操縦マニア!
【今週の一冊】
●『操縦マニア!』
編:三推社出版部(三推社)
2006.12 / ¥1,950
----ものづくりを応援!技術士やまさんの「えんぢに屋本舗」-----
◆ 燃える一言 ◆
『ふつうでは行けない場所で使われたり
ユニークな使われ方をする乗り物は、
いろんなアイデアが詰まったオモチャ箱のような機械だった』
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某社の車輪の出てこないヒコーキを無事着陸させたパイロットの腕前には驚
きましたが、その際、テレビで放映されていた飛行機の操縦方法に興味を持
たれた方も多いでしょう。
本書にはそんな普段とても扱うことのできないような乗り物の構造と操縦方
法が、図解をふんだんに駆使して紹介されています。
例えばジャンボジェットの最新鋭機、エアバスA380は、さぞや複雑な操縦方
法になっているかと思いきや、まるで「ゲーム」のようにスティック一つで
指示すれば、細かな制御は不要となっています。
これはFBW(フライ・バイ・ワイヤ)と呼ばれる、パイロットの指示をコ
ンピュータで処理した結果を電気的に伝えるシステムの賜物です。
むしろパイロットの重要な仕事は、演算のための各種データを入力する手順
や数字の選び方にあると言えます。
更に「特殊」な飛行機といえば、戦闘機です。
F-16などの新しい機体は、こちらもFBWが導入され、パイロットの負担は
減っているそうですが、本書に取り上げられたF-15は高性能機でありながら、
その操縦は「パイロットまかせ」です。
前面のパネルに散りばめられた計器で一瞬に判断し、指一本一本に割り当て
られたスイッチ類を駆使してコントロールし、しかも一般人なら気を失うほ
どの急加減速を繰り返すのですから、正気の沙汰とは思えません。
同じく操縦者のテクニックに大きく依存する究極の乗り物といえば、F1カー
もその一つです。
わずか5.2秒で停止状態から時速200キロまで加速するモンスターマシンです
が、操作方法自体はシンプルで、足元にはアクセルとブレーキがあるのみで、
クラッチ操作はほぼ自動であり、シフトチェンジも手元のスイッチでできま
す。
操作するスイッチ類も全てステアリングに配置され、中には押すと飲み物が
出てくる「ドリンクボタン」まであります。
また「パワーステアリング」も付いていますが、これはステアリングを軽く
するためではなく、コーナリングで一度切ったステアリングが横Gの強い力
で押し戻されるのを抑えるためのもので、やはり「特殊」な世界です。
もう少し日常に近い、変わった乗り物では「DMV(デュアルモードビーク
ル)なんていかがでしょう。
これは道路でも線路でも走れる、バスと電車が一緒になったような乗り物で、
線路走行に切り替えるには、導入部で車体を線路に合わせて位置決めし、前
後にガイド用の鉄輪を出して走行します。
ちょうどこの4月から北海道で試験導入されますので、ニュースなどで目に
する機会もあることでしょう。
そのほか、砕氷船や飛行艇、戦車やスペースシャトルといった特殊な機体か
ら、タクシーや馬車に至るまで、ありとあらゆる「乗り物」の運転を感じる
ことができる、「見て」楽しい一冊です。
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◇ カンドコロ! ◇
重量108トンの本物の電気機関車を、誰でも運転できるところがある。
子供から鉄道ファンまでが楽しめる鉄道のテーマパークである、群馬県にあ
る「碓氷峠鉄道文化むら」だ。
本物のEF63形電気機関車の運転体験が可能で、運転体験を重ねると、連結体
験や重連推進運転なども体験できるのだ。
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◆ 熱い行動 ◆
身近な乗り物も、その構造を理解して運転しているだろうか。
自転車や自動車の機構を、覗いてみよう。
使う人が使いやすいことが、機械の安全につながる。
作りやすさの前に使いやすさを考えた「ものづくり」をせよ。
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◆ 燃えるゲージ ◆ | 炎 | 炎 | 火 | (炎3つが満点)
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1 身近な乗り物(ジェット旅客機、新幹線 ほか)
2 憧れのハイテクマシン(戦闘機、ヘリコプター ほか)
3 気になる特種な乗り物(飛行艇、深海探査船 ほか)
4 ものづくり・作業機械(トラック、油圧ショベル ほか)
5 自然まかせのアナログ乗り物(馬車、パラグライダー ほか)
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◆ 関連ページ ◆
・電気機関車 碓氷峠鉄道文化むら
・出版社 三推社
・アマゾン 『操縦マニア!』
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