もちろん、ストアには番地制で決められた場所に決められた数しか置けない
ようにして、前工程の押し込みを防ぐ仕組みが必要です。
第2は「セル生産」。
多品種少量生産に向き、生産量の変動にも強いとされるセル生産についても、
「急激な増産には対応できない」「部品の在庫が増える」「作業ペースが個
人任せで管理しにくい」などの問題を解決せねばなりません。
急増する生産を、熟練者と同様にパートや請負作業者がセルで対応するのは
困難ですから、ピーク時にはベルトコンベアの併用、あるいは変動分をセル
で対応など、各社工夫を凝らしています。
多品種に対応するため、増える部品在庫を削減するため、セル内に小型の樹
脂成形機を取り込み、部品を「原料」で保管するアイデアも光ります。
作業者任せとなりがちなペースを制御するためには、ここもコンベア方式の
併用や、ITを駆使した作業通知システムなど、まだまだ改善の余地があり
ます。
いずれもいずれも、教科書通りやコンサルタントの定番メニューだけではな
く、自ら考えたコンセプトを、地道に実行し、改善した積み重ねが花開き、
大きな果実となっています。
月刊誌「日経ものづくり」で折々に登場している事例を納めた本書は、現時
点で最新の、工場改善のノウハウ集といえるでしょう。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
IDECの「アセンブルショップ」は、人間に代わりロボットがセル生産を
行う組立ラインだ。
長く連続したラインではなく、水平多関節ロボットと垂直多関節ロボットの
2台を中心とした「組立セル」が基本となっている。
ロボットハンドの先は部品に合わせてチャックが変化するため、複数の保持
具を環状に搭載でき、手首の回転でそれらを切り替えられる構造だ。
従来の人手に頼ったセル生産では、使えるのは作業者の腕2本。
多くの部品を組み立てるためには、何度も部品とレート製品の間を作業者の
手が往復しなければならない。
一方、アセンブルショップは、複数部品を一気に掴んで一気に組み立てられ
る。
セル生産の概念を大きく変えるもので「千手観音モデル」と言われている。
今後も日本で継続的に生産していける究極の設備を目指し、更に進化は続い
ている。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
動き続ける企業は、更に先に行く。
基本と最新事例を学んだら、早速実践だ。
中小企業こそ、ITを駆使せよ。
これほど安価に、高性能なツールが使えるのを、黙って見過ごすな。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 これからのニッポンの工場
第2章 トヨタ生産方式
第3章 セル生産
第4章 IT活用
第5章 自動化
第6章 生産性向上
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・日経ものづくり
・出版社 日経BP
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December 27, 2006

【今週の一冊】
●『大工道具の日本史』
著:渡邉 晶(吉川弘文館)
2004.11 / ¥1,785
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◆ 燃える一言 ◆
『手道具の刃先を通して伝わってくる、個性ある木材繊維の多様性を
知ることは、木の建築を生産するうえで、
最も基本に据えるべき経験ではないだろうか』
-----------------------------------
日ごろは金属や樹脂の加工に追われている やまさん ですが、今回は「木」
の加工、大工道具の歴史を取り上げてみましょう。
人類が木材の加工に用いた最初の道具は、言わずもがな、石器であり、今日
の道具の区分で言えば、「斧」と「鑿(のみ)」です。
縄文時代の約6000年前から、4000年前にかけて、平地形式や高床式の建築が
これらの道具によって作られました。
弥生時代には斧と鑿の材質が、石から鉄に移り変わり、生産性が飛躍的に向
上します。
実験によると、径20センチメートルの松を石斧で伐ると12分かかったところ
が、鉄斧では3分で伐採できたそうですから、この生産性は、以後19世紀に
至るまでほとんど変化がなかった程の飛躍だったのです。
そして、6世紀後半に伝来した、仏教建築をつくる主要な道具として、鉄斧
と鉄鑿のほかに、鋸とカンナ(槍鉋)が加わり、早くも基本的な道具の編成
が確立したのです。
これらの道具が揃ったことで、中世にかけて接合法(継ぎ手)も進歩を遂げ、
現在にも残る仏教建築のように、材料を節約しつつ強固な接合方法が編み出
されていったのです。
木材加工道具のもう一つのトピックは、中世の14世紀から15世紀にかけて、
素材加工において使われた「オガ」です。
それまでは斧や鑿と楔を使って、原木を割って角材を作っていたのに対し、
二人一組で使う大型製材鋸(オガ)を使う製材へと、技術革新が進み、幅広
な薄板材や正確な角材を作り出すことが可能となりました。
また、この時期、カンナも剣状の刃を押して使う槍鉋と、現在のようにカン
ナ身を溝に押し込んで使う「鉋(つきがんな)」に分化し、加工精度が上が
っていったのです。
近世の18世紀後半から19世紀始めにかけては、鋸・鑿・鉋の加工精度は更に
高まり、生産効率を上げるために作業姿勢が「座位」から「立位」へと移行
していきます。
ちなみに、こうして生産性が上昇する一方で、大工の実質賃金は、15世紀か
ら19世紀までで、約4分の1にまで減少してしまい、19世紀前半の大工は、
エンゲル係数(食費の割合)が70と、食べるのがやっと、という状況でした。
効率アップと賃金カット。
このころから「技術者」は、厳しい仕事をしていたようです・・。
そして、近代、19世紀末から20世紀前半にかけて、木の建築を作る技術は、
加工の精度において最高の水準に達し、一人前の建築大工が使う標準道具は、
約180点を数えるまでに、多様に分化したのです。
現在は、電動工具が建築現場に入り込み、これらの道具も使われないものが
現れてきています。
しかし、わずか数十年の電動工具の歴史の前に、先人が木のぬくもりを大切
に築いてきた「道具」の変遷を知ることは、木工建築には欠かせないのでは
ないでしょうか。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
17世紀始めの古典建築書『匠明』の中に、建築専門工人の指導者が見につけ
る能力や技術に関して、「五意達者にして、昼夜不怠(おこたらず)」とい
う記述がある。
「五意」とは、「式尺の墨かね」「算合」「手仕事」「絵用」「彫物」のこ
とを指す。
・「式尺」は、設計上の基準である木割
・「墨かね」は、部材に対する墨付けの技術
・「算合」は、積算
・「手仕事」は、道具を使いこなす技術
・「絵用」と「彫物」は、建築装飾の下絵を描き、それを彫り上げる技術
をそれぞれ表現している。
「式尺」「墨かね」「算合」は数理的能力、「絵用」は芸術的能力、「手仕
事」「彫物」は手をはじめとする身体能力を必要としていることが分かる。
「五意」が文字として明文化されたのは近世であるが、建築専門工人が出現
した当初から、工人のリーダーには高い能力・技術が求められていたのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
道具に歴史あり。
数千年前の技術者に敬意を表し、淘汰・洗練された道具の理屈を知ろう。
電動化・自動化で「五意」を忘れるな。
切れ味、手触りを忘れたものづくりは、必ず衰えていく。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 火 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
手道具の歴史と人類の未来―プロローグ
木の建築をつくる技術と道具
大工道具の誕生―旧石器から縄文時代
鉄器の導入と大工道具の発展―弥生・古墳時代
渡来した新しい建築技術―古代・中世
大工たちの近世
多様化する大工道具と技術
大工道具の一万年―エピローグ
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者所属 竹中大工道具館
・出版社 吉川弘文館
・アマゾン 『大工道具の日本史』
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December 21, 2006

【今週の一冊】
●『設計の英語って、どない使うねん!』
現場設計者が教える実務で使う技術英語術
著:山田 学(日刊工業新聞社)
2006.8 / ¥2,310
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◆ 燃える一言 ◆
『パターンを覚えるだけでは、相手に意思を正確に伝えることはできません。
設計者の意思を正確に伝える手段が、外国人との接し方であり、
技術資料における言葉の使い方であり、
製品設計への取り組みなのです。』
-----------------------------------
昨年末と今年初め、海外出張して、英語力の必要性を痛感した、やまさんで
した。
そういえば、今年の目標を「TOEIC ○○点UP!」と宣言したような…。
喉元過ぎればなんとやらで、すっかり日々の業務の中で、関西弁オンリーの
世界に埋もれてしまっていますが、ここらで本書をきっかけに、「英語って、
どない使うねん!」と仕切り直したいと思います。
ビジネス英語、といえば「空港での挨拶」や「電話のかけかた」などが出て
きますが、我々エンジニアにとっては、「仕様書の書き方」や「梱包方法」
などの方が、より切実に知りたいことです。
例えば、英文の仕様書は“shall”を用いることが多いようです。
仕様書は製品説明を、正確・確実に伝える必要があることから、簡潔な文章
とする必要があるからです。
同様にISOなどの規格も shall が多く用いられています。
一方、取扱説明書にはshallではなく、shouldが多いのは、過去形にすると動
詞は意味が弱まり、口調が柔らかくなるからでしょう。
例:Installation Procedures:Upon receiving the unit,the user should
examine the unit to verify that all I/O channels are operetional.
(据付要領:ユニットを受け取る際、ユーザーは、全ての入出力チャンネ
ルが操作できることを確かめるためにユニットを調べるべきです)
海外に輸送する場合の手続きも、分かりにくく、しかしエンジニアが携わら
ねばならない大事な業務です。
梱包は、船便でコンテナ輸送であれば、風雨の影響はないから安心だろう、
と考えるのは早計です。
ヨーロッパやアメリカへ輸送する際、長期間、猛暑の海上を運んでいると、
コンテナ内のパレット等の木材から、天井にびっしり水滴がつくほど湿気が
出るのです!
ですから、製品は乾燥剤同封でビニールシートで覆い、その後真空引きする
のが「セオリー」です。
また、輸送業者も日本のように丁寧に扱ってはくれませんから、安全チェッ
クのためにSHOCKWATCHといわれる衝撃検知センサや、傾斜センサを貼付する
ことが有効になります。
また、木材梱包材は、病害虫を持ち込む恐れがあるために、各国で検疫上の
規制が厳しくなっていますから、知らずに従わなかった場合、積戻しや廃棄
の可能性があり、要注意です。
そして荷物の送り状に当たるINVOICEとPACKING LISTの作り方も、慣れない者
にとっては、本書のような指南書が必携でしょう。
学生時代のような「S+V+O+C」などの構文や「冠詞の使い方」などの
文法はもちろんのこと、上記のような「かゆいところに手が届く」本書は、
海外業務に関わるエンジニアには、座右の書となるでしょう。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
海外でビジネスをする上で、特にPL(製造物責任)対策は重要だ。
これをPLP(Product Liability Provention:製造物責任予防)といい、
設計上の対策、製造上の対策、そして警告表示上の対策が講じられる。
製品の安全確保の原則は安全設計にあるが、技術面での対応を補完するのが
「警告表示」だ。
警告表示は、製品使用時において一般消費者が回避すべき危険情報を、認知
しやすい方法で行われるべきで、製品本体への表示が基本となる。
表示内容は
・DANGER(危険)、WARNING(警告)、CAUTION(注意)などの警告表現
・絵表示による危険な状態の表示
・文章による危険な状態、避けるべき使用方法の指示(説明)など
からなる。
さすがは訴訟大国、を感じさせるメッセージ文を紹介しよう。
・Do not eat toner.(トナーを食べないで下さい)
⇒A toner cartridge for laser printer(レーザプリンタのトナーカー
トリッジ)
・Do not use orally.(口に使用しないで下さい)
⇒A toilet bowl cleaning brush(トイレの掃除ブラシ)
・Remove infant before folding for storage.(格納のため折りたたむ前に
幼児を取り除いてください)
⇒A portable stroller(携帯乳母車)
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
知らなかった、では済まされない。
国内にいても、海外との対応策を学ばねば、仕事はできない。
英語はツールだ。
学ぶのではなく、使ってこそ身につけよう。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
1 技術英語って、どない使うねん!
2 海外とのアクセス、どないするねん!
3 設計のやり取り、どないすんねん!
4 技術文書って、どない作るねん!
5 どないして、モノ送ったらええねん!
6 安全対策って、どないすんねん!
7 技術英語って、どんなんがあんねん!
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 山田 学
・出版社 日刊工業新聞社
・アマゾン 『設計の英語って、どない使うねん!』
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December 13, 2006

【今週の一冊】
●『トヨタの口ぐせ』
OJTソリューションズ (中経出版)
2006.9 / ¥1,365
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◆ 燃える一言 ◆
『製造現場にいるわれわれは商売人じゃないのです。
安く仕入れることが仕事ではありません。
安くものをつくることが仕事です。』
-----------------------------------
「習慣」には、力があります。
生活習慣病、なんていうのは、まさに悪い習慣が蓄積された、恐ろしい結果
ですよね。
良きにつけ、悪しきにつけ、身についた習慣はなかなか離れるものではあり
ませんから、積み重ねた結果は、大きな差が生まれてくるものです。
世界No.1を伺うトヨタの「言葉の習慣」=「口ぐせ」は、ほんの一言で
はあっても、おらが会社との大きな差を生む「分岐点」かもしれません。
例えば、冒頭の言葉は、「一円でも安く、ものができんか」という口ぐせに
ついて加えられたコメント。
トヨタと言えば原価低減が有名ですが、それは「材料を一円でも安く仕入れ
ろ」という意味ではありません。
むしろ、カイゼンの着眼点として「材料のグレードアップをして寿命を延命
できないか」という項目が明記されているほどであり、材料費高騰でヒーヒ
ーいって買い叩く姿勢とは一線を画します。
ちょっとした知恵を加えることで、つくり方によってコストを下げるのがト
ヨタ流であり、一方では壊れた設備を自分たちで徹底的に直し、再利用する
ことなどで原価低減を進めているのです。
現地・現物・現実を大切にせよ、という意味の「三現主義」は、色々なとこ
ろで聞きますが、それを表す「口ぐせ」に、「者に聞くな、物に聞け」があ
ります。
現場の班長が作業者からトラブルの報告を受け、それを監督者に報告すると、
トヨタの監督者は「本当にそうか?」と聞きます。
そこで「たぶん・・・でしょう」という曖昧な言葉が出てくると、すぐに現
場に行き、実際に現場が異なっていると「自分で見ろ!」と大目玉を食らう
ことになるのです。
そして「三現主義」を身につかせるために言われる口ぐせが「マルを描いて
立っていろ!」
班長を指導するときに、監督者は工場内に直径1メートルほどの「マル」を
描き、「ここに立っていろ!」と言うのです。
30分ほど立って現場をじっとみていると、動いていると見えない、作業の
ムダやムリが見えてくるのです。
こうしたものの見方を、トヨタでは端的な言葉で脈々と伝えているのです。
「トヨタ生産方式」「カンバン方式」では分からない、トヨタの強さの源泉
は、実はこうした言葉が自然と出てくる「習慣」にこそあると気付かされる
一冊でしょう。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
2S(整理・整頓)とか、5S(+清掃・清潔・躾)も、現場の基本として
言われるが、分かりにくい。
トヨタの口ぐせはこうだ。
『1週間ものが動かんかったら捨てろ』
「整理」とは、現場でいるものといらないものを区別し、いらないものはす
ぐに廃棄すること。
「整頓」とは、いるものとして残したものを、必要なときに必要なだけをす
ぐに取り出せるようにすること。
具体的には、所・番地を定めて並べることである。
端的な言葉で表すことで、ハッキリとしたイメージと、何をすべきかが伝わ
る「口ぐせ」だ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
本質は細部に宿る。
たかが口ぐせと侮るな。口ぐせになるほど実践している恐ろしさを知れ。
現場を変えたければ、「口ぐせ」を作れ。
口ぐせになるほど繰り返し言い続ければ、必ず変わる。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 「リーダー」を育てるトヨタの口ぐせ
(おまえ、あそこ行ったか俺は行ってきたぞ/者に聞くな、物に聞け ほか)
第2章 「できる人」を育てるトヨタの口ぐせ
(あなたは、誰から給料をもらうの?/何もしないより何かやって失敗した
ほうがいい ほか)
第3章 「コミュニケーション」をよくするトヨタの口ぐせ
(陸上のバトンリレーのようにやりなさい/横展しよう ほか)
第4章 「問題」を解決するトヨタの口ぐせ
(マルを描いて立ってろ/モグラがよく出るところからまず手をつけなさい
ほか)
第5章 「会社」をよくするトヨタの口ぐせ
(売れるスピードより速くつくらない/一円でも安く、ものができんか
ほか)
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 OJTソリューションズ
・出版社 中経出版
・アマゾン 『トヨタの口ぐせ』
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December 12, 2006

【今週の一冊】
●『Make』
Technology on Your Time Volume 01
編:オライリー・ジャパン(オライリー・ジャパン)
2006.8 / ¥1,575
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◆ 燃える一言 ◆
『コンピュータプログラムを作成することと機械を組み立てることの
大きな違いは、機械には「コピーアンドペースト」や
「取り消し」が利かないことです。
一部でも動かない場合は、作り直す必要がある』
-----------------------------------
壊れたラジオや自転車を分解するのが(たとえ元に戻らなくても!)好きだ
った人、手を上げて!
・・はい、たくさんの手が上がりましたね!
やっぱりこのブログの読者の9割は、やんちゃな「えんぢに屋」のようですね。
そんなテクノロジーを創造するえんぢに屋=「Maker」のための雑誌、
「Make」の日本語版を紹介しましょう。
最近は音楽CDやDVDも、自由に編集し、個人の好みで編集できるのが当
たり前になりました。
ブログやSNS、ポッドキャストなどで、メディアまでも自分で生み出す時
代です。
ところが、「ハード」については、既製品は「分解」や「改造」を拒む強固
なカバーで覆われ、実装された基板はおいそれと手を出せません。
そんなお仕着せの「モノ」を、自分達の手で自分の生活の中に取り込むため
に、「ハック」してしまおう!というのが本書の記事です。
実用的なところ?では、「カイトフォト」が興味をそそります。
航空写真ほど高くはなく、さりとて目線よりは高い、高度10mほどの高さ
から見下ろす写真をとる方法として、凧にぶら下げたカメラで写す「カイト
フォト」があります。
まるで鳥の目から眺めたような写真の数々は、新鮮な驚きです。
さぞや立派な無線装置やジャイロシステムなどが搭載されているのかと思い
きや、インスタントカメラと木工細工(!)で手作りする方法がこと細かに
紹介されており、遊び心がビンビン刺激されます。
特に、ダンパーとゴムでできた「粘性タイマー」シャッターのアイデアには
にやりとさせられます。
ジャンクパーツで金をかけずに作る「ハイテクガラクタ」こそ、手作りの醍
醐味でしょう。
秀逸なのが、ビデオデッキで作る「猫の給餌機」。
古いビデオのヘッド用モーターを、配線はそのまま取り出し、減速ギアを介
して、肉ひき機のような、らせん状押し出し部を接続します。
すると、ビデオの録画タイマーで、好きな時間に自動的に餌を押し出す「給
餌機」の出来上がり!
録画時間の長さで、餌の量までコントロールできるスグレモノ。
笑ってしまうようなガラクタですが、面白くて、安上がりで・・ついでにち
ゃんと動くのです!
以前に紹介した、物質世界を「プログラム」するMITのファブラボの活動
も紹介されており、これから訪れる「Monozukuri 2.0」を覗き見る、ユーモ
アと好奇心にあふれた一冊です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
「電気自動車(EV)」は、環境負荷の低い自動車として昔から注目はされ
ているが、普及には至っていない。
それは、ガソリンエンジンの自動車に比べ、走行可能距離が極端に短いから
だ。
大企業がEVを世に出そうとすれば、これを解決すべく、巨大なバッテリー
を搭載し、そのために内部の空間は占領され、過大な重量となるのだ。
ところが、EVを「ガレージ」で作る人たちは、そんな失敗はしない。
現在のバッテリー技術の限界を認識し、重量と費用を低減して、走行性能を
引き出すために、走行距離は犠牲にする。
それでも日常生活には十分なのだ。
彼らは5,000ドルから10,000ドルの費用で、エンジンや燃料タンクを放り出し
て、バッテリーとモータを積み込んだ、快適なEVを作ってしまう。
まるで携帯電話やiPodのように充電したEVで、颯爽とガソリンスタンドの
横を通り過ぎながら、優越感たっぷりに彼らは言う。
「中東の石油?あぁ、燃やすのに使っていたよ。でももうやめた」
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
我々はテクノロジーを消費するだけの存在ではない。
テクノロジーを創造する「えんぢに屋=Maker」になろう。
粗大ゴミの家電を、ばらしてみよう。
子供の好奇心と、技術者の知恵で、オリジナルの「モノ」を作ってみよう。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
Make創刊に寄せて
ユーザーがモノを作る時
News From Future(ティム・オライリー)
ライフハック:ヤク毛刈り
Made On Earth
Maker:現実世界を「プログラム」するところ、ファブラボにようこそ
Maker:すべての家庭に核融合炉を
Proto:ビットと生身の肉体の出会い
エアルームテクノロジー:過去の遺産の継承
ダ・ヴィンチに息づくコード(ブルース・スターリング)
ミスター・ジャロピーのガレージ
世界最大のMP3プレイヤー
エンジニア最後の世代(コリィ・ドクトロウ) (ほか)
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・カイトフォト 日本カイトフォトグラフィー協会
・出版社 オライリー・ジャパン
・アマゾン 『Make』
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November 29, 2006

【今週の一冊】
●『知られていない 原油価格高騰の謎』
著:芥田 知至(技術評論社)
2006.04 / ¥1,449
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◆ 燃える一言 ◆
『原油から得られるエネルギーやプラスチック製品がなければ、
現代社会は、まず成り立たないであろう。
そういう意味では、誰もが原油を利用している。
しかし、誰もが原油のことをよく知っているかというと、
答えはNOであろう』
-----------------------------------
数年前にはリッター90円でも「高い!」と思っていたのが、今では140円を
下回ってさえ「安い!」と思ってしまうガソリン価格。
今回の書籍によれば、原油高の影響で、光熱費やガソリン代の上昇により、
04年に比べて年間26,000円も家計が圧迫されている計算になるそうです。
ものづくりにおいても欠かせない、身近な「石油」ですが、意外と知らない
実態に迫ってみましょう。
そもそも「石油」とは原油、ガソリン、灯油などの総称であり、油田から汲
み上げた原油を原材料として、精製して得られる製品がガソリンや灯油です。
精製した炭化水素は、炭素量の少ない順に天然ガス・プロパンガス・ガソリ
ン・灯油・軽油・重油・アスファルトといったおなじみの製品名で呼ばれま
す。
またガソリンとして製品化される前の中間製品である「ナフサ」は、プラス
チックや合成繊維などの原料であり、石油化学工業で生み出される製品は、
もはや無数といってもよいでしょう。
さて、原油の生産地、といえば中東、というイメージがありますが、中東国家
が中心のOPEC(石油輸出国機構)の生産量は、世界の40%程度に過ぎず、最大
の産油国サウジアラビアに次ぐ生産国はロシア、そして米国です。
かつてはOPECのシェアは50%を超え、原油価格の決定権を持ち、その決定によ
って価格が吊り上げられたのが第1次、第2次石油危機でした。
しかし、その後非OPEC諸国の生産量が増えたことから、現在の原油価格は、市
場メカニズムで決まるようになっています。
では、今回の原油価格高騰は、一体なぜ起きたのでしょうか。
原油は価格の上下によって、使用量を極端に多くも少なくもできない「必需
品」であり、また簡単に増産・減産できるものでもありません。
また、現時点では世界の原油在庫量(=供給-需要)は増加しており、供給
が極端に不足しているわけでもありません。
価格上昇の原因は、足元の原油需給ではなく、「近い将来に需給が逼迫する
かもしれない」という不安が大きくなったことにあると考えられます。
供給側から言うと、特にOPECで油田の開発があまり進んでおらず、埋蔵量が
十分あっても供給量が伸びていないことが挙げられます。
また、せっかく原油の供給があっても、米国の製油所が老朽化し、フル生産
しても能力が不足していることから、石油製品の値段が上がってしまうこと
も原因です。
そして需要は新興国を中心に伸び続けており、日本を含めた先進国の代替燃
料へのシフトが十分進んでいないことも、今後の原油不足懸念となっていま
す。
今後はむしろ、「原油の枯渇」ではなく、「地球温暖化」という環境問題が、
原油使用量、そして原油価格を左右する因子となると、筆者は指摘します。
1円でも安いガソリンスタンドを探しつつ、この「液体」を取り巻く複雑な
環境から、世界の今と未来が見えてきます。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
石油は何から生まれたのだろうか。
大昔の堆積物に含まれる生物起源の有機物が、移動・集積してガス層や油層
を形成した、とする「有機説」が有名で、世界の主流の説である。
これに対して、「無機起源説」もある。
これは、宇宙で地球が形成されたときの成分にメタンガスが大量に含まれて
おり、地球の内部にはそのときのメタンガスが閉じ込められている、という
発想が元にある。
メタンガスが地球内部の高い圧力の下で、石油に変化してその一部が地表近
くに染み出してきている、というのが無機起源説だ。
最近になって、無機説を支持するようなタイプの油田が発見されたり、すで
に開発された油田の埋蔵量の回復が観察されたりしていることから、無機説
も完全には否定できないといわれている。
無機起源説の立場からは、現在の可採埋蔵よりも膨大なものになる可能性が
ある。
しかし、たとえ無機起源説が正しく、埋蔵量が多くても、人類がそれを使い
続けることは、環境問題の面からできなくなったといえる。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
省エネルギーに終わりはない。
原油・素材高騰の今こそ、省資源化のチャンスだ。
「ものづくり」は物理法則でできるが、「価格」は人がつくる。
エンジニアも、社会学・経済学に関心を持て。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 急騰した原油価格
第2章 原油を生産する国
第3章 原油の輸入国
第4章 原油市場
第5章 世界景気失速懸念とオイルマネーの奔流
第6章 将来の原油価格は上がる?下がる?
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 芥田 知至「原油レポート」
・出版社 技術評論社
・アマゾン 『知られていない 原油価格高騰の謎』
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October 25, 2006

【今週の一冊】
●『原価計算だけで満足していませんか!』
利用目的別原価管理のすすめ
著:堀口 敬(日刊工業新聞社)
2006.5 / ¥2,520
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◆ 燃える一言 ◆
『原価管理は経理担当や原価管理担当の方だけのものではない。
もし、経理や原価担当のものと思っている方がいたら、
まずそこから考え直していただきたい』
-----------------------------------
ものづくり大好きなエンジニアにとって、強度計算はお手のものでも、「原
価管理」となると、同じ数字でも元気が出ないのはなぜでしょう。
結局、エクセルに並んだ数字を見ても実感が沸かず、「だからなんやねん!」
というのが正直な感想ではないでしょうか。
しかし、趣味と違って、ものづくりの現場では、「なんぼ儲かるか」こそが
重要なのですから、原価管理は必要不可欠です。
そんな、大切だけど活かしきれていない「原価管理」に潜むワナを、本書か
ら学んでいきましょう。
集計した原価の資料は、一体何に使っているでしょうか。
最も活躍するのは、経営幹部への報告資料でしょう。
細かく色分けされたグラフやプレゼンテーションの資料の中で数字は踊りま
すが、その資料を作ることで「コストダウン」は進むでしょうか?
また、常に最新の原価を知りたがる経営者のために、原価のうちわずか数%
にしかならない組み立てコストを正確にはじこうと、人を使って分析ばかり
していないでしょうか?
それは、原価「集計」をすることが、原価「管理」だと勘違いしているから
です。
原価を集計した結果を使って、「コストダウン活動」を行い、その結果「利
益アップ、コストダウン」の成果を上げることで、始めて「原価管理」と言
えるのです。
原価集計は過去のデータであるのに対し、原価管理は「開発段階での原価見
積」、「コストダウン活動の効果予測」という未来のデータなのです。
ちょうど、バックミラーで後ろの様子(過去のデータ)を見ながら、ヘッド
ライトで前(未来のデータ)を照らして、利益が出る方向へ運転することに
当たります。
この目的に向かって、具体的な原価管理の方法は、見込生産か受注生産か、
組立中心か加工中心かなど、企業のタイプに応じて変わってきます。
本書には、タイプ別・段階別に原価管理の実践方法が、分かりやすくまとめ
られています。
大切なことは、「儲けるため」にすることであることを忘れず、過剰な管理
や、「計算のための計算」に終わらないことです。
数字の裏に、現場があることを意識すれば、レート(時間単価)が無味乾燥
なデータが、日々の生産活動の指針として命を持つことでしょう。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
A君「先月は段取作業の改善が成功して、今まで「2人がかりで4時間」の
作業を、「1人で4時間」に短縮することができました。そのため、設備
稼働時の監視人数も2人から1人に減ります。
これで加工費が半減できました!」
上司「それはすばらしい!ところで作業員が半分になると、1人は暇になる
のではないか?」
A君「仕事が楽になって、コストダウンもできれば一石二鳥ですよ!」
上司「・・・・」
こんな見せかけの工程改善で、原価をはじいても、実際のコストダウン効果
はもちろん「ゼロ」だ。
暇になった人員を検査要員に充てたとしても、工場のコストは全く変わらな
い。
この場合、期間工やパートタイマーの活用、また外注品の内製化などで、「
真の」コストダウンを行わねばならない。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
必要に応じた原価「管理」を行おう。
立派なシステムや詳細な分析よりも、使えるならば「エイヤ」でいい。
全ての仕事を「なぜ必要か?」と問おう。
自分がいないことが、一番のコストダウンと言われないように。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
序章 この本を読んでほしい方
第1章 原価管理のワナ(原価管理の失敗事例集)
第2章 自社のタイプをチェックする(受注生産と見込生産)
第3章 自社の原価管理レベルをチェックする
第4章 まずは製品別の原価集計から(原価管理レベルを1から2に上げるための
ポイント)
第5章 原価集計から原価管理にレベルアップ(原価管理レベルを2から3以上に
上げるためのポイント)
第6章 目的別の原価管理手法(原価管理を何のために使うかを確認し、そのた
めの手法を理解する)
第7章 企業タイプ別の「原価管理の導入ポイントと導入プロセス」
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 堀口 敬
・出版社 日刊工業新聞社
・アマゾン 『原価計算だけで満足していませんか!』
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October 18, 2006

【今週の一冊】
●『もっと長い橋、もっと丈夫なビル』
未知の領域に挑んだ技術者たちの物語
著:ヘンリー ペトロスキー(朝日新聞社)
2006.8 / ¥1,470
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◆ 燃える一言 ◆
『大建造物や大計画の物語は、人々の物語でもあり、
多くは、他の人々が不可能に決まっていると言っていたことを、
反対をものともせず、あくまで実現しようとした人々の物語だ。』
-----------------------------------
「9.11」から、5年が過ぎました。
生々しすぎる当時の映像は、今、テレビで流れることはほとんどありません
が、我々の脳裏にははっきりと刻み込まれています。
あの攻撃は、世界貿易センターをなぎ倒しただけではなく、巨大建造物の計
画・設計・建設の「常識」も打ち砕く、破壊力を持っていました。
高層ビルの技術者・建築家、そして使用者の誰もを納得させる答えは、簡単
にはだせそうにありません。
しかし、より安全な、より丈夫な建造物を目指す建築家の挑戦は、絶えず続
いていくことでしょう。
本書は、より長い橋、より高い高層建築に挑んだ技術者達の歴史と、今を綴
っています。
「摩天楼(スカイ・スクレーパー)」をは、文字通り「天を擦る建物」とい
う意味ですが、その高さは70階から80階あたりに制限されていました。
それ以上の高さになると、従来の高層ビルでは、エレベーター用の空間が建
物全体の25パーセント以上の体積を占めてしまい、賃貸用の空間が減るた
め、資金の投入に合わなくなってしまうからでした。
実際に、世界貿易センターの二つのタワーは110階ありましたが、床面積
の30パーセント近くが賃貸スペースからなくなってしまい、民間ではなく
「公社」によって建設されたのでした。
その狭い空間をできるだけ広く、かつ柱の少ないオフィス空間として使用す
る、そして資材をできるだけ少なく、軽くするためのアイデアが「筒状構造
原理」です。
これは当時、鋼鉄ビルで世界NO.1だったシカゴのシアーズ・タワーの構造設
計者、ファズラー・カーンが「最も経済的なビルの構造」として提唱したも
ので、世界一の記録を塗り替えるビルの基本構造となっています。
間隔の狭い鋼製の骨格が、中心部分と外周のチューブを構成する構造ですが、
ここに突っ込んだジェット旅客機の燃料が燃え、骨格が軟化したことで「潰
れた」のが、ビル崩壊の原因と考えられています。
こうして、あれ以来、少なくともアメリカで計画中だった超高層ビルの計画
は、中断され、再検討されることが多くなってしまったのです。
筆者は、摩天楼が再び西洋で立ち上がるのは、最低一世代ほどかかる、と見
ていますが、その間、元気のいい極東地域では「世界一」は塗り替えられて
いくことでしょう。
構造と美観、経済性に加えて、「極度の」安全性を求められるようになった、
21世紀の建築設計。
エンジニアの悩みは、尽きそうもありません。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
世界最長の吊橋といえば「明石海峡大橋」。
吊り下げられる橋桁の全長は3,911メートルもあり、建設中に起きた阪神大震
災にも耐え、設計の万全さを証明することになった。
しかし、世界にはもっと驚くべき計画が存在する。
「ジブラルタル海峡」を渡す超大型橋梁だ。
地中海の入口を渡って、アフリカとヨーロッパを繋ぐ「大陸間連結橋」。
現在、設置ルートを検討中だが、深さ350メートル以下の水深の海上を、30
キロほど渡す案が採られている。
実際に事業が姿を見せてくると、技術的にも、資金的にも、そして政治的に
も不確定要素が拡大している。
果たして、実現できるだろうか。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
同じ橋、同じ建物はない。
環境・技術・資本・ニーズに応じた選択をするのも、技術者の仕事だ。
沈んで屈するな、浮かんで奢るな。
逆境だからと言って腐らず、困難を技術と熱意で乗り切れ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 火 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
橋―BRIDGES
(鋼鉄の芸術―芸術家を魅了した橋、芸術家が造った橋
アメリカの橋さまざま―人々が描いた夢
ベンジャミン・フランクリン橋―大きな橋を架ける前に
浮体橋―長い橋を手早く架ける ほか)
その他もろもろ―AND OTHER THINGS
(ドルトン・アリーナ―引張りあって立つ建造物
ビルバオ―地域再生の象徴
サンチャゴ・カラトラバ―公共空間の造形家
ファズラー・カーン―アメリカでの挑戦 ほか)
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・出版社 朝日新聞社
・アマゾン 『もっと長い橋、もっと丈夫なビル』
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October 04, 2006

【今週の一冊】
●『あしたの発想学』
著:岡野 雅行(リヨン社)
2006.8 / ¥893(新書)
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◆ 燃える一言 ◆
『不可能なんて冗談じゃないよ。
所詮、人間が判断したことで不可能なんてことは、実は、
この世の中にはあまり多くないようにあたしは思うんだけどねぇ』
-----------------------------------
「痛くない注射器」という画期的な製品を生み出したことで有名な、岡野工
業の岡野社長。
金型とプレス機という、どこの工場にもある設備から、想像を超えた製品を
生み出す「発想」は、どこから生まれてくるのでしょうか。
名物社長、いや自称「代表社員」の岡野雅行氏に尋ねてみましょう。
岡野工業の代名詞ともなった「痛くない注射器」とは、外径200μm、従来の
2/3の太さで、かつ従来と同じ注射液を流せる注射針です。
これまでの針はパイプを細かく切っていましたが、これでは内径に凹凸が大
きく、また細くすれば流量が落ちてしまうため、「皮膚に刺さる部分は細く、
それ以外は太い」針を思いつきます。
これを実現するまで、1年半、岡野氏は自ら試行錯誤を繰り返し、失敗を重
ね、寝る間も惜しんで考えて、ついに「板を丸めて針をつくる」という発想
にたどり着くのです。
では、ここまで種明かしをされれば、誰でもこの注射針を作れるのでしょう
か?
否、それを実現するための技術こそ、それまでに蓄積された「プレス技術」
の賜物です。
プレスに必要なものといえば、材料である板金、金型、そしてプレス機、と
考えますが、実はミソは「潤滑油」にあるのです。
例えば、もう一つ岡野工業で有名な「リチウムイオン電池のケース」は、伸
びの悪いSUS304に2μmの厚みのニッケルメッキが張られた材料を、
そのメッキがはがれないように「深絞り」したものです。
岡野社長はこの潤滑油も、スイスなどから取り寄せた油を自らブレンドして、
こうした難加工を実現しているのです。
更に、注射針は当然、液漏れがあってはなりませんから、プレスで丸めた後
どの部分もぴったりくっつくようにするために、あらかじめ切断しておく形
状を決めるのは至難の業です。
その計算には、あまりに加工の精度が高いため、パソコンでは計算の桁数が
足りず、スーパーコンピューターまで引っ張り出してきたのです。
ローテク、手の技術ばかりと思いきや、社長曰く、「必要とあらばスーパー
コンピューターだって何だって使うよ。コンピューターだって道具の一つな
んだから」。
若い頃に十分遊んだから、今は仕事より楽しいことはないという岡野氏にと
って、他の誰もができないことを自らの手で現実化すること以上の喜びはあ
りません。
モーレツ、気合、根性、根気、勤勉。
そして正直、誠意、義理、本気。
根っからの職人気質の岡野氏の、「絶対につくってみせる!」という信念と
不断の努力、長年の技術の蓄積が、夢の製品を生み出す秘訣なのです。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
岡野工業は、難しい仕事や値段の高い仕事しかしていないように思われてい
るが、決してそんなことはない。
安くて人がやらない仕事もやっている。
ただし、頭を使って儲かるようにしている。
たとえば、1個1円の利益にしかならないプレス製品でも、毎月100万個つく
れば1年で1,200万円になる。
しかし、今までのやり方では採算が合わないから、工程を減らしたり工夫す
る。
最もいいのは自動機をつくることだ。
ローレット加工という、円柱に筋をつけていく加工の場合、熟練工でも3分
も4分もかかる作業だが、それを他社の半分の工賃で受けたこともあった。
それも、やはり自動機を開発したお陰で、材料を入れてスイッチを入れれば
1秒足らずで加工できるようになった。
時間は1/200、しかもパートの主婦でもできるから一石二鳥の自動機となった。
安い仕事でも利益を上げる構造を組み立てて仕事をしているから、新しい技
術の開発に挑戦する資金的な余裕も生まれるのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
ものづくりの技術力は、企業の大きさに比例しない。
現実に向き合う技術者の信念とは、大きく関係する。
現場は「4K」たれ。
「根気」「根性」「勘」「渾身」さえ実行すれば、道は開ける。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
発想と応用―なぜ、可能になるのか?
自由気まま―不真面目と莫迦は似て非なるもの
打破―世の中には最初から実績のあるやつなんていない
習慣―つくる発想、できる発想
周期―いま取り組んでいるものが未来をつくる
反骨―手を動かせば解決方法が見えてくる
勘―図面がないとできないのは本当の職人ではない
縁―その名人は無名人
忍耐―転んでもただでは起きない
秘守―人気のラーメン屋がスープの秘密を教えるわけがない〔ほか〕
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・岡野工業株式会社
・出版社 リヨン社
・アマゾン 『あしたの発想学』
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September 20, 2006

【今週の一冊】
●『自動車と私 カール・ベンツ自伝』
著:カール・ベンツ 訳:藤川芳郎(草思社)
2005.10 / \1,785
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◆ 燃える一言 ◆
『どうか信じていただきたいのだが、
私にとって「発明の成果」よりも「発明すること」の方が
はるかにすばらしいのだ。
ああ!もしも必要ならもう一度最初からだって喜んで始めるだろう』
-----------------------------------
燃料電池車が開発され、ハイブリッドカーの生産が急増している現在でも、
「自動車」の基本は、エンジンで生み出した動力で「走る」「曲がる」「止
まる」機能を備えた機械です。
その実用的な「自動車」を120年前に生み出した、偉大なる発明家「カール・
ベンツ」氏の自伝を紹介しましょう。
高等工業学校で、機械の理論と実習を学びながら、彼はすでに「馬なしで走
る車」を作り上げるという「とてつもない」目標を胸に抱きます。
そのため、自ら技能を修得するため工場労働者として、薄暗い現場で12時間、
旋盤や研磨の腕を磨きつつ、「線路のない機関車」の構想を練っていきます。
そして次に働いた設計事務所で、製図の経験を積んだ上で、いよいよ「ガス
エンジン(内燃機関)」の製造に取りかかります。
奥さんとの必死の開発により、定置式の2サイクルエンジンは完成し、事業
は軌道に乗ります。
そしていよいよ、念願のエンジン駆動車の開発に着手したのです。
最重要課題は、軽量で高回転なエンジンを製造することでした。
ここでベンツ氏は、複雑な2サイクルエンジンから軽量化が可能な4サイク
ルエンジンに変更し、そして「電気火花式」の点火装置を発明します。
これはバッテリーの電圧を昇圧して、プラグの電極間に火花を飛ばすという、
まさに現在のエンジンの技術そのものでした。
さらに、ガソリンを適度に気化させるキャブレータ、そして高温のエンジン
を冷ます水冷の冷却器という基礎技術も、彼は発明しています。
そして動力伝達に不可欠なクラッチや、前輪操舵のためのアッカーマン・ス
テアリング、ゴムタイヤなども、既に盛り込まれていました。
圧巻は、デファレンシャル・ギア(差動装置)です。
自動車の後輪は、曲がる際には内側と外側で移動距離が変わるため、その差
を調整する必要があり、これを解決するための機構が差動装置であり、これ
こそ現在の自動車にも不可欠な技術です。
これらの機構がすでに「最初の自動車」に搭載されていたことを、文章と写
真から見るにつけ、ベンツ博士の卓抜した想像力と、「自動車」の安全に当
初から配慮した先見性に、ただ恐れ入るばかりです。
こうした新技術の開発もさることながら、これまでにない移動手段を世に送
り出したときの嘲笑や非難、警察や法律の壁などを乗り越えていった「信念
」に、また驚かされます。
その熱き想いは、ひとえに「人類に新しい交通手段をプレゼントしたい」と
生み出した、自動車に対する自信、確信から溢れ出ていたのです。
最後に、偉大な発明家であり、そして技術者であった氏から、若きエンジニ
アへのメッセージを挙げましょう。
「どうか立派な技術者になってください!
なぜなら技術者は―哲学かぶれの連中や言葉の軽業師とは異なり―よりよ
き未来の開拓者なのです」
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
最初の自動車は、3輪車であった。
当初から4輪車をベンツ氏は作りたかったが、運転の安全性が難問だった。
馬車のように、車軸全体を動かす方法はには、彼は反対だったのだ。
その理由の一つは、馬車方式では、カーブを曲がるときに極めて大きな摩擦
が生じ、運転に大きな力を必要とするからである。
もう一つの理由は、4輪で直進する場合は4隅に車輪があって安定するが、
曲がろうと前の軸を動かすと、4つの車輪が乗り物を支える面が3角形に近
づき、安定性が低下するからだ。
自分の車は街角に差しかかるたびに途方に暮れるような未完成なものにした
くない。
そこで完全に正しい解決法が見つかるまで、運転に申し分のない3輪自動車
を彼は作り続けたのである。
やがてこの問題を解決する、アッカーマン・ステアリング方式を実用化する
ことで、「自動車の基本的な技術は完成した。」
さらっと彼は書いているが、この一文の意義は極めて深い。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
発明の発想という壁、その実現化という壁。
そして世の中の「常識」という壁。3枚の壁を突き破るのは信念だ。
起こりうることに細心の注意を払い、対策を講じよ。
そこに発明(特許)のタネがある。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
村の鍛冶屋の炎に照らされて
父と母
幼年時代のカール
夏休みの楽しみ
ギムナジウム時代
「若いころはおいらも怖いもの知らずで、途轍もない目標を心に秘め、つぶ
らな瞳で人生を覗いていたものさ」
遍歴時代
ボーン・シェイカー型自転車に乗って
自分の家と作業場
生涯で最高の大晦日〔ほか〕
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・メルセデスベンツ
・出版社 草思社
・アマゾン 『自動車と私 カール・ベンツ自伝』
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【今週の一冊】
●『現場はもっと強くなる』
超トヨタ式・チーム力最大化の技術
著:村上 豊
2006.07 / \1,575
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◆ 燃える一言 ◆
『諦めることは誰でもできる。
誰でもできることは、誰もができる程度の結果しか生まない。
誰もができないことをやろうとするからこそ、他の人には
真似ができないような素晴らしい結果を生み出すことができる』
-----------------------------------
いまや世界一の座が射程に見えてきたトヨタ自動車。
そのトヨタを、そして世界中の自動車メーカーを支える世界最大の部品メー
カー「デンソー」もまた、「トヨタ生産方式」を基に、日々カイゼンを続け
ています。
本書は、著者のデンソーでの30年の経験を基に、限界を超えて改善し続ける、
その生産方式の秘訣を探っています。
現在のデンソー社長・深谷氏はかつて、「一人光る、皆光る、何もかも光る
」とのメッセージを投げかけ、筆者はそこに「マインド」の大切さを知りま
す。
つまり、トヨタ生産方式は、成果やスキルの向上だけではなく、そのベース
となる「マインド」の成長を共に進めるシステムなのです。
例えば、仕事の進め方の基本である「PDCA」。
言うまでもなく、「P(計画の作成)」「D(計画の実行)」「C(進捗の
確認)」「A(計画の見直し)」の一連の流れを指しています。
ここに加えて、それぞれを遂行する上での「マインド」として、「思いやり
」「学び」「反省」「向上心」というキーワードを当てて、スキルの向上と
人間的な成長を共に勧めています。
この、スキルとマインドの成長サイクルを、共に回すのがポイントです。
このように書くと、「PDCA?ああ、知っている」という気になりますが、
分かったつもりが一番危険だと、著者は指摘します。
トヨタグループが強いのは、スーパーマン的な人が多数いるから、ではなく、
基本中の基本であるPDCAを、明けても暮れても、飽きもせずに、ひたす
ら地道に取り組んでいるからです。
「当たり前」にやるべきことを、毎日毎日きっちりと、着実にやり遂げてい
る「だけ」なのです。
“おそろしや たゆまぬ歩み カタツムリ”
トヨタ式は、PDCAに始まり、PDCAに終わるといっても過言ではない、
と語られるように、形だけではなく、心からの「トヨタ生産方式」ほど、恐
ろしい、そして頼もしいカイゼンはないのでしょう。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
一人ひとりが成長サイクルを回したとしても、各自がばらばらでは、職場全
体としての成長はありえない。
「環境・風土」が大切だ。
「麻の中の蓬(よもぎ)」という例えがある。
麻は生育するときは、天に向かってまっすぐに伸びる。
蓬は「もち草」ともいわれ、若葉が草もちに使われる植物だ。
蓬は麻の中で育てると、麻と同じようにまっすぐ天に向かって育つという。
生育が周りの環境・風土の影響を受けることはもちろん、方向性の影響も受
けるのだ。
職場の環境・風土も、方向性の合致した「成長」を進める上で、きわめて重
要な要素なのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
新入社員に語る理念を、中堅もベテランにも語れ。
「絵に描いた餅」を、噛み付きたくなるほどリアルに描け。
計画して実行だけでは、カルシウム(Ca)不足。
骨が折れないように、チェックと見直しが不可欠だ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 火 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 強い現場とは何か
第2章 強い現場のつくり方―成果と成長のマネジメント
第3章 「ユートピア指数と自己実現力」の総合診断(ワークシート)
第4章 超「トヨタ式」改善活動の実践ノウハウ
第5章 職場の「磁場」の整え方
第6章 成果を出すための心のマネジメント
第7章 職場ユートピア、リーダーの使命
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・アマゾン 『現場はもっと強くなる』
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September 12, 2006

【今週の一冊】
●『戦艦大和復元プロジェクト』
著:戸高 一成(角川書店)
2005.04 / ¥760
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◆ 燃える一言 ◆
『大和が世界一といわれる理由は、
そのスケールが世界一だったというだけではない。
現実にあれほどの艦を造れたことこそが世界一なのではないか。』
-----------------------------------
終戦記念日を迎え、何かと「太平洋戦争」を考えさせられるニュースが飛び
交っています。
昨年、広島県呉市にオープンした歴史科学館「大和ミュージアム」には、先
の戦争の象徴ともいえる「戦艦大和」が、1/10スケールで復元された模型が
展示されています。
本書は、この「大和復元」にまつわるエピソードが、実際の大和に関する考
証と共にまとめられています。
一口に「1/10スケール」と言いますが、何しろ大和そのものが世界一の巨艦
ですから、実に全長26メートル、総重量30トンにも及ぶ「船」なのです。
実際に、船体は造船所で製造されて進水式も行い、「ミュージアム」建造後
では屋内に入れられないため、建物の建造中に重機で搬入されました。
また、1/10ということは、実際で1センチのものは、模型では1ミリになり、
確実に工作対象になってしまいます。
つまり、1/10で大和を再現するためには、実物の大和を1センチ単位で解析
できるだけの資料が必要になる、ということなのです。
ところが残された図面は決して多くはなく、関係者が復元した図や写真でも
分からない箇所が多々あり、実物の再現は困難を極めます。
そこで、沖縄戦で海底に沈んだ実物の大和を撮影した、海底調査のビデオを
詳細にチェックし、2,000枚もの画像をキャプチャして資料を補い、これまで
明らかにされていなかった大和の姿を復元していったのです。
特に模型の工作レベルを決めたのが木甲板です。
当初、造船メーカーではベニヤ板に墨で筋を線引きしようとしましたが、本
物にこだわる筆者の熱意により、最終的には海軍工廠で実際に働いていた棟
梁が昔ながらの方法で造ることにしました。
それは、15ミリほどの角材を、端から一本一本、継ぎ目が揃うように貼って
いく、伝統工芸のような「作品」となったのです。
この木甲板に合わせるように、鉄製の甲板には滑り止め用の細長い鉄板を再
現するため、数千枚の小さな板を、一枚一枚、手で張っていくという、気の
遠くなる作業までなされたのです。
(しかも、完成したら見えなくなるような場所まで!)
模型の大和に情熱を込めるほど、本物の大和を知ることで、当時の技術や社
会、大和を造らねばならなかった国際状況までも知らされたと筆者は語りま
す。
どんな技術も、それを実際に運用するのは人間であり、使い方によってすば
らしい結果を得ることもできるが、一歩間違えば悲惨な結果を招く。
戦艦大和は、技術のすばらしさを伝えると同時に、技術の持つ悲劇的な歴史
も教えてくれます。
大和ミュージアム、行ってみたいですね。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
設計する能力と、造る能力は異なる。
当時、アメリカやイギリス、ドイツでも50センチ砲戦艦など、設計はできた
が、造れなかった。
なぜなら、製造施設から造らねばならないからだ。
ところが、呉工廠は、明治時代にすでに大和が入るだけのドックを造り、ま
た46センチ砲を造れるだけの施設があった。
また、技術者の水準も高かった。
工員が休憩時間に暇つぶしに、鉄板の切りくずを加工して遊ぶ。
桜の形の穴を鉄板にヤスリで開け、それから棒を桜の形に作る。
工廠省から視察にきたものが見つけて入れさせてみると、するっと入ってピ
タッと止まる。
雑巾でぬぐうと継ぎ目が見えなくなったという。
この設備、技術力からくる自信が、大和建造、そして開戦へと舵が切られて
いく一因となったといえるだろう。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「ウソモノ」では、熱意は伝わらない。
「ホンモノ」に極限まで似せた「ニセモノ」を狙え。
科学・技術に善悪はない。
技術を使う人間の責任を教えた教科書が「戦艦大和」だ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 大和を造ろう!
第2章 造るのは模型ではない、十分の一の大和だ
第3章 大和研究に懸ける
第4章 戦艦大和が遺したもの
第5章 生き続ける大和
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・大和ミュージアム
・出版社 角川書店
・アマゾン 『戦艦大和復元プロジェクト』
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August 10, 2006

【今週の一冊】
●『危険学のすすめ』
ドアプロジェクトに学ぶ
著:畑村 洋太郎 (講談社)
2006.07 / \1,470
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◆ 燃える一言 ◆
『死亡事故のようにあってはならない失敗を防ぐには
従来の「失敗学」では不十分で、そこから一段進化させた
「危険学」に必然的に行かざるを得なかったのである』
-----------------------------------
例年、夏休みには水の災害が報じられますが、7月31日に埼玉県で起きた、市
営プールでの事故は、例年の事故とは大きく異なるものでした。
流水プールの給水口に小学2年生の女の子が「吸い込まれ」、水死ではなく
頭部を流路の壁に強打したために亡くなったのです。
楽しいはずの夏休みが、「考えられないような不注意」により、悲劇に転じ
てしまいました。
今回の書籍は、今だ記憶に新しい、六本木ヒルズの回転ドアで起きた6歳の
少年の事故死をきっかけに、「失敗学」の提唱者である畑村教授が立ち上げ
た「ドアプロジェクト」の記録です。
この事故も、観光名所にまでなっている「日常」の中に、恐ろしい危険性が
潜んでいたことを白日の下にした事件でした。
こうした「つまらない失敗」が元で人が亡くなるような事故は、経験すべき
ではない失敗であり、「失敗から学ぶ」という従来の失敗学の考えでは不十
分でした。
そこで、何かの行動を起こした結果としての失敗ではなく、結果に至る前の
「現に存在している危険」に焦点を当てた「危険学」が生まれたのです。
なぜ、安全が実現できないのか。
それは、安全を実現するための「方法論」に問題がある、と畑村教授は指摘
します。
従来の責任追及型の調査では、「正しいやり方をしていないから事故が起こ
った」と結論付けることが多くあるように、今までの安全の考え方は「過去
にうまくいった手順を繰り返そう」とします。
これがマニュアルやノウハウですが、逆に「安全なやり方」しか知らないこ
とになり、不測の事態に対応できず、トラブルが起きるのです。
例えば、子供が指を切らないように、鉛筆を削るナイフを取り上げてしまえ
ば、確かに事故は起きませんが、危険を教えない教育を続けている限り、危
機回避の能力を養うことはできません。
これは子供だけではなく、大人にも言えることであり、予測される危険のあ
りかを明らかにし、それに柔軟に対応することによって、事故や失敗を防ご
うとするのが「危険学」なのです。
これは、ものを「つくる」側にも「使う」側にも当てはまることであり、も
のづくりに携わるエンジニアも身につけねばならない考え方です。
流水プールの事故は、冒頭には「考えられない不注意」と書きましたが、「
危険学」的に考えれば、十分に予想でき、未然に防げた事故だったと言わざ
るを得ません。
最近のエレベータ事故や給湯器の一酸化炭素中毒、トヨタのリレーロッド破
損問題など、ひとくくりで語るのは乱暴ですが、いずれも予兆の段階で「危
険」が予測できたことは共通しています。
同じ過ちを繰り返さぬため、「ドアプロジェクト」と「危険学」に、我々エ
ンジニアは、特に深く学ばねばなりません。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
回転ドアの事故をきっかけに発足した「ドアプロジェクト」。
その対象は回転ドアにとどまらず、「すべてのドア」であった。
調査の中で、エレベータやスライドの自動ドアの挟み力が、非常に「小さな
力」であることが分かった。
それは、このようなドアの設計には「10J(ジュール)則」という暗黙知があ
ることも関係している。
ドアの移動質量のエネルギーが10Jを超えると、人間を負傷させる可能性があ
るため、それ以下に抑えるのが暗黙の知識となっているのだ。
ところが、回転ドアにはその思想が全く伝わっていなかった。
事故の起きた大型自動回転ドアは、エレベータのドアなどとは比べ物になら
ない挟み力を持つ、「殺人機械」とでも言うべき代物だったのだ。
回転ドアは、人工物として未発達な、「街中にノコノコ進出していいような
ものではない」というのが、実験結果を目の当たりにした畑村教授の感想だ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
あり得ることは起こる。
考えにくいが考えられる不具合こそ、起きたときの被害は甚大だ。
自分で失敗しなくとも、教訓は得られる。
過去のトラブル、隣の業界の情報に、広く学ぼう。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 「失敗学」から「危険学」へ
第2章 「プロジェクト」発足
第3章 ドアプロジェクトの手法
第4章 実験でわかった真相1
第5章 技術の系譜
第6章 実験でわかった真相2
第7章 「勝手連事故調」の勝利
第8章 その後のドアプロジェクト
第9章 「危険学」をどう生かすか
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・失敗学会
・出版社 講談社
・アマゾン 『危険学のすすめ』
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August 04, 2006
このたび、このブログと連動しているメールマガジン
「ものづくりを応援! えんぢに屋の『燃える100冊』」
が、なんとか「100冊」、たどり着くことができました!
おおよそ2年間、我ながらよく続いたもんだと思います。
読んで下さった皆様には、こんな稚拙な内容にお付き合い下さったこと、本
当に感謝しております。
結局、毎週、熱いエンジニアの声を一番聞くことができたのは、やまさん自
身であって、それをどれだけ皆さんにお届けできたかは、甚だ心もとない限
りです。
そこで!ご愛読の感謝の気持ちを込めて、100号記念企画 第1弾!
前の記事でも取り上げた、やまさんが関わらせて頂いた「Net‐P.E.Jp」
の、技術士関連の以下の書籍を、各1名様にプレゼントいたします!
・技術士第一次試験「基礎・適性」科目キーワード700
・技術士第二次試験「機械部門」完全対策&キーワード100
・技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説(第2版)
・技術士第一次試験演習問題―機械部門II 100問
ご応募は、「100冊記念プレゼント」のタイトルで、メルマガに記載のメール
アドレス、または左サイドバーのメールフォームから、ご希望の書籍名を
明記して、お申込下さい!
その際、ゼヒゼヒやまさん宛のメッセージや、おススメの本などあれば付け
加えて下さい!(当選確率が上がる・・かも!)
もし、お近くに技術士受験を考えている方があれば、メルマガ購読と一緒に
勧めてあげて下さい!
申込の締め切りは、8/13(日)までと致します。
それでは、今後も、末永くよろしくお願いいたしますm(__)m
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【今日の一冊】
●『技術士第一次試験「基礎・適性」科目キーワード700』
著:Net-P.E.Jp(日刊工業新聞社)
2006.07 / \2,310
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
8月を迎え、今年度の技術士第2次試験が、今週末に迫りました。
ここまでくれば、あとは論文をしっかり見直し、これまでまとめたものを見
返して、体調管理に努めましょう。
ご検討を念じております!
そして、技術士第1次試験を受験される方も、この夏季休暇が最重要期間で
す。
1次試験といっても専門だけではありませんから、その対策は大変ですね!
そこで!この度、受験生にとって非常に心強い「味方」が現れました!
それが・・これです!
☆ 「技術士第一次試験「基礎・適性」科目キーワード700」
(Net‐P.E.Jp 著 日刊工業新聞社)
第1次試験の「基礎科目」「適正科目」の出題に合わせて、最新のキーワー
ドが掲載されていますから、効率よく学習を進めるのにおススメです!
今回も、やまさんも参加させて頂きました!ゼヒ手にとって見てくださいね!
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【今週の一冊】
●『超 クルマはかくして作られる』
著:福野 礼一郎 (二玄社)
2003.01 / \2,310
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『私は職人の一品作りよりも大量生産の方が何千倍も偉大だと思う。
ロールス・ロイスやフェラーリを作るよりヴィッツやフィットを
作る方が何千倍も難しく厳しい仕事だと思う。
100万円の1L車だったとしても、現代のクルマはまさしく
設計と生産の技術の英知の結晶だという事実である』
-----------------------------------
ついに到達した「100冊目」。
取り出したるは、本メルマガの発刊前から、必ず紹介すると決めていたこの
一冊。
すでに紹介した「クルマはかくして作られる」の続編であり、
その名の通り、自動車部品の製造工程が、豊富な写真と詳細な解説、そし
て福野氏の熱いレポートで綴られています。
前作がシートやガラス、塗料などの、いわば「外堀」を攻めたのに対し、本
作はいよいよ「本丸」へと攻め上がります。
ボディから始まり、ブレーキ、タイア、ばねなどの足回り、トランスミッシ
ョン、スパークプラグ、インジェクションと駆け上がり、エンジンの天守閣
まで暴れこみます。
その過程に現れるあらゆる部品が、それぞれにドラマと哲学を語るため、い
きおいキャプションも写植級が下がり(文字が小さくなり)、情報量は膨大
です。
毎日乗っている「クルマ」について、私たちは何を知っているのでしょう?
エンブレムの「樹脂」は、どうして「めっき」できるのか?
ハロゲンランプの5気圧のガスは、どうやって封じ込めるのか?
タイアは、なぜ「11種類」ものゴムを組み合わせて作るのか?
クルマが「へたる」のは、「ばね」や「ダンパー」がへたるから?
ベアリングの玉は、どうやって作る?
モータの銅線は、どうやって巻く?
エンジンのクランクシャフトは、どうして焼きつかない?
・・いずれも、100%、種も仕掛けも「ある」のです。
それは、材料と化学と物理に支配された自然現象を、バカ正直に追求し、そ
れを「学問」ではなく「商売」にできるまで、寄り添い、なだめすかし、手
なずけた「技術者」たちの「知恵と魂」の結晶です。
これまで多くの書籍を読み、紹介してきましたが、そこには必ず「現場」で
ものづくりに情熱を注ぐ「エンジニア」がありました。
本書にも、多くの無名の技術者、作業者たちが登場しますが、主役は彼らで
はなく、現場で姿を変えていく「もの」です。
しかし、「もの」に命を吹き込む「エンジニア」の熱き思いは、福野氏を通
して語られるプロセスの難しさや、エンジニアのコメント、そして何より、
薄汚れながらも懸命に働く機械の写真から、強烈に伝わってきます。
泥臭く、リアルな現場の姿こそが、ニッポンのエンジニアを熱く、元気にさ
せる最大の原動力であることを、今、改めて感じています。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
「エンジンを運ぶために生まれてたようなクルマ」
自動車マニアにとって、V12エンジンのように、バランスが取れて馬力が出る
エンジンを極めたクルマこそが、理想のように思える。
しかし、現実のクルマ作りでは、それは冗談以外の何者でもない。
それに変わって、「最適化設計」「トータルバランス重視」という、何とも
味気ない、月並みな言葉に支配されている。
だが、本当に現代のクルマは「月並みで平凡」だろうか。
マッチ棒の先ほどのスペースに7つの部品を詰め込んだタイアバルブ。
解析とシェーディングで配光制御を突き詰めるヘッドランプの反射鏡作り。
100分の1ミリ、1000分の1ミリの公差を追求するピストンやインジェクタ
の加工技術。
それらは月並みどころか、繊細で緻密で神経質で徹底的で、思慮も配慮も研
究も、底知れぬほど奥深い、死ぬほどエキセントリックな世界だ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「現場」に宝はある。
我ら技術者が相手にすべきは、現場の現物であること、ユメ忘れるな。
チャンピオン品を作ることと、量産技術は違う。
量産可能なチャンピオン技術をつくるのだ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
手作りボディ工場/めっき工場/照明機器工場/ブレーキ工場/タイア工場
/ばね工場/ダンパー工場/ベアリング工場/燃料タンク工場/
鉛蓄電池工場/ニッケル水素電池工場/AT工場/MT工場/排気管工場/
モーター工場/エンジンメタル工場/スパークプラグ工場/
インジェクタ工場/ウォーターポンプ工場/ピストン工場/エンジン工場/
リサイクル工場
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◆ 関連ページ ◆
・著者 福野 礼一郎
・出版社 二玄社
・アマゾン 『超 クルマはかくして作られる』
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August 03, 2006

【今週の一冊】
●『科学の国のアリス』
入門!ニュートン物理学
著:福江 純 (大和書房)
2005.05 / \1,680
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◆ 燃える一言 ◆
『みなさんもアリスと共に悩んでいただき、
よくわかっているはずの科学も、見方を変えれば実は不可思議で面白く、
奥が深いことに気づいてもらえればありがたい。』
-----------------------------------
「遅れてしまう!遅れてしまう!」
懐中時計を覗き込む、白ウサギにせかされながら、今日はアリスと一緒に、
不思議な「科学の国」を旅してみましょう。
「不思議な科学」といえば、相対性理論や量子力学などの「モダン・サイエ
ンス」のことかと思われるかもしれませんが、どっこい、ニュートン力学と
呼ばれる「クラシカル・サイエンス」にこそ、古いが故に深遠な謎があるの
です。
ニュートンは、数学・光学・力学の分野で類稀なる業績を残しましたが、光
の分野では「虹を分解した男」として知られています。
プリズムを使った実験で、太陽の白い光が実は七色の光からできていること
を「発見」したからです。
ただし、プリズム自体はニュートン以前から存在しており、光を当てると七
色に分かれることも知られていました。
ところが、ニュートンが行った実験の以前と以後では、光の色についての解
釈が、劇的に変わったのです。
ニュートンが行った実験は、二つのプリズムを用意し、最初のプリズムで白
色光をいったん七色に分け、さらに逆さにおいたもう一つのプリズムを通し
て光が再び白色光に混ざり合うことを示したのです。
当時は、「色」が良く分かっておらず、ギリシャ以来の「思索」によって、
色は「白」と「黒」の混ぜ合わせで生まれると思われていました。
例えば、プリズムで光が分かれるのは、白が変化したものであり、強い作用
を受ければ青く、弱い作用を受けると赤になる、と「思索」したのです。
ところが、ニュートンの一見、単純な実験によって、光はもともと七色あっ
て、それらが混ざり合って白色光になっていることが証明されたのです。
ニュートンが虹を分解することができたのは、思索(理論)と検証(実験)
を見事に融合させた結果だったのです。
電気や磁気は、物理が得意な人でも、かなり悩まされた分野でしょう。
クーロンの法則、オームの法則、アンペールの法則、キルヒホッフの法則、
ビオ=サバールの法則、右ネジの法則、フレミングの左手の法則・・・
次から次へと法則が乱立しているのは、ひとえに電気と磁気の性質が入り組
んでいて、それらの関係がなかなか分からなかったためです。
この、双子のトラブルメーカー、「ハンプティ=電気」と「ダンプティ=磁
気」の関係は、ファラデーやマクスウェルの登場で明らかにされました。
マクスウェルの法則で明らかになった「電磁気」は、ハンプティとダンプテ
ィのただの足し算ではなく、融合されることで新たな性質を帯びたのです。
その一つが「電磁波」であり、媒体なしに(真空でも)伝わり、しかも光の
速度に一致することが分かって、電磁波こそが光の正体だと断定したのでし
た。
こうした「虹の国」や「電磁の国」のほか、「重力の国」や「熱の国」を、
アリスと旅することで、教科書ではとっつきにくかった「物理」の法則が、
生き生きと踊りだす、なんとも楽しい「科学の本」です。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
万有引力は、「二つの物体が及ぼしあう万有引力の大きさは、二物体の質量
の積に比例し、物体間の距離の2乗に反比例する」という法則である。
では、なぜ距離の2乗に反比例して変化するのだろうか。
逆1乗とか、逆3乗、あるいは距離の1.9乗とか2.1乗ではダメだったのだろ
うか。
いろいろな立場からの説明があるが、一つは「ケプラーの法則」という厳然
たる経験事実だ。
惑星の軌道は楕円軌道を描いている。
そして距離の2乗に反比例する力が働けば、その力を受けて運動する物体の
軌道は確かに楕円軌道になるのだ。
もし「逆2乗」でない場合、例えば逆2.1乗では、きれいな楕円にはならず、
楕円の形が閉じずに、少しずつずれていくような軌道になってしまう。
だからケプラーの法則は、「逆2乗」を保証しているともいえるのである。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「思索」だけでは「真実」は見えない。
「思索」に裏付けられた「検証」で真実に近づく。
古典力学は古くない。
身近な疑問を、明瞭に証明してみよう。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
虹の国―ハートは何色?
光の国―光は一人二役
運動の国―自然のルール・運動の法則
重力の国―宇宙のルールと万有引力
電磁の国―電気と磁気の合体
熱の国―温度って何?
水の国―水の葉の行方
時空の国/真理の国―ニュートンの宇宙とアインシュタインの宇宙
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◆ 関連ページ ◆
・著者 福江 純
・出版社 大和書房
・アマゾン 『科学の国のアリス』
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【今週の一冊】
●『ガンプラ開発真話』
著:猪俣 謙次(メディアワークス)
2006.03 / \1,890
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◆ 燃える一言 ◆
『ガンプラブームが巻き起こってから四半世紀。
人気の秘密やブームの分析を語る出版物は数多く発行されている。
しかし、爆発する需要に応えるために、当時、生産ラインを支えた
人たちが味わった、気力体力を使い果たすほどの
苦労や努力については、ほとんど語られたことがない。』
-----------------------------------
やまさん含む30代エンジニアにとって、ものづくりに携わることに大なり
小なり影響を与えたのが、「ガンプラ」です!(断言。)
※「ガンプラ」=ガンダムのプラモデル。念のため。
1982年、日本中が空前の「ガンプラブーム」に沸き上がり、子供たちは、大
人も巻き込んで、「ガンプラ」を求めて模型店へ、おもちゃ屋へ、そしてバ
ンダイの工場まで押し寄せました。
やまさんも、早朝からダイエーの前に並んで、ようやく「1/100 グフ」を手
に入れた時の感動を、今でもハッキリ覚えています。
「バンダイは出し渋りをしているのではないか」と、一向に欲しいプラモデ
ルが手に入らない苛立ちを、皆が募らせていましたが、その裏側の生産の現
場では、「嬉しい悲鳴」を通り越した、悪戦苦闘があったのです。
ガンプラブーム以前、さらに宇宙戦艦ヤマトブーム以前、バンダイ模型の生
産ラインは自社工場内に3本しかなく、それで十分でした。
ところが「ヤマトブーム」「ガンプラブーム」を迎え、工場ラインは15本に、
更には新工場の建設と急拡大を繰り返します。
新工場建設当初は、仕事を確保できるかを心配していたのが、ブームによっ
て「フル操業の試練」へと180度変わります。
三交代24時間フル操業となったものの、スタッフは必要最低人数であり、16
時間連続勤務が当たり前のようにあり、せっかくの休日も16時間後には再び
出社という状況が続いたのです。
現場スタッフの壮絶な頑張りによって、「ガンプラブーム」は支えられたの
でした。
24時間操業の成型機では、1台につき毎日4,800ショット成型されており、金
型の一部が破損した場合には、気付かずに稼動し続けて、大量の不良品を発
生させる恐れがあります。
そこで、不良品の発見、品質管理のために、製造部の課長は「全てのスタッ
フが検査員だ。時間があったら組み立てろ!」と激を飛ばし、設計者を中心
に、毎日、当日の成型品を組み立て、不良の早期発見に努めました。
また、部品の破損やクレームに対応する「お客様相談センター」には、毎日
部品請求が山のように届きました。
中には「改造したいからパーツを分けて欲しい」という、本来なら対応しな
くても良い要求も多々ありましたが、丁寧にパーツを梱包して送るという、
ユーザーに優しい対応をしてきました。
そしてお客様の声を開発、設計にフィードバックすることで、ガンプラは「
進化するプラモデル」とまで呼ばれるようになり、ブームに拍車をかけてい
ったのです。
プラモデル作りの楽しさや、開発秘話など華々しい物語の裏側で、喜ぶ子供
達のためにと汗を流したエンジニア達の地道な活躍に、一層「ガンプラ」が
好きになった、やまさんでした。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
「多色成型」とは、異なる成型色や素材の樹脂を、一体に成型する技術だ。
バンダイ模型は、1982年、ドイツのログ社から「多色成型機」の第1号を導
入した。
日本国内初の4色機であり、部外者へは公開せずに、極秘裏に開発は行われ
た。
バンダイ模型は、他メーカとの差別化を、この多色成型技術に求めたのだ。
1983年、「1/250 色プラGアーマー」として商品化された。
今にして思えば、決して満足できる完成度ではなかったが、とにかく第一歩
を踏み出したのだ。
2006年、成型工場で稼動している16台の成型機のうち、多色成型機は15台に
もなっている。
多色成型機はもちろん、設計者や金型技術者も日進月歩を続けた。
バンダイ模型の高度な多色成型技術は、他のメーカーの追随を許さないまで
になった。
そして、「スケールモデル専門メーカーこそが最高の金型技術を持っている」
という、一昔前のイメージは、完全に払拭されたのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
熱きエンジニアの執念で、「ガンプラ、大地に立つ」。
実用品でなく、趣味のものづくりだからこそ、妥協ない緻密さが必要だ。
急変動する市場の要求にどう応えるか。
「明確な目標(喜ぶ子供のために)」が、現場を動かす。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 プラモデルの歴史―ガンダムへの道
第2章 ガンプラ誕生夜明け前
第3章 ガンプラ開発物語
第4章 パッケージデザイン物語
第5章 模型情報物語
第6章 ブームと渡り合った黒子たち―営業・生産ライン物語
第7章 特別寄稿 ガンプラブームに立ち会った編集者たち
「HOW TO BUILD GUNDAM」への道(柿沼秀樹)
「ホビージャパン」そして「電撃ホビーマガジン」(佐藤忠博)
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◆ 関連ページ ◆
・バンダイ ガンダムパーフェクトウェブ
・出版社 メディアワークス
・アマゾン 『ガンプラ開発真話』
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August 02, 2006

【今週の一冊】
●『ジャパン・インパクト』
伝統の技が未来を開く
著:NHK「ジャパンインパクト」プロジェクト(日本放送出版協会)
2003.02 / \1,575
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◆ 燃える一言 ◆
『千年を超えて磨き上げた技には、千年の未来をひらく可能性が
あるのかもしれません。
伝統技術―、その中には、今だ汲みつくしていない技、
学びつくしていない知恵が眠っているのです』
-----------------------------------
日本の刃物の切れ味、漆器や磁器の類いまれな美しさ、洋紙では決して得ら
れない和紙の強さ・しなやかさ。
まさに「ニッポンのものづくり」を代表する、こうした伝統の技術には、無
言にして雄弁な魅力があります。
それは、ただ自然が与えてくれたものではなく、気の遠くなる時間と世代を
経て、人が発見し、育て、磨き上げてきたものです。
そして今日、これら日本の固有技術が、最先端テクノロジーの革新に、大き
な影響を与えていることを、本書は教えてくれています。
「漆黒」と表現されるように、「漆(うるし)」の黒は、カーボンブラック
を入れて黒くする塗料とは、全く異なる魅力をたたえます。
漆の木の樹液は「ウルシオール」という油分に水が溶け込んだものであり、
これが「酵素」の働きで硬化するという、独特の「乾燥」工程を経ます。
しかもこの酵素は、湿気がある限り、何千年も働き続け、硬い塗膜を守る「
生き物」なのです。
一方、現代の合成塗料の化学物質は、シックハウス症候群を引き起こすなど、
人体・環境に害悪をもたらしています。
漆は、炭素・酸素・水素だけから成る、天然の「やさしい」塗料であり、し
かも硬化に熱などの外力を必要としない、省エネにもつながる材料なのです。
今では貴重になった天然漆に代わる、人工漆が目下、研究されています。
クルマのクラッチの摩擦板は、大きなトルクの伝達と耐久性という厳しい環
境で使用される材料ですが、ここに「和紙」の技術で作られた「機能紙」が
用いられています。
潤滑油をしみこませ、摩擦熱を素早く逃がし、薄くて耐久性がある材料とし
て、「洋紙」にはない「和紙」の特徴が活かされています。
更に、ステンレスを繊維化してカーボン繊維の間に入れて漉いた紙は、電磁
波シールド材として、電子機器の保護材料に用いられています。
また、セラミックを使って作った「紙」は、耐久性に優れた電線の被覆材に
使われるなど、従来の「紙」のイメージとは大きく飛躍した材料へと変貌し
ているのです
現代の先端科学をもってしても、解明し切れていない伝統技術の可能性。
その可能性を、最新の材料技術などと融合させることが、世界に衝撃を与え
る、ものづくりの「ジャパン・インパクト」となるのです。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
日本刀の形が整った硬さと耐久性を高め、切れ味を良くするためにするのが
「焼き入れ」だ。
鋼の性質に従って、ある温度までに熱した材料を、水に入れ、急速に冷やす
操作である。
鋼の温度をどこまで上げるかは、刃物の仕上がりを大きく左右する。
同じ鋼でも、温度によって結晶の構造がまったく異なるからだ。
摂氏650℃くらいの低い温度で焼き入れすると、刃物としては柔らか過ぎ、
簡単に曲がってしまう。
770℃くらいにすると、刃物としてちょうどいい硬さに仕上がっていて、ほぼ
適切な焼き入れ温度である。
温度が950℃を超えた場合、鋼はさらに硬くなるけれど、もろく弱くなってい
る。
焼き入れ温度としてやや高い、温度が1,000℃を超えて焼き入れすると鋼は極
端にもろくなってしまう。
もう、刃物としては使えない。
こうしたことから、この鋼の適正な焼き入れ温度は、750℃から780℃という
ことが分かる。
職人は、これらの焼き入れ温度を全て火の色で見分けてしまうのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
「伝統」とは、カイゼンの歴史だ。
現在の結果から、プロセスを紐解こう。
伝統の技を、センシングしよう。
再現可能な技術として、再構築すれば廃れない。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | | (炎3つが満点)
-----------------------------------
第1章 漆をモデルに新塗料を開発
第2章 和紙づくりの技が生んだハイテク
第3章 電子産業を支える金箔技術
第4章 磁器が宇宙開発の素材に
第5章 日本刀の技術が生んだハイテク包丁
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◆ 関連ページ ◆
・出版社 NHK出版
・アマゾン 『ジャパンインパクト』
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July 26, 2006

【今週の一冊】
●『本田宗一郎に一番叱られた男の本田語録』
人生に「自分の哲学を持つ人」になれ!
著:岩倉信弥(三笠書房)
2006.06 / ¥1,575
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◆ 燃える一言 ◆
『君たちは、腹が減って死にそうな人に、
『すき焼きの肉を買いに行きます』なんて言うのか!』
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2006年も半分を過ぎました。
当然、年初に立てた目標も、半分以上達成している・・はずですが・・。
未達成な人も、取り組めてない人も、はたまた目標を忘れてしまった人も、
ここは一つ、中だるみを反省して、本田先生に叱って頂きましょう。
冒頭の言は、自動車のデザインを担当していた筆者が、ホンダが勢いを失っ
ていた時に、宗一郎に一喝された言葉です。
当時、上級車志向が進んでいたときで、ホンダは従来よりも高性能なクルマ
や、アメリカ向けの大型車を日本市場に投入しており、お客様の動向をとら
え切れていませんでした。
「腹が減っている人には、先々の『すき焼き』より、いまの『おにぎり』だ。
やれ技術だ、性能だなどと頭でっかちになって、今この瞬間にお客さんが
本当に欲しいと思っているものを、提供できていない!」
という、的確な鋭い指摘に、著者は「モヤモヤが一掃され」、以後、仕事が
うまくいかなくなると、「おにぎり」「おにぎり」と言いまくったそうです。
また、筆者がデザインした試作車を、宗一郎が「格好悪い!」と言い、早速
呼びつけられたときのこと。
「ずっと見ていたんだろう?」と問われ、「いえ、はじめてです」と答える
と、「すぐ直すんだ!」と怒り爆発。部屋を飛び出していきました。
筆者がデザインしたモデルとは試作車は格好が異なっており、設計者に噛み
つくと、モデルは人や荷物の乗った状態であって、試作車とは車高が異なる
ことが原因と分かりました。
こんなクルマのイロハも知らなかったことを恥じるとともに、宗一郎の怒り
は、試作の過程を「見ていない」点にあったことに気付きます。
自分の仕事は「モデルまで」と思っていた筆者に、「会社で働いているもの
は、全員が商品に責任を持っている」のだから、完成車になるまで自分の目
で確かめるのが責任だと、痛切に教えられたのです。
「君は人殺しか!」
強烈なカミナリは、接合に使うハンダを削る作業を、宗一郎が見た時に落ち
ました。
デザイン上、表面の凹凸は削らねばならず、また他社もやっていることでし
たが、ハンダの削りカスの鉛の粉塵が、職人の肺を悪くすると感じた本田は
黙っていませんでした。
今から思えば、環境問題への取り組みの走りとも言えますが、彼はただただ、
人間を愛し、従業員の身体を心配しただけなのです。
人間関係が希薄になり、殺伐としたニュースがめぐる今、身体を震わせるほ
ど真っ赤になって叱ってくれる人があるでしょうか。
本田宗一郎が生まれて100年。
彼のきつく、暖かい「叱咤激励」に、我々も耳を傾けましょう。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
本田は、「叱り上手」であると同時に「たとえ話上手」でもあった。
「スタイルの基本は、やっぱり四角だな。
世の中には『形』は3つしかないんだ。丸と三角と四角だよ。
『丸』は円満、『三角』は革新を連想させるよな。
それでいうと『四角』は堅実な感じがする。
企業の経営も、円満だけでは会社はつぶれる。
革新だけを追い求めるのも危険だ。
やはり、基本は堅実で、そのうえで時代の動きをよく見て、円満さや革新
を適量混ぜ合わせていくことが大事なんだよ」
一見、本田は「革新」のイメージだが、実際は「堅実」に「円満」、「革新」
を混ぜ合わせるさじ加減に心を砕いていた。
名車シビックのデザインは、基本の四角に、丸、三角を取り入れた、宗一郎
お気に入りのバランスだった。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
言い訳の前に、現物を見よ!
手を動かす前に、考えよ!
叱ってもらって喜べるほど、素直な人間はいない。
しかし、叱ってもらえることは、喜ぶべきことだ。
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
1章 仕事には「哲学」が必要だ
―原理原則の貫き方を覚える
2章 「見ていて飽きないもの」をつくれ
―「人間好き」がいい仕事をする
3章 本当にそういうことをしたいと思っているのか
―考えて考えて、考え抜く
4章 自分が感動できないものは、人を感動させられない
―「夢と目標と志」は高く、大きく!
5章 一歩先でなく半歩先
―大事なのは、先見、先取、先進!
6章 休みの日には「高いもの」を見てこい
―現場・現物・現実がすべて
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 岩倉信弥
・出版社 三笠書房
・アマゾン 『本田宗一郎に一番叱られた男の本田語録』
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July 20, 2006

【今週の一冊】
●『ロボットの天才』
著:高橋智隆(メディアファクトリー)
2006.06 / ¥1,365
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◆ 燃える一言 ◆
『工芸の緻密な技と工学の技術、斬新な芸術性を兼ね備え、
開発過程の執念が見るからに伝わるようなモノを、
私は愛してやまない。』
-----------------------------------
「ニッポン!ドイツW杯、優勝おめでとう!!」
・・え、あほなこと言いなさんなって?
失礼しました。
正しくは「ニッポンのTeam OSAKA!ドイツ ロボカップ、優勝おめでとう!」
でした。
まさに世界中の眼がドイツに集まっている今、6月14~18日に同じく、
ドイツで「もう一つのW杯」自律ロボットによるサッカー競技大会、ロボカ
ップの世界大会が行われました。
中でも注目のヒューマノイド・リーグで、3年連続の優勝を果たしたのが、
CMにも出演していた「Team OSAKA」のロボット、「VisiON TRYZ(ヴィジオ
ン トライズ)」であり、その一員が今回の書籍の著者、高橋氏です。
高橋氏は、京大内ベンチャーの第1号として、「ロボ・ガレージ」を起こし、
オリジナルのロボットを生み出す「ロボットクリエイター」です。
彼の生み出す人型ロボットは、鉄腕アトムに触発されたと語る通り、まるで
アニメや漫画から飛び出てきたような、美しいシルエットと、滑らかなアク
ションを兼ね備えています。
最近、テレビでも手作りロボットの格闘技(?)を観ますが、それらとは一
線を隔した造形美です。
実は高橋氏は、この高いクオリティーのロボットの、構想・開発・デザイン
・設計・加工・プログラミング、果てはプロモーションまでを「一人」で実
現しているのです。
今までのロボット研究は、数値化できるような性能の追及や学術的な意義に
重点を置き、○○理論とかを謳って、珍妙な動きをするものでした。
また、構造もブロックを積み重ね、フレームと配線に覆われた無骨なものば
かりです。
しかし、我々はロボットを外から見て、外観や動きを捉えているのであり、
一般の人にとって中身はどうでもよいことです。
そこで彼は、親しみやすいデザインや動きという「外」のために、それを実
現する「中」の研究をするという、従来と逆のアプローチをしているのです。
ロボットのニーズといえば、介護用や救助用などが話題になりますが、それ
らは「特殊」分野であり、高橋氏は、「家庭用が本流」と言い切ります。
一家に一台、となるためには、人間型こそ感情移入ができ、相手が機械であ
ることを理解しつつも、コミニュケーションができる重要な要素です。
そのためには、外観とモーションのデザインは重要な機能であり、従来の自
動車や家電のデザインとは異なる要求なのです。
ロボット史の1ページを切り開きつつある高橋氏は、ひょっとすると、自身
もあこがれる、アトムを生んだ「天馬博士」になるやもしれません。
-----------------------------------
◇ カンドコロ! ◇
高橋氏の生み出した「クロイノ」に代表されるロボットの動きが魅力的なの
は、ひざを伸ばして歩く、自然な姿勢にある。
これは「SHIN-Walk」と名づけられた特許技術だ。
今までのロボットは、歩行の際、ひざが曲がったままだった。
これは、ロボット業界では避けて通れない問題とされてきた。
しかし、高橋氏はその理由を、足の長さと重心の関係だと考えた。
ロボットが片方の足を踏み出すとき、もう片方の足は体重が乗る「軸足」と
なるので、身体の真下になければならない。
しかし、そのままでは前に出した足が地面に届かない。
そこで、軸足のほうのひざを少し曲げることで、前に出した足を地面に着く
ようにする。
これを繰り返すため、結果的にひざが曲がったままになってしまうのだ。
「SHIN-Walk」では、足の付け根のロール軸と、足首のロール軸をずらすこ
とで、歩く際の足の長さのバランスを取ることに成功した。
結局のところ、歩行時にロボットのひざが曲がる最大の原因は、単純な図形
問題だったのだ。
───────────────────────────────────
◆ 熱い行動 ◆
フェチともいえるこだわりが、魅力を生む。
マスプロ・大量生産にはできない「ものづくり」を見直そう。
アトム、ガンダム、レゴブロック。
かつての遊びや夢を、夢のままで終わらせるな!
-----------------------------------
◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
-----------------------------------
1 ひとりロボット工場―ロボットクリエイターという仕事
2 ドロップアウト―就職活動の失敗がスタートだった
3 2度目の大学時代―京大で見つけたロボットという夢
4 ロボ・ガレージ始動―産学官連携の追い風の中で
5 世界への挑戦―日本代表サッカーロボット・王者への道
6 ロボット・スター化計画―ロボプロという戦略
7 明日、ロボットがやってくる―1家に1台、ロボットと暮らす未来
-----------------------------------
◆ 関連ページ ◆
・著者 高橋智隆「ロボ・ガレージ」
・出版社 メディアファクトリー
・アマゾン 『ロボットの天才』
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July 11, 2006

【今週の一冊】
●『あなたの機械設計ココが足りない!』
潜在技術力アップのための実務対策ヒント集
著:和田 肇(日刊工業新聞社)
2006.05 / ¥2,310
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『製図からはじまり、ものづくりは「理論+鈍臭い知識と知恵」により
良い製品が生まれます。』
-----------------------------------
「機械設計」と一言では言うものの、その中身たるや、広く深いものです。
歯車やバネのような機械要素一つでも、分厚い専門書がゴロゴロあり、材料
はお馴染みの鉄系から樹脂、流体や接着剤と多種多様。
それらを構成して、所望の動作をさせ、様々な使用環境で評価し、しかもコ
ストは削らねばならない。
まさに逆立ちで綱渡りをするような、ギリギリのバランス感覚の持ち主でな
ければ務まらないオシゴトです。
いきおい、「前例」や「習慣」で設計してしまい、トラブルが発生すること
も、うなずける気がします。
しかし、エレベータ事故の例を挙げるまでもなく、一度世に製品が出てしま
えば、もはや設計者個人の問題では収まりません。
なればこそ、現場の目線で、設計者のスキルアップに直結する、本書のよう
な「よきアドバイス」が必要になります。
長年、カーステレオのテープの駆動機構やCDドライブなどの設計に従事し
た筆者の経験からの「使える」事例から、大いに学ばせてもらいましょう。
車載用CDチェンジャーのメカニズムユニットの駆動部が、錆びついて動作
しなくなるトラブルが発生しました。
元素分析の結果、当該箇所に「食塩」があったことが分かり、関係すると思
われる洗浄液やグリース、切削油など調査しましたが、いずれからも塩素・
ナトリウムは検出されません。
履歴を追うと、不具合品は特定の3日に生産したことを突き止めました。
探偵のように調査した結果、この3日は工場近くは海からの強風が吹いてい
たことが分かり、海風の塩分が原因と分かったのです。
こう書くとスムーズに原因究明されたように思いますが、関係者は「その道
」の人間ですから、工程中の要因に眼が行き、実際は測候所へ過去録を問い
合わせるには、なかなか至りませんでした。
もし、「その道」の見方でもっともらしい原因が成立してしまうと、検討が
終了してしまい、再び忘れた頃に同じ問題を起こすことになります。
「経験」も、「現場現物現実」も、問題解決には重要なことを気付かせてく
れる教訓です。
また、「ジャイロ効果とCDドライブの関係」「フライス加工で生じる膨ら
み」「公称寸法と損得勘定」などの知識を「雑学」と呼び、専門書ではとっ
つきにくい歯車やネジの実用的なオリジナル計算式を紹介しているのも、面
白いところです。
もちろん、これらで「機械設計」が網羅できることは到底ありません。
しかし、筆者の「観て、感じて、考え、実行」した末の様々な事例から、機
械設計者のあるべき姿を学ぶことで、自身の「足りない」点は、きっと補え
ることでしょう。
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◇ カンドコロ! ◇
よく事故の説明に「スイスチーズ・モデル」が使われる。
温度測定に用いる「熱電対」を使った経験のある人は多いだろう。
しかし、その使用方法を正しく理解しているだろうか。
異なる2本の金属線を接合し、接合点に温度を与えると線間に電圧が発生す
る「ゼーベック効果」を利用したのが熱電対だ。
200℃くらいまでの場合は、2本の線をねじって測定箇所に貼り付けたりする
が、測定される温度は「ねじり部の測定器側位置」の温度だ。
つまり、5mmの長さでねじって、先端を測定物に取り付けても、測定して
いるのは測定物から5mm離れた位置になってしまう。
また、200℃を超える温度の場合、溶接した熱電対接合部の玉を、測定物にス
ポット溶接したりするが、これが至難の業だ。
溶接どころか、熱電対の玉を飛び散らせてしまう。
しかし、熱電対の原理を考えれば、別に熱電対を接合してから溶接する必要
はない。
2本の線を、少し離してそれぞれ接合しても構わないわけだ。
これまでの熱電対のイメージから離れ、原理に立脚して考えると、意外に簡
単な方法に行き着くことが理解できるだろう。
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◆ 熱い行動 ◆
自分の知恵と工夫を書きとめて、「ノウハウ集」を作ろう。
まとめようとすることで、気付きが増える。
知恵を絞って、適材適所の測定法を考え出そう。
「測れないものは作れない」。学術ではなく、現場に合う測定器を作ろう。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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第1章 まずはここから設計を変えよう
第2章 数値の意味を知ろう
第3章 メカニズムの要素設計を成功と失敗の事例で見直そう
第4章 知恵を絞って測定法を考え出そう
第5章 加工法に雑学を加えよう
第6章 図面についての雑学で得をしよう
第7章 補助的材料の性質を実感しよう
第8章 長年の知恵による問題解決法で技術力を付けよう
第9章 生産ラインに関心を持とう
第10章 設計者サイドの特許出願を知ろう
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◆ 関連ページ ◆
・著者 和田 肇
・出版社 日刊工業新聞社
・アマゾン 『あなたの機械設計ココが足りない!』
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July 07, 2006

【今週の一冊】
●『安全と安心の科学』
著:村上 陽一郎(集英社)
2005.01 / ¥714
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◆ 燃える一言 ◆
『言い古された決まり文句を使えば「初心忘るべからず」です。
いかなる領域といえども、ものごとがルーティン化し、
安全に推移するのが当然と思われ始めた瞬間に、安全は崩壊する、
ということはどうやら確かなことのようです。』
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扉が開いたまま上昇したエレベーターに、高校生が挟まれて死亡するという、
痛ましい事故が起きてしまいました。
ようやくエレベータメーカーが謝罪をしましたが、事故原因については「製
造側の問題ではなく、保守が悪い」との姿勢は崩しません。
管理会社も「点検マニュアルがなく、最近請け負ったばかり」と、メーカー
の責任を強調します。
まるで被害者や住民の感情を逆撫でするような対応が、繰り返し報道されて
います。
しかし、全国、全世界のエレベータは、こうしている間にも、毎日、何千万、
何億もの人命を乗せて動き続けているのですから、急がねばならないのは「
責任の追及」よりも、「原因の究明」です。
本書で筆者は繰り返し、「事故情報は宝」と言います。
何が、いつ、どこで、どのようにして起こったのか、これを何分の一秒単位
で、詳細に突き止める。
例えば、そこに人間の誤判断や誤操作(ヒューマン・エラー)があったとし
ても、それを非難したり、責任を問う前に、確実に起こったことの詳細を把
握する。
それが、今後同じような事態になったときに、悪い結果を起こさせないよう
な対策を講じるために、決定的に重要な材料なのです。
また、エレベータの設置当初、施工会社が管理を行っていた時の費用は、年
間360万円でした。
その後、05年に保守業務を委託した管理会社の費用は、およそ半分の170万円
であり、更に06年度に再度委託先を変更し、年間120万円の管理費用で契約し
ています。
筆者は、「安全が達成された瞬間から、安全の崩壊は始まる」と指摘します。
安全が当たり前のことであればあるほど、なお安全へのインセンティブを、
自らの中にかき立てなければならないのです。
これは言うは易く、行うのは難いことだからこそ、「安全第一」を標語にと
どめず、外部の規制や内部監査(ホイッスル・ブローイングを含めて)を有
効に機能させねばならないでしょう。
事故は「思いがけぬとき、思いがけないこと」が起きます。
なれば、事故情報は、人間の想像力を補ってくれる、まさに「宝」です。
この宝物から、「フール・プルーフ(ミスをカバーする)」や「フェイル・
セーフ(ミスがあっても安全)」の仕組みを前進させねばなりません。
医療事故や原子力の問題などを通して、安全と安心を説く本書から、我々技
術者が学ぶことは多いでしょう。
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◇ カンドコロ! ◇
よく事故の説明に「スイスチーズ・モデル」が使われる。
穴の開いたチーズのスライスを何枚も重ねれば、普通は穴が通ってしまうこ
とはない。
しかし、何かの拍子でそれぞれのスライスの穴の部分が重なってしまうと、
穴が貫通する。
つまりスライスは、事故防止のための一つ一つの手立てで、一つがすり抜け
られても、次の一つ、あるいは次の次で食い止められるはずなのに、何かの
拍子で穴が重なって全部が通ってしまうと、事故が起こる、という喩えだ。
ミス(穴)が少なくすることも大切だが、より重要なシステムでは、防護対
策を重ねることが有効なことを表している。
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◆ 熱い行動 ◆
「責任追求」と「原因究明」を切り分けろ。
事故の隠蔽は、「宝」を失う社会的な損失だ。
安易なVA、設計変更は事故・不良の元。
「なぜそうしたか」設計の意図を伝承しよう。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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序論 「安全学」の試み
第1章 交通と安全―事故の「責任追及」と「原因究明」
第2章 医療と安全―インシデント情報の開示と事故情報
第3章 原子力と安全―過ちに学ぶ「安全文化」の確立
第4章 安全の設計―リスクの認知とリスク・マネジメント
第5章 安全の戦略―ヒューマン・エラーに対する安全戦略
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◆ 関連ページ ◆
・著者 村上陽一郎
・出版社 集英社
・アマゾン 『安全と安心の科学』
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June 27, 2006

【今週の一冊】
●『ものづくり革命』
パーソナル・ファブリケーションの夜明け
著:ニール・ガーシェンフェルド 訳:糸川 洋
(ソフトバンククリエイティブ)
2006.02 / ¥1,890
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◆ 燃える一言 ◆
『この革命は間違いなく起きる。
なぜ確信を持ってそう言えるのかといえば、それが
「現在に関する予言」であるからだ。』
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「Web2.0」という言葉が示すがごとく、インターネット上の環境がここ数年
で変化してきています。
こうして一個人である やまさん が、気軽にメルマガを発行し、ブログをア
ップしているのも、その一端ですね。
しかし、この変化はあくまでデジタルの、バーチャル空間での変化だとばか
り思っていましたが、ものづくりという物質の世界にも、新たな「うねり」
が生まれているのです。
著者は、パーソナルコンピュータ(PC)ならぬ、パーソナルファブリケー
タ(PF)という、世間一般の人がアクセス可能な「機械を作る機械」を提
唱し、壮大な実験を世界規模で行っています。
ここでいうPFは、三次元の構造物を作り出すだけではなく、ロジック、セ
ンサー、作動部、表示など、機能するシステムをつくるのに必要な全ての要
素を統合することを指します。
つまり、欲しいものを探し回ったり注文するのではなく、欲しいものの仕様
を自分で書いて、設計図と原材料をPFに放り込んで「自分のため」の製品
を作り出すことになるのです。
これを筆者は「ファブラボ」と称し、MITの生徒から始めて、インドの田
舎、コスタリカ、ノルウェイ北部、ボストンの低所得者居住地、ガーナ等に
設置し、実験を行います。
すると、インドの村では牛乳の安全性や農機具のエンジン効率を計る測定器
開発にラボが使われ、ノルウェイの羊飼い達は、動き回る動物のデータ収集
用の無線ネットワークと無線タグを開発し、ガーナの人達は太陽光を動力と
する機械を作ることに使ったのです。
この事実は、コンピュータのアクセスに関する「デジタルデバイド」よりも、
ものづくりのツールへのアクセスに関するデバイドこそ、深刻であることを
物語っています。
こうして工業生産の手段が簡単に入手できるようになり、設計を無償で共有
できるようになれば、ハードウェアもソフトウェアと同じ進化の道をたどる
ことでしょう。
今、かつては商用サービスに限られていた高品質の印刷が、インクジェット
プリンタによって、スピードでは劣っても品質とアクセスしやすさを求める
家庭用プリンタという市場が生まれました。
パーソナルファブリケーションのツールは、大量生産ではなく、個人の用途
のために使われ、「製造者」と「消費者」が切れ目なく繋がる連続体となる
可能性を秘めています。
世界中で起こり始めている、そして実際に起きた「ファブラボ」の事例は、
来るべき「ものづくり革命」という、第3の波を感じさせる刺激的な記録で
す。
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◇ カンドコロ! ◇
ファブラボの有力なツールとして「ラピッドプロトタイピング」と呼ばれる
三次元プリンタがある。
高分子樹脂の入ったタンクにレーザー光線を照射して硬化させる方法や、イ
ンクジェットプリンタから液状の接着剤の粒子を噴射してパウダーに吹き付
けて固めるプロセスなどがある。
しかし、作り出すものの中身が空っぽだ。
何かを作ったら、用途に応じた機能を果たす部品をそこに付け加える必要が
ある。
例えばモータやLED、その配線や回路基盤を埋め込まねばならない。
ラピッドプロトタイピングの最終的な目標は、構造材料だけでなく、機能材
料を使って、完全に機能するシステムをプリントすることだ。
導電性を持ったパウダーやプラスチックを使って配線材をプリントすること
は可能だし、論理回路を組み込めるプリント可能な半導体もある。
磁性材料を使えばモータを作れるし、化学物質を組み合わせたものでエネル
ギーを蓄えることもできる。
こうした材料が含まれたプリント可能なインクは、研究室レベルでは既に開
発されており、実験にも成功している。
それら全てをプリンタに統合することが、何でも作れる一つの機械を作ると
いう目標への近道だ。
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◆ 熱い行動 ◆
ビットと原子の境界を突き破れ。
新たな時代の萌芽を見逃すな。
計画・設計・製造・試験・消費・再生を分断するな。
「おもちゃ」と「製品」の垣根は、案外低い。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 炎 | (炎3つが満点)
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ものづくりとは(ほぼあらゆる物をつくる)
過去(ハードウェア)
現在(鳥と自転車 減算的技法 ほか)
未来(歓喜)
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◆ 関連ページ ◆
・ファブラボ MIT The Center for Bits and Atoms
・出版社 ソフトバンククリエイティブ
・アマゾン 『ものづくり革命』
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June 26, 2006

【今週の一冊】
●『ロウソクと蛍光灯』
照明の発達からさぐる快適性
著:乾 正雄(祥伝社)
2006.04 / ¥777
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◆ 燃える一言 ◆
『照明は明るければすむというほど簡単なものではない。
乗り心地、住み心地をもっと一般的にいえば居心地だろうが、
そういうものが照明にはなによりも大事なのである。』
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「現代の発明品の中で、あなたが最もありがたいと思うものは何ですか」と
尋ねられたら、何と答えるでしょう。
自動車?電話?テレビ?
20世紀前半に活躍した作家の菊池寛は、「電灯」と答えています。
本読みと原稿書きが生業の作家らしい答えといえますが、なるほどと思わせ
ます。
恩恵を受けながら、ありがたみを意識しない理由の一つとして、筆者は照明
の発達が早すぎたことを挙げます。
室内環境(明るさ、温かさ、風、音など)を制御する機器の中で、飛び抜け
て早くから工業化されたのが「照明」です。
太古は照明といえば、太陽と炎であり、特に中世においては「ロウソク」と
「オイル」が主要な照明光源でした。
産業革命以前は、製法や芯の異なる洋ロウソクと和ロウソク、また豚の油か
菜種油かの違いはあるものの、文化交流がなかったにもかかわらず、西欧と
日本の照明がほぼ同程度に進んでいたのは興味深いものがあります。
そして産業革命以後、照明の歴史は飛躍的に成長していきます。
オイルランプ、ガス灯、アーク灯、電球、ネオンランプ、蛍光灯と、有能な
発明発見者らによって、次々と新しい照明が生み出されていきました。
今となっては照明は、「電気」の学問にもほとんど登場しない、先端技術と
は反対の、超成熟技術となってしまったのです。
その間、人工照明の発達の歴史は、ルクス(照度)を高める歴史であり、20
世紀の始め以来、各国の照明学会が推奨する照度が、いずれの国もほぼ10年
で倍になるような傾向をとっていることからも分かります。
しかし生物としての人間の眼は、100年やそこらで何ら変わるものではありま
せんから、推奨照度がそこまで大きく変わるのはおかしなものですが、これ
も照明器具の発達がもたらした変化といえるでしょう。
もしこの傾向が続くのであれば21世紀半ばには20万ルクスという、太陽の直
射日光の倍くらいの照度が「推奨」ということになりますが、もちろんそん
なことにはならず、省エネの影響もあって、1970年ごろで頭打ちとなります。
こうして機能からすれば十分となった照明は、都市や建築に組み込まれ、照
度よりも快適性を求められるようになります。
そうして行き着いた先が、実は行き過ぎた明るさではなく、ロウソクや暖炉
のような温かみのある、分散された多灯に「後戻り」している傾向を、筆者
は指摘しています。
あまりに何気なく扱っている照明の歴史から、人間が求める「快適さ」とは
なにかを探求する一冊といえるでしょう。
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◇ カンドコロ! ◇
和風建築の採光は、すべて光が「下から上へ」のベクトルを持っている。
屋根は軒を深く出し、日光や空の光の室内への直接の入射を阻む。
犬走りと言われるタタキや、踏み石、沓脱ぎ石は、一種の反射板であろう。
廊下は、白木でなくても艶があるから、はっきり反射板である。
建物の周囲にまく白い石にも似た効果がある。
「新しいほどよい」といわれる新しい畳の反射率は白に近い。
広い開口部は床面までいっぱいに開いており、上記の各種反射板からの間接
光が上方へ向かう。
その光は、畳から直ちに、あるいはさまざまな色のふすま紙、砂壁などを経
て、天井や床の間の暗部に行き着く。
昔の天井は案外高く、作りによっては光の行き届かない部分もでき、上部ほ
ど暗い。
つまり、和室の光環境は、自然界の天と地をひっくり返したようなものなの
だ。
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◆ 熱い行動 ◆
「あたりまえ」にまで成熟した製品は、洗練されている。
発展の歴史を紐解き、その本質を知ろう。
技術の変化で機能が急上昇しているものは、発展途上だ。
数値化できない「快適さ」は、温故知新にある。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | | (炎3つが満点)
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第1章 太古から産業革命以前までの人間生活と照明
第2章 寒くて暗い国に起きた産業革命と光源の発達
第3章 照明採光技法の発達
第4章 近代以後のビル様式の流れと照明の変遷
第5章 照明の後戻り
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◆ 関連ページ ◆
・著者 乾 正雄
・出版社 祥伝社
・アマゾン 『ロウソクと蛍光灯』
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June 20, 2006

【今週の一冊】
●『逆風野郎!ダイソン成功物語』
著:ジェームズ・ダイソン 訳:樫村 志保(日経BP社)
2004.05 / ¥1,890
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◆ 燃える一言 ◆
『企業を変えるのは、ほかならぬ「あなた」だ!
あなたが社長だろうと部長だろうと、一介の担当者であろうとも、
それぞれが自分の持分を変えていかねば、あなたの会社は変わらない。』
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家電量販店に行けば、一際異彩を放つ「デザイン」と「カラー」(あとお値
段)で、目に付いて離れないのが「ダイソン」の掃除機。
(例えばこちら⇒ Dyson サイクロンクリーナー DC-12 )
去年、掃除機を買いに行ったときも気にはなったものの、つい安い国内メー
カのフィルター式を買ってしまいました。
しかし、吸引力が落ちた掃除機を使いながら、この本を読んだ今となっては、
「ダイソン欲しい!」と切に感じています。
イギリスのジェームズ・ダイソン氏が手がけた発明品は、グラスファイバー
製の作業船、タイヤが球形樹脂の手押し車、そしてサイクロン式掃除機と、
およそ無関係と思えるものばかり。
しかしこれらが彼の生涯を紐解くと、見事な関係で結びつき、そしてエンジ
ニアとしてのこだわりで生産されていたことが分かります。
その過程は、特許権や既存の大企業、マーケッティングや資金繰りといった
まさに「逆風」の中を自らが切り開いた足跡です。
「サイクロン式掃除機」の構造を簡